北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

牛の診療

ホル仔牛の下顎の腫れ

またまた、先日、

下顎が腫れている牛の症例に遭遇した。

今度は、ホルスタインの仔牛だった。

IMG_0331仔牛の下顎の腫れは、

球形に近いものが多く、

まるで飴玉をしゃぶっているように腫れることが多く

どこか可愛らしい。

触診をすると、波動感があった。

IMG_0332穿刺をすると、化膿汁が吸引されてきた。

これまたよくある、おきまりの膿瘍であった。

ここからはもう、一本道である。

メスで切開をして

創口はできるだけ大きくして

IMG_0334排膿して、内部を洗浄。

そのまま閉じずに開放し

抗生物質の注射をして

治療を終えた。

最近たまたま、高い頻度で

IMG_0335牛の下顎を切開排膿する症例に遭遇しているが

やはり

牛という動物の下顎は腫れやすく

多くが臼歯の歯肉からの感染症であるようだ。

過去の私のブログ記事を検索していたら

IMG_0336似たような記事があった。

その反省の元

せっかく穿刺によって

膿汁を採取したのだから

せめて

細菌検査をして

データーを蓄積しておくべきだろう

BlogPaintということで

今回の膿汁の

細菌培養(好気培養)検査の結果は

α-Streptococcus(連鎖球菌)が(++)

Corynebacterium (コリネバクテリウム)が(++)

だった。


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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子牛の中手骨骨折(・・・顛末記)

当ブログの今年の記事の、

4月27日4月30日5月3日

の3回にわたって書いた「子牛の中手骨骨折(1)〜(3)」。

その後、

この骨折した子牛はどうなったのだろうか・・・?

そんな気がかりを、解消する機会が、

昨日やってきた。

久しぶりにε牧場へ親牛の治療に行った時だった。

「そういえば春に、産科チェーンの引っ張りすぎで骨折した子牛、どうなった?」

「・・・えーっと、どうだったかしら・・・」

「ギブスまいたやつ、憶えてる?」

「・・・あー、あのメスの子牛ですね・・・それだったら、あちらのパドックにいるはずです・・・」

ε牧場の奥さんは、思い出したようで

パドックへ案内してくれた。

BlogPaint「・・・確か、この牛だったような・・・」

「左の前足だったよね。」

「・・・台帳・・・見て来ますね・・・」

私は、それらしい牛の

左前足の球節から近位の中手骨付近を

じっと凝視した。

なんとなく、左のほうが

ごく僅かに太くなっているようにも見えた。

しかし

IMG_5199骨折の治療をしたときに撮ったエックス線画像のような

中心軸が前方へ反り返っているような

そういう変形は無く

歩様も左右のバランスよく

跛行は全く診られなかった。

IMG_2033骨折をしたのが4月下旬。

それから約半年が経過していた。

本当にこの牛が骨折した牛なのかどうか

疑わしくなるほどの姿だった。

そこへε牧場の奥さんが戻ってきた。

IMG_5333「・・・その牛で間違いないです。台帳に、骨折って書いてありましたよ・・・」

「そうか、じゃあ間違いないね。」

「・・・きれいに治っちゃいましたね・・・」

「そうだね、それは良かった。」

「・・・骨折れてるって聞いたときは、正直ダメかと思ったんですよ・・・」

「そうなの?(笑)」

この牛の骨折治療の経過を

3回に分けてブログにアップしたときは

色々なコメントが寄せられた。

その中には

私と比べてずっと高度な技術をお持ちの先生方からのコメントがあり

その中には大変厳しい内容のものもあった。

それを読んだ時、私は

自分の骨折整復の技術が実に未熟な低レベルの技術であることを知り

恥ずかしい気持ちになったことを憶えている。

IMG_0355しかし、今こうして

そんな私の、低レベルの技術でも

このように治癒してくれた牛の患肢を

目の前にしてみると

恥ずかしく思っていた自分の技術に対して

IMG_0356少し自信を取り戻したような気がした。

もちろん

今の低レベルな技術のままに甘んじているつもりはない。

ただ

この症例から現在までの半年間に

子牛の中手骨の骨折治療をする機会には

まったく遭遇していないので

技術のレベルアップをする機会がない

というのも

また事実である。

この先どれほどの

子牛の中手骨骨折の症例に出遭うことになるのか

ちょっと想像がつかないのである。

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育成和牛の下顎の腫れ

「育成の和牛のアゴからクビにかけて、腫れてるんですけど・・・」

先日追加で診せられた診療は、

そんな稟告(りんこく)だった。

BlogPaint牛の頭を保定してもらって、

触診をしてみると、

硬く膨らんでいる。

これは、どういうタイプの腫れ物だろうか。

常に超音波装置を携帯していれば、

直ぐに超音波検査が出来るのだが、

残念ながら、十勝NOSAIの獣医師はまだ

1人1台づつを携帯するまでには至っていない。

それでも、こういう症例では

穿刺検査が有力な診断方法である。

腫脹している部分の

なんとなくもっとも柔らかそうな部分を

IMG_0261注射針で穿刺した。

「・・・あー、これは・・・」

「膿瘍だね。切開しましょう。」

「・・・お願いします。」

一見して、かなり硬かったので

骨組織の腫れかも?・・・

と思ったのだが

実際は

下顎の深部の肉厚な膿瘍だった。

育成の和牛は売り物でもあるし

あまり長い時間を掛けて治療をしていると

増体に影響し

売るタイミングを逸することもあるので

ここは、即日の切開排膿を選択した。

IMG_0265メスで切開した創口からは

思ったよりも多くの

クリーム状の化膿汁が出てきた。

500mlはあっただろうか。

切開創が肉厚なので

出血がかなりあったが

ここで出血を気にしすぎて

切開創を小さいままにすると

創口がすぐ閉じてしまって

膿汁の出口が塞がって

再び膿瘍が形成されてしまう。

ここは、思い切って大きく切開するべきなのである。

IMG_0267切開創を7〜8センチ程度に開大し

膿瘍の中身を消毒液で洗浄し

抗生物質を投与し

創口は開放のままとして

治療を終えた。

後日

BlogPaint膿汁の

細菌培養の結果が来た。

グラム陽性球菌が検出された。

しかし

菌種の同定までは至らなかったようだ。

ブドウ球菌だったのだろうか?

