「仔牛がシバれてしまって、立てないんだけど・・・」

そんな診療依頼があった酪農家の▽さん。

牛舎に着いて

仔牛がどこにいるのかと思ったら、

「今この中で温めているんだけど・・・」

IMG_6754それは最近、

地元のJAで補助を出して導入している、

仔牛を温める青いドーム型の装置だった。

頑丈なつくりの中に

電動で温風が充満し

その中に仔牛を入れて

仔牛を温める装置である。

「凍れちゃって・・・」

診ると

体温は35℃以下

心拍数は70

ぐったりと頭部を投げだし

意識は朦朧。

IMG_6749「・・・これは即点滴だね。」

早速

点滴をしようとしたが

血圧が低下していて

頸静脈を堰き止めても血管が浮いてこない。

仔牛を逆さ釣りにしてようやく静脈に留置針を挿入し

写真のように装置の中で点滴を開始。

IMG_6750しかし

この仔牛の意識は

戻ることなく

翌日には

死亡してしまった。

実はこの仔牛は

1週間前に下痢で治療歴があった。

それが完治していないまま

寒気の中で体温を失い

急激に症状が悪化して

手遅れになってしまったと思われる。

仔牛を温める立派な装置があっても

仔牛の状態に気づくのが遅ければ

IMG_6755手遅れになり

仔牛を死なせてしまう。

最近はどうも

手遅れの症状で呼ばれることが

とても多い気がする。

仔牛を温める装置が普及するのは

良いことなのだが

それを使いきれていないようだ。

厳寒期は

「低体温注意報」

が出ているのだが

そればかりではなく

相変わらずの

「監視不足警報」

も鳴り続けている。

なんとかならないものか・・・



IMG_2775
左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

の動画をYouTubeにアップしています。

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