北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

牛の診療

年齢制限!

今朝PCのメールチエックをしたら、

YouTubeチーム様より、

以下の様なメールが来ていた。

内容は、

私のニコイチ捻転去勢法の動画は、

「一部の視聴者には不適切である」

と判断されたので、

視聴に

「年齢制限」

が設けられた

というものである。

↓↓↓



安田豆作 様

お客様もご承知のことと存じますが、コミュニティ ガイドラインでは YouTube で許可されているコンテンツと、許可されていないコンテンツをご確認いただけます。 お客様の動画 牛の去勢法(ニコイチ捻転去勢法 )02 は、審査対象として報告されました。 審査した結果、動画は一部の視聴者には不適切と判断し、年齢制限を設けました。

動画コンテンツの制限

YouTube では、衝撃を与える目的や不当な意図で作成されたと思われる、暴力的または生々しいコンテンツを含む動画のほとんどを許可していません。暴力を扇動したり、危険な活動を煽るようなコンテンツも許可されません。コンテンツのレビューはケースバイケースで行われ、適切な教育、ドキュメンタリー、芸術、科学的なコンテキストで、投稿の目的が明瞭なものに関してのみ制限付きの例外が設定されます。

こうした事実を踏まえ、動画をアップロードする際は、YouTube や閲覧者がお客様の動画の主目的を理解できるように、動画のタイトルや説明にできるだけ多くの情報を補っていただくようお願いいたします。これらのコンテキストを補った場合でも、衝撃を与える目的や不当な意図で作成されたことが明白な、暴力的で残酷な動画は YouTube では許可されません。この種のコンテンツは禁止されています。詳細はこちらをご覧ください。

異議を申し立てるには

年齢制限の適用が誤っていると思われる場合は、異議申し立てを行えます。年齢制限に異議申し立てを行うには、こちらのフォームを送信してください。Google の担当チームが異議申し立てを十分に審査し、早急に回答させていただきます。

YouTube のコミュニティ ガイドラインの詳細については、ヘルプセンターをご覧ください。

今後ともよろしくお願い申し上げます。 
- YouTube チーム


 



977477bf-sあの動画をYouTubeにアップしてから

もう何年も経っているので

今更ながらちょっと驚いた。

この動画の目的は

「学術的に牛の去勢法を紹介する事」で

それ以外の意図は全く無い。

だが

これも止むを得ない事だろう。

ひとたび世の中に出た動画が

どの様な受け止められ方をするかは

出した本人さえも

よく分からないのだから。


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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気になる牛の耳標番号

以前にも確か、

記事にしたことがある、

牛の気になる耳標番号。

まずは「0575」、

という番号がきになるのは、

私ばかりではない(!?)

だろうと思う。

少なくとも文芸を愛する方ならば(!?)

そうだろうと思う。

先日

治療した牛の耳標は

「0819」 だった。

この番号がきになる人は

ちょっとイカれているかもしれない。

かつて何度か出逢っていたが

IMG_0853 2せっかく出逢ったので

記念写真

を撮っておいた。

さらに

先日

と言ってもだいぶ前に

治療した牛の耳標は

「7509」だった。

この番号がきになる人は

さらにイカれている人だろう。

IMG_5151読み方は

「七言絶句 (しちごんぜっく)」

と読む。

面白いと思う人はどれだけいるだろう?

面白いと思えば

面白いだろうけれども

くだらないと言えば

まぁそれまで

である・・・


   畜産十二密

  密閉密飼密畜舎
    密談密約密農政
 親密内密密外交
 綿密密売密輸入




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映画「糸」のチーズ工房、じつは・・・

とても久しぶりに、

unnamed映画館で映画を見た。

菅田将暉・小松菜奈・主演「糸」、

最近封切りになった話題の映画なので、

どなたもご存知だろうと思う。

その内容については、

映画に詳しい方々がたくさん書いているので

多くは触れないけれども

とにかく良い役者さんが沢山出ていて

その俳優さんたちの迫真の演技で

どのシーンも見応えがあって惹き込まれ

その度に目頭が熱くなってしまう

感動の物語だった。

IMG_0849その舞台の中心的な存在として

主人公が働くチーズ工房が出てくる。

そのチーズ工房は

北海道の上富良野町にある

という設定になっている。

IMG_0848しかし

このチーズ工房「NEEDS」というのは

実際には

北海道十勝地方の幕別町にある。

IMG_0850そして

そのチーズ工房に隣接して

新田牧場という酪農場がある。

その酪農場へは

うちの家畜診療所の獣医師たちが

IMG_0851毎日のように通っているのである。

先日

映画「糸」を見た翌日

新田牧場から往診の依頼があり

私はいつものように車を走らせて

IMG_0852そこの牛を診療した後

チーズ工房「NEEDS」の外観をカメラに収めてきた。

じつは、この牧場は

ロケーションがとても良く

過去にも映画のロケ地になったことがあるところなのだ。

今回の映画「糸」で

また新田牧場と

チーズ工房「NEEDS」はその名が宣伝されて

観光客がやってくるようになるのだろう。

その時

「十勝NOSAI」の白い車を見かけたら

それはうちの診療所の車。

乗っているのが私のようだったら

声をかけてくださいね(笑)

IMG_0868映画を見た翌日は

とても暑い日で

最高気温が34℃もあった。

ところが

その3日後の昨日は

IMG_0865上空に秋雨前線がかかってきて

雨がしとしとと降り始めて

最高気温が16℃で

とても寒い1日だった。

なんという気温の変化だろう。

IMG_0863チーズ工房「NEEDS」に

遊びに来られる方は

今日もまた

雨でとても寒いので

体調の管理には

十分お気をつけください!


