北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

馬の診療

産後に発症したポニーの高脂血症(3)

この1年と8ヶ月の間に、

ポニーの高脂血症に3頭遭遇した。

症例1

症例2

症例3

そのどれもが、

治療に反応がなく、

発症後1週間以内に死亡した。

共通した初期症状の稟告に、

「口がよく動かない」

「水を飲みたがるがうまく飲めない」

という特徴的な症状の訴えがあった。

この3症例の採血をした時

その肉眼的な所見は

全ての血清で

著しい乳黄色の混濁

が見られた。

3症例の血液検査の値で

特徴的だった所見は


 中性脂肪(TG)

IMG_6903  3104 mg/dl  (症例1) 

  2293 mg/dl  (症例2)
 
  2254 mg/dl  (症例3)



  AST(GOT)

IMG_2383  13711 U/L   (症例1)

  10078 U/L   (症例2)

    8859 U/L   (症例3)



  遊離脂肪酸(FFA)

75004a2b  1.32 mEq/L (症例1) 

  2.37 mEq/L (症例2)

  2.45 mEq/L (症例3)



という

揃いもそろって

脂質代謝関係の

著しい異常値が見られた。

これだけの

特徴的な所見があるので

診断は容易である。

ところが

強肝剤

リンゲルや糖質の輸液

抗生剤の投与

副腎皮質ホルモンの投与

という

治療にほとんど反応がなく

全ての症例が1週間以内に死亡してしまい

治療が困難である。

診断のし甲斐はある症例だが

治療のし甲斐のない症例となっている。

3戦全敗であり

治療にほとんど良い所なく

完封負けである。

完膚なきままに打ちのめされている。

ポニーの高脂血症での

38f61780-s治癒例はないのだろうか?

良い治療法はないものだろうか?

的確に予防する方法はないものだろうか?


このブログをお読みたいいた獣医師の方で

心当たりのある方は

ぜひ教えていただきたい。

(この記事おわり)


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産後に発症したポニーの高脂血症(2)

死産した後に、

食欲が全く無くなり、

治療の前に採血をしたら、

その血液の血清が乳黄色に濁り、

高脂血症と肝機能障害が疑われた、

17歳のポニーの繁殖牝馬。

その血液検査の結果は

異常値のオンパレードだった。

特に目をひいたのは


 中性脂肪(TG)         2254 mg/dl

 AST(GOT)             8859 mg/dl

 遊離脂肪酸(FFA)   2.45 mg/dl



IMG_2384「・・・やっぱり・・・」

脂質の代謝障害が著しく

強い肝機能障害が見られ

極度の脂肪肝が疑われる数値だった。

採血した日の

血清の肉眼的な所見で

それは大方想像はついたものの

改めてこの数字を見ると

「・・・これはひどい・・・」

と思ってしまうのだった。

この結果を持って

飼い主の▽牧場へ再び往診に行き

IMG_2391内容を説明して

前日とほぼ同じ治療を施した。

翌日の3診療日も同様の治療を施した。

ポニーの症状は若干の元気が出たものの

食欲は全くなく水槽に口をつけるだけだった。

4診療日も同様の治療を施した。

食欲は全くなく水槽に口をつけるだけだった。

5診療日も同様の治療を施した。

食欲は全くなく水槽に口をつけるだけだった。

6診療日にも同様の治療を施した。

この日は朝から横臥してばかりだったので

馬を立たせてようやく枠場にいれて治療をした。

外陰部からは産褥性の悪露が出て

強い匂いが漂っていた。

食欲は全くなく水槽に口をつけるだけだった。

7診療日にも同様の治療を施した。

この日は馬がなかなか立たず

ようやく立たせても歩様がふらつき

治療中に枠場の中で寝てしまった。

8診療日に▽牧場へゆくと

この馬が朝死亡したことを

飼い主の▽さんから告げられた。

結局

治療には反応なく

発症後1週間で

死亡してしまった。


(この記事あと少し続く)


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産後に発症したポニーの高脂血症(1)