連鎖球菌だったのだろうか?

それとも

コリネバクテリウムだったのだろうか?  

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デントコーンの不作

今年の十勝地方の天候不順で、

デントコーンの収穫は大幅に遅れていたが

ようやく、ここ数日好天が続き、

収穫作業がはかどって、

やっと終りが見えてきたようだ。

IMG_0295しかし、

往診先の酪農家が

今年のデントコーンの出来について語る内容は

さえない事ばかりである。

「収量6割くらいかな。」

「いやー、ほとんど半作だね。」

「全然細くて、小さいっすよ。」

「ほとんど倒れてて、刈るのに時間もカネもかかる。」

「バンガー1本少ない。」

「もう根っこまで枯れちゃってますよ。」

・・・などと

ぼやく声ばかりである。

IMG_0294やはり

夏期の日照不足と

秋はじめの台風の直撃と

その後の長雨の影響が

思いのほかひどかったようだ。

今年の十勝の畑作物は

ほとんどの作物で出来が良くないらしいが

デントコーンもその例外ではなかったのだ。

私がいつも往診に巡るときに見かける

多くのデントコーン畑の全てが

IMG_0296今年は元気がなかった。

台風によって倒された。

長雨でいつまでも放置された。

そのまま

茎が細く

倒伏から曲がりつつ穂を出し

茎や葉が茶色や紅葉したまま

枯れてしまっているのも多く見られた。

IMG_0301そんなデントコーンを

サイレージにすれば

収量が少ないばかりではなく

品質も悪いであろう事は

容易に想像できる。

やっとの思いで収穫したデントコーンの

バンガーサイロの蓋が開く来年には

どんなコーンサイレージが出来ているのだろうか。

IMG_0299牛を診る獣医師として

そこは非常に気になるところである。

今年はデントコーンと同じく

二番牧草も

同様の理由で

収穫量は少なく

品質も悪いようなので

来年の牛たちが食べる餌は

いったいどうなってしまうのだろうかと心配になるのである。

デントコーンサイレージと二番牧草は

一番牧草と並んで

牛たちにとって非常に重要な粗飼料

すなわち主食になる。

それが不味く

たくさん食べられず

また、食べても栄養価が低い

ということになれば

来年の

牛たちの

健康状態は

今年よりもいっそう

悪化するのが

目に見えているではないか・・・


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「舌切り仔牛」の正念場

Ф牧場のスタッフのK君から相談を受けた。

「生まれる時に、舌を噛み切られた仔牛なんですけど・・・」 

「あーあれね。どうなった?」 

「ハッチ飼いから、育成の群に入れたんです・・・」 

「うん。どう?」 

「群に入ると・・・」 

「・・・。」

「元気がないんですよ・・・」

「・・・。」

「食い負けちゃうんですよ・・・」

「うーん、食べれないの?」 

「いえ、食べてはいるんですけど、遅いんで・・・」 

「競争に負けちゃう?」

「そうなんですね・・・ペースが合わないみたいで・・・」 

「ハッチで1頭にしたら、普通によく食べるんですけど・・・」

「そっかー、負けちゃうか。体格は、どう?」

「普通に大きくなっているんですけど、他のやつと一緒にすると・・・」

「見劣りする?」

「そっすねー、やっぱりちょっと小さいかなー・・・」

「今はどうしてるの?」

「しょうがないんで、またハッチに戻して1頭で飼ってるんです・・・」
 
「あーこの牛だね。」

「はい・・・こうしてれば、普通に食べるんですよ・・・」 

「ちょっと口の中、見せてくれる?」

IMG_0208「はい・・・」

舌切り仔牛の口の中には

切られて短くなった舌があった。

その舌の先の傷跡は

きれいに治っていたが

その舌は

仔牛の口の外にはまったく出てこないほど

短いものだった。

「でもよくこれで、食べてるよね。」 

「そうなんですよ、見た目は変わりなく、食べてるんですけど・・・」 

「でもどっかが違う食べ方、なんだろうね。」 

「なんですかね・・・」 

「もうしばらく1頭で飼うしかないか。」

「そうですね・・・もうちょっと大きくなればいいかなって・・・」

「なんとか、もう一回頑張って。」

BlogPaint「もう少し大きくなれば負けなくなると思うし・・・」 

「うん。」

「群に入れる時の頭数も・・・もっと少ないところから始めようかって・・・」

「そうだね。ぜひ、やってみて。」

IMG_0209「はい・・・」

私はФ牧場のスタッフのK君の

この牛に対する

あたたかな思いを感じた。 

育成の仔牛達は、ある日突然

1頭飼い、から

群飼い、へ

という
「競争社会」へ放り込まれる。

育成の仔牛達は

そこで、誰もが正念場を迎えるのだ。

そこでは、強い仔牛と弱い仔牛、という格差が生まれてくる。

そのなかでも特に、この舌切り仔牛は

どうしても、食い負けてしまう

いわば「社会的弱者」である。

そんな社会的弱者でも

ちゃんと育つことのできる牧場には

K君のような心優しいスタッフが

必要なのだと思った。


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仔牛の臍帯炎

「仔牛のヘソが腫れている・・・」

という症例は日常茶飯事である。

仔牛のヘソの腫れ(いわゆるデベソ)で、先ず、

鑑別しなければならないのは 、

それが臍ヘルニアなのか?

それとも臍帯炎なのか?