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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種牛(黒毛和種)の去勢(3)

精索(せいさく)付近の結合組織をはがして、

2本の精索をしっかりと露出させていないと、

ニコイチの捻転去勢棒が回転しづらくなることは、

今までにも何回かあった。

IMG_0791しかし、

今回の種牛の精索は

しっかりと露出したにもかかわらず

精索自体の太さと頑丈さによって

ニコイチすなわち

2玉同時の捻転法ができないという事態になった。

IMG_0794これは

初めての経験だった。

この事態の打開策は 

「ニコイチ」を諦めて

「イッコイチ」にすることだった。

ちなみに
IMG_0795
この捻転棒がもっと大きくて太いサイズの

種牛用?!のニコイチ捻転去勢棒を作れば

ニコイチ捻転去勢は可能であろう。

でも現実問題としてそこまでニコイチにこだわる必要はない。 

要は

IMG_0801確実に、衛生的に、出血なく、素早く

去勢ができればそれで良い。 

さて

「ニコイチ」から「イッコイチ」に

方針変更をした私は

IMG_0802精索の1本ずつにフックをかけて

捻転去勢を進めていった。

クランクの回転数はどちらも約20回転以内で

精索を捻り切ることができた。

あらためて

IMG_0804摘出した精巣を眺めてみると

流石にビッグサイズだ。

育成牛のものとは違い

現役で精子を生産し

太い精索を通して

IMG_0805陰茎へ精子を送り出していたものは

臓器として完成された力強さがある。

精巣を無事に摘出した後

術部にヨーチンをスプレーしておいた。

出血はほとんど無い。

IMG_0806捻転去勢法の大きなメリットのひとつは

精索の血管を完全に捻り切ることによって

それだけで簡単に確実に止血できることである。

今回も当然のように

精索の捻り切られた血管は

完全に止血されていた。

IMG_0808手術台を下ろし

鎮静されている種牛に

鎮静剤の拮抗薬を静注した。

数分後

種牛はのっそりと起き上がって

家畜舎へスタスタと歩いてゆき

IMG_0810何事もなかったかのように

家畜舎に揺られて帰っていった。

私としては

初の体験だった

種牛の去勢。

同僚の獣医師たちも

みな初めての経験だったはずだ。

そのような雰囲気の中で

新人の同僚T獣医師が

特にはつらつと

楽しそうに

仕事をしていたのが

印象深かった(笑)


(この記事終わり)



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種牛(黒毛和種)の去勢(2)

なにしろサイズがデカい、

IMG_0758種牛の精巣。

それを摘出する去勢は、

いつもやっている5〜6ヶ月齢の育成オス牛の去勢より、

大掛かりになることは当然だった。

だが

12ヶ月齢くらいのオス牛の去勢は

意外に簡単にできるということも

私は経験している。

その方法は

十勝管内あるいは北海道内では

もうお馴染みとなっている

ニコイチ捻転去勢法である。

IMG_2775左の写真の

「牛のニコイチ捻転去勢棒」

を使った牛の去勢法である。

「一度やったらやめられない」

という声を聞く度に、

きっと良い方法なのだ、

という思いが湧いてくる。

さて

今回は

そのニコイチ捻転去勢法を

最大級のサイズの

種牛に応用する機会がやってきた。

IMG_0770前回の記事に書いたように

しっかりと鎮静と保定をして

陰嚢の包皮の

下約3分の1を

輪切りで切開すると

IMG_07722つの精巣が

そこから自然に顔を出す。

露出した精巣と

残った包皮との間の結合組織を

手で剥がしてゆき

IMG_07732つの精巣の精索を

2本露出させる。

そして

その2本の精索に

ニコイチ捻転去勢棒の

IMG_0776フックの部分を引っ掛ける。

2本同時にかけるのが

ニコイチ捻転法の特徴である。

ただ、今回私は

2本の精索を同時にフックにかけた時

IMG_0780未だかつて経験したことのない

非常に太い精索であることを実感した。

そして

そんな太い精索を

フックに引っ掛けたニコイチ捻転棒の

クランクの部分の取っ手を

ゆっくりと回し始め・・・ようとして

IMG_0784力を入れたのだが・・・

(むむむ・・・)

抵抗力が強くて

捻転棒が回らない。

回らないばかりではなく

捻転棒の方がしなって

IMG_0787棒が曲がってしまいそうになった。

(これは・・・ニコイチでは無理そう・・・)

