牛の「イボ(乳頭腫)」は、

牛パピローマウイルスに感染することによって、

皮膚が変形してイボイボになるもので、

未経産牛で体表にイボを持っている牛は非常に多い。

多くはポツポツと目立たぬ程に出来ていて

月齢が進むにつれて

知らぬまに自ら免疫を獲得をして

きれいになくなってしまう。

しかし

たまには驚くほとのイボ持ち牛がいて

体表の数パーセント以上に

ゴツゴツとした大きな

「イボの鎧」をつけているような牛の

治療を頼まれるのだが

そういう多数のイボ持ち牛には

IMG_1238「ヨクイニン(はと麦粉)」の

1ヶ月以上の経口投与を薦めている。

効果はゆっくりだが

「イボの鎧」は次第に弱々しく

ポロポロと崩れ去ってゆき

跡形もなく消え去ってしまう。

IMG_1221ところが

このイボの正式名が

乳頭腫というわけではないのだろうけれども

乳頭に多数のイボイボか出来ることがある。

この乳頭にできた乳頭腫も

IMG_1227体表にできるイボと

病理は同じであって

多くがそのまま消失するか

ヨクイニンの経口投与でなんとかなってしまうものだが

ごく稀に4本の乳頭の全てに著しい「イボの鎧」ができて

IMG_1230妊娠してお産しても

乳頭が使えずにお肉になってしまうこともある。

今回治療の依頼を受けたのは

典型的な乳頭の乳頭腫だった。

まだ「イボの鎧」にはなっていないが

IMG_1231将来これがどうなってゆくのか

場所が場所なだけに

飼い主さんとしても

早目になんとか退治してしまいたいということだった。

手術台に乗せて寝かせて

IMG_1235写真のようにまずは手で

1つ1つイボをむしり取って行く。

手でむしりきれないような

根っこの深いイボは

鉗子を用いて挟んではむしりとって行く。

IMG_1236ある程度むしり取れたところで

乳頭全体に血が滲んできた。

さらに目ぼしいイボをむしって

おおかたむしり終わったところで

ヨード系消毒剤を塗布して

IMG_1237いぼむしりを終了した。

ちなみに

「いぼむしり」

という言葉は

俳句の歳時記に載っていて

IMG_1289秋の季題である。

昆虫のカマキリのことを

「いぼむしり」と呼ぶのである。

牛の乳頭腫の治療に

「カマキリ療法」

という新しい治療法が

開発されることを期待したい。


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