17歳の繁殖牝馬(ポニー)、

分娩予定日よりやや早く死産。

その3日後、

「餌をほとんど食べない、水を欲しがる。」

という稟告で上診。

胎盤は分娩直後に排出されたという。

IMG_2389T38.3 P60 R20

食欲はないが

腸の蠕動はしっかり聞こえていた。

産褥性の不調であろうということで

いちおうルーチンとして採血をし

抗生物質とリンゲル液とブドウ糖液を点滴した。

IMG_2390「腹の動きは普通に聞こえているから・・・」

それほど心配することではなさそうだと思って

初診を終えて

事務所に帰り

採った血液の

肉眼的な性状を見たら

「・・・これは・・・」

IMG_2383血清が乳黄色で不透明。

ポニーなどの小型馬に多く見られる

高脂血症が強く疑われた。

臨床検査センターで調べてもらう項目に

肝機能の指標を中心にして

血液検査を依頼した。

「・・・一昨年、高脂血症で死んだ馬と同じ性状の血清・・・」

検査結果は

センターから翌日送られてくるが

このポニーの治療は

そう簡単には行きそうもないな

という気分になった。

(この記事続く)


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カミナリ注意報

7月の中旬、

西日本の沖縄や九州や四国から、

梅雨明けの便りが届くようになってきた。

梅雨明け前には、

激しい豪雨になることが多く、

今年も静岡県の熱海などで、

土石流が発生して甚大な被害が出てしまった。

毎年

我が国のどこかで

この季節に

必ずどこかで

豪雨による災害が発生する。

近年は特に

その頻度が

高くなっているような気がしてならない。

北海道では

本州のような激しい梅雨明けの雨には

さほど見舞われないものの

この時期の気候の変化の激しさは

様々なことで感じることができる。

先日

梅雨前線が上昇した時

北海道上空に寒気が入り

大気が乱れて

カミナリが発生しやすくなっていた。

夜になり

予報通りに

積乱雲が発生し

あちこちで落雷があった。

我が町でも

稲妻と雷鳴が

頻繁に響き渡る時間があった。

そんな日の夜

馬産農家のさんから

「当歳がケガをした。」

という往診依頼があった。

IMG_2142着いてみると

首の部分を地面と水平に

約30僂砲錣燭覲綾ができていた。

このような切創は

牧場周囲に張り巡らされている

バラ線によるものであろう。

「いつもだったらバラ線なんかには近づかないんだけどな。」

IMG_2143さんはそう言うが

先ほどまで

上空には厚い雲と

あちこちに稲妻と雷鳴が

いくたびも響き渡っていたので

「たぶん、カミナリに驚いたんだべな。」

IMG_2145という結論になった。

傷をよくみると

正中に近いところが

もっとも深い傷になっていて

左側へゆくほど

傷が浅くなっていた。

暗いところで稲妻が光り

雷鳴に驚いてに走り出したところ

バラ線を首左側に引っ掛けてしまったのだろう。

IMG_2147治療は

暗いので

患部を車のヘッドライトで照らしながら

鎮静剤を打ち

簡単な毛刈りをし

切創の一番深い正中に近い部分の

IMG_2148筋肉内を縫い

そのあとに皮下織と皮膚を寄せ

抗生物質を投与するという

簡単なものだったが

あまり清潔に縫合ができなかった。

案の定

数日後に

漿液に混じって化膿汁も出て

縫った糸が緩み出てしまったようだ。

IMG_2149しかし

さらにその数日後には

傷がふさがり

化膿汁も次第に減少し

傷痕が次第に目立たなくなり

なんとか治癒してくれたようだ。


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数年に一度の「重種馬の帝王切開」(2)