私は道具が曲がって

使えなくなってしまうのを恐れて

捻転棒のフックから

精索をひとつ外して

精索を1本だけかけて

もう一度

ニコイチ捻転棒の

取っ手を回し始めた。

ニコイチ捻転ではなく

精巣1個ずつの捻転である。

私は

ニコイチから1個1個へと

捻転方法の変更を

余儀なくされてしまった。


(この記事続く)


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種牛(黒毛和種)の去勢(1)

「・・・ホントにいいの?」

 「いいです・・・」

「・・・後悔しない?」

「はい、しないです・・・」

「・・・持ち主にはちゃんと?」

「言ってあります、了解してます・・・」

「・・・こういう事すると、後で人気が出たりするんだよ。」

「それは、無いと思います・・・」

「・・・いや、わからないよ。」

「大丈夫です、ストロー400本以上作りましたから・・・」

「・・・そうなの?」

「はい・・・」

「・・・品切れになったら後悔するよ?」

「大丈夫です、ならないです・・・」

「・・・でも何で、去勢しちゃうの?」

「うるさいんです・・・」

「・・・メスの親牛たちに?」

「はい、うるさくて困るんで・・・」

「・・・じゃ、どうしても・・・去勢、するの?」

「はい、してください・・・」

和牛繁殖農家の⁂さんに

私は、しつこく

この種牛の去勢について

施術前の意思の確認と

同意を求めていた。

この種牛の生年月は

平成30年1月

まだ若くて元気な種牛であった。

数年前に亡くなった⁂さんの親父さんの

交友関係のツテで⁂牧場で飼われることになったらしいが

今の⁂さんにとってはこの種牛の飼養管理は

負担になっているらしい。

⁂さんの意思は固いと知った私は

この種牛の去勢をすることにした。

IMG_0745じつは

私は

現役の種牛の去勢をするのは

初めての体験なのだった。

とはいっても

黒毛和牛の去勢自体は

普段から数え切れないほどやっている。

そのほとんどが5〜6ヶ月齢の若牛なのだが

去勢するのが遅れて1年以上経った

大きな雄牛の去勢をすることも珍しくはない。

IMG_0751そして

そういう1年以上経った大きな雄牛は

精巣が大きく成長していて

去勢術は

むしろやり易いのである。

IMG_0754ただ

大きな体の雄なので

万が一暴れた時に

危険なことになる可能性があるので

しっかりした鎮静処置と

IMG_0758保定だけは

十分にしておく必要がある。

かくして

⁂さん宅に飼養されていた種牛が

診療所の手術室にやってきた。

IMG_0761黒毛和種なので

体はそれほど大きくはない。

体重も500〜600kg程度のようだ。

セラクタールで沈静をして

手術台にベルトで固定して

IMG_0766手術台を倒して

後肢を開脚させて

仰臥で保定した。

陰嚢付近を洗浄し

局所麻酔を注射し

IMG_0770去勢術に取り掛かった。

術式は

特製の器具

「ニコイチ捻転棒」を用いた

捻転去勢である。


(この記事続く)


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牛用・スピードワゴン?!

