市場の日の約1ヶ月前に、
内科的治療と外科的治療を、
ほぼ同時に始めたこの牛の、
イボの数と大きさ。
その規模はあまりにも大きく、
飼主の‰さんの思惑通りに、
綺麗に取って市場へ持って行くことは、
できそうにない状況になっていた。
先日、ハサミで
かなりの数のイボを
外科的に除去した後
数日経って
‰さんが事務所にやってきた。
「血止め・・・打ってもらったけど・・・」
「・・・出血ひどかったの?」
「あぁ、しばらく血が止まらなくて・・・また打ってもらおうかと思ったけど・・・」
翌日には
なんとか
血まみれ状態は治まってくれたらしかった。
「よく見ると・・・まだまだ、デカいやつがいっぱいなのよ・・・」
「・・・手術室に連れて来てくれるの、いつにします?」
「市場が近いから、すぐやってもらおうかと思ったけど・・・」
「・・・?」
「今月の市場は、もう、あきらめるわ・・・」
「・・・うん、そうでしょう。」
「来週の末に、牛持って来るから、腹の下のデカい親玉のイボとってもらうかな・・・」
「・・・うん、了解、そうしましょう。」
‰さんも
私も
先日ハサミでイボを外科的に切除した時
あまりにも多いイボと
牛の嫌がりようと
出血の多さに
直近の市場に出すのは
無理ではなかろうかという
考えが浮かんでいたのだった。
これだけ規模の大きいイボ(乳頭腫)の治療の場合
私の乏しい経験を振り返ると
外科的治療だけでは難しく
内科的治療すなわち
ヨクイニンの経口投与がメインになり
最低でも1ヶ月以上の投与が
絶対に必要だと思っていた。
今回
治療のスタートが
市場の1ヶ月前だったということで
私は最初から
直近の市場に出すのは難しく
時間切れになるだろうという気がしていた。
しかし
飼主の‰さんは
そう思っておらず
自分なりに市場に間に合わせるための
治療プランを考えていたようだった。
私と‰さんとの間に
治療プランに対する考え方に
齟齬があったまま治療がスタートしていた。
私の考えは
内科治療を中心にして
時間をかけてゆっくりとするべきだと思っていた。
‰さんの考えは
外科的治療をすることで
予定の市場に間に合わせようと思っていた。
そのせいで
‰さんは
最初はヨクイニンを
ちゃんと必要量を毎日飲ませていなかったようだった。
その後、2回の外科的治療をすることで
だんだんと、この牛のイボ(乳頭腫)の多さに気づき始め
ついに
直近の市場に出荷することをあきらめて
じっくりと治療に専念することへ
考え方を変えてくれたようだった。
私は私で
これだけの規模のイボ(乳頭腫)の
外科的治療は初めての事だったので
初診の時に
内科治療でゆっくりやるしかないとは感じつつも
その場でいきなり
「1ヶ月後の市場は諦めた方が良い。」
とは言えなかった。
‰さんとの考えに齟齬がありながら
そのまま共同作業をして
約2週間の時間が経過して
ようやく
‰さんと私の
この牛に対する治療方針が
同じ方向を向いて来たのだった。
かくして
今回の一連の写真は
この牛を
手術台に寝かせて
一つ一つ
除去して行った時のものである。
かなりの数のイボが
腹部に出来ていた。
いちばん大きな
臍帯部分のイボを取るときは
皮下に局所麻酔を打ち
疼痛と出血を抑えつつ
慎重にやらなければならないほどの
大きなイボだった。
頭部に残っていたイボも
立位では非常に嫌がって
取りづらかったものを
じっくりと取り除くことができた。
市場に出荷するのは
1ヶ月以上
先延ばし
という事になった。
(この記事つづく)
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内科的治療と外科的治療を、
ほぼ同時に始めたこの牛の、
イボの数と大きさ。
その規模はあまりにも大きく、
飼主の‰さんの思惑通りに、
綺麗に取って市場へ持って行くことは、
できそうにない状況になっていた。
先日、ハサミで
かなりの数のイボを
外科的に除去した後
数日経って
‰さんが事務所にやってきた。
「血止め・・・打ってもらったけど・・・」
「・・・出血ひどかったの?」
「あぁ、しばらく血が止まらなくて・・・また打ってもらおうかと思ったけど・・・」
翌日には
なんとか
血まみれ状態は治まってくれたらしかった。
「よく見ると・・・まだまだ、デカいやつがいっぱいなのよ・・・」
「・・・手術室に連れて来てくれるの、いつにします?」
「市場が近いから、すぐやってもらおうかと思ったけど・・・」
「・・・?」
「今月の市場は、もう、あきらめるわ・・・」
「・・・うん、そうでしょう。」
「来週の末に、牛持って来るから、腹の下のデカい親玉のイボとってもらうかな・・・」
「・・・うん、了解、そうしましょう。」
‰さんも
私も
先日ハサミでイボを外科的に切除した時
あまりにも多いイボと
牛の嫌がりようと
出血の多さに
直近の市場に出すのは
無理ではなかろうかという
考えが浮かんでいたのだった。
これだけ規模の大きいイボ(乳頭腫)の治療の場合
私の乏しい経験を振り返ると
外科的治療だけでは難しく
内科的治療すなわち
ヨクイニンの経口投与がメインになり
最低でも1ヶ月以上の投与が
絶対に必要だと思っていた。
今回
治療のスタートが
市場の1ヶ月前だったということで
私は最初から
直近の市場に出すのは難しく
時間切れになるだろうという気がしていた。
しかし
飼主の‰さんは
そう思っておらず
自分なりに市場に間に合わせるための
治療プランを考えていたようだった。
私と‰さんとの間に
治療プランに対する考え方に
齟齬があったまま治療がスタートしていた。
私の考えは
内科治療を中心にして
時間をかけてゆっくりとするべきだと思っていた。
‰さんの考えは
外科的治療をすることで
予定の市場に間に合わせようと思っていた。
そのせいで
‰さんは
最初はヨクイニンを
ちゃんと必要量を毎日飲ませていなかったようだった。
その後、2回の外科的治療をすることで
だんだんと、この牛のイボ(乳頭腫)の多さに気づき始め
ついに
直近の市場に出荷することをあきらめて
じっくりと治療に専念することへ
考え方を変えてくれたようだった。
私は私で
これだけの規模のイボ(乳頭腫)の
外科的治療は初めての事だったので
初診の時に
内科治療でゆっくりやるしかないとは感じつつも
その場でいきなり
「1ヶ月後の市場は諦めた方が良い。」
とは言えなかった。
‰さんとの考えに齟齬がありながら
そのまま共同作業をして
約2週間の時間が経過して
ようやく
‰さんと私の
この牛に対する治療方針が
同じ方向を向いて来たのだった。
かくして
今回の一連の写真は
この牛を
手術台に寝かせて
一つ一つ
除去して行った時のものである。
かなりの数のイボが
腹部に出来ていた。
いちばん大きな
臍帯部分のイボを取るときは
皮下に局所麻酔を打ち
疼痛と出血を抑えつつ
慎重にやらなければならないほどの
大きなイボだった。
頭部に残っていたイボも
立位では非常に嫌がって
取りづらかったものを
じっくりと取り除くことができた。
市場に出荷するのは
1ヶ月以上
先延ばし
という事になった。
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パピローマウィルスとの格闘の様相ですが、どうなったか楽しみです。
牛診療所は液体窒素が手に入りやすいと思いますが、凍結療法はどうなんでしょう?