北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

牛の診療

ホルスタインの選別精液からジャージーが!

「安田さん、聞いてくださいよ・・・」

◎ファームの牛の乳熱の治療をしている時、

従業員の♯君が話しはじめた。

「このあいだホルの雌ダネを付けた牛から、ジャージーが生まれたんですよ・・・」

「・・・え?、どういうこと?」 

「ホルの雌ダネなのに、どう見てもジャージーみたいなメスが生まれたんですよ・・・」 

雌ダネ、というのは、

メスが生まれる確率が高くなるように、

加工された牛の精液のことである。 

性選別精液と言われるもので

酪農家のあいだでは広く普及され市販されている。

ホルスタインの人工授精に

普通の精液を使うと

オスとメスがほぼ1対1で生まれてくるが

この選別精液(雌ダネ)を使うと

メスが約90%の確率で生まれてくる。

精液というのは

オスの遺伝子を持った精子(Y精子)と

メスの遺伝子を持った精子(X精子)の

2種類が1対1で含まれている。

その精液を

特殊な機械に通すことによって

Y精子とX精子をふり分けて

雄の生まれやすい精液とメスの生まれやすい精液を作るのである。

メスの生まれやすい精液は

酪農家にとって

搾乳牛を確保するために好都合で

選別精液(雌ダネ、X精液ともいう)は

あっという間に全国に普及した。

◎ファームの牛の授精にも

選別精液が使われていたのである。

IMG_5216「・・・でも、何でジャージーが生まれて来たの?」

「繁殖台帳を確認したら、1回しか付けて(授精して)いないんです・・・」

「・・・その1回が雌ダネ(X精液)だったの?」

「そうなんです。最初は授精師さんが間違えたんじゃないかって思って問い合わせたんですけど・・・」

「・・・じゃないの?」

「JAの授精師さんは間違ってなくて、話は仕入先のABS(アメリカンブリーディングサービス)まで行ったんです・・・」

IMG_5217「・・・。」

「そうしたら、関東の方の牧場でも、この精液で同じような事があったらしいんですよ・・・」

「・・・ジャージーが生まれて来たの?」

「そうなんですよ。正確にはジャージーとホルスタインのF1ですけど、茶色くて小さくて・・・」

「・・・それでしっかりメス?」

「そうらしいです、製造元ではジャージーの雌ダネも作っているらしいんですよ・・・」

IMG_5218何でこんなことが起こったのか。

謎であるが

その原因を想像してみると

ホルスタインの選別精液を製造する工程で

ジャージーの選別精液が混入した

という可能性がある。

選別精液の製造所で

ジャージーの選別精液と

ホルスタインの選別精液が

IMG_5220同じ機械でられていて

何かの理由で

それが混ざってしまった

と考えられる

混入事件である。

これをお読みの畜産関係者の皆さんは

選別精液を使っていて

こんな経験したこと

ありますか?

あったら教えて欲しいです。


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ぬいぐるみ(2)

腹部の皮が、

およそ座布団一枚ほど、

ベロリと剥がれてしまい、

それを縫合するのに、

2時間以上を要した大怪我をした和牛。

縫合手術をした3日後の写真がこちら。

IMG_5115漿液が浸出して

腫れ上がっているのは

予想通りだった。

縫合部の一端から 

その漿液が漏れ出しているのも

IMG_5119予想通りだった。

和牛の乳房は

乳牛ではないので小さく

腫れ上がった外傷部に押しやられて

仔牛が乳首を吸いづらい状態になっていた。

しかし

それでも

お腹の空いた仔牛は

母牛の乳首を探し出して吸っているらしく

乳頭は仔牛の唾液で光っていた。

母牛の食欲は正常で

元気も良いので

このままの状態で

外傷部にはさわらずに

抗生物質の注射のみを続けることにした。

そして

それから20日経った時の写真がこちら。

母子ともに

全く普通に

IMG_5182他の親牛たちに混じって

パドックの中に放たれていた。

縫合部の腫れは

相変わらずあるものの

その腫れ具合は

4分の1程度に縮小しており

IMG_5184以前よりも

乳房がよく見える状態になっていた。

仔牛は全く普通に

母牛の乳首に吸い付いて

哺乳をしているようだった。

母牛も全く普通に

IMG_5178カメラを向ける私を警戒し

我が子をかばうように

立ちはだかって

こちらを見るのだった。


(この記事終わり)


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ぬいぐるみ(1)

先日の、

まだ寒さが厳しい頃、

午前中の往診を終えて、

診療所に戻ってみると、

和牛の親子が運ばれて来て、

親牛が手術台に仰臥保定されていた。 

IMG_5100その下腹部には、

写真のように、

巨大な切創があった。

「すごいですね、この傷は・・・」

「でしょ。」

「どうしたんですか・・・」

「古い馬小屋の馬栓棒を乗り越えて出ようとしたんみたいで。」

IMG_5101「何かに驚いたんですか・・・」

「そう、丁度尖がったところがあってね。」

「そこに引っ掛けて、ですか・・・」

「かぎ裂きになってべろっと剥がれて。」

飼主の△さんの父さんは

牛にすまなそうにそう話した。

「この親牛は随分と仔牛を可愛がるやつでね。」

手術台に寝かされた親牛の

IMG_5103顔の前には仔牛がいて

心配そうに

親牛の様子を伺っていた。

この牛の主治医はS獣医師だった。

K獣医師が助手に入り

2人で大きな切創の縫合手術が始まった。

私はまだ往診から帰って来たばかりだったので

IMG_5102昼食の弁当を食べて

再び手術の様子をうかがってみると

縫合にはかなりの時間がかかっているようだった。

単純な作業ではあるが

範囲が広いので

IMG_5104時間がかかっているのだ。

死腔を作らぬように

剥がれた皮膚と皮下組織を

丹念に拾いながらの縫合手術は

思ったより大変そうだった。

IMG_5105私は自分のカルテを書くために

何度か机に戻っては

写真を撮りに手術室を往復した。

そして約2時間後

縫合手術は終わりに近づいた。

IMG_5106S獣医師とK獣医師の額には

大粒の汗が光っていた。

最後の皮膚を縫っている時

私はふと

これはまるで

牛の大きなぬいぐるみを縫いあげているように思えた。

「これってなんだか、ぬいぐるみみたいですね。」

IMG_5110「・・・。」

「・・・。」

2人の先輩獣医師は、苦笑していた。

そんな冗談が通じないほど大変な作業だったようだ。

私はちょっと反省して

親牛の頭の方に目を移した。

IMG_5111親牛の顔の前には

仔牛が寄り添うように

しゃがんでいた。

2時間近くにわたる長い手術で

立っているのに疲れて

座っているのだった。


(この記事続く)



