その日の夜は、

前回の記事に書いたごとく、

変則的な「臀位」の難産を終えて、

事務所に戻ってカルテを書き終え、

しばらくウトウトしていた。

すると、当番の携帯電話が鳴った。

「お産なんだけど・・・尻から来てるみたいで・・・診てくれんかい・・・」

「・・・わかった、直ぐ行きます。」

(また臀位かよ・・・)

こんなこともあるのかと

私は少しあきれながら

再び仕事着を着て

夜道を走り

Ωさんの牛舎に到着。

「あっちの育成舎の裏にいるんだ・・・」

着いて産道に手を入れる。

初産の牛の難産だった。

「・・・あー、ほんとだ。これは尻から来てるよ・・・親は立てるかい?」

「今立たせる準備してるるから・・・」

99F25843-070D-40A3-B954-2F6896D66851胎児の失位整復は

親牛を立たせてやるのが基本である。

牛が寝たままの失位整復は

整復する人も寝ながらやらねばならず

怒責もキツくなるので骨が折れるのだ。

Ωさんが牛を立たせる準備をしている間に

416765FC-F560-4555-AFB4-241FC2CCD3B2私はカッパを着て

子宮弛緩剤のプラニパートを親牛に注射した。

今回の臀位はいわゆる普通の

一般的な臀位だった。

まず、曲がっている後肢の飛節の先の

中足骨のできるだけ遠位にチェーンをかけ

FFC18762-42A2-476D-B14D-9ACBA586F21Dかかったらその部分を

できれば球節を超えて繋の部分へ移動させる。

その状態で産科チェーンを固定し

その後肢の飛節をグイグイと押す。

56DF04D7-2419-4EB4-9B70-BC73135FEEFE球節を固定しておいて

飛節をグイグイ押せば

後肢の先端が産道へ進入して来て

後肢の失位が整復される。

FFC87719-B690-419D-8AFB-6445C07695A9その時のコツは

球節に手をあてがって

産道の恥骨に胎児の蹄先が引っかからない様にするとよい。

後肢の片方が整復されると

BD816927-783B-48D6-A1FD-1C6829B4AA9D産道に余裕が生まれ

もう片方の後肢は比較的整復しやすくなる。

両方の後肢が整復されたならば

あとは尾位のお産と同じなので

2D7A4A6D-3885-432E-BA07-1E9BCF468CF4胎児をひたすら牽引すればよい。

チェーンのまま牽引するよりは

できたらロープに付け替えて牽引した方が

胎児の肢には優しい牽引になる。

EA8A7A34-F751-447B-B787-8C337252157D今回の胎児は

残念ながらすでに死亡していた。

初産の親の栄養状態と

飼育環境が過密なのが

ちょっと気になる症例だった。


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