先日の夜間当番の早朝、

4時半過ぎに枕元のケータイが鳴った。

「子宮捻転みたいなんですけど・・・」

Ω牧場の従業員君だった。

「・・・了解、直ぐ行きます。」

到着して

牛の陰部に手を入れると

膣がしっかりと捻じれて

胎児に触れることができないほどだった。

「昨日の夜から産気づいていて、今朝まだだったので、手を入れたら・・・」

「・・・あー、これは間違いなく捻転だね。」

私はとりあえず

用手整復を試みようと

手を奥に入れたが

胎児はずいぶん遠くにあり

手が届くのがやっとだった。

胎児の蹄は大きく

頭部まで手が届かない。

この時点で

用手整復法は諦めざるを得なかった。

従業員君によれば

この分娩は予定日からは数日遅れている。

用手法が通用しない子宮捻転では

次の一手はローリング法である。

しかし、ローリング法は

胎児を100%娩出できる方法ではない。

もし、ローリング法が通用しなかった場合は

最後の手段の帝王切開となる・・・

私はしばし考えた。

ローリング法を省略してこのまますぐに帝王切開すれば

朝の就業開始時間までに余裕でこの仕事を終えることができる。

ローリング法を選択して成功すればさらに早く終わることができる

だが、もし、ローリング法が通用しなくて、結局帝王切開になった場合は

朝の就業開始時間に間に合わなくなる可能性が高い。

その場合

ローリング法に費やした時間が無駄になってしまうのだ。

「・・・帝王切開しよう。」

私は、ローリング法を省略して

即刻の帝王切開を選択した。

こういうのは

ケースバイケース

なのであるが・・・

私はそのまま診療所に帰り

674D7858-398A-4C09-8D12-9A70275A6BD0新人のT獣医師に助手を頼み

牛を連れて来たΩさんを迎えて

帝王切開に取り掛かった。

手術はほとんど教科書通りの展開で

9594B2F7-466A-4F3A-B732-2CB5F46390F7難関の子宮の探索と切開と胎児の摘出も

スムーズにおこなわれ

大きな♀のホル胎児を

無事に摘出することができた。

牛の切開部を縫い終わった時

517B2D7A-A742-4B86-885B-07EC49F48637診療所には職員が

ぼちぼちと出勤し始めていた。

牛とΩさんをを見送って

手術室を片付け終わったら

就業の開始時刻が迫っていた。

今回

一番面白かったのは

牛を運んできたΩ牧場のワゴンであった。

その中に

帝王切開を終えた親子牛を載せて

トラクターに曳かれて帰ってゆくのは

牛用のロースピードのワゴンだった。


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乳牛のミイラ胎児

乾乳牛が予定日を過ぎても、

お乳が張らない、

産む様子がない、

と言われることは多い。

特に最近は

飼養頭数が増えたことで

乾乳牛の観察も疎かになりがちで

異変に気付くことが遅れる酪農家が多くなった。

乾乳牛の分娩遅延で

診る牛の中で

分娩がただ遅れているだけのものが

半数くらいはいるので

それらの牛については

ただ分娩をもう少し待っていればよい。

次に多いのは

妊娠マイナスのもの。

それらの牛は

1度は妊娠ブラスと診断されている牛がほとんどなので

途中で胎児が流産したことに

飼主さんが気がつかなかった例である。

ただし、まれには

獣医師の妊娠診断が間違っていた

という可能性もあることは否定できない。

乾乳牛になって

妊娠マイナス

というのは飼主さんにとっても

我々にとっても

非常にがっかりするものであるが

これらの牛に対しても特に何も治療を施すことはなく

肉用として売却するケースがほとんどである。

さらに

より最悪なケースが

ミイラ胎児である。

ミイラ胎児は直腸検査で容易に診断することができる。

しかしこのままにして置く訳にもゆかないので

胎児を分娩させるために

ホルモン剤の注射をすることになる。

ミイラではない普通の分娩誘起であれば

デキサメサゾンとPGを注射し

多くが36〜48時間で分娩をする。

しかし

ミイラ胎児の場合

ミイラの大きさや時期によって

分娩誘起の後いつ出てくるのか

全く予想がつかず

何度もホルモン剤を打たなければならないこともある。

その時は

子宮頸管外口を開かせる目的で

エストラジオールなども併用する。

先日

そんなミイラ胎児の乾乳牛がいた。

ホルモン注射をして

その2日後に

膣に手を入れて診ると

ミイラ胎児にすぐ触れることができた。

同僚の新人T獣医師を連れていたので

IMG_0659交代をして

ミイラ胎児を摘出してもらった。

今回は

あっさりとミイラ胎児を摘出することができた。

ミイラ胎児の

ミイラたる所は
IMG_0658
悪臭が全くない

ということで

T獣医師には良い経験となった。

しかし

飼主さんにとっては

ミイラ胎児というのは

何の利益もなく

がっかりするものである事に

何ら代わりはない。


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立て続けの、仔牛の四肢の骨折 (5)

立て続けに3回の骨折治療を行なった仔牛、

その3例とも、

キャストによる外固定だった。

それぞれ、

左橈骨遠位骨折

左中足骨遠位骨折

右中足骨近位骨折

だったが

の仔牛は

腸炎を発症して死亡してしまった。

そして

,了撞蹐

骨融合はしたものの

キャストの巻き方が悪く

変形が激しく

歩行困難と褥瘡の悪化で

廃用処分になってしまった。

makubetsu20-0010000残るは

△虜乎翅骨遠位骨折だけとなった。

その仔牛のキャストを

先日外し

makubetsu20-0030000X線写真を撮った。

写真を見る限り

骨融合が進み

変形も少なく

IMG_0401今度はなんとか

治癒に向かっているようだ。

しかし

キャストを外した後しばらくは

makubetsu20-0230000患肢を使う筋肉は衰え

負重もままならない。

正常な歩行ができるのは

今後どれくらいの時間がかかるのだろうか。

makubetsu20-0220000それまで体調を崩さずに

育ってくれるのだろうか。

それはもう

この牧場の管理者に

2F4DC9EA-6C14-41FD-BA71-EC15519E35F1お任せするしかない・・・

のだが

心配なことはまだまだ

色々と残っている。

ともあれ

今回は

立て続けの

仔牛の四肢の骨折に

久しぶりに対処して

3例のうち2例が

成功しなかった。

牧場の管理もさることながら

我が診療所にも

色々たくさん

課題が残っていることに

気付かされた

今回の症例だった。

(この記事終わり)


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立て続けの、仔牛の四肢の骨折(4)

2件の酪農家で、

立て続けに合計3例の、

仔牛の四肢の骨折事故が起こり、

立て続けに3回の骨折治療を行なった。

3例とも

キャストによる外固定だった。

それぞれ

左橈骨遠位骨折

左中足骨遠位骨折

右中足骨近位骨折

だった。

そのうちの仔牛は

腸炎を発症して死亡してしまった。

IMG_0414そして

先日

残りの症例の,了撞蹐

X線写真の2回目を撮影したところ

makubetsu20-0120000骨折部位が前後に大きく軸ズレしていたが

そこに骨融合が進んでいた。

キャストを巻いて3週間以上たっていたので

キャストを外して様子を見ていた。

makubetsu20-0180000仔牛は元気がよく

ミルクもたくさん飲んでいたが

左の前肢のキャストの不自由さによって

体の右半身の数カ所に大きな褥瘡ができていた。

makubetsu20-0170000感染は局所で収まっていたが

深く広い褥瘡になっていた。

キャストを外した左前肢は

肘のあたりで大きく変形し

IMG_0550歩行はほぼ3本足で歩き

1週間ほど経過を観察していたが

歩様の改善は見られなかった。

そこで先日

IMG_0548飼主さんと相談の結果

この〆顧骨遠位骨折の仔牛を

廃用にすることにし

NOSAIの連合会に

IMG_05573号廃用を認定してもらい

安楽殺処分とした。

以上が

3例の骨折治療のうちの

2例目の結果である。

(この記事続く)