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「第三の手」初産の和牛の子宮脱

朝の往診先の振り分けがおわり、

Σ牧場の仔牛の治療の準備をしていると、

Σ牧場から再び電話がかかってきた。

「さっき分娩した初産の和牛が子宮脱なんで、すぐ来てください!」

これは直ちに行かなければならない。

それにしても、

この間も朝イチで和牛の子宮脱があったばかりだ。

私は今、どうも

あの忌まわしい子宮脱星の支配下に入ってしまい

子宮脱星人になっているようである。

Σ牧場へ着くと

Σさん兄弟が分娩房で

悪戦苦闘していた。

しかし、子宮脱の経験は過去に何度かあったようで

脱出した子宮の下に清潔なマットを敷いて

EB55BF5E-D4A2-437E-8FF6-106A7FCB54A0ぬるま湯を用意して

手袋をはいて

Σさんはすで自分の手で

子宮を約半分押し込んでいるところだった。

「この牛、立てないの?」

「ええ、さっき産んだばかりで、仔牛が大きくて結構キツかったんで・・・」

「これなら、そのまま残りを押し込めそうかな?」

「はい、出ている部分はあと半分くらいなんで、なんとか・・・」

「わかった、じゃあ一緒にやりましょう。」

私はΣさんと場所を交代し

押している子宮をそのまま引き受けた。

F2B3CFFD-084A-4505-B880-3AAE090EFABAその時

両手で子宮を押しながら

Σさんに

子宮脱整復棒で一緒に押してもらうように頼んだ。

この棒は

本来であれば

子宮を完納した後

腹腔の中の子宮の反転を直すために使う道具なのだが

12570983_948233651925150_1223774235_n[1]今回とっさに思いついたのは

飼主さんの手が空いているので

この棒によって

自分の両手に加えて

「第三の手」として飼主さんにも子宮を押してもらう

という方法だった。

親が立てず

腰も吊り上げないままに整復を始めて

そのまま半分まで押し込んだのならば

親牛の努責に負けずに

間髪入れずに

さらに子宮を押し込むのが最も早い方法である。

私の両手と

Σさんの整復棒よる「第三の手」が協力して

間もなく子宮は腹腔内に完納された。

そしてその後は

子宮脱整復棒の本来の使い方で

腹腔内の子宮の反転を取り除き

陰部をビューナー針と包帯で巾着縫合し

D6B8D977-AD1C-4211-96DF-95752291B622抗生物質とリンゲルの補液と

念のためのカルシウム剤を投与した。

親牛は横臥したままだったが

努責は治まっているようだった。

私は明日また来ることを告げて

そそくさと、次の往診に向かった。

翌日

血液検査の結果が来た。

BlogPaintこの牛の血中カルシウム値は

8.3 /dl

だった・・・

今回の子宮脱のおもな原因は

低カルシウム血症とは考えにくく

強い努責が有り余った物理的なものだったのだろうか?

相変わらず

子宮脱というのはナゾの多い疾病である(笑)

Σ牧場に行ってみると

120F1FB1-7993-4E7E-AA5F-B5A0D23C6550昨日の牛は

昨日のうちに立ちあがり

今朝からは食欲も正常に回復していた。

生まれた子牛も元気だった。

それを確認した私は

陰部の縫合部を抜糸し

抗生物質を投与し

治療を終了した。


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削蹄後の跛行(4)

削蹄の次の日から右後肢の跛行を呈し、

飛節から蹄冠までの腫れが引かず、

X線検査によって近位趾関節の亜脱臼が疑われた、

6CCC241A-DA9D-4241-834D-2734A577CAF3初産のホルスタイン。

患部にキャストを巻いて、

暫くは痛みが和らいだかに見えたものの、

その後幹部のキャストずれの傷から細菌感染を起こし、

患部が化膿して大きく腫れてしまった。

IMG_4694その後、

キャストを外し、

抗生物質の投与を再開して、

痛みと跛行は小康を得たようだった。

しかし、

IMG_4890腫れは変わらず

その1週間後

食欲が無くなったと言うことで往診したら

第四胃変位になってしまっていた。

第四胃変位になったと同時に

66820447-4AD0-43B0-8AA5-C197EA4EB607泌乳量はほぼゼロになってしまった。

普通は乳牛が第四胃変位になったら

即刻開腹手術を実施するのだが

この牛の場合

足が悪く歩行や起立が困難な事と

泌乳量が全くないことで

開腹手術をしたところで

この牛の飼養価値はあるのだろうか

と言う考えが

飼主のΛさんの脳裏にはあったのだろう。

結局手術は延期され

内科治療が施された。

内科治療を数日施したら

8D8762EC-5AC2-4949-9371-AD12E9A06465元気が出現し食欲も回復して来た。

しかし

泌乳量はゼロのままだった。

すなわち、お乳はもう上がってしまったのだった。

Λさんはそのままこの牛を、足場のよい乾乳牛の群へ移動させた。

そこに入れると、起立や歩行が楽になると言う事だった。

Λさんはこの牛の即刻の自家淘汰を考えたが

起立や歩行が楽そうなので

そのまま飼い続けて

うまく行けば肉をつけて

屠場へ肉として出荷する予定にした。

それから2週間近く

この牛はΛさん宅の乾乳牛舎で飼われ続けた。

しかし

牛の状態は思ったほど良くならなかったらしい。

先日、往診に行った同僚獣医師の話によると

この牛は、残念ながら

食肉にすることもできず

病畜処理場へ運ばれて

処分されてしまったそうだ。

泌乳量はゼロで

共済保険の適用も難しく

肉にもなれず

残念な結果になってしまった。

乳用牛が思わぬ事故にあい

ひとたびその飼養目的に叶わなくなり

理想の飼養目的から外れざるを得なくなると

このような結果になってしまう。

家畜という牛の

運命は

哀れである。


(この記事終わり)


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削蹄後の跛行(3)

