先日の夜間当番の朝、

「お産で、お尻しか触れない・・・」

という酪農家の◉さんからの電話。

臀位の難産である。

これはよくあることなので

まずは双子を想像。

または単体の臀位もありうる。

着いて診ると

本当にお尻だけで

後肢は全く触れない状態だった。

「初産で、予定日も過ぎているんだけど・・・」

という事なので

双子ではなく単体の可能性が高い。

(これはちょっと手ごわいかな)

とは思ったものの

臀位の胎児はほぼ100パーセント

整復できる自信があったので

胎児の失位を整復して

経膣分娩をさせることにした。

かろうじて触れる胎児の太ももに

IMG_2228産科チェーンをかけ

胎児の臀部を何度も押すと

チエーンをかけた後肢の膝蓋部に触れるようになった。

チエーンをできるだけその後肢の遠位に移動させて

再び胎児の臀部を何度も押すと

チェーンをかけた後肢の飛節に触れるようになった

飛節を掴めればしめたものである。

かけているチェーンを飛節からさらに遠位に移動させ

再び胎児の臀部を押すと

胎児の球節に触れるようになった。

球節を手で掴んで

繋ぎの部分へチェーンを移動させて

再び胎児の臀部を強めに押すと

「ズボッ」

と胎児の後肢が一本整復された。

「・・・よし、じゃあもう一本の後肢を直して・・・」

と、思ったところで

母牛がフラフラと腰を振り

ドサッと寝てしまった。

「・・・あー。寝ちゃった・・・これじゃあ整復できないから・・・起こせるかな?・・・」

「さっきも寝そうになったのをなんとか起こしてたんで、起きるかな。」

◉さんと私は

母牛に何度も気合を入れて

立たせようとするのだが

母牛は全く立とうとしなかった。

仕方がないので

失位の整復はひと休みして

母牛にリンゲルとブドウ糖を投与し

しばらく休ませてから

再び気合を入れて

母牛を立たせようとした。

しかし

母牛は一向に立とうとはしなかった。

仕方がないので

母牛の腰にハンガーを取り付けて

それをトラクターのフロントに掛けて

吊り上げることにした。

母牛の腰を私の胸の高さ程に吊り上げて

手を入れて

残りのもう一方の後肢の整復にかかった。

ところが

この後肢の整復が

なかなか思うようにならず

どうしても飛節に触れることができない。

IMG_2229仕方がないので

ここ10何年も使用したことのない

失位制服の道具

マジックハンドこと「ショットラー」を

久々に使うことにした。

かろうじて触れる下腿部に

ショットラーを噛ませて

臀部を押すと

やっとの事で飛節を掴むことができた。

と、その時

母牛が自力で立ち上がったので

腰につけたハンガーを外し

再び2本目の後肢の整復に取りかかった。

2本目の後肢を1本目と同じように整復し

やっとの事で

胎児の臀位を尾位へと整復し

2本の後肢を滑車で牽引し

IMG_2230ようやく

この牛の分娩介助が終了した。

途中のひと休みの時間を入れると

介助にかかった時間は

1時間を超えていた。

胎児は既に死亡しており

IMG_2231母牛は疲れ切って

分娩房の藁の上に

ぐったりと横たわった。

この日の治療は

これで終了した。

その翌日・・・

思わぬことが

起こっていた。


(この記事続く)


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