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立て続けの、仔牛の四肢の骨折(3)

先月、立て続けに遭遇した仔牛の四肢の骨折、

その3例の治療の経過を報告すべき時が来た。

仔牛の四肢の骨折の治療は、

普段の診療の中では頻度が低い、

という事を言い訳にして、

なかなか技術レベルが上がらない。

私のような年代の獣医師は

もう30年以上

牛の診療をやっているのに

仔牛の四肢の骨折の治療の技術は

旧態然としてバラバラである。

そんな状況から

なかなか抜け出せずにもがいているのは

私だけではないようだ。

さて

今回の骨折治療の

3例の経過報告の

makubetsu20-0060000その最初は

3番目に

キャストで外固定した

右の中足骨の粉砕骨折。

3番目に外固定した症例の

makubetsu20-0070000結果報告が

なぜ1番早いのか・・・

それは

この仔牛が

外固定した後

IMG_04031週間後に腸炎を発症し

それが重篤に症状になり

下痢がいつまでも治らずに

懸命な点滴治療を続けたにもかかわらず

死んでしまったからである。

キャストの外固定自体は

3例の中で最も上手くできたと思っていた。

ところが思わぬことでつまずき

治癒に至らなかったばかりか

骨融合の経過の写真さえ

撮影することができなかった。

言い訳がましい書き方になってしまうが

こういう症例に遭遇するたびに

仔牛の四肢の骨折治療の

技術レベルが上がらないのは

我々獣医師の意識ばかりではなく

仔牛の飼育環境にも

その原因があるような

そんな気がしてならないのである。

(この記事続く)


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立て続けの、仔牛の四肢の骨折 (2)

約2週間のうちに、

立て続けに子牛の骨折の治療が、

我が診療所で3例あった。

そのうちの2例が、

同じ酪農家だった。

仔牛の品種は全て和牛で

ETによるホルスタインの親からの出生だった。

酪農家では普通

仔牛は出生直後に親から離され

人工哺乳をするために

カーフハッチへ運ばれる。

ハッチへ移動した後

足に異常が見付かり

往診を依頼された。

今回の3例は

全てそういう稟告だった。


1例目は

左橈骨骨折。

エックス線写真で診ると

makubetsu20-0110000潰されるような外力によって

粉砕しているような所見が得られた。

キャストを巻いた後の撮影だが

左右(内外)方向の軸のズレは

makubetsu20-0120000それほどでもないが

前後方向の軸のズレが

著しい。

この写真は

キャストを巻いてから

約2週間後に撮影したものである。


2例目は

左中足骨骨折。

エックス線写真では

makubetsu20-0010000遠位端近くまで骨折している

斜骨折だった。

撮影したのは

キャストを巻いた翌日。

makubetsu20-0030000軸のズレは

左右(内外)方向に

乗り越えが見られるが

3分の2程度の

接着面があるので

上手くゆけば

癒合してくれるのではないかと思っている。


3例目は

右中足骨骨折。

makubetsu20-00700002例目よりも

近位で骨折している。

これも潰されるような外力が掛かったのか

骨折片が複数に粉砕したように写っている。

makubetsu20-0060000この骨折は出世直後に診断して

その日のうちにキャストを巻き

その直後にエックス線撮影をした。

この3例目は

事故後の処置が一番早かったので

それがプラスに働いて

なんとか癒合してくれることを願っている。


ところで・・・

骨折の治療に関して

私は症例を当ブログに何回もアップしているのだが

そのたびに

骨折治療に詳しい多くの先生方から

いろいろとアドバイスや

時には

きついお叱りを受けてきた。

そのおかげで

私の骨折治療法も少しは進歩していると思うのだが

なにしろ

遭遇する症例が少なく

せっかく指摘してもらったアドバイスを

何か月もすると忘れてしまったりしている。

今回の骨折治療も

1年以上のブランクがあった。

骨折症例を多数経験されている先生方に

また、忌憚のなきアドバイスをお願いしたい

と思っている。


(この記事の、その後の経過は、2週間後にアップする予定)


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立て続けの、仔牛の四肢の骨折(1)