右後肢の外側蹄の、

基節骨と中節骨との関節、

すなわち「近位趾関節」に外力が加わって、

6CCC241A-DA9D-4241-834D-2734A577CAF3ズレ(亜脱臼)を起こし、

痛みと腫れが治らないという 、

今回の初産のホルスタイン。

困った末に 

苦しまぎれの治療法として

24F75BAD-CB34-476A-9163-79FAD8DD3D4F患部をキャストで巻くという

普段やっている単純なナックルの整復法を試みた。

キャストを巻いた後の数日間は

寝起きもスムーズで

うまく行ったように思われた。

ところが

IMG_4827キャストを巻いてから4日目の朝

飼主のΛさんから電話がかかってきた。

「また痛くなってきたので、痛み止めでも打ってもらえないだろうか・・・」 

そこで、痛み止めとしてスルピリンをしばらく打ってもらうように指示した。

その後、10日間は音沙汰がなかったが

11日目に電話がかかってきた。

「やっぱり痛がるんで、キャストはもう外してもらえないだろうか・・・」

再びΛさんの牛舎に行って

キャストを外しはじめると

なにやら嫌な匂いが立ちこめてきた。

キャストの上端の辺りの皮膚が擦れて

そこから細菌が感染し

IMG_4828化膿していた。

化膿の範囲は思ったより広く

キャストを巻いた部分の

上半部の傷から

大量(約200ml)の膿が出てきた。

「・・・抗生物質を使わないと」

「痛み止めだけじゃだめだったか・・・」

「・・・キャストを巻いたことで蹄の負担は軽くなってよかったんだけど」

「体重が今度は足の上の方にかかって擦れちやった・・・」

「・・・もっと早くから抗生物質打っておけば良かったかもしれないね」

私は、キャストを外し終えた後

IMG_4829化膿して自壊している箇所を洗い

イソジンゲルを塗布したガーゼを当てて

その上からバンデージを巻いた。

「・・・これから毎日抗生物質を続けて、来週包帯の交換に来ますね」

「お願いします・・・」

IMG_4889そして翌週

包帯を交換し、抗生物質を続け

そのまた翌週も

包帯を交換し、抗生物質を続け

そのまた翌週

IMG_4890包帯を外して

そのまま包帯は装着せずに様子を見ることにした。

それからまた1週間が経ち

再び、Λさんから電話がかかってきた。 

「あの牛、食欲がなくなってきたんだけど・・・」

その日Λさんに往診に行ったのは

同僚のK獣医師だった。

K獣医師が往診から戻って来て言った。

「あの牛、四ぺん(第四胃左方変位)だよ・・・」 


 (この記事、もう少し続く)


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削蹄後の跛行(2)

簡単におさらいすると、

今回の初産のホルスタインの、

削蹄の次の日から始まった右後肢の跛行。

初診から毎日、

消炎剤の注射と塗布、

および抗生物質の注射を、

10日間続けたが、

治療には全くと言って良いほど反応がなく、

飛節から蹄冠部までの腫脹も変化することがなかった。

24F75BAD-CB34-476A-9163-79FAD8DD3D4F10診目のX線検査によって、

外側蹄の近位趾関節のズレ、

亜脱臼らしき画像が得られた。

原因は定かではないが

6CCC241A-DA9D-4241-834D-2734A577CAF3何か尋常ではない外力が

牛の右後蹄にかかり

近位趾関節がダメージを受けたと思われる

そんなX線画像だった。

BlogPaintそれを参考にして

治療を考えなければならない。

私の技術レベルでゆくと

あと残された方法は

キャストによる外固定

それしかもう残されてはいなかった。

翌日さっそく

それを実行した。

IMG_4694写真のように

患部をキャストで巻くだけである。

この方法は

いわゆるナックル状態になっている球節を

外固定する方法と同じである。

IMG_4698しかし

いわゆるナックル状態(腱の異常)と

今回の近位趾関節脱臼(関節の異常)との

大きな違いは

患部が腫れている

ということである。

腫れて膨らんでいる患部を

キャスト固定したらどうなるのか

いろいろ想像されて

どれもあまりよろしくない姿が思い浮かぶのであるが

それでも

もう残された方法はこれしかないということで

やるだけやってみた

IMG_4699そんな

今回のキャスト固定だった。

だが

キャストを巻き終えた牛は

意外にも

患肢をすんなりと着地して

すくっと立ってくれた。


(この記事続く)



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削蹄後の跛行(1)

「削蹄した次の日、足が痛くなって腫れてきた・・・」

そんな稟告で診たΛさんのホルスタイン。

右後肢の飛節から球節にかけて腫脹し、

負重困難、水腫様の腫れも認められた。

打撲なのか、

関節炎なのか、

あるいはフレグモーネか、

とりあえず、考えられる処置として

消炎鎮痛剤と抗生物質の投与、

患部へ直接の消炎剤の塗布、

が続けられた。

普通このような治療を1週間程続ければ

ほとんどのケースで治癒に向かうものである。

122C074A-B552-4F5B-A891-47C43637744Aところが・・・

今回の牛の跛行は

一向に改善する気配がなかった。

抗生物質の種類を変えて

再び数日間の投与を続けてみた。

しかし・・・

それでも今回の跛行は

一向に改善する気配がなかった。

何やら難しい症例になりそうだったので

跛行を始めた日から数えて9日目に

患部のエックス線撮影をすることにした。

その画像がこれである。

6CCC241A-DA9D-4241-834D-2734A577CAF3相変わらず下手くそな写真であるが

よく見ると

外側の基節骨と中節骨の関節面が

ズレているように見える。

関節面のズレとともに

73E5E815-B47C-45D3-8A4F-F9C54A5B62C1関節が前方へ突出しているように見える。

骨折はないようだが

関節面がズレているということは

脱臼しているといっても良いのではなかろうか。

この牛の肢には

24F75BAD-CB34-476A-9163-79FAD8DD3D4Fいったいどんな外力が加わって

このような姿になったのだろうか。

そんなエックス線画像を

目の前に置いて

しばしの思案。

0E5FDF60-A635-4EAE-83BC-F972B629DAF8さて

これからこの牛に

どのような治療をすればよいかと< />
あれこれと

考えなければならなくなった。


(この記事続く)



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帝王切開部位・右派?・左派?

「これから帝王切開だそうです。」

夕方追加往診に行っていたS獣医師から連絡が入った。

診療所に残っていた私はそれを聞いて、

今日の超過勤務を覚悟した。

それから約20分後にS獣医師が戻って来た。

H獣医師らと手術室で帝王切開の準備をひと通り終えて、

さらに20分ほど経ったところで、

牛が運ばれてきた。

牛を手術台に保定するとき

私は手術台のアームがいつもとは逆の

向かって右側が伸びていることに気がついた。

「あれ、右の下けん部を切るんですか?」

「うん、いつもとは違うんだけど、やってみようかと思って。」

S獣医師からそんな答えが返ってきた。

最近の我が診療所で行われる帝王切開は

牛の頭部を向かって左側に結び

牛の左側を上側にする

いわゆる左横臥で寝かせて

左の下けん部を切開する術式がほとんどである。

その理由は

第四胃変位の手術の時と同じ保定なので慣れている。

切開部位のほぼ直下で胎児を摘出することができる。

などが挙げられるが

実は難点もある。

それは

子宮を操作している時

大きな第一胃が邪魔になるという点である。

第一胃にガスが溜まってくると

牛の陣痛に共なう怒責によって

まるで大きなエアバッグのような第一胃が

切開創から飛び出してくることがよくあり

それが手術の進行を遅らせるのだ。

それを防ぐために

私はいつも第一胃のガスを抜くための

インジェクターを用意して手術をしている。

それでもやはり第一胃の怒責は煩わしいものである。

IMG_4976「右側を切ったら、それがないからね。」

S獣医師が右横臥を試みたのはそういう理由らしい。

ただ、右下けん部切開にも難点がある。

それは

子宮を操作している時

円盤結腸の周りを走る空回腸が

怒責に伴ってニョロニョロと出てくるので

IMG_4980それを避けるのが煩わしいという点である。

右を切ったら空回腸

左を切ったら第一胃

どちらかが邪魔になる

という点では同じことなので

要はその対処法に差があるかということだが

IMG_4982それぞれ慣れてしまえば大差はないように思われる。

今回私は

助手のそのまた助手として

周辺をサポートするだけの簡単な仕事だったので

写真を撮らせてもらったが

いつもと左右が逆の手術は

IMG_4982なんとなく

鏡に映った映像のようで

撮っているだけでも不思議な気分になった。

過去を振り返ってみると

以前はよく右横臥で右下けん部切開で帝王切開をしたものだが

IMG_4985いつの間にやら

左横臥で左下けん部の帝王切開ばかりをするようになっていた。

それはなぜかというと

邪魔になる消化管云々がその理由ではなく

どうやらその理由は

第四胃変位の手術と同じ体位で横臥させる

IMG_4986ということに慣れてしまったからのようである。

牛を寝かせるまでに

何も考えずに

体が勝手に動くのは

やはり

IMG_4987第四胃変位の手術と同じ

左横臥なのである。

なんだ

そんなことか(笑)

さて

これをお読みの獣医師の方々

あなたは帝王切開の時

どんな体位でやっていますか?

