精索(せいさく)付近の結合組織をはがして、

2本の精索をしっかりと露出させていないと、

ニコイチの捻転去勢棒が回転しづらくなることは、

今までにも何回かあった。

IMG_0791しかし、

今回の種牛の精索は

しっかりと露出したにもかかわらず

精索自体の太さと頑丈さによって

ニコイチすなわち

2玉同時の捻転法ができないという事態になった。

IMG_0794これは

初めての経験だった。

この事態の打開策は 

「ニコイチ」を諦めて

「イッコイチ」にすることだった。

ちなみに
IMG_0795
この捻転棒がもっと大きくて太いサイズの

種牛用?!のニコイチ捻転去勢棒を作れば

ニコイチ捻転去勢は可能であろう。

でも現実問題としてそこまでニコイチにこだわる必要はない。 

要は

IMG_0801確実に、衛生的に、出血なく、素早く

去勢ができればそれで良い。 

さて

「ニコイチ」から「イッコイチ」に

方針変更をした私は

IMG_0802精索の1本ずつにフックをかけて

捻転去勢を進めていった。

クランクの回転数はどちらも約20回転以内で

精索を捻り切ることができた。

あらためて

IMG_0804摘出した精巣を眺めてみると

流石にビッグサイズだ。

育成牛のものとは違い

現役で精子を生産し

太い精索を通して

IMG_0805陰茎へ精子を送り出していたものは

臓器として完成された力強さがある。

精巣を無事に摘出した後

術部にヨーチンをスプレーしておいた。

出血はほとんど無い。

IMG_0806捻転去勢法の大きなメリットのひとつは

精索の血管を完全に捻り切ることによって

それだけで簡単に確実に止血できることである。

今回も当然のように

精索の捻り切られた血管は

完全に止血されていた。

IMG_0808手術台を下ろし

鎮静されている種牛に

鎮静剤の拮抗薬を静注した。

数分後

種牛はのっそりと起き上がって

家畜舎へスタスタと歩いてゆき

IMG_0810何事もなかったかのように

家畜舎に揺られて帰っていった。

私としては

初の体験だった

種牛の去勢。

同僚の獣医師たちも

みな初めての経験だったはずだ。

そのような雰囲気の中で

新人の同僚T獣医師が

特にはつらつと

楽しそうに

仕事をしていたのが

印象深かった(笑)


(この記事終わり)



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