「お産なんですけど、胎児が奥の方にいて来ないので、診て欲しいんですけど・・・」

〓フアームの従業員の▽君からだった。

「・・・まだ早いんじゃないの?」

「いえ、昨日の夜から産気づいているんですけど・・・」

「・・・わかった、診に行きます。」

「お願いします・・・」

先日、奇形胎児のトンデモ難産を介助した〓ファームから

また難産で呼ばれてしまった。

巡り合わせの悪い時とはそういうものである。

牛舎に着いて

産道に手を入れてみると

前足らしいものが1本と

胎児の頭部が1つ触れ

その奥にもう1本の足に触れた。

足にロープをかけようとして

手前の足を引っ張ってみたが

どうしたものか

足が伸びて来ず

頭の後ろにある足も

伸びて来ずに

頭と合体しているような

硬く固まった印象だった。

・・・これは奇形かな・・・

私の脳裏に一瞬そんな考えがよぎった。

しかし

最近のお産の経験では

奇形かな・・・と思った胎児の半分以上は

奇形ではなく単なる失位であることが多かった。

胎児の奇形による難産は

私が若かった20年ほど前に比べて

かなり減ったな、と思っている。

その理由の一つに

平成14年に改正された廃棄物焼却炉の構造基準

がある。

簡単に言えば、ドラム缶や市販の焼却炉などの

基準を満たさない焼却炉で廃棄物を焼却することが

違法になったのだ。

これが違法になったことで

酪農場の敷地内で安易に廃棄物を焼却することが減り

農場内のダイオキシンなどの催奇形性のある有害物質が減り

結果として、胎児の奇形の難産に遭遇することが減った・・・

・・・のではないかと

私は、自分の経験をもとに推測している。

最近は、胎児の奇形による難産は

20年前頃から比べると

本当に少なくなっている。

これは実感として私が感じていることである。

だから、最近は

・・・これは奇形かな・・・

と思った難産胎児の半分以上は

奇形ではなく単なる失位であったのである。

さて

今回の〓ファームの難産も

胎児が奇形かどうかは半信半疑のままだったが

失位を全く整復できそうもなかったので

即刻、帝王切開をすることにした。

牛が診療所に運ばれて

いつものように手術台に乗せられて

手術が始まった。

腹壁を切開し

子宮の外からの胎児の足を掴み

子宮を持ち上げて

子宮を切開した時

胎児が異常な形をしていることが

IMG_2455明らかになった。

「・・・奇形ですね・・・」

「・・・そうですね・・・」

私は助手のK獣医師と顔を見合わせた。

いつもの切開幅では胎児を摘出することができず

IMG_2453子宮をさらに大きく切開して

とんでもない形をしている胎児を

ようやくチェーンで引き上げることができた。

胎児の形は

反転性裂体と言って良い

IMG_2452重度の奇形胎児だった。

(写真は閲覧注意)

さらにこの奇形胎児の他に

奇形ではない別の胎児が子宮の中に居て

双子の胎児の片方だけが重度奇形という

IMG_2454私には初めての経験の

トンデモ難産だった。

〓ファームという同一牧場で

奇形胎児の難産に

私は2回連続で遭遇したことになる。

こんなことは今までずっと

ご無沙汰していた事だった。

ちなみに

〓ファームの

牛舎の裏の敷地の奥には

大きなコンクリートの筒状の

簡易の焼却施設があり

最近はそこから

ものを焼く煙が

立ち上っていることが多い。

その焼却施設が

平成14年に改正された

焼却炉の基準を満たしているかどうかは

私にはわからない。


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