IMG_4989枠場で立位ですか?

手術台で横臥位ですか?

横臥位の場合

右横臥ですか?

左横臥ですか?


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自力で分娩した牛の親子は要注意!

先日の宿直の、

18時30分頃に携帯電話が鳴った。

「今日産んだ親牛と、その仔が元気ないんですけど・・・診てもらえますか?」

酪農家の▽さんからだった。

牛舎に着くと、仔牛がいるカーフハッチに案内された。

「難産だったらしくて・・・でも親のほうは、さっき見たら餌食ってたんで、様子みることにします。仔牛のほうを診てください。」 

仔牛はカーフハッチの中でうずくまっていた。

体温35℃以下、心音が弱く、呼吸も弱かった。

「お産は、だいぶきつかったの?、いつ生まれたの?、親は初産?」

「朝5時頃だと思います。見つけた時はもう生まれてたんですけど・・・親は経産牛です。」

「自力で生まれてたのね。」 

「はい・・・」

よくある事だが

自力で分娩し終わっている牛を見つけた時は

もう事態の山場が過ぎているので

安心して仔牛を移動させて

普通に様子を見ている飼主さんが多い。

しかし

最近のホルスタインは

足腰が弱く踏ん張りがきかなくなっているので

相当な難産であったと想像するべきである。

飼主さんが介助するのが当たり前になっている中で

介助のない自力分娩をした牛の親子は

親子共々相当な体力を消耗をしている可能性が高い。

そういうお産の直後の牛の親子は

いつよりもまして注意を払っておかなければならない。

今回はまさにそういうケースだった。

時間は19時を過ぎ

夜の厳しい寒気が忍び寄って来た。

「仔牛の体温が下がりすぎてるね。外のハッチで治療するのは、ちょっとなー。」

「寒すぎますか?」 

「うん、ここじゃ寒すぎるから、どこか部屋の中に持って行こう。」 

「わかりました。」 

IMG_4973私と▽さんの息子は

冷たくなりかけている仔牛の四肢を持って

処理室の事務机の前に運び込んだ。

処理室の中はプラスの気温だったので

ここで点滴治療をすることにした。

仔牛は体温が下がっているばかりではなく

BlogPaint血圧もかなり下がっていて 

頚静脈がなかなか見つからなかった。

数分後ようやく頚静脈に留置針を差し入れることに成功し

点滴治療を開始して

明日また治療に来ると▽さんに告げて

その夜はそのまま帰路に着いた。

翌朝

事務所の外の温度計の気温は

−16℃を指していた。

診療業務が始まった頃

▽さんから電話がかかってきた。

「昨日の仔牛・・・死んでしまいました・・・」

残念な結果になってしまったが

今の時期にはよくある事だ。

繰り返しになるが

もう一度書いておく。

飼主さんが介助しないで

自力で分娩した牛の親子は

いつも以上に

体力を消耗しているので

要注意!