である。

ヘルニアは先天的なもので

触診をすると、必ずどこかに

腸管が出てくる穴(ヘルニア輪)がある。

小さなもの(指2本以下の輪径)はそのまま放置しても治る。

大きなもの(指3本以上の輪径)は 圧迫処置をした方がよく

それ以上のものは外科手術の対象になる。

ヘルニアかどうかの診断は、触診の経験を積めば

それほど難しいものではない。

では

ヘルニアではないデベソの場合

すなわち臍帯炎は 

後天的な感染症である。

触診をすると

ヘルニアとは違って波動感がなく硬い。

ヘルニア輪は存在せず

軽く握ると必ず痛みがある。

感染症なので熱発や哺乳不振が見られる。

臍帯炎の初期段階は 

それで簡単に診断できる。

ところが

臍帯炎の症状が急性期を過ぎ

臍帯に膿瘍を形成してしまうと

臍ヘルニアとの鑑別が難しくなってくる。

外見はいずれも大きなデベソであり

触ると波動感がある。

熱も平熱に下がり、食欲もある。

IMG_0221こういう時は

デベソの部分の超音波検査をすればよい。

しかし

超音波装置は常に持ち歩いていないので

IMG_0223急に追加で診断をする時にはそれも使えない。

先日の〆さんの仔牛はそんな状況だった。

「急にデカくなってきたんだよね・・・」

〆さんのその言葉で私は大体見当がついた。

これは後天的な臍帯感染から

IMG_0224臍帯の膿瘍が形成され

それが急激に肥大化した可能性が高い。

触診をしてみると、波動感がある。

しかし、ヘルニア輪のような穴はない。

「針を刺してみるね。」

私は患部に、注射針を刺した。

IMG_0227注射器に膿汁が入ってきた。

「これは化膿してる、切って出した方がいい。」

私は早速

仔牛を鎮静剤で寝かせて

患部にメスを入れて切開排膿した。

IMG_0228切開創の中を消毒液で洗浄して

ヨーチンをスブレーして

抗生物質と鎮静剤の拮抗剤を打って

切開手術を終了した。

後日

IMG_0252膿汁の培養検査の結果が来た。

Proteus (3+)

E.coli (大腸菌)(3+)

ということだった。


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若牛のキック!(◎_◎;)

ここ半月のあいだに、

私は、若牛(ホル育成牛)のキックに見舞われた。

IMG_0237それも立て続けに、

先週は左足の太ももを、

昨日は右足の太ももを、

どちらも、

家は違うが、

ホルスタインの育成牛の、

繁殖検診をしている最中だった。

最初の左足の時は

妊娠マイナスの牛の治療のために

シダー(膣内貯留型黄体ホルモン剤)を挿入しようとして

後ろに近づいた途端

その牛が後ろ蹴りを放ち

IMG_0236私の左太ももをヒットした。

膝の皿の上の筋肉だったから良かったものの

しばらくは歩行困難に陥った。

その痛みと傷が癒えないうちに

昨日

別の家でホルスタインの育成牛の

繁殖検診をしようと

ある牛の肛門へ手を入れようとした瞬間に

その牛の右隣の牛が

左後ろ回し蹴りを放ち

IMG_0235私の右太ももをヒットした。

これもまた

膝の皿の上の筋肉だったから良かったものの

しばらくは歩行困難に陥った。

幸いにどちらも

軽い打撲で済んだようで

一夜明けた今朝は

普通に歩行ができるようになった。

牛から、立て続けに

こんなキックを連続で見舞ったことはなかったので

油断したというか

歳を感じるというか

情けない気持ちが先に立つ。

同僚の獣医師たちに迷惑をかけたらそれこそ大変だ。

私の注意不足が

最大の原因であり

ちゃんと保定をしてもらわないうちに

牛にちゃんと声もかけずに

不用意に近づいた私が悪く

弁解の余地はほとんどない。

しかし

一言だけ言わせてもらいたいことがある。

それは

最近のホルスタインの育成牛は

人に馴れていないのが

多くなったのではないだろうか。


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「酪農音頭」!

新聞をぱらぱらとめくっていたら、

「酪農音頭」という文字とともに、

「豊栄会」という文字が 、

私の目に飛び込んできた。

私が以前、診療に回っていた十勝南部広尾町の、

酪農婦人の皆さん方のグループ「豊栄会」が、

「酪農音頭」なるものを作詞作曲して

JAの感謝祭の場で披露した

という記事を見つけたのだ。 

IMG_0171「豊栄会」の皆さんは

相変わらず

とても元気で

またまた今回も

面白いことをやっているなー

と、記事を読みながら

思ったのだ。

記事からその「酪農音頭」の

歌詞の1番を抜粋してみると・・・


 〽︎ ギューっと搾った牛乳飲んで

   今日も1日元気良く

   モーって鳴いてるあの子にこの子

   のんびりと

   日高山脈見渡せば

   夢は広がる広尾町

   べーべーべー

   トンと十勝は

   べーべーべー


   サイロサイロサイロ

   広い緑のこの大地

   酪農音頭でべーべーべー 〽

 いやー

素晴らしい!

こんな感じで、何番も続くらしい。

IMG_0205歌詞を読んでいるだけで

なんだかウキウキして

元気が出て来るではないか!

でもじつは、私はまだ

この「酪農音頭」の歌詞を読んだだけであり

この「酪農音頭」の メロディーをまだ聞いていないし

また「酪農音頭」の振り付けもまだ見たことがない。

You Tube などで探してみたけれど

まだアップもされていないようだ。

いつかぜひ、CD版・・・

あるいは

振り付け入りのDVD版・・・

などが発売されることを期待している。

そして、この

「広尾町・酪農音頭」が

地元に根付き、愛され

十勝管内へ、全国へ、と

知名度を高めて行くことを

心から願っている。

豊栄会の皆さん

今回も存分に楽しんで

頑張ってくださいね。

久しぶりに「豊栄会」の名を聞いて

私は、とても嬉しくなりました♪

d19e2400今からちょうど5年前に

皆さんと一緒に撮った写真を

再び貼り付けて

豆作からの応援メッセージとしたいと思います♪ 


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牛は放線菌症で採食困難になるのだろうか?

