前回と前々回の記事を書いてから、

次の当番の日の夜中は、

平穏無事だった。

夜が明けて、

そのまま通常勤務時間になるのか、

と思った矢先に、

Ωさんから電話がかかって来た。

Ωさんは前回の記事で「臀位」の難産介助に行った酪農家である。

「・・・初産のお産なんだけど。」

「はい。」

「・・・なんか、また・・・尻から来てて、出ないんだわ。ちょっと来てもらえるかな?」

「はい・・・了解、行きます。」

Ωさんは

前回の記事で臀位の整復をした酪農家である。

その家からまた同じょうな稟告の難産の往診依頼だった。

(マジかよ・・・)

私は半ば呆れた感じで

朝日の昇る道を急いだ。

「あっちの育成舎の裏にいるんだ・・・」

牛舎に到着して産道に手を入れる。

前回と同じ牛舎で

前回と同じ初産の牛で

前回と同じ「臀位」の難産だった。

今回の親牛は自力で立つことができた。

私はカッパを着て

子宮弛緩剤のプラニパートを親牛に注射し

臀位の整復を始めた。

今回の臀位もまた

いわゆる普通の

一般的な臀位だった。

まず、曲がっている後肢の飛節の先の

中足骨のできるだけ遠位にチェーンをかけ

かかったらその部分を

できれば球節を超えて繋の部分へ移動させる。

その状態で産科チェーンを固定し

その後肢の飛節をグイグイと押す。

球節を固定しておいて

飛節をグイグイ押せば

IMG_6497後肢の先端が産道へ進入して来て

後肢の失位が整復される。

その時のコツは

球節に手をあてがって

産道の恥骨に胎児の蹄先が引っかからない様にするとよい。

後肢の片方が整復されると

IMG_6499産道に余裕が生まれ

もう片方の後肢は比較的整復しやすくなる。

両方の後肢が整復されたならば

あとは尾位のお産と同じなので

胎児をひたすら牽引すればよい。

チェーンのまま牽引するよりは

IMG_6501できたらロープに付け替えて牽引した方が

胎児の肢には優しい牽引になる。

ひたすら牽引しようとしたのだが

今回は前回よりも

胎児が大きく

前回よりも時間が経過していたようで

IMG_6505産道と胎児の滑らかさに欠け

大きな負荷がかかった。

滑車を取り付けて牽引すると

親牛ごと引きずられて

親牛はとうとうしゃがんでしまった。

胎児はなかなか出てこなかった。

IMG_6504丁度そこへ

JAの職員が2人やって来たので

その2人にも牽引に参加してもらって

滑車をひたすら牽引し

やっとの思いで

胎児を娩出させることができた。

IMG_6507今回の胎児も

残念ながら

すでに死亡していた。

初産の親の栄養状態と

飼育環境が過密なのが

気になる症例だったのは

前回と全く同様である。



人気ブログランキング


IMG_2775
左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

の動画をYouTubeにアップしています。

ここを→
クリックして

見ることが出来ます。