ここのところ約2週間の間に、

生まれて間もない仔牛の、

足がおかしい、

足がつけない、

足が腫れてる、

という稟告が立て続けあった。

飼主さんや従業員さんは

それ以上の事は認識せず

あとは獣医師が診療して

診断を下すのだが

その診断結果が 

IMG_0414皆全て

骨折だった。

写真の3頭の仔牛は

皆似たようなキャストを巻いているが

よく見ると全て

IMG_0401キャストを巻いている足が違う。

上からそれぞれ

左橈骨骨折

左中足骨骨折

右中足骨骨折

IMG_0403という診断だった。

それぞれについて

キャストを巻いた後

X線検査をして

その折れ具合を診たが

その写真は次回にアップしようと思う。 

IMG_0399それにしても

ここ半年以上

仔牛の骨折など診ていなかったのに

なぜか急に

立て続けに

仔牛の骨折の治療が舞い込んで来た。

続く時は続くものだ

我々の仕事というのはそんなものだ

と言えるのだが

ちなみに

2頭目と3頭目は同じ牧場だった。


(この記事続く) 


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黒色腫!? (2)

往診から帰って来たら、

8カ月齢のホルスタインの育成牛がいた。

95605563_257557592057684_7161677285395791872_n元気いっぱいなのに、

下胸部に人頭大の大きな腫瘤。

その超音波検査では、

膿瘍ではなく、

固体が充満しているように見えた。

IMG_0261摘出手術に当たったのは

同僚のT獣医師とN獣医師と新人のT獣医師の3人

私が用事を済ませて

再びカメラを向けたとき

大きな腫瘤が

術者のT獣医師の手で

牛の本体から外されるところだった。

IMG_0263外された腫瘤は

手術室の床にぐんにゃりと落ちた。

まるで大きな黒いキノコの笠のように

うつ向けに落ちて

平たく止まった。

摘出した切り口には

IMG_0266太い血管はないようで

出血が意外なほど少なかった。

術者の止血方法が良かったからかもしれない。

この腫瘤物は

牛の体にぶら下がっていたときは球形だったが

床に置かれると

IMG_0268重力のせいで扁平な物体となった。

その長さは直径約30cm弱

厚みは約8cmほどだった。

助手をしていたN獣医師が術創から離れ

このおおきなクラゲのお化けの

IMG_0270解剖を試みた。

腫瘤の中央を

刃物で割ってゆくと

真っ黒い均質の

光沢のある割面だった。

血液が凝固したものではなく

IMG_0272それよりも固い

真っ黒い組織だった。

黒色の色素の細胞の腫瘤

すなわち

黒色腫であろうと思われた。

IMG_0269ふたたび

術創の方へ目を移すと

2人の獣医師が

術創をきれいに縫い上げていた。

縫い終わって手術台を下ろし

IMG_0273牛を起こすと

牛は元気よく

家畜車の荷台に飛び乗った。

めでたしめでたし。

(この記事おわり)


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黒色腫!?(1)

先日、往診から帰ってきたら、

手術室ににホルスタインの育成牛が連れてこられていた。

右の下胸部に大きなぶら下げものがついていた。

94566007_163228045075759_4338030167118053376_nまさしく人の頭のような大きさ、

人頭大の腫瘤物だった。

触ると暖かく

根元は大きくくびれていた。

初診をした同僚のT獣医師が

飼い主さんから何とかならぬかと頼まれて

時間のあるときに切除手術を予定していたものが

今日運び込まれてきたという。

95605563_257557592057684_7161677285395791872_n育成牛で

食欲などの一般症状は正常だった。

根元が大きくくびれているコブのような腫瘤を見ると

どこか滑稽で笑ってしまう。

手術室では超音波検査もして

内容は均一な固体で膿瘍ではなく

血腫か肉芽種のような所見だったという。

摘出手術は

T獣医師とN獣医師と新人のT獣医師の3人が行った。

こういう前例のない手術というのは

過去の経験を思い出しながら

複数の獣医師によってアイデアを出し合いながら

試行錯誤をしながら進めて行くことが

良い結果を生むようだ。

しかも

前例がない症例の手探り手術といっても

今回のように患畜の命には関係のない

外科的な摘出手術なので

気分が楽である。

しかも

ビジュアル的に

インパクトが強く

面白い画像が撮れそうなので

まるで小さな探検をしているような

楽しみのある手術だった。

95309135_278345339840146_3804396981854404608_nしかも

私は術者でも助手でもない

傍観者だったので

不謹慎ではあるが

たのしく覗きながら

カメラのシャッターを切らせていただいた。

(この記事続く)


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「胎児の頭部が来ない」牛のお産(3)