およそ3年ほど前に、

「牛の放線菌症に思うこと」

と題して、ブログの記事を書いたことがある。

それを抜粋してみる・・・

比較解剖学者の好著「ウシの動物学」(著者・遠藤秀紀)によれば
『ウシの採食メカニズムは、進化史上の最高傑作に映る。それは、まるでヒトの大脳皮質をみるときのような"神の創り給うた"究極の構造だ。』
『・・・けっきょく、ウシをして草地の覇者たらしめる一因をここにみることができる。』
などと書いてある。
そのウシの採食メカニズムの主役こそ
歯と舌である事は言うまでもない。
そんな、ウシにとっての重要な器官である歯と舌を
我々はあまり治療する事が無いというのは
それだけ牛の歯と舌というものが
強靭で故障の少ない最高傑作だ、ということなのだろう。
ただ・・・
ウシの歯や舌に直接の故障が無い反面
よく故障が出る場所がある。
顎(あご)である。
上顎も下顎も、どちらも
よく腫れるのである。
腫れの原因として最も良く知られているのは
放線菌の顎への感染である。
おそらくは強靭な歯の根元から
放線菌が顎の骨へと侵入して増殖し
炎症を起こして、硬い腫瘤を作り上げる。
その腫瘤は、バスケットポールくらいの大きさになるものさえ有る。
ここでもなお、驚くべき事は
そんな大きな顎の感染腫瘤ができて居ながらも
ほとんどの牛達は
食欲が落ちもせずに、歯と舌を
相変わらず毎日休み無く動かしては
採食と反芻を、一日中行っているのである。
歯の痛みは無いのか、心配になるのだが
巨大な腫瘤を抱えていても、特に痛くもなさそうに
草をムシャムシャ食べ続ける牛がほとんどなのである。
飼い主さんが心配して、電話をくれるのはそんな時だ。
「なんだか顎が腫れて来たんだけど、ちょっと診てくれる?、食欲は有るんだけど・・・」
放線菌症の時の稟告は
大抵、こういう内容である。
そして、その治療といえば
ただペニシリンの筋肉注射のみ、数日間
と相場が決まっていて
牛の口を開けて、歯や舌に直接治療を施すようなことは
まず、ほとんど無いのである。

BlogPaintそして今

牛の臨床獣医師を30年ほど続けて来て

あらためて放線菌症の治療経験を

振り返ってみて

思うのは

放線菌症で採食困難になった牛を診たことがあっただろうか?

ということだ。

BlogPaint教科書には

アゴの腫れを放置していると、いずれは採食困難になる

と書いてあるが

実際の私の経験に照らし合わせてみると 

アゴの腫れを放置している牛はかなりの数にのぼり

それらは皆、採食困難にはなっておらず

放線菌症の採食困難で死亡した牛や

放線菌症という病名で共済の3号廃用になった牛を

私は思い出すことができないのである。

放線菌症で

採食困難になって

死亡したり廃用になったりした症例を

ご存知の方は

ぜひ教えていただきたいと思う。


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嵐の中の子宮捻転

当直ではない普通の日の深夜に、

私の携帯電話が鳴った。

その日の夜当番をしている先輩獣医師Sさんからだった。

「帝王切開、手伝ってくれる?」

「はい・・・。」 

「子宮捻転で、直らないのさ。」

「わかりました。」 

当直以外の日の夜中に、

往診や手術の応援に出かけて行くことは、

年に必ず数回はある。

その内訳で最近もっとも多いのは

牛の帝王切開手術の助手である。

帝王切開に踏み切る理由はいろいろあるが

その中でも、子宮捻転というのは

理由として最も多いものの一つである。 

この日の夜は

子宮捻転星からのレーザービームがS獣医師を捕らえ

その反射光が、家で寝ていた私の顔を照らしたのだった。

診療所に牛が運ばれて来たのは0時を回っていた。

IMG_0130それからSさんと

飼主の〓さんにも手伝ってもらいながら

大きな♂の仔牛を摘出。

仔牛は無事だった♪

IMG_0132〓さんの家畜車の荷台には

懐かしいリヤカーがあった。

そのリヤカーを手術室に入れて

大きな仔牛を積んで帰って行った。

IMG_0133前回の記事で

最近、子宮脱が立て続けに3件発生したと書いたが

じつは、子宮捻転もこれで2件目。

8月末から台風が何度も襲来し

荒れに荒れているの十勝の空の

雨雲の遥か向こうには

子宮脱星と

子宮捻転星が

不気味な輝きを

増しているように思える。

皆さんのところはいかがですか・・・?


