昨年の角川俳句賞を受賞して、

今や押しも押されもせぬ日本の俳人、

下川町の酪農家、

鈴木牛後さんの、

待望の第3句集が発売になった。

ネットで予約購入していたので、

仕事から帰って郵便受けにこれを見つけて、

跳び付くように読み始めた。

期待通り、いや、期待をはるかに超えた力強い句の数々。

読んでゆくうちに心躍る、

IMG_5915素晴らしい句集だった。

まだ一読しただけだけれども、

読み返すたびに新たな発見と感動が得られそうな、

そんな句集である。

この第3句集には374句も収録されているので

全てを紹介することなど到底無理であるが

とりあえず心惹かれた句を

少し挙げてみたい。


 雪を掻くたびに光のあたらしく


 春の土たがひに踏んで別れけり


 血の軍手春日に干してまた履きぬ


  農道の波打つてゐる西日かな


 裸木はたがひに傷め合うてをり 


 雪にスコップ今日と明日との境目に


    初蝶は音なく猫に食はれけり


 雪を前に話すこの世のことばかり


 牧場を山と呼びたる夏の雪


 草青むはやさに歩む牧支度


 杭打つて山の眠りを覚ましけり


 万緑の触手舗道の割れ目より


 白日傘傾ぎ見られてゐる労働


 初雁や大曲りして天塩川


 雪捨てて拾ふものなき日暮かな 


そして何よりも

牛と酪農を詠んだ句の数々。


 白息の混じりて牛を捕へけり


 飲みをへて仔牛しづかや余花の風


 満月を眼差し太き牛とゐる


 牛見送る軒より露の滴りぬ


 牛の死に雪のつめたくあたたかく


 鼻息熱き牛を夜涼へ放ちけり


 甘さうに草の波立つ牧開き


 我が足を蹄と思ふ草いきれ


 角焼きを了へて冷えゆく牛と我


 牛産むを待てば我が家の冬灯


 仔牛の寒衣脱がせ裸と思ふ春


 美味き草不味き草あり草を刈る


これらの牛の句・酪農の句には

飼主と牛との距離の近さを感じる。

それは愛情の深さである。

というよりも

もう牛後さん自身が牛と同化しているような句で

牛の代弁者になっているような句である。

これを読んだ私を含め酪農関係の方々は

どんな感想を抱くだろうか。

また、全国の

牛乳や乳製品の消費者の方々は

どんな感想を抱くだろうか。

さらに

今回新たな驚きと感動があったのは

牛後さんの俳句の中に登場する

独特の「オノマトペ(擬音語・擬態語)」である。

「どるん」

「たわたわ」

「ろろん」

「けおん」

「ざばん」

「ここここ」

「るろるるろる」

「ばふう」

「ざんざん」

「さりり」

「ぱふん」

「わんわん」

「かしや」

「べったら」

「ほこん」

「ちやりぢやり」

「ちつちちつち」

「くわわ」

「ぎゅるん」

「ごどごど」

「ききゅん」

「ざざざら」


これらのオノマトペが

どんな句に使われているのかは

ぜひ句集を買って

それを手元に置いて

読んで楽しみながら

探していただきたいと思う。

鈴木牛後さんの第3句集「にれかめる」は

私がここに記したこと以外にも

まだまだ沢山の面白さが詰まっている

超おすすめの句集である。

日本全国の皆さんの

一人でも多くの方々に

ぜひとも読んでいただきたい

素晴らしい句集である。


人気ブログランキング


IMG_2775
左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

の動画をYouTubeにアップしています。

ここを→
クリックして

見ることが出来ます。