「餌を全く食わなくて、体を震わせてるんだけど、大丈夫だべか・・・」

帝王切開をしたその晩、

約7時間後、

飼主の◯さんから電話がかかってきた。

「・・・わかりました、診に行きます。」

当番だった私は、

◯さんの要望にお応えして夜道を走った。

過去に帝王切開をした重種馬の中には

その晩に術創部が開いてしまった馬や

起立不能になってしまった馬や

出血多量で死んでしまった馬など

色々いたので

それを思い出すと

今回の馬も心配になってくる。

◯さんの家に到着して診察した。

T 38.5   P 82  R16

食欲廃絶、全身小さく震戦していた。

左後肢が腫れていた(これは術前から)。

「・・・とりあえず、点滴(輸液)しておきますね。」

「あーそうしてもらうと、安心だわ・・・」

「・・・後産残ってるけど、それは明日取ることにして、子宮洗浄もするから、明日のお昼頃また来ますね。」

「わかったよ、お願いします・・・」

リンゲルの輸液4リットルにオキシトシンを入れたものをセットし

私は帰路に着いた。

翌日

馬を枠に入れ

再び診察した。

T 39.9  P 80  R 20

熱発していた。

食欲なく、小刻みに震えているのは変わらず。

まず消炎剤を入れた輸液をセットし

尻尾をあげて

胎盤の用手除去を試みた。

まだ子宮壁に付着している箇所が多く

それをゆっくり剥がしながら全域を除去することができた。

その後、生理食塩水よりも高張に作った洗浄液で

子宮内を還流洗浄し

抗生物質を投与。

「・・・明日は俺、休みだから、誰か獣医が来ることにしておきますね。」

「わかったよ、頼んます・・・」

翌日

往診したT獣医師のカルテを見ると

「T 38.4  P 72  R 16

食欲漸増、術創やや腫脹も良好。」 

IMG_1890とあった。

その翌日

私は再び子宮洗浄のタンクを持って

◯さん宅へ向かった。

馬は牧場へ放されていた。

IMG_1892馬を捕まえて枠に入れて診察すると

T 37.9  P 72  R 14

食欲はさらに回復

子宮洗浄をすると

膣に茶褐色の粘稠な悪露があり

IMG_1889子宮は収縮しつつあり

内膜の状態はほぼ正常な手触りだった。

抗生物質を投与し

さらに3日間の抗生物質を薬治して

この馬の診療をいったん終えることにした。

IMG_1891術創の抜糸は

1週間以上後にして

その時に

この馬の子宮の状態も

再び診察することにして

◯さん宅を後にした。


(この記事とりあえず終わり)


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数年に一度の「重種馬の帝王切開」(1)