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嵐の前の子宮脱

台風10号は十勝地方に大きな爪痕を残し、

1週間近く経った現在でも、

行方不明者が見つからず、

交通機関は寸断されたままで、

大変な事態が続いている。

それでも私の身の回りは、

幸いにも甚大な被害は至らず、

普段の生活を送ることができている。

そんな、特大の嵐が十勝地方にやってくる頃の

8月末から9月初めにかけての数日間に

我が診療地区の牛達に

子宮脱が3頭も発生した。

そのうちの1頭は、私が遭遇した。

朝の往診を振り分け

獣医師達が皆準備を終えて出発し始めた頃

「今朝産んだ牛の子宮が出てきた!」

という電話が酪農家の▼さんから掛かってきた。

それが、たまたま私の回る予定の地区だったので

私が ▼さんに行くことになった。

IMG_0026子宮脱星の大魔王は

私のことをなかなか解放してくれないようだ・・・

とりあえず牛舎に行くと

産んだ後で、子宮の脱出した牛が座っていた。

最近私はこういう場合

すぐに子宮脱整復に取り掛からず

血液を採取して

カルシウム剤500mlを1本投与することにしている。

そうしながら、お湯や板や踏み台やらの

整復の準備を飼主さんにしてもらいながら

IMG_0028牛の状態をよく観察する。

カルシウム剤を打ち終わってから

おもむろにカッパを着て手袋を履いて

自分の整復準備に取り掛かる。

このブログで何度も繰り返し書いている通り

子宮脱になっている牛は

私の調べている限りでは

全ての牛で血中カルシウム濃度が低くなっている。

今回もそれを予想し

まずは牛の全身症状を改善してから

牛を吊起して起立させて 

その後、子宮の整復に取り掛かった。

IMG_0029子宮は意外に簡単に

腹腔へ納めることができた。

子宮内感染を抑えるために抗生物質を投与し

整復した後は怒責による再脱出を予防するために

ビューナー針と包帯を用いて

外陰部の巾着縫合をした。

翌日

血液検査の結果かが送られてきた。

BlogPaint血中Ca濃度は

5.0 mg/dl

予想通りの低値だった。

8月末の

大きな台風がやってくる頃の

およそ1週間くらいの間に

立て続けに3頭

我が診療地区の牛が子宮脱を起こした。

子宮脱の発生要因として

低カルシウム血症もさることながら

台風の接近

あるいは低気圧の接近も

その要因として考えられる

と感じている獣医師は

きっと

私ばかりではないだろうと思う。

皆さんのところの牛達は

いかがでしたか?


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素晴らしくおいしい牛乳

私のブログを読んでいただいて、

たびたびコメントも寄せていただいている、

酪農家の⌘さんという方がいる。

その⌘さんのおすすめの牛乳を、

思いがけず、先日贈っていただいた♪

この牛乳をご存知の方も多いかもしれないが、

Creamery農夢(クリーマリー・ノーム)という

旭川の農場で生産している牛乳である。

IMG_2137この牛乳は、

飼い方にこだわった少数の乳牛から搾乳された

素晴らしい牛乳だった。

この牛乳とともに同封されている一文を

ここにちょっと抜粋してみる。

「最近、家畜たちは産業動物と呼ばれるようになってしまいました。農畜産物を工業製品と同じように大量生産すれば、生産コストを下げることはできるでしょう。でも、『生き物を機械と同じように扱っていいのかな?』と思うのです。例えば、一生牛舎に繋がれたまま年1回のお産を強制され、乳量を増やすために高蛋白質の飼料を給与され、元来持って生まれた寿命を全うできない生活を強いられています。ちょっと休ませてあげればまたお産をしたり乳を出せるのに、現状の採算ペースからはずれた牛はすぐに廃用牛として屠殺されてしまいます。私達は、そのようなストレスの多い産業動物から生まれる食べ物と、ストレスの少ない可愛がられた家畜から生まれる食べ物とは違うと考えています。」

この牛乳はもちろん

ストレスの少ない可愛がられた牛から搾られた牛乳である。

その牛たちは実際

5〜6頭の少頭数で、できるだけ繋がずに飼育され

搾乳も一頭一頭専用の搾乳室に入れて温水シャワーで乳房を洗浄し

仕上げに消毒した布巾を使って乳頭を拭いて搾乳しているという。

理想的なことを口で言うのは簡単だが

実際にそれを実践して

その理想的な牛乳を毎日生産し

それを我々の目の前に製品として提供するというのは

なかなかできるものではない。

そんな素晴らしい牛乳を

実際に飲む機会を作っていただいた⌘さんには

心から感謝を申し上げたいと思う。

では

実際にこの牛乳を飲んでみて

どうだったか、というと

これが、素晴らしくおいしい牛乳だった♪

低温殺菌(65℃・30分)の生乳なので

最初の口当たりはあっさりとした感じ

口に含んでいるとじわーっと味が出て

ゴクリと飲み込んだ後には

深いコクがいつまでも口の中に残った

それは生クリームを舐めた後のような

なんともいえない暖かさと優しさがあった。

IMG_2136たまたま家には

市販の牛乳パックもあったので

それと飲み比べてみると

その違いは歴然としていた。

市販の牛乳の味は

飲み慣れているとはいえ

この、クリーマリー農夢の牛乳の

深い味わいとは全く違った

薄っぺらい味に感じた。

最も大きく違うと感じたところは

市販の牛乳が

「食事の脇役」に過ぎない味なのに対し

クリーマリー農夢の牛乳は

「食事の主役」の味がした

というところだ。

この牛乳を飲んでいると

他には何もいらない・・・

そんな感じがするのだ。

栄養分が壊されずに全てが揃っているような味

さらに乳牛の母性や愛情さえ感じる味

まさに完全な食品・・・

牛乳という飲み物は

本来そういうものである

ということを再認識させられた

素晴らしくおいしい牛乳だった。


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育成和牛の起立不能(5)