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巨乳の乳牛の四変手術

乳牛はみな巨乳である。

沢山の乳を搾るために、

そのように改良(改変)されて来たのだから、

仕方のないことであるが、

そのおかげで、

色々なところに支障が出る場合もある。

先日、

四胃変位の手術をするために連れて来られた牛は、

超・巨乳、だった。

手術台に寝かされて

仰臥姿勢にすると

巨大な乳房が

前方へはみ出して来て

四変手術の切開部位である

傍正中線付近が

すっぽりと覆われてしまった。

一部分だけ覆われて手術しづらい

という事は過去に何度もあったけれど

今回は手術予定部位がほぼ全域

超・巨大乳房によって覆われてしまう。

IMG_4830仕方がないので

この巨大乳房にロープをかけて

後方へ引っ張り

そのロープの先端を後方に固定することにした。

いつもは四肢を縛っているロープを

IMG_48311本余計に使って巨乳の固定をした。

こんなことをするのは初めてだった。

巨乳を固定した後は

写真のように普通に

バリカンで毛刈りをし

IMG_4832普通に手術を終えることができたが

こういう牛の共通項として

巨乳の割りには

体がやせ細って

腹囲が巻き上がっている。

IMG_4833そのために

巨乳が前方へはみ出して

手術の邪魔になるのである。

乳牛の体型の

遺伝的な改良が進むのは

良いことだと思うが

どれもこれも良くなるというものではなく

時には体型が崩れて

それが返ってあだになってしまう

という場合もある。

家畜の改良というのは

遺伝子ばかりを良くすることではなく 

飼われる環境も

同時に改良して行かなければ

本当の改良にはならないのだろう

と、つくづく思う症例だった。 


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今年最初の難産介助

今年の年末年始は、

元日から2日までが私の当番だった、

静かな朝日を浴びて診療所へ向かい、

大晦日から元日まで当番だったT獣医師と新年の挨拶を交わし、

元日はT獣医師と約半分づつ仕事を振り分けて、

それぞれの往診先へ出掛けた。

午前中の最後の往診先で仔牛の治療をしているとき、

ポケットの携帯電話が鳴った。

「お産なんですけど・・・仔牛が大きくてなかなか出ないみたいで・・・」

和牛繁殖農家の★さんからだった。

到着して分娩の予定日を聞いてみると

「12月14日なんですけど・・・2週間以上遅れてるんで・・・ちょっと心配で・・・」

産道に手を入れて診ると確かに肢が太い。

頭部はその奥で少し横を向いていた。

「・・・あー、これは頭にワイヤーをかけたほうがいいね。」

「お願いします・・・」

手持ちのループワイヤーで頭部を確保し

まず頭部だけをゆっくりと牽引する。

頭部は軽い抵抗感とともに産道に乗ってきた。

次に両前肢にロープをかけてそれをセットした滑車に接続する。

滑車につないだ前肢と

ワイヤーで確保した頭部を

交互に少しづつ牽引してゆく。

頭部が最もキツくなる膣をおでこが完全に通過して

後頭部まで出たところで

前肢につないだ滑車だけを強めに一気に牽引する。

胎児の骨盤が完全に通過して

ドサッと生まれてきた。

大きな♂だった。

IMG_4903「よかった・・・無事に生まれた・・・」

「・・・今年最初のお産の仕事は、無事でよかった。」

「ありがとうございます・・・」

新年早々、これは幸先の良いことかもしれない。

そして

その夜

午後6時半過ぎに当番の携帯電話が鳴った。

「また、お産なんですけど・・・仔牛向きが悪いのか・・・なかなか出なくて・・・」

なんと、また同じ和牛繁殖農家の★さんからだった。

到着して再びカッパを着ていると★さんが来て

「昼間の牛よりも簡単に出せるかと思って・・・色々やってみたんですけど・・・」

という。

産道に手を入れて診ると、昼間の産道よりも乾燥感が強く、胎児の頭部もより奥にあった。

「・・・あー、これも頭にワイヤーをかけないと駄目だね。」

「お願いします・・・」

私はふたたびループワイヤーで頭部を確保したが

昼間の牛の胎児よりも頭部が乾燥していた。

親の陣痛が強く羊水ばかりが先に出てしまっている様子だったので

胎児の頭部にワイヤーをかけるのに倍以上の時間がかかった。

なんとかワイヤーをかけて

まず頭部だけをゆっくりと牽引する。

頭部はかなりの抵抗感とともに産道に乗ってきた。

次にすでに両前肢にかけてあったロープを滑車に接続する。

滑車につないだ前肢と

ワイヤーで確保した頭部を

交互に少しづつ牽引してゆく。

頭部が最もキツくなる膣をおでこが完全に通過して

後頭部まで出たところで

前肢につないだ滑車だけを強めに一気に牽引する。

胎児の骨盤が完全に通過して

ドサッと生まれてきた。

今度は、大きな♀だった。

IMG_4907「よかった・・・無事に生まれた・・・」

「・・・羊水がかなり抜けてたみたいで、キツかったね。」

「でも無事に生まれて・・・よかった・・・」

「・・・元日に同じ家の牛のお産を2回手伝ったの、たぶん初めてかも。」

「そうですか・・・ありがとうございました・・・」

新年早々、これは重ねて

幸先の良いことかもしれない。

気温が下がり寒い夜だったが

この日の夜の往診はそれだけだった。

翌日は、ほぼ普通量の仕事をこなして

元日から2日にかけての当番を無事に終了させることが出来た。

さて

今日(3日)から6日まで

私の正月休みが始まる♪

3日の予定は、午前中に帯広神社へ初詣。

午後からは、帯広競馬場でばんえい競馬の観戦。

4日の夜は、旧友と焼鳥屋で一杯やってから夜のジャズライブ。

5日の午後は、帯広能楽同好会の初稽古。

6日は朝から札幌で、ホトトギスと伝統俳句協会の新年句会。

予定がびっしり(笑)

天気も良さそうだ。

正月休みを思いきり楽しもうと思う♪


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和牛難産後の子宮脱(2)

朝の往診の準備中に緊急で入った子宮脱の整復。

その日になんとか整復して、

翌日の往診の時は起立していてくれないかと、

淡い期待を抱いていた。

しかし、

翌日その牛は起立できなかった。

症状は全身の発汗が見られ、

相変わらず呆然として食欲不振だった。

血液検査の結果、血清カルシウムは

6.2 ml/dl だった。

その翌日の治療内容も

血液検査の結果を参考にしながら

カルシウム製剤とマグネシウム製剤と抗生物資の投与をした。

その翌日

牛の食欲が回復。

発汗もおさまり表情に活気が出てきた。

血中のミネラルその他の性状が好転したようだった。

しかしながら

起立することができなかった。

リンゲルなどの補液とVB1などの栄養剤と抗生物質を投与した。

その翌日

22C9DA86-8091-4391-AC14-2E4CFB32703B牛の食欲はほぼ正常化。

起立しようとする意志が感じられ

過肥で重い体を前肢だけで引きずり

這いずり回すようになった。

しかしながら

起立することができなかった。

這いずり回る牛の

下腹部に異常を発見した。

6605BCF1-5012-42A9-820C-DBE14519F586右の下腹部が大きく膨れ上がり

触ると波動感があった。

腹壁ヘルニアが強く疑われた。

更に

左後肢はほとんど動かすことができないことも

だんだん明らかになってきた。

骨盤腔内の神経麻痺が疑われた。

鎮痛剤と神経賦活のためのVB1剤が投与された。

その翌日

症状はそれ以上改善することはなかった。

B9962135-C07C-4162-B347-70336C6E8E32食欲はあるものの

腹壁ヘルニアの疑われる腹部の異常は顕著で

左後肢は全く動かすことができず

這いずり回る力が

昨日より少し衰えてきたように感じられた。

ここで私は

Θさんと相談し

この牛を廃用にすることにした。

その手続きをしている間

「・・・ああ・・・かわいそうな事をしちゃった・・・牛が気の毒で・・・ごめんなさいね・・・」

Θさんの母さんは

何度も何度も

この牛に話しかけていたのが

印象的だった。 


(この記事終わり)


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和牛難産後の子宮脱(1)