馬のお産のシーズンになった。

3月の末にもなれば、

かつては我が町でも毎日どこかで、

仔馬が誕生していたものだ。

私が就職した頃の我が町は、

重種の繁殖牝馬が300頭近くいた。

ところが

繁殖牝馬の頭数激減で、

いまや我が町の重種馬の、

今年の出産予定頭数は、

たったの10頭ほどである。

それでも

300頭近くもいた頃と同じか

それ以上の診療技術を

我が診療所内で維持し続けなければならない。

頭数減による診療機会の減少は

診療技術を若い世代へ引き継いでゆく

大きな障害になっている。

だが、それでも

引き継いでゆかねばならない。

これは我々老年?!の世代の獣医師に突きつけられた

重要な課題である。

先日の朝方

当番のT獣医師から連絡を受けた馬の難産は

「産道に足が一本しか来ていない。」

というものだった。

応援にかけつけて確認すると

どんなに手を奥に入れても

胎児の足は1本しか触れなかった。

その足を触診すると途中に飛節があり

後肢であることが判明した。

「逆子で、一本しか来ていないね。二本来てたら引き出せるんだけど、これは無理。」

「・・・ですよね。」

「帝王切開だね。」

「・・・そうですね。」

急遽、馬を診療所に運ぶことになった。

この日は土曜日で

出勤している獣医師の数は2.5人。

帝王切開をするとなれば

術者1人、助手1人、麻酔1人、の3人が必要である。

T獣医師はこの日休みの2名の獣医師に電話を入れて

手術要員獣医師3人を確保し

この日の手術以外の往診は

残りの獣医師2名で回ってもらうことにした。

IMG_1873馬が診療所に運ばれ

麻酔薬が準備された。

手術台に馬を横付けにし

ドミトールとケタミンを静注。

意識が朦朧として来たところで

手術台を倒して馬を寝かせ

IMG_1874アームに肢を固定。

その後は、生食+ドミトール+GGE+ケタミン

の点滴で全身麻酔を維持。

いわゆるトリプルドリップ法である。

術野は基本的に左の下けん部で

手で押して胎児にコツンと当たるところを選ぶ。

IMG_1875そこを約50兩擲して

腹腔に達したら

そこに子宮があり

胎児の頭部があり

その横に前肢もあった。

子宮を約40兩擲して

前肢と頭部を創口外へ

この作業が牛と違って馬の場合

足も頭部も非常に長いので苦労するのだが

今回は胎児の位置が良かったので

すんなりと露出させることができた。

前肢2本に産科チェーンをかけて

チェーンブロックで胎児を引き上げる。

IMG_1878「・・・生きてるか・・・」

緊張する一瞬だが

今回は残念ながら

胎児は既に死亡していた。

子宮を吸収糸で縫合し

抗生物質の入った生食でよく洗い

IMG_1876腹腔に収めて

腹膜を吸収糸で連続で縫い

筋層を吸収糸で連続で縫い

皮下織を吸収糸で連続で縫い

皮膚をナイロン糸で結節縫合した。

馬は縫合の途中で麻酔が覚めかけて

嘶き始めたので

トリプルドリップを新たに作って追注。

IMG_1877手術を終えたときは

馬はまだ意識がなかった。

それから次第に

麻酔が覚めて

約1時間後に頭を上げた。

その反動で創部から出血があった。

それから数10分後に

IMG_1879馬は立ち上がった。

心配した創部からの出血は

皮下織の浅い血管からだったので

縫合糸で簡単に止めることができた。

立ち上がった馬は

足元がふらついて非常に危険なので

注意して興奮させずにしばらく見守り

見守っている間にリンゲルなどの輸液をした。

輸液が終わる頃には

足元もしっかりして

目や耳の表情も普通に戻って

嘶きがうるさくなって来たので

ゆっくりと歩かせながら

家畜車の荷台へ誘導。

家畜車に無事に乗ったので

とりあえず

明日の再診を飼い主さんに約束して

手術を全て終了した。

朝の9時半に馬を運び入れ

馬が帰ったのは14時。

手術室の片付けが終わったのは

14時30分過ぎだった。


(この記事続く)


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ポニーの高脂血症(3)

ポニーの診療機会はさほど多くはないが、

今までに何度か、

高脂血症に遭遇してきた。

ポニー以外の馬では、

ドサンコ(北海道和種)にも、

それらしい症状が出たものがあったが、

それはポニーほどではなく

治療に反応して立ち直ってくれた。

今回のポニーの症例のように

血清の中世脂肪が著しく増加し

治療に殆んど反応なく死に至ってしまう

という症例は

いままでの記憶を辿ると

全てがポニーだった。

今回の死亡例は

昨年の春に他所から導入し

$さん宅で交配して受胎し

夏と秋と冬を$さん宅で過ごし

冬の終わり頃に発症した。

$さんの話によると

死亡した馬は元気がよく

他馬を押しのけて草を食べ

さらに草の良いところを選り好みして

ガツガツ食べるポニーだったらしい。

他所からの導入による

飼養環境の変化と

とりわけ旺盛な食欲が

仇になったようだ。

IMG_3424私の以前の経験だと

ポニーは太りやすいから

低栄養の質の悪い草をやっていれば良い


という世間の言い伝えを真に受けて

低栄養の草で冬季を養い

春の分娩の時期に

生まれた仔馬がことごとく不調で

親も感染症にかかりやすくなる

IMG_3422ということが多くあった。

その時も

他所から導入された個体が死亡する

という症例があった。

今回の件と合わせて考えると

質の良い高栄養な草を与えていると

高脂血症が多発し

質の悪い低栄養な草を与えていると

感染症が多発する


ということが見えてくる。

さらに重要なことは

質が良くても悪くても

高栄養でも低栄養でも

そのエサに長年慣れているポニーは

高脂血症にも感染症にもなりづらく

また

質が良くても悪くても

高栄養でも低栄養でも


他所から導入された馬は

高脂血症や感染症にかかりやすくなる。

ということが見えてきたことだ。

IMG_3421すなわち

飼養環境の変化

が引き金になっている

ということが見えてきたのである。

ポニーのような小型馬は

根強い人気があり

新しく導入した牧場や

導入を検討している牧場が

私の診療地区にも少なからずある。

「ポニーは粗食に耐える」

という世間一般の常識は間違いではない。

IMG_0173ただ

その常識によって

ポニーの飼養環境が

牧場ごとにまちまちで

与えているエサの栄養価が

数値化もされずに

大きく異なっている

というのが現状である。

したがって

飼養される牧場が変わる時

ポニーは大きなエサの変化に見舞われて

体調を崩すのである。

ポニーを自分の牧場に導入するにあたっては

導入前のエサと

導入後のエサとの

ギャップが激しくならぬように

十分注意しなければならないだろう。

ポニーのような

食欲旺盛な品種においては

「良い草から悪い草へ変わるギャップ」

が良くないのはもちろんだが

それに加えて

「悪い草から良い草へ変わるギャップ」

ということにも

十分注意しなければならないなのである。


(この記事終わり)


