先日の当直の朝、

搾乳開始頃の時間に⌘フアームに呼ばれ、

乳熱(低カルシウム血症)の牛を診て、

事務所に帰ってカルテを書いていると、

再び⌘牧場から電話がかかってきた。

今度は、難産だという。

さっきついでに言ってくれれば良かったのに

と思ったが

大きな牧場では一晩に何度も往診することは

よくあることだ。

従業員の◎君の手に負えない難産ということで

そう簡単ではないだろうという覚悟をして

その牛の産道に手を入れて見ると

「・・・?」

「逆子だと思うんですけど・・・」

「・・・なんだか硬いね。」

「まだ奥にある感じで・・・」

「・・・直るかな。」

「飛節だと思うんですけど・・・」

「・・・後肢が向こう向いちゃってるね。」

手の長い◎君がそう言う通り

逆子らしき胎児は産道の奥にあった。

子宮外口(頚管)は開いているが

胎児のお尻と飛節だけが触れる

いわゆる臀位だった。

飛節から手を辿って

足根部を掴んで飛節を押してみた。

臀位の場合はこうすると

球節から蹄先が触れるようになり

球節を手で掴んでもう一度飛節を押すと

手を使っただけで後肢が整復される。

ところが今回はそれがうまくゆかない。

関節が異常に硬くて曲がりづらいのだ。

「・・・奇形かな、これは。」

反転性裂胎かもしれないと思いながら

帝王切開も視野に入れつつ

もう一度整復を試みた。

今度は足根部にチェーンをかけて◎君に軽く固定してもらい

私は全力で臀部と飛節をグイグイと押し込んだ。

硬く硬直した飛節と球節が

次第にこちらを向いてきた。

「・・・もう一度!」

◎君がチェーンで牽引している後肢が

ぐぐっと動いて

後肢の1本がようやく整復された。

もう片方の後肢も同様にして整復し

両後肢がこちらを向いた。

「・・・よし、これであとは、引っ張るだけだ。」

異常に硬くて細い感じのする後肢2本にロープを掛け直して

産科器具でで牽引すると

なにやら硬くやせ細った

怪しげな形の胎児の下半身が現れた。

かなりの抵抗があったが

ここまできたら牽引するしかない。

さらに牽引すると

急に大きくなった胎児の上半身が現れた。

そのまま一気に牽引すると

ようやく胎児がすっぽりと娩出された。

「・・・!、なんだこれは。」

「!(◎_◎;)・・・」

出てきた胎児は

上半身はまともなF1胎児だった。

IMG_6124しかし

下半身は干からびたようにやせ細り

スルメイカの様に

足は硬くねじ曲がり

関節は可動性なく

IMG_6122下半身だけミイラ化が進んでいる様な

「半ミイラ」状の胎児だった。

見た目がエグいので

この写真は閲覧注意かもしれない。

だが、こんな胎児のお産を経験することは

IMG_6128これから先

きっと無いだろうと思うので

学術的な記録として(?!)

ここにアップしておこうと思う。


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左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

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