「お産した後、親牛が立てないないので診て下さい・・・」

和牛繁殖農家のΘさんの母さんからだった。

時間は午前8時40分を過ぎた頃で、

ちょうど診療所の受付の最中で、

出勤している獣医師の往診先を振り分けているところだった。

「じゃあ、俺行きます。」

Θさんは私が向かう地区だったので、

私は往診先にΘさんを加えて、

診療準備にとりかかった。

するとまた、Θさんの母さんから電話がかかってきた。

「なんだか、後産じゃないようなものが出てきて・・・」

私は子宮脱を疑い

往診準備にその治療の準備も加えながら

慌ただしく診療車と薬室を往復していた。

するとまた、Θさんの母さんから電話がかかってきた。

「先ほどの牛が苦しがって、お腹が張ってきて、唸っているんです・・・」

慌ただしく午前中の往診準備を終えた私は

真っ先にΘ農場へ向かった。

途中、安全運転のために備え付けられている

診療車のドライブレコーダーが

何度もスピード注意の警告を告げていた。

約20分かかってΘ牧場に着くと

母さんが心配そうな声で

「仔牛が死んでしまったんで、母親だけでも助からないかと・・・でもこれでは・・・」

牛は右横臥で頭を投げ出し

唸り声をあげて苦しがっていた。

腹囲は極度に膨隆してパンパンだった。

E5CE6BBD-123F-4009-913B-8903C3C093BE私は直ちに極太の套管針(とうかんしん)で

パンパンに膨れている腹壁の頂点部を穿胃した。

湯気のような第一胃ガスが勢いよく吹き出てきた。

ガスが噴き出ている間に

カルシウム剤の補液と採血をして

母牛の腹囲が萎むのをしばし待った。

03C9102E-AA73-46C8-BC18-D92C889766B7「少し親牛の目つきが良くなってきたわ・・・」

Θさんの顔さんは少しほっとしたように言った。

「これから、出ている子宮を元に戻すから、まず親牛を吊り上げましょう。」

私はΘさんの嫁さんに

吊るためのハンガーとトラクターを手配するよう告げた。

「今うちの息子がいないんで・・・隣のΔちゃんに来てもらったら?・・・」

「そうしてくれるとありがたいですね。」

BA5E3556-2584-493C-97D5-54086E39B1BBしばらくして

近所の酪農家のΔ君がやってきた。

ハンガーを腰に取り付けて親牛を吊り上げようと

トラクターのフロントアームを上げてゆくと

過肥状態の親牛の腰からハンガーが外れて

牛の体はまた横臥してしまった。

348A67B8-7CE3-43CB-9982-9ECC0C951B95親牛の腰の皮下脂肪が厚く

ハンガーがどうしてもしっかりと掛かってくれない。

吊っては外れ、吊っては外れ

そんなことを3回繰り返して

結局、吊起をあきらめ

座位のままで子宮脱の整復をすることにした。

F10722BA-46C6-4CCA-B950-D308B98FEB3F用意したビニール袋を子宮の下に敷き

袋の両端を嫁さんとΔ君に支えてもらいながら

私は子宮を押し込んでいった。

子宮はそれほど苦労せず

腹腔内に納めることができた。

BEFA78F2-E4B3-46FA-8E4D-E6F16BFF218B反転整復棒を挿入して反転を直し

外陰部をビューナー針と包帯で巾着縫合し

抗生物質を投与した。

「とりあえず、これで様子を見てください。」

「わかりました・・・」

25BB41C8-5E53-4CC4-B90B-C75984BA464F「明日また来るようにしておきますね。」

「よろしくお願いします・・・この牛、立てるといいんですけど・・・」

「ですね。まぁ、立っても立たなくてもまた診ますから。」

「わかりました・・・あー昨日から息子がいないから・・・」

「でも、Δ君が来てくれて助かりました。」

「もっと早くお産に気付いていれば・・・こんな事にならなかったのに・・・」

B2BC52E3-012B-41DB-BB25-65C672F43641寝ている母牛を前にして

Θさんの母さんはしきりに悔しがるのだった。

往診の一件目で

立てない牛の子宮脱整復というのは

時間のロスが気になる仕事である。

私はΘさんの嫁さんとΔ君への挨拶もそこそこに

慌ただしく

次の往診先へ向かった。


(この記事つづく)