今回の記事の(1)〜(4)で、

神経麻痺の育成和牛の起立不能症を、

2ヶ月以上もに渡って治療し、

なんとか助けようと頑張った様子を書いてきた。

IMG_5802飼主の○さんは、毎日毎日

この立てない牛を

一生懸命に介護して

本当に頭の下がる思いだった。

私たち獣医師もその熱意を感じて

粘り強く治療に当たったのだった。

しかし

結局治癒させる事ができず、

廃用にして殺処分としてしまい、

飼主の○さんも我々獣医師も

大変悔しい思いをしたのだった。

ただ

ここに及んで

ちょっと冷めた目で

冷静に考えてみると

これだけ頑張って育成和牛の治療に励む事ができたという

その背景には

肉用牛の市場価格の高騰、という事情があったのは

間違いのない事だろうと思う。

もし治癒させることができたならば

共済廃用の保険金などよりも

はるかに高い金額で牛を売る事が出来るからだ。 

先日の北海道新聞の記事によれば

十勝産の肉用牛の価格はもう4年連続で過去最高を更新しているらしい。 

どうしてそんな事になっているかというと

肉用牛は依然として全国的に不足しているからなのだそうだ。

特に本州の肉用牛の生産が落ち込んでいるらしい。

肉用牛が全国的に不足している中で

十勝の肉用牛の生産はそれほど減ってはいないので

今や十勝の肉用牛の市場価格が高騰し続けているのだそうだ。

IMG_5899





その煽(あお)りを受けているのが

乳用牛のホルスタインである。

今や多くのホルスタインのメスのお腹の中には

ホルスタインではなく和牛やF1が受胎している。

ホルスタインの親からホルスタインの子牛を取るよりも

和牛やF1の子牛を取ったほうが断然高く売れるからだ。

そんな状況が長く続けば

ホルスタインの後継牛が不足してくるのは当然で

今や、日本全国で不足しているのは

肉用牛の和牛やF1ばかりではなく

乳用牛のホルスタインも不足し始めているのだ。

日本全国牛不足・・・である。

本州の肉用牛生産者や酪農家は

廃業に歯止めがかからないらしい。

牛の畜産家の戸数は、他の農業と同じく

急速に減っているらしい。

日本全国農業者不足・・・である。

さらに、戸数の減少に伴って

残った畜産家の規模の拡大化が進み

牛の多頭飼育化が進む。

政府はこういう多頭飼育化を推奨している・・・のである。

牛の多頭飼育化が進めば

牛1頭1頭に対する人の監視力が低下し

牛の健康状態は悪くなってくることは

以前に私は何度も書いている。

牛1頭1頭に対する人の監視力が低下し

牛の健康状態が悪化すれば

牛は早く死ぬようになり

牛の廃用も増える、すなわち

牛の寿命が短くなる。

牛の寿命が縮まれば

牛の数はますます減ってゆく。

牛の数が減れば

牛の価格はますます高騰する。

これから

日本の牛はどうなってしまうのだろう・・・

(このシリーズ終わり)


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育成和牛の起立不能(4)

78日という日数が経過していた、

育成和牛の起立不能症。

治療を開始してから42診目の朝、

飼主の○さんが重い口を開いた。

IMG_5801「あの・・・」

「・・・。」

「昨日までは、尻尾を持ちあげて手伝ってやると立ったんだけど、今日はもうそれをやっても・・・」

「どうやっても、立てなくなっちゃいましたか。」 

「うん・・・」 

「そうですか。」 

「立つことさえできれば、水や餌のところへ行っていたんだけど・・・」

「立てないんじゃ、行けないですよね。」

「だんだん、食わなくなってきたんだよね・・・」

「そうですか。」

「水もあんまり飲まなくなっちゃって・・・」 

「そうですか。」

「もう、ちよっとこれは・・・」

IMG_5802「・・・うーん、そうですね。」

「・・・。」

「・・・諦めますか?・・・。」 

「うん・・・そうしてもらえるかな・・・」 

 42回も診療に通っていると

飼主の○さん夫婦はもちろんのこと

我々獣医師の方も

この牛に情が移っていて

この牛の廃用処分決定を下すのは

とても辛いものがある。

しかしここまで来て

好転せずに、むしろ少しづつ

症状が悪化をしているのであれば

致し方ないのだった。

IMG_5800「やるだけやったから・・・」

と○さん。

「頑張ったんだけどね・・・」

と奥さん。

「じゃあ、連合会に電話して、廃用の認定してもらいますね。」

回復に向けての治療という方針から

頭の中を180度切り替えて

廃用すなわち殺処分という方針へ向けて

私は粛々と手続きを始めた。

病名は坐骨神経麻痺。

この牛は治療の間ずっと食欲旺盛だった。

それを飼主の○さん夫婦はずっとサポートし介護していた。

最後は、食欲が落ちてきたといっても

それは内臓に疾患があったわけではなく

足腰が立てなくて食べに行けないだけだった。

最後まで鼻は濡れ

目は普通に輝いていた。

合掌

・・・

ちなみに、この牛の

筋肉の損傷を示すと言われるCK値は 

初診時は 1520  U/L

終診時は 983  U/L

数値だけ見た限りでは

筋肉の悪化はしていなかったようだ。

(この記事もう少し続く)


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育成和牛の起立不能(3)

「立てるようになっていたあの牛なんだけど、また立てなくなってしまって・・・」

そんな電話が○さんからかかってきたのは、

その牛が治癒したと判断して治療を中止してから

19日が経過した日の朝だった。

往診してみると、

立つ気持ちはあるのだが、

起立することができない。

「市場の日だったんだけど、帰ってきて見たら、背中が汚れてて立てなくなって・・・」

「他の牛に乗られたんですかね。」

「一緒にしたんで、きっとそうなんでないかな・・・」 

「それまでは、隔離してたんですか。」 

「うん・・しばらくそうしてたんだけど・・・」

「弱いから、やられちやったんですかね。」

「うん・・・元の場所に戻すのが早かったのか・・・」

「手伝ってやれば立てるんですか。」

「そう、尻尾を持ってやればね・・・でも前足が踏ん張れなくなってて・・・」 

「右の前足、ちょっと曲がってますね。」 

「そう。そこが踏ん張らなくて、コロッと転けてしまって・・・」

「うーん。また電気針やってみますか。」

「それで良くなるのであれば・・・」

「やってみないと判らないけど、ここまできたら、頑張ってやってみましょうか。」

「はい・・・お願いします・・・」

IMG_5728かくして、再びこの牛の電新針治療が始まった。

毎日、天平ー百会、左右気門、20分

27診目から32診目まで通電。

尻尾を持ち上げる介助をすればなんとか立てる。

しかし

右前肢の踏ん張りが、うまく利かないので

33診目の電針治療からは

IMG_5732左右気門の経穴から

右肩関節周囲の経穴へ変更して20分通電した。

また、このころから

体の腕節や飛節や大腿部に

褥創ができ始めたので 

IMG_5733感染症を恐れて

抗生物質(ペニシリン)と解熱鎮痛剤(スルピリン)の併用を始めた。

そして、37診目 。

「右の前肢は、踏ん張りが効くようになってきたみたい・・・」

「そうですか。」

「でも、やっぱり後肢が上がらないんで・・・」

「尻尾を持って、手伝わないと立ないですか。」

「そうなんだよね・・・」

そこで、 38診目からは

再び、通電する経穴を天平ー百会、左右気門、へ戻し

20分通電を続けることにした。

抗生物質し解熱鎮痛剤は相変わらず毎日継続投与した。

そして

IMG_579942診目・・・

治療を開始してから

実に

78日という日数が経過していた。

「あの・・・」

「どうしました・・・?」


(この記事続く)



