先日の夜間当番の早朝、

4時半過ぎに枕元のケータイが鳴った。

「子宮捻転みたいなんですけど・・・」

Ω牧場の従業員君だった。

「・・・了解、直ぐ行きます。」

到着して

牛の陰部に手を入れると

膣がしっかりと捻じれて

胎児に触れることができないほどだった。

「昨日の夜から産気づいていて、今朝まだだったので、手を入れたら・・・」

「・・・あー、これは間違いなく捻転だね。」

私はとりあえず

用手整復を試みようと

手を奥に入れたが

胎児はずいぶん遠くにあり

手が届くのがやっとだった。

胎児の蹄は大きく

頭部まで手が届かない。

この時点で

用手整復法は諦めざるを得なかった。

従業員君によれば

この分娩は予定日からは数日遅れている。

用手法が通用しない子宮捻転では

次の一手はローリング法である。

しかし、ローリング法は

胎児を100%娩出できる方法ではない。

もし、ローリング法が通用しなかった場合は

最後の手段の帝王切開となる・・・

私はしばし考えた。

ローリング法を省略してこのまますぐに帝王切開すれば

朝の就業開始時間までに余裕でこの仕事を終えることができる。

ローリング法を選択して成功すればさらに早く終わることができる

だが、もし、ローリング法が通用しなくて、結局帝王切開になった場合は

朝の就業開始時間に間に合わなくなる可能性が高い。

その場合

ローリング法に費やした時間が無駄になってしまうのだ。

「・・・帝王切開しよう。」

私は、ローリング法を省略して

即刻の帝王切開を選択した。

こういうのは

ケースバイケース

なのであるが・・・

私はそのまま診療所に帰り

674D7858-398A-4C09-8D12-9A70275A6BD0新人のT獣医師に助手を頼み

牛を連れて来たΩさんを迎えて

帝王切開に取り掛かった。

手術はほとんど教科書通りの展開で

9594B2F7-466A-4F3A-B732-2CB5F46390F7難関の子宮の探索と切開と胎児の摘出も

スムーズにおこなわれ

大きな♀のホル胎児を

無事に摘出することができた。

牛の切開部を縫い終わった時

517B2D7A-A742-4B86-885B-07EC49F48637診療所には職員が

ぼちぼちと出勤し始めていた。

牛とΩさんをを見送って

手術室を片付け終わったら

就業の開始時刻が迫っていた。

今回

一番面白かったのは

牛を運んできたΩ牧場のワゴンであった。

その中に

帝王切開を終えた親子牛を載せて

トラクターに曳かれて帰ってゆくのは

牛用のロースピードのワゴンだった。


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左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

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