牛の深刻な難産「側頭位」の前触れには、

「胎児の頭部が産道に来ない」、

「胎児の頭部が下の方にある」、

「胎児の頭部の向きがおかしい」、

という状態があり、

最近はこの状態で往診の依頼が来ることが多くなった。

飼主さんも獣医師も

「側頭位」は真っ平御免であるから

その前触れを事前にキャッチして

対処することが重要である。

前回書いた▽牧場では

従業員君たちがそれを覚えて

早めの連絡をしてくれるようになり

「側頭位」で苦労することがなくなってきた。

これは進歩と言って良いだろう。

そのかわり

夜間のお産での往診依頼が増えた。

これは安全なお産のためには

仕方のないことなのかもしれない。

IMG_0212先日の夜間当番の夜は

▽牧場から

ひと晩に2回

「胎児の頭部の向きがおかしい」

という往診依頼があり

IMG_0229それぞれ別の牛のお産介助をした。

その内容はほとんど同じだった。

胎児の頭部が奥にあり

後頭部に手が回らなかったので

鈍鈎を胎児の眼窩にかけて

IMG_0232胎児の頭部を引き寄せ

後頭部に手が回るようになったら

胎児の両耳の後ろへ

ループワイヤーをかけて固定し

頭部が後ろ向きならならぬよう

IMG_0234すなわち側頭位にならぬように固定して

胎児の頭部だけをゆっくりと

産道へ誘導し

胎児の頭部が産道に乗ったら

前肢と頭部を同時に牽引する。

IMG_0240頭部のおでこが外陰部の外へ出たら

前肢だけを牽引して

胎児を娩出させる。

ひと晩で同じ難産を

複数回する事は

IMG_0242最近は珍しくなくなったが

あまりにも同じパターンの難産介助だったので

やっていて

時間が巻き戻されたような感覚に陥ってしまった。

ここ数日で

IMG_0244このパターンの▽牧場の難産介助わ

立て続けに3回やったことになるが

興味深かったのは

その3回とも

全て

IMG_0246胎児は

大きなだった

という事である。

「側頭位」になりやすいのは

頭部が小さい♀の胎児である!?


IMG_0249という

科学的根拠の乏しい

私の仮説を

はからずも

裏付ける結果となった・・・


(この記事終わり)


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「胎児の頭部が来ない」牛のお産(2)

牛の難産「側頭位」の予備軍ともいうべき、

「胎児の頭部が産道に来ない」、

「胎児の頭部が下の方にある」、

「胎児の頭部の向きがおかしい」、

というような稟告で、

緊急の往診を依頼されることが増えた。

お産の番をする飼主さんや従業員さん等が

こういう状態の胎児の足を慌てて引っ張ると

「側頭位」という厄介な状態にしてしまう事を

わかってきた証拠であろう。

前回の記事に書いた1例は

その典型的なもので

IMG_0196獣医師がすべきことは

胎児の頭部にループワイヤーをかけて

側頭位にならぬように

頭部を参道へ導くことである。

それさえやれば

あとは普通のお産と全く変わりがない。

IMG_0199ただ

長い年月このタイプの助産をして

なんとなく感じていることがある。

それは

このタイプの難産は

大きな♀胎児で多いのではないか

IMG_0203という事。

小さい胎児ではこういう難産はなく

つるんと生まれて来る。

大きな♂胎児でも

当然このタイプの難産は起こりうるけれども

♂胎児は頭が大きいので

IMG_0204頭が産道の奥での自由度がなく

側頭位にはなりづらいと私は感じている。

♂胎児に比べて

♀の胎児は頭が小さく蹄も小さいが

頭や蹄が小さい割には

腕や胸や腰が立派である。

IMG_0205♀胎児の頭部は

子宮の中で自由度が高く

あちら行ったりこちらへ行ったり

しやすいのではないか。

つまり

「側頭位」難産は

「♀の過大胎児に起こりやすいのではないか?」

IMG_0208というのが

私の感じている事であり

科学的な根拠に乏しい仮説である。

前回の記事に書いた1例は

その典型的なものだった。

IMG_0210介助したあと

胎児の性別を確認したら

♀だった。

たまたまそうだった

とも言えるのだが・・・


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「胎児の頭部が来ない」牛のお産(1)

「胎児の頭部が産道に来ない」、

「胎児の頭部が下の方にある」、

「胎児の頭部の向きがおかしい」、

というような稟告は、

よくあるものだ。

この状態で

飼主さんが

胎児の足だけを引っ張ってしまうと

胎児の頭部が産道に乗らず

胎児の鼻先が後方へ向いてしまい

側頭位という失位になって

大変な苦労をしなければならなくなることがある。

これは牛の難産で

最も頻度の高いものの一つである。

最近の飼主さんは

さすがにそのような失敗はなくなってきたが

その代わりに

慎重になっているので

側頭位の予備軍ともいうべき

「鼻先は触れるのだけれども・・・」

「胎児の頭部が産道に来ない」

「胎児の頭部が下の方にある」

「胎児の頭部の向きがおかしい」

というような稟告で

緊急の往診を依頼されることが増えた。

そこで役に立つ道具が

お産の時の強い味方

IMG_0212ループワイヤー



牽引滑車(カウヘルパー)