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育成和牛の起立不能(2)

前回の記事の起立不能の和牛は、

昨年の7月15日生まれだった。

初診は今年の4月26日で、

不慮の事故で起立不能となった。

生後約8ヶ月齢での出来事だった。

補液や消炎鎮痛剤や神経賦活剤といった薬剤による内科治療を、

10診続けたが効果はほとんど見られなかった。

11診目から治療方針を変えて

理学療法、すなわち経穴への針治療に切り替えた。

IMG_5428経穴に刺入した針にパルスの通電を施し

それを毎日20分程度続けた。

経穴に刺入した電針の通電治療を始めて

1週間目の17診療日に

なんとなく自力での起立意欲の高まりと

後肢の筋力の回復が明らかになり

翌日の18診目には

飼主の⚪︎さんが少し尻尾を持ち上げて介護すると

IMG_5431立ち上がる様になった。

こうなると、⚪︎さんの介護の意欲も当然高まってくる。

それからは毎日、起立補助と

歩行の訓練が開始された。

毎日、経穴への電針治療を続けながら

IMG_5694起立介助を施し続けていると

牛の起立時間は少しずつ伸びていった。

後肢の球節にナックルは残るものの

起立姿勢も改善し

とうとう自力で立てるようになった。

歩様も、蹌踉ながら一歩一歩進む様になった。

IMG_5520自力でなんとか水場と飼槽へ

たどり着ける様になったところで

一旦治療を中止して

様子を見ることにした。

様子を見ることにした日は、6月3日。

IMG_5696初診からじつに1ヶ月以上経過していたのだった。

今回の症例は

四肢の神経麻痺の起立不能症に対して

経穴への電針治療の効果を確認できた症例と言える。

それから約20日間 

畜主の⚪︎さんからは何の連絡もなく

この育成和牛は

めでたく治癒となった・・・

と・・・

思われたのだが・・・


(この記事続く) 


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育成和牛の起立不能(1)

初診時(第1病日)、

稟告、「昨日、除角をした後、転倒した。その後起立するも、後肢の運びが悪く跛行を示していた。 本日朝、立てなくなった。」

上診時、起立不能。

T38.5  P90  R 20、食欲不振、起立意思あるも立てず。

筋炎および神経麻痺を疑い、

リンゲル等補液、ビタミンV1剤、解熱鎮痛剤、副腎質ホルモン剤、などを投与。

 第2診目

起立不能。吊起するも崩壊する。食欲は回復傾向。

リンゲル、ビタミンB1、解熱鎮痛剤投与。 

第3診目

起立不能。吊起するも後肢に力が入らず。食欲あり。 

リンゲル、ビタミンB1、解熱鎮痛剤投与。 

第4診目

起立不能。吊起するも後肢に力が入らず。食欲あり。 

リンゲル、ビタミンB1、解熱鎮痛剤投与。 

第5診目

起立不能。起立意思あるも、這いずり回るのみ。食欲あり。 

ビタミンB1、解熱鎮痛剤投与。 

第6診目

起立不能。後肢麻痺。食欲あり。 

ビタミンB1、解熱鎮痛剤、投与。 

第7目〜10診目

起立不能。症状変わらず。 

ビタミンB1、解熱鎮痛剤、投与。 

第11診目

IMG_5427起立不能。症状変わらず。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)を開始する。

ビタミンB1、解熱鎮痛剤、投与。

第12診目〜17診目

IMG_5429
起立不能。症状変わらず。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。



第18診目

IMG_5430起立不能も

畜主の介助により後肢を踏ん張るようになる。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。 

第19診目

IMG_5431畜主の介助によって起立したとのこと。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。 



第20診目

畜主の介助によって起立。両後肢ナックル。歩行不可。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。 

第21診目〜24診目

IMG_5519畜主の介助によって起立。両後肢ナックル。

歩行不可も、起立時間延長する。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。 

第25診目

往診時、自力で起立。歩行は困難。経過観察。


(この記事続く)