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死後硬直

午後2時過ぎに、

▲畜産から難産の追加往診が入り、

同僚のK獣医師が往診に行っていた。

そのK獣医師から3時頃連絡が入り、

帝王切開することになった。

分娩予定日はほぼ今日だという。

胎児の臀部が産道に進入している

いわゆる「臀位」なのだが

手に触れるのは臀部ばかりで

後肢の手がかりは全くなく

胎児は子宮の奥深くに下がったままらしい。

連れてこられた難産の親牛は

まだ2産目の元気な牛だった。

「もう一度手を入れて、難産介助してみますか?」

K獣医師がそう言った。

「いえ、その必要はないです。すぐ帝王切開しましょう。」

帝王切開の準備をしていた私と同僚のT獣医師は

口を揃えるようにそう答えた。

ひとたび帝王切開をする事を決めた牛を

診療所の手術室に連れて来たときに

方針変更をして

経膣分娩を試みることはよくある事だ。

しかし

記憶を過去に遡って

その結果を振り返ってみると

帝王切開を中止して経膣分娩に切り替えて

娩出した牛の親子には

ロクなことが起こらなかった。

多くの胎児が結局は死亡し

多くの親牛が産後の疾病に悩まされた

という経験ばかりが

私の記憶の中に入っていた。

「切る(帝王切開)と決めて連れて来たのだから。」

「ムダなことはしないで、すぐ切りましょう。」

「はい、そうですね。」

我々3人の意思は一致した。

牛を寝かせて

左下けん部を切開し

そこから手を入れて子宮を探る。

牛の陣痛とともに第1胃が膨らみ

それがまるでエアバッグのように

創口から飛び出して来る。

目当ての子宮は腹腔の奥底に沈んでいて

胎児を掴む手がかりが乏しい。

しかし、何とか

沈んだ子宮の表面に胎児の肘(ひじ)の部分を発見して

それを手掛かりとして子宮ごと胎児を掴む。

用意しておいたインジェクターで第1胃ガスを抜き

第1胃を腹腔内へ押し込む。

この時

もう1人の獣医師が子宮を掴んだまま

頑張って支えていると

その下に第1胃を押し込むことによって

子宮が創口の方へ上がって来る。

「・・・ようやく、子宮を持ってこれた・・・」

「創口から(子宮を)出せますか?」

「・・・いや〜、それは無理・・・」

「じゃあ、(腹腔の)中で切りましょうか。」

「・・・そうして下さい・・・」

私は、子宮を手で支えながらそう言った。

K獣医師がメスで子宮をまず10僂曚廟擲した。

その切開創から手を入れて

胎児の前肢を掴むことができた。

「・・・足を掴んだんだけど・・・」

「持って来れますか。」

「・・・なんだか変・・・硬いですね・・・」

「奇形、ですか?」

「・・・そうかも・・・」

掴んだ胎児の前肢の球節は硬く曲がったままだった。

さらに、その隣にある頭部に手を回し

前肢と頭部を創口から露出させた。

そこに産科チェーンを巻き付け

そのチェーンを備え付けのチェーンブロックのフックに掛けて

IMG_4721ゆっくりと胎児を引っ張り上げてゆく。

途中で、創口をメスで拡げながら

ゆっくりと胎児が引き出される。

「・・・胎児の体が曲がってますね・・・」

「硬直してますね。」

IMG_4718「・・・奇形というよりは、死後硬直ですか・・・」

「そうですね、時間経ってますよ。」

「・・・すぐ切って正解でしたね・・・」

「これは(経膣では)直せない。」

「・・・ですね・・・」

IMG_4716摘出された胎児は

目が暗く窪んでいて

四肢や体幹が硬直しており

子宮の中に収まっている形のまま

前肢2本を

まるでカマキリのように

空中に遊ばせて

死後硬直していた。


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不揃いの双子・part2

「∩牧場のお産で子宮捻転らしいので、行ってもらえますか?」

午前中の往診の最後の家で連絡が入った。

「了解です。」

∩牧場に着くと、

分娩房に従業員の◉君がいて、

その前に死亡した仔牛が横たわっていた。

「もう出たの?」

「はい、出しました。」

「子宮捻転だって聞いたんだけど・・・」

「はい。ちょっと捻れてたんで、でも直して出せました。」

「それは良かった!」

私はホッとした。

仔牛は死亡してしまったとはいえ

大変なところはもう◉君がやり終えてくれた。

◉君は従業員のチーフ的な存在で

∩牧場の中では最も信頼されているベテランである。

「でも、安田さん、もう1つ入ってるんですよ。」

「双子なの?」

「はい。」

親を見ると

外陰部から胎児の肢が2本覗いていた。

「今、引っ張るところなんです。」

◉君は助産用の産科道具を牛の腰に当てて

出ている2本の肢にロープをかけて

2頭目の胎児の助産をはじめた。

双子の胎児の2頭目ならば

ベテラン従業員の手にかかれば

簡単に出すことができるはずなので

私はカッパにも着替えずに

助産道具を使っているところを写真におさめた。

IMG_4713それが左の写真である。

この道具のレバーの根本の部分に

胎児の肢に繋いだロープをかけて

レバーを引けば

胎児を簡単にかつ強く牽引することができる。

IMG_4711「・・・。」

私は◉君の作業を見守っていた。

「・・・。」

胎児の肢はそれほど太くはなく

頭も産道に乗っているようだった。

「・・・あれ?・・、なんで来ないんだろう・・・」

「頭は来てるんでしょ?」

「・・・すぐそこに来てます・・・」

「じゃあ引けば出るよね。」

「・・・のはずなんだけど、なんでだろう・・・」

◉君がいつになく苦労しているので

私はカッパに着替えて助産を手伝う事にした。

牽引レバーをゆるめて

IMG_4712手を入れてみた。

「・・・ん・・・。」

「どうですか?」

「・・・ん・・・、この左側の肢なんかおかしいぞ・・・」

私は2本出ている肢の形態を手で丁寧に触診した。

右の肢には球節の次に腕節があった。

左の肢には球節の次に腕節の膨らみがなく

いきなり片方に尖ったような部分に触れた

飛節だった。

「これ・・・前肢じゃなくて後肢だよ・・・」

「え、本当ですか。」

私は後肢にかかっているロープをはずし

前肢にかかっているロープ1本だけの牽引を指示した。

すると、ロープをはずした後肢が戻って行き

前肢と頭が外へ出てきた。

そのまま道具で牽引を続けると

首と胴体が出てきた

その脇にぴったりもう片方の前肢が

後ろ向きに畳まれたまま牽引されて来た。

これでようやく2頭目の助産が終了した。

簡単に出せると思っていた2頭目の胎児は

とんでもない失位をしていたのだった。

そのアクロバット的な胎位は

獣医学的にもまだ正式な名称が無い胎位だった。

前後肢同時進入位・・・?

とでも呼べば良いのだろうか。

IMG_4715ともあれ

◉君と私は

双子の胎児を出し終えて

親牛にカルシウム剤などを補液しながら

ホッと一息ついた。

「ところで、この胎児毛色が違ってるね、白黒と白赤・・・」

IMG_4714「そうですね、二卵性ですね。」

「母親は白黒なのに・・・」

「種牛がレッドなんですよ。」

「そうなんだ・・・」

「この種牛の父親が、レッド〇〇っていう種牛で、奇形が多くて評判悪いんですよ。」

「へー、そうなんだ・・・」

私は知らなかったが

白赤の牛が多くなって来たこの頃

そんな種牛もいるらしいのでご用心。

今回は

大きさではなく

胎位と毛色が不揃いの

双子だった。


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不揃いの双子胎児

深夜の携帯電話が鳴った。

「お産なんだけど、足が変なんだ・・・」

酪農家のΘさんからだった。

「前足が来てて、頭も触るんだけど、なんか変・・・」

到着して

手を入れてみると

確かに前足が2本来ていて、頭も触れる。

「・・・。」

しかし

頭のある位置と

前肢のある位置が

普通のお産とはどこか違っている。

前肢をつかんで引いてみると

何かにつっかえているように動きが悪い。

頭も同じように可動性が少ない。

(これは奇形かもしれない・・・)

そんな思いが頭をよぎった。

(もしかして反転性裂胎!・・・)

そうであれば

深夜の帝王切開になる。

「・・・。」

不安材料は言葉にせず

黙って産道の奥へ

さらに手を入れてみると

2本の前肢と頭の隣に

肢がもう一本あった。

「・・・。」

奇形の疑いはまだ続いている。

3本目の肢の前後を確認しようと

さらに手を奥へ入れると

こつんと鼻先に触れた。

「あ・・・なんーんだ、双子だよこれは。」

奇形で帝王切開という

最悪のシナリオが

私の頭から消えていった。

「双子なの?」

「うん。どっちも前向きに来ている双子。」

私は最初に触った胎児の頭部を掴み

それを強く押し込んだ。

すると

押し込んだ頭のあった隙間へ

奥にあった2仔目の頭部が入り込んで来た。

私は同じ動作を何度か繰り返した。

最初に触った2本の前肢は

奥にあった2仔目の胎児の前肢だったのである。

今回の双子の胎児は

どちらも頭位で前向きに来ていて

一方が前足を

もう一方が頭を

それぞれ産道に進入させて

お互いにつっかえて

言わば「二人羽織」の状態になっていた。

私はかつて

「二人羽織」状態の胎児に気付かず

そのまま牽引して

胎児の前肢を骨折させてしまったという

苦い経験がある。

可動性の悪い胎児は

たとえ前足2本と頭が確認できたとしても

さらにその奥を確認するなどして

慎重に対処しなければならない。

今回はそれが解決の糸口になった。

私は前肢にロープをかけ

奥にあった頭の後頭部にループワイヤーをかけ

Θさんにゆっくりと牽引してもらった。

41A6D2F2-3124-4716-8168-740408B3B3E7胎児は既に死亡していた。

おまけに少し膨張していたので

滑車によってようやく引き出すことができた。

2仔目の胎児も既に死亡していて

同様に牽引したが

こちらは簡単に出すことができた。

「双子だったとはね、なんか変だと思ったんだよな・・・」

「もう死んじゃってたから、全然動かなかったね。」

「・・・それにしても、この仔牛・・・ずいぶん大きさが違うんでないの・・・」

F1429589-9361-4807-B760-E805ADDD0530「ほんとだ!」

胎児を2つ並べてみると

最初に出したほうは大きな♀

後に出したほうは小さな♂だった。

これだけ大きさの違う双子の胎児は

ちょっと珍しいかもしれない。

B481C93B-CE08-43B2-8058-C03C63FBE0EF「追い移植とかしてない?」

「してないよ、普通に種付けしたよ。」

最近は追い移植という

不自然な技術によって

不揃いの仔牛が生まれることがあるが

今回の仔牛は

天然の

かつ不揃いの

双子胎児であった。


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デブリードマン(3)

この牛の腹部の傷は、

2週間以上放置されていたので、

初診時にはすでに壊死が進行し、

IMG_4405広範囲にデブリードマン(壊死組織の除去)