である。

先ず獣医師のやることは

胎児の頭部に

ループワイヤーを取り付ける。

胎児の後頭部まで触れることが出来るならば

ループワイヤーを

胎児の2つの耳の後ろへ掛けるのは容易である。

胎児にワイヤーのモクシを掛けるような要領である。

これで胎児の頭部がキープできたら

頭部にかけたワイヤーだけを

ゆっくりと引っ張る。

すると

頭部がぐぐっと産道に乗ってくる。

そうすると

胎児の前肢の蹄先もそれに伴って陰部に見えてくる。

ここまでくれば

あとは牽引するだけの普通のお産である。

ただし

ここまで時間がかかっている原因として

「胎児の過大」

「産道の狭小」

「陣痛の微弱」

という特殊事情があった訳だから

IMG_0199ここからの牽引は

人力のみではなく

滑車の力を借りて

強めにスムーズに牽引すべきである。

胎児の2本の前肢に

牽引ローブを付けて

それを滑車につなぐ。

先ずはワイヤーをつけた頭部と

滑車をつけた前肢をゆっくりと引き

胎児の頭部が完全に露出したら

IMG_0196滑車をつけた前肢だけを

強い力に切り替えて

一気に牽引する。

先日の

▽牧場でのお産は

その典型的なものだった。


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股関節脱臼の牛のお産

「お産なんですけど、足が触れないんです・・・」

枕元のケータイが鳴ったのは午前0時40分。

▲フアームの従業員からだった。

「了解、すぐ行きます。」 

お産の牛は病畜舎(ホスピタル)に寝ていて

陣痛が来るたびに唸っていた。

産道に手を入れると

前肢が一本と頭を確認できたが

もう一本の前肢が不明だった。

「この牛は、立てないの?」

「はい。乾乳にする前に転んで脱臼して、それからずっと立てないです。」

もうすでに1ヶ月以上立てずにいるらしい。

お産の牛なのに病畜舎(ホスピタル)にいたのは

そんな事情があったからだった。

胎児の失位整復は

陣痛の怒責が強いとうまくゆかない。

さらに親牛が寝たままだと

産道への圧迫が強く

余計に失位を戻しづらい。

普通の牛であれば立たせたいところだが

脱臼して1ヶ月も寝たままの牛はそれができないので

仕方なく、寝たままで

胎児の前肢の整復をすることにした。

手を奥に入れると

2本目の前肢の腕節に触れることができた。

前肢の屈折が腕節からならばなんとかなりそうだった。

産科チェーンをできるだけ球節に近い部分に巻き

そのチェーンにロープをつけて従業員に軽く引いてもらい

私は1本目の前肢と胎児の頭部を思い切り押し込む。

何度か押し込んでいるうちに

2本目の前肢の球節が産道に乗ってきたので

その球節に手を添えて

蹄が恥骨に引っかからない様にして

もう一度従業員にロープを引いてもらうと

2本目の前肢の蹄がこちらを向いて

失位の整復が完了した。

IMG_0133「よし。あとは普通のお産だから、足2本を引っ張って!」

「はい!」

従業員3人で胎児を引っ張るのだが

頭が出てこない。

IMG_0134「産道が狭いからかな、頭がなかなか出てこないね。」

「はい。キツいっすね。」

人力では無理そうだったので

滑車を使って牽引することにした。

IMG_0137ショベルを側に寄せて

胎児に結んだロープと滑車をつないだ。

「じゃあ、これを引いて。」

滑車のロープを牽引しはじめると

IMG_0138「あ、頭が出てきました!」

「どんどん引いて!」

引き出された胎児は全く動かず

すでに死んでいるのか

と思った時

まぶたが動いた。

「あ、生きてます!」

IMG_0139仔牛はまばたきをしたあと

鼻と腹が動いて呼吸を始めようとした。

「呼吸器持ってきて。」

もう1人の従業員が

IMG_0140急いで呼吸器を持ってきて

仔牛の口と鼻にそれを当てがった。

仔牛は頭を上げて

普通に呼吸を始めた。

大きめのF1の♂だった。


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牛のイボ取り大成功

和牛生産の◎牧場から、

「尻尾の付け根に変なカタマリが・・・」

という稟告。

尻尾を上げてみると、

それはまるでウンコの塊がこびりついているような、

しかし、取ろうとしてもしっかりくっついている。

乳嘴腫(にゅうししゅ)あるいは、乳頭腫(にゅうとうしゅ)

あるいはパピローマなどと呼ばれている

IMG_0030いわゆる「イボ」である。

よく見ると

大きな塊の隣に

尻尾の先へ向かって

数珠状の小さなイボが

鈴なりになって

流れるように付いていた。

「どうにかして、取ってくれないべか・・・」

IMG_0031ということになった。

小さなイボであれば

私は強引にむしりとって終わりというのもある。

しかし

これはむしり取れるほど小さくもない。

イボの根っこが細ければ

ハサミで根元をちょん切って終わりの場合もある。

しかし

この場所をハサミで切断すると

切断面がちょうど

肛門と接触する位置なので

糞便の汚染が続き

感染して最悪化膿する恐れがある。

そこで

一番良い方法を考えた結果

イージーカットというゴムリングを装着し

IMG_0032そのまま放置する事にした。

写真のように

この連続したイボは

うまい具合に

イージーカットの小さなゴム輪で

IMG_0034ひとまとめにできる大きさだった。

全てのイボがまとめられ

根元にゴム輪がかかっていることを確認し

一ヶ月間放置した。

私のした事はそれだけだった。

一ヶ月後に

その牛のことを◎さんに尋ねてみたら

「きれいになくなっているよ。」

という返事だったので

牛を捕まえて

その写真を撮らせてもらった。

IMG_0123その尻尾の根元は

綺麗さっぱりとイボが取れて

白い色の瘢痕が残っているだけだった。

今回のイボ取りは

思惑通りの

大成功だった。



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