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ポニーの高脂血症(2)

食欲は不振ながらわずかにあり、

食べた物を飲み込めなくなったという稟告があり、

診察したら食道にも口腔にも異常が認められず、

体温38.2℃  心拍数60  呼吸数20以下で、

E977E7ED-B4C1-4C32-80C2-2C7E5E3D4E6F可視粘膜がやや暗色。

血液検査のための採血をしたら

血清が肉眼でも明らかに異常に

黄白色に濁っていた。

検査センターから送られてきた数値の中で

驚いた項目は

 GOT   10,078 U/L    (正常値の約30倍↑)

    TG(中性脂肪)    2293 mg/dl   (正常値の約20倍↑) 


IMG_1678だった。

その他にも

 総ビリルビン 4.1 mg/dl  ↑

    血糖  47 mg/dl ↓

など

肝機能の破綻を示唆する値が並んでいた。 

高脂血症による脂肪肝

肝機能障害と診断して

この日から連日

糖分の輸液や経口投与などの治療を開始した。

しかし

症状は改善せず

食欲は全くなくなり

横臥することが増え

20210206 及川恵子 馬 (002)発病の6日後には

起立不能となり

翌日の朝
20210206 及川恵子 馬 (002)
あっさりと死んでしまった。

病畜処理場の解剖の所見には

IMG_1721写真とともに

山田純三先生の筆で

「脂肪肝、腸間膜や腎周囲に多量の脂肪あり」

という記述があった。

アヒルやガチョウではなく

ポニーのフォアグラだった。  


(この記事もう少し続く)


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ポニーの高脂血症(1)

「餌をこぼして、食べることができない。食道が詰まってないだろうか?」

そんな電話で呼ばれた$牧場、

診たのは9才のポニー、

妊娠9ヶ月だった。

いつもより元気が無く

食べたものを吐き出してしまうらしい。

枠に入れて

鼻から食道へカテーテルを入れると

カテーテルの先端はは途中で止まることなく

胃の中に入った。

「・・・食道が詰まっていることはないですね。」

「そうかい。でも、なんだか匂いが臭くないかい?」

確かに、私もそう思ったが

とりあえず、食道梗塞ではないことで安心し

せっかくカテーテルを入れたので

それを使って胃腸薬を投与して

その日の診療を終えた。

カルテの病名は

とりあえず「胃腸炎」にしておいた。

翌日

「やっぱり口や舌がうまく動かないみたいで、食えないし、昨日より元気がない。」

という連絡で再び$牧場へ。

「歯は悪くないと思うんだけど、舌べらが麻痺してるんでないべか?」

と$さんが言うので

再び枠に入れて口を開けて

口の中の異常を探索したが

歯の異常な摩滅は確認できず

舌の異常も特に確認できなかった。

ただ、やはり食べたものを

ちゃんと飲み込めない嚥下障害があるらしく

口の中には咀嚼した草が溜まっていた。

「・・・口は何ともないみたいですね。血液を採って調べてみますか。」

「お願いします。」

口の中を診たとき

口腔の粘膜の色がなんとなく

暗い色をしていたように感じた。

採血をして

食欲がないので

栄養の補給の意味と

便が少なく鹿のような糞をしていたので

脱水の改善の意味をこめて

リンゲルとブドウ糖の補液をして

その日の診療を終えた。

E977E7ED-B4C1-4C32-80C2-2C7E5E3D4E6F事務所に戻って

採った血液を見ると

写真のごとく

血清が黄白色で

不透明に濁っていた。

・・・これは・・・

私はここではじめて

高脂血症を強く疑った。


(この記事つづく)

 
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ポニーの口内炎??(3)

