「仔山羊(ヤギ)の去勢をしてほしいのですが・・・。」

普段はほとんど往診の依頼がない、

☆農場からの電話だった。

それを受けた我々獣医師は

「・・・山羊ですか?」

「・・・やったこと、ある?」

「・・・ない(笑)。」

「・・・ないよね。」

「・・・大丈夫?」

「・・・さぁ??(笑)」

皆、顔を見合わせて

誰がこの仕事をするのか

おたがいの腹の探り合いが始まった。

しばらくして

我が診療所の最長老のS獣医師が帰ってきた。

「・・・山羊かい?、去勢なら学生の時やったことあるよ。」

「ほんとですか!」

「・・・なんも、牛とおんなじだよ。」

「うるさくないですか。」

「・・・どうだったかな、もうだいぶ前のことだから忘れちゃったな(笑)。」

☆農場から電話を受けた獣医師をはじめ

我々、山羊去勢が未体験の獣医師たちは

この仕事を

まさか最長老のS先生に押し付けるわけにもゆかず

色々協議の結果

私を含めて

3人の獣医師が

物々しく☆農場へ出向き

去勢を行うことななった。

さて

去勢チームの3人の獣医師の中で

私が1番年上だたので

私が今回の仕事の責任者にならざるを得なかった。

獣医師の仕事というのは

その対象動物からして

多種多様である。

未だかつて経験したことのない仕事が

頻繁に舞い込んでくるものである。

今回もまさにその典型だった。

そういう場合の常套手段として

施術する動物種に最も近い品種の動物での

経験を参考にする。

今回の場合

仔山羊に最も近い品種の動物での経験といえば

仔牛の去勢である。

仔牛の去勢であれば

毎月数頭は必ずやっていて

その方法は

言わずと知れた

特製の去勢器具を用いた

ニコイチ捻転法である。

今回は

3ヶ月齢の仔山羊の去勢

ということで

牛用の器具では大きすぎるのではないかと

心配と不安を抱えたまま

我々3人の去勢チームは

☆農場へ向かった。

☆農場へ着くと

山羊たちが飼われているパドックへ案内された。

パドックには

年老いた雄山羊が1頭と

比較的若い雄山羊と雌山羊のつがいと

可愛らしい仔山羊が1頭

飼われていた。

飼い主の☆さんの奥さんが

仔山羊を捕まえると

仔山羊は大きな声で鳴いて嫌がった。

仔山羊を抱きながらなだめて

パドックから仔山羊を抱きかかえて

IMG_0578外へ持ち出し

おとなしくなった所で

我がチームのC獣医師が

頸静脈に鎮静剤を投与した。

体重は約20kgという計算で

鎮静剤を投与された仔山羊は

あっという間におとなしくなり

IMG_0579されるがままに

我々獣医師の前に横たわった。

そして足を縛り

陰嚢を見ると

「・・・おぉ、デカイっすね。」

「・・・ほんとだ、デカっ。」

「・・・これで3ヶ月齢ですか、デカイですね。」

IMG_0580雄の仔山羊というのは

体の割に

随分と大きな精巣の持ち主なのだった。

「・・・これなら、ニコイチで行けますね。」

我々は早速

仔牛の去勢をするのと同じように

ニコイチ捻転去勢法に取り掛かった。

ふと、パドックの方を見ると

パドックの中から

IMG_0590父さん山羊と

母さん山羊が

2頭そろって

その様子を

心配そうに見つめていた。

(この記事続く)


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左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

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