をしなければならなかった。

そして

デブリードマンした後気付いたのが、

IMG_4414創の幅と長さだった。

腹圧の強くかかる場所で 

この創の幅と長さでは

縫合が困難なことに気づいた。

何度か糸をかけて数針縫ってみたが

IMG_4416たちまち組織が千切れてしまうのだった。

そこで方針を変えて

縫合はあきらめて

キトサンイソジン液の塗布と

オムツによる創面の保護と

抗生物質の投与

だけで

後は自然治癒力に任せるという

半ば投げやり的な治療方針に変更した。

初診から2週間で再診した時

IMG_4496思った以上に

創面の修復が進んでいたことで

気を良くして

再び同様の処置をして

また2週間が経過した。

IMG_4589それが左の写真である。

創面の幅は

さらに狭くなっていた。

初診のデブリードマンから

数えてちょうど1ヶ月後の

IMG_4590切創の幅は

4分の1程に狭くなっていた。

このまま行けば

この1ヶ月後には

さらにその4分の1程に狭くなっている

という姿を想像する事ができた。

IMG_4592あくまでも想像だったが

それは確信に近いような想像だった。

「これでもう終わりにしてもいいかな・・・」

私は創面にキトサンイソジン液をかけながら

そう思った。

オムツを当ててガムテープでそれを覆うことは止めて

IMG_4595抗生物質の投与も中止して

このままの状態で

治療を終了することにした。

◉さんと牛が帰ったあとで

「終わりにするのはちょっと早すぎたかな・・・」

という気持ちが湧いて来た。

しかしそのような気持ちは

日々の煩雑な仕事の中で

薄れていった。

それから1ヶ月が経過した。

たまたま◉さん宅の前を通りかかり

この牛のことを思い出して

牛舎に寄って

腹部を観察した。

それが最後の2枚の写真である。

IMG_4700皮膚はほぼ予想通りに

創部を覆っていた。

ただこれが

売り物となれば

この創面の残傷が

どれだけマイナスポイントになるかは

IMG_4701想像がつかなかった。

今思えば

治療の途中の3診目あたりで

創部の皮膚を寄せる縫合ができたかもしれず

そうすればもっときれいに

跡形もなく仕上げる事ができたかもしれない。

ただし縫合すれば

たとえ吸収糸といえども

長いあいだ異物が体内に残ることになる。

縫合しなかった今回の治療では

異物は一切ない形で済ませる事ができた。

本当はどちらが良かったのか・・・

それはさらに今後の経過によって検討されて

反省点を見出すことになるだろう。

症例は「一期一会」

今回の症例が少しでも

今後の参考になれば幸いである。


(この記事終わり)


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デブリードマン(2)

オムツを腹壁に縫い付け、

さらにその上にガムテープを貼って、

そのガムテープも腹壁に縫い付ける、

という苦し紛れの処置。

創傷部の壊死が広範囲に及び、

デブリードマン(壊死組織の除去)をした部分が、

想像以上に多く、

おまけに腹圧も強い箇所だったことから、

そんな外科的処置になってしまった。

数日後

IMG_4433心配だったので

◉さんの牛の様子を見に行った。

最大の懸念は

縫い付けたオムツとガムテープが

外れてしまっていることだったが

BlogPaintそれは大丈夫だった。

牛は腹部を気にして

頻りに振り返って

違和感のある様子だった。

それから

2週間が経った。

再び連れて来られた牛は

相変わらず元気だった。

縫い付けたオムツとガムテープは

◉さん考案の腹巻きネットの補強もあって

何とか外れずに着いていた。 

牛を手術台に寝かせて

創部のオムツを剥がして行くと 

意外や意外・・・

IMG_4490新しい結合組織(皮下組織)が

筋層を隈なく覆い

皮下組織だけの

平坦な創面になっていた。

前後の幅も狭まりつつあり

創の修復が着実に進んでいた。

IMG_4493私はその創面を

水道水で良く洗い

再びキトサンイソジン液を含ませたオムツを当てて

それを腹壁に縫い付け

さらにその上からガムテープを貼り付けて

IMG_4496それも腹壁に縫い付けて

牛を覚醒した。

さらに今度は

その上から

ヘルニア整復のときに使う腹巻ネットを装着し

IMG_4498オムツとガムテープが外れないように

万全を期す処置をした。

◉さんにはまた

抗生物質を毎日注射するように指示し

牛が帰るのを見送った。

IMG_4503私はこの時点で

これはきっと

きれいに治癒するのではないか

という思いが湧いてきた。

「この牛を治して売り物にしたい。」

という◉さんの期待に

応えられそうな気がしてきた。


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デブリードマン(1)

「生後8ヶ月になる和牛のお腹が腐ってきた・・・」 

そんなおかしな電話が掛かってきた。

電話で話していてもよく分からなかったので、

実際に◉さん宅へ行って見ると、

何やら壊死したものが、

腹部にぶら下がっている。

覗くと悪臭が漂って来た。

「半月くらい前に、隣のペンの牛が発情してて、そいつに乗っかろうとして柵を跨いだのよ・・・」

「半月も前に?」

「あぁ、たいした怪我もしてないなーって思って、そのままにしてたら、なんか変で・・・」 

牛は非常に元気が良く

ぶら下がった物に触れたら足が飛んできそうだった。

「これは・・・ここじゃ何もできないから、手術室に連れて来て。」 

ということで

連れて来られた和牛に

鎮静をかけて手術台に寝かせ

仰臥で創部を良く見ると

深い切創が

約90cmにわたって横断し

強い悪臭が漂って来た。

先ずは

壊死した組織を切除。

牧柵と体重による深い切創で

出血も少なかったらしく

怪我をした日から何の手当てもなく 

2週間が経過している。

切創に伴う壊死は

腹斜筋を突き抜けて腹横筋の一部まで達していた。

IMG_4396しかし、幸いなことに

腹膜には達しておらず

腹膜炎は免れていた。

「とにかくこの黄色く変色した壊死組織を剥がそう・・・」

デブリードマン(壊死組織の除去)である。

デブ・リードマン・・・!?

ずいぶんと変な専門用語だが

これは英語ではなくフランス語から来ているらしい。

どーりで変な言葉だと思った(笑)

IMG_4404ともあれ

最初私は

治療方針として

デブリードマンした後

創部を糸で縫合しようと考えた。

壊死組織は広範囲に及び

IMG_4405デブリードマンして行くと

創部の幅がどんどんと広がって

20cm以上の広い切創になった。

最初の方針として

ここに糸をかけて

創部の前後を寄せようとした。

IMG_4414ところが

壊死組織から正常組織に移行する部分に

縫合の糸をかけても

組織がすぐに千切れてしまい

縫合する事ができない。

たとえ縫合ができたとしても

IMG_4416数日後には

腹圧で開いてしまうのが容易に想像できた。

「縫うのは無理だね・・・」 

私は縫合をあきらめた。

方針を変更した私は

IMG_4419デブリードマンした創部を良く洗い

キトサンイソジンを塗ったオムツを

創全体に当て

そのオムツを腹壁に縫い付ける事にした。

さらにそのオムツが汚れないように

IMG_4424ガムテープでオムツを覆い

そのガムテープも腹壁に 縫いつけた。

「これでしばらく様子見るしかないね・・・」

私は◉さんに

この牛にはこれから

抗生物質(ペニシリン)を毎日打つように指示し

IMG_44262週間経ったらまた連れて来るように

と言って

牛を覚醒させた。

牛と◉さんはトラックに乗って帰って行った。


(この記事続く)


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