「◉さんの牛、どうでした・・・?」、

昨日の早朝、

臀位の難産で失位を整復中起立不能、

吊起しながら、

やっとの思いで介助娩出させた、

◉さんの初産の牛が気になっていたので、

この日往診に行ったK獣医師に聞いてみた。

「・・・あぁ、あの牛・・・立ってましたよ。」

「立てましたか・・・。」

「・・・はい、でもね・・・子宮頸管あたりに穴があいてますね。」

「え・・・。」

「・・・子宮の漿膜面に直接触れたんで。」

「そうですか・・・。」

「・・・どうしようもないですけどね。」

難産の介助で

膣壁や子宮頸管付近が穿孔してしまうことは

しばしば起こることだったが

穿孔の程度と

穿孔の場所によって

その後の母牛の運命は大きく変わる。

腹腔内出血や

腹膜炎によって

食欲が回復せず

予後不良になってしまう牛がいるかと思えば

傷が自然に塞がって

炎症もおさまり

食欲が戻って治癒する場合もある。

私はそのどちらも何回か経験をしていた。

「・・・あとは運を天に任せるしかないですね。」

「そうですか・・・。」

手は尽くした

とはいえ

失位整復によって

産道に激しいダメージを与え

穿孔させてしまった責任は私にある。

今後の治療としては

感染症の予防として抗生物質を投与し

その後の回復を祈るのみ

という

なんとも歯がゆい治療法しかない。

その数日後

往診に行ったN獣医師から

「・・・◉さんの牛、水飲んで、エサ食べるようになりましたよ。」

「それは良かった・・・」

「・・・◉さん、諦めてないです。」

「それは良かった・・・」

N獣医師は

◉さんに牛の状態を説明し

今後この牛がどのようになる可能性があるか

色々と話しをしてきてくれていた。

このまま治ってくれるのか

再び種付けして妊娠させることができるのか

1乳期だけ搾乳して肉にするのか

色々と選択肢はあるが

初産の牛なので

その価値を損なわずにいて欲しいと

願うのみであった。

その数日後の朝

◉さんから

またその牛を往診して欲しい

という依頼があった。

往診に行ったのはN獣医師だった。

私は別の地区に往診へゆき

昼に事務所へ戻ると

N獣医師も往診から戻っていた。

「・・・安田さん、◉さんの牛、死んじゃいました。」

「え・・・。」

「・・・昨日までエサ食べてたのに、今朝急に様子がおかしくなったらしくて。」

「・・・。」

残念な結果になってしまった。

IMG_2231今回は

初産の難産・・・

予定日より遅れ・・・

臀位の胎児失位・・・

整復途中で起立不能・・・

こういう場合

強引に経膣分娩をさせると

子宮頸管部がダメージを受け

穿孔して

腹膜炎を起こして

予後不良になる

ということが示された

残念な症例になってしまった。

後悔先に立たず・・・

帝王切開すべきだったのか・・・


(この記事おわり)


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