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ニコイチ去勢・普及順調♪

先日、オホーツクNOSAIの同僚のT獣医師から、

「あの、牛の去勢に使う捻転棒、分けてくれないか?」



という問い合わせがあった。

「それならね、今は帯広のMPアグロさんが取り扱ってくれているから。」

 「そうなん?」

「うん。俺はそれを売る資格持っていないから、俺からはもう売れないんだ。」

「わかった。聞いてみるわ。」

「よろしく。ぜひ使ってみてね。」 

こういう問い合わせが、

最近ぼちぼち来るようになった。

また、先日の和牛と馬の共進会の会場で

ブログをきっかけに知り合ったF獣医師から

「このあいだ、日高のH先生のところへ行った時、去勢を見せてもらったんです。

「そうですか。どうしてました?」

「そしたら、あの、ニコイチ捻転棒使われてました。

「そうですか。それはありがたい。」

「なんかもう、普通に使われている感じでしたよ。」

「それはよかった、嬉しいですね。」

「電動で回すよりも、加減ができるそうですね。」

「そうなんですよ。」

こういう話を聞かされると

ますます嬉しくなる。

牛にとどまらず

馬の去勢にも

このニコイチ捻転棒は

重宝しているらしい。

また、先日

S別地区のNOSAIの先輩獣医師からも電話があり

IMG_4073「安田君、あのねじり棒っていうのあるでしょ。」

「はい。」

「あの棒を1つ欲しいって言う人がいるんだけど、ある?」

「ウチには今はないですけど、帯広のMPアグロさんに問い合わせれば、売ってくれますよ。」

「あ、そうなの。わかった、聞いてみる。」

「よろしくお願いします。」

わずか半月足らずの間に

ニコイチ去勢の捻転棒の話や

その棒についての問い合わせが

全く別のところから

3件もあったというのは

この去勢方法が

順調に普及しつつあることを物語っているようで

嬉しくてたまらないのだった。

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誇るべき、日本の牛、日本の馬。

音更町の家畜共進会場で、

IMG_5849第47回十勝総合畜産共進会、

肉用牛の部、種馬の部、

が開催された。

私はこの日たまたま休日をもらっていたので、

前夜の激励会と、

当日の審査会を、

ゆっくりと拝見させてもらった。

ここで出品される肉用牛は全て、

黒毛和種である。

褐毛和種(いわゆる赤牛)の部も設けられているが、

やはり、日本全国的に

黒毛の需要が圧倒的に多いようだ。

その黒毛和種の

肉用牛としての改良レベルを

十勝全体で高め

上位に選ばれた牛たちは

さらに全道(全北海道)大会、全国大会へと

コマを進めることになる。

黒毛和種の生産は、世界の中でも

言うまでもく日本が最も盛んである。

IMG_5847他国の追随を許さぬ

世界のトップレベルの

誇るべき「日本の牛」の畜産と言うことができる。

ここが、実に

酪農業界のホルスタインの生産とは違うところ

であると思う。

同様に

馬の部に出品される馬たちは

全て、農用馬と呼ばれる重種馬である。

重種馬の生産目的は

もちろん、ばんえい競馬である。

ばんえい競走用の馬の生産の

改良レベルを

十勝全体で高めるのが

馬の部の共進会の目的である。

今や、日本の重種馬は世界のどこ馬よりも

大きく、太く、逞しくなっている。

それは世界でただ一つの

ばんえい競馬が存在しているからである。

それに供用される馬たちの改良は

言うまでもく日本が最も盛んである。

IMG_5848他国の追随を許さぬ

世界のトップレベルの

誇るべき「日本の馬」の畜産と言うことができる。

ここが、実に

軽種馬業界のサラブレッドの生産とは違うところ

であると思う。


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舌切り仔牛

おとぎ話の「舌切り雀(したきりすずめ)」は、

自分の怪我を治してくれたお爺さんの家の、

障子を張り替えるために使う糊(のり)のご飯粒を食べてしまう。

それを知った欲深いお婆さん(お爺さんの妻)の怒りを買い

お婆さんに鋏で舌を切られてしまい、

家から追い出されてしまう。

IMG_5417さて、今回

私が今から2ヶ月ほど前に診た「舌切り仔牛(したきりこうし)」の場合は、

酪農家のФ牧場の牛舎で今まさに生まれようとしていた。

キツいお産だったらしく、産道に頭が進入してしばらく止まっていたらしい。

その時、鼻先と舌を、膣の外へ覗かせたところを

運悪く、牛舎で餌を狙っている狡猾なキツネに見つかり

IMG_5415そのキツネに舌の先を食いちぎられてしまったのだ。

ここで

おとぎ話の「舌切り雀」の場合は

家を追い出された後

仲間たちと合流して普通に暮らしたことになっている。

舌を切断されたままで

普通に食事が出来たのか心配だが

どうやら問題なく

普通に採食ができていたようである。

では

今回の「舌切り仔牛」の場合は

どうなのだろう。

「・・・どうなんですか?」

Ф牧場のスタッフのK君が私に質問してきた。

「どうなんだろうね・・・。」

私も、じつはちゃんと答える自信がなかった。

「・・・ダメですか?」

「前任地のメガファームの仔牛がやっぱり舌を食いちぎられて、こんなだったのを診たことあるけど・・・」

「・・・どうでしたか?」

「その時は、うまくミルクが飲めないし、手間がかかるからって、「獣害」で廃用にしたはず・・・」

「・・・かわいそっすね。」

「うん・・・。」

「・・・この仔牛、バケツでやっておくと、いつのまにかなくなってるんで、飲んでるようなんですよ。」

「そうなんだ。それなら、なんとか自力でミルクのがぶ飲みして、育ってくれるかもね・・・。」

IMG_5700「・・・そっすね。」

この仔牛をよくみると

舌べらだけではなく

右耳の先端もちぎれてなくなっている。

狡猾なキツネの仕業に違いなかった。

それから約半月後

この「舌切り子牛」はミルクを難なく飲み干し

その隣にあるバケツ入りのスターター(仔牛用配合飼料)も

IMG_5416細かいところは食い残してしまうが

与えた分だけ、なんとか食べているようだった。

さらにその約1ヵ月後

「あの、舌切れた仔牛、どうだい?・・・」

「・・・あー、あれですか、普通っすよ。」

「ちょっと見せてくれる?」

「・・・はい。えーっと・・・どこに居たっけかなー」

Ф牧場のスタッフのK君も

例の仔牛がどこのハッチに入れられているか

わからなくなっていた。

という事は、つまり

他の仔牛と比べて、何の見劣りもなく

BlogPaint普通に餌を食べ

普通に育っているようなのだ。

「・・・あー、ここに居ました、これっすね。」

「ちゃんと食べてるかい・・・。」

「・・・大丈夫みたいっすよ、配合もきれいに食べてるみたいだし。」

配合飼料のバケツを覗くと

IMG_5704以前は

隅々に食べ残しがあった飼料が

今ではもう

ほとんど残さずに

きれいに平らげたあとだった。

「うまいこと食べるもんだねぇ・・・。」

「・・・どうやって食ってるんですかね(笑)」

おとぎ話の「舌切り雀」は

のちに

育ててくれた恩人のお爺さんに

宝物の入った小さな行李箱をプレゼントするのだが

今回の

この「舌切り仔牛」は

自分を育ててくれた恩人の

Ф牧場のスタッフのK君に

何をプレゼントしてくれるのだろう


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