いまだかつて、

ちょっと経験のない場所に出来た、

ポニーの歯肉の腫瘍。

口を開けてすぐの、

上顎の切歯の歯肉だったというのは、

不幸中の幸いだったかもしれない。

イージーカットのゴムリングを装着した日から

数えて1週間もたたない日の朝に▽さんから

「あの馬の口から何も出なくなったので、取れたみたいです・・・」

という知らせが来た。

「・・・そうですか。早いですね。血が出てるとか、大丈夫ですか?、取れたほう、ありますか?」

「馬はすごく元気で、大丈夫です。でも、取れたやつは草の中に紛れて見当たらないです。」

「・・・そうですか。そしたらそのうち一度診に行きます。上顎の写真だけ撮らせてください。」

IMG_1509「はい。」

イージーカットのゴムリングをつけたのは

昨年の年末だった。

予定では、年が明けて早々に診ることになっていたのだが

思ったより早く

ゴムリングの効果が出たようだ。

IMG_1507暮れの押し迫った12月31日が出勤だったので

▽さん宅に寄って写真を撮らせてもらった。

腫瘤はきれいに根こそぎ取れていた。

その断面をよく見ると

上顎切歯の中間の歯肉付近から

上部へ広がるような断面があり

IMG_1508軟部組織と同時に

骨か歯のような硬い組織らしいものが

僅かにあるような断面だった。

出血もなく化膿もほとんどなく

とりあえずこれで様子を見てもらうことにした。

そういえば

もう20年ほど前の経験だが

ポニーではなく大きな重種馬で

上顎から鼻腔の奥にかけて

腫瘤物が見つかり

鼻腔を圧迫して

片方の鼻腔が塞がり

呼吸困難に陥った馬がいた。

手術で摘出しようにも

場所が悪く

摘出不可能で

腫瘤はどんどん大きくなり

呼吸がいよいよ苦しくなって

最後には結局廃用になってしまった

という馬がいた。

そんな過去の経験を思い出すと

今回のポニーの上顎の腫瘤物は

出来た場所がラッキーだった

と思う。

まあ、これからまた

腫瘍が膨らんでくる可能性はあるが

場所が良いので

その時はまた

同じことをすればいいのだ。


(この記事終わり)


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ポニーの口内炎?? (2)

ポニーの口から何かが少し覗いている、

ということで、

口を開けて診てみたら、

まるでお饅頭のような腫瘍が、

上顎の切歯の歯肉部から

イボ状に成長して盛り上がっていた。

IMG_1447こういう腫瘤物は

むしり取るか

切り取るか

なのであるが

毟るには根元が太すぎるし

切り取ると出血が多量になる恐れがある。

その腫瘤の大きさを見て

咄嗟に思い付いたのは

牛の臍ヘルニアの治療などに使われる

IMG_1453ゴムリングだった。

名称は「イージーカット」

とても分かりやすいネーミングである。

今回の歯茎の腫瘤を取り除くために

大きさ的に

イージーカットがぴったりだと判断した私は

▽さんに20分ほど待ってもらって

私は診療所にイージーカットを取りに戻った。

IMG_1454そして再び▽牧場に戻り

この馬を枠場に入れて

口を開けてもらった。

そして

イージーカットの器具の先にゴムリングをつけて

器具を握ってゴムリングを伸ば広げてみた。

IMG_1455「うん・・ぴったりだ。」

私はまず1本のリングを

この腫瘤物に装着した。

これでもうよいと思ったが

せっかくなので2本目のリングもかけて

腫瘤物の根元を完璧なまでに

ゴムの力で締め上げた。

イージーカットのゴムリングを

装着したとたんに

ピンク色だった腫瘤物の色が

真っ白い貧血のような色になった。

IMG_1456「とりあえずこれで、2週間ほど置いておきましょう。」

果たして

うまくゆっくりと

腫瘤物が縛り取られるかどうか。

私は今回

腫瘤の大きさと

イージーカットの大きさから

きっとうまく切除できるだろうという

根拠の乏しい自信があった。

切除・・・ではなくて

縛り落とすから

縛落??・・・

そんな言葉はないけれど・・・


(この記事続く)


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ポニーの口内炎??(1)

「口の中が腫れて、何か出てるんだけど・・・」、

ポニーを飼っている▽さんからの電話だった。

「・・・??」、

「えっと、なんだべ、歯茎が出てるって言うのかなんていうのか・・・」

「・・・とにかく、診に行きますね。」

「お願いします・・・」

▽さん宅に着いて

繋がれているポニーの口元を見ると

IMG_1447確かに口から

何かが覗いていた。

そのポニーを繋いで

口を開けてもらうと

「・・・あら、なんだこれは(笑)」

「できものみたいな、歯茎だべか・・・」

IMG_1451上顎の切歯の

歯肉の部分にできた腫瘍のようだった。

大きさは直径5センチ程度の

平たいお団子のような腫瘍だった。

「口から血が出てることがあるんだけど・・・」

「・・・すぐに舐めちゃうから、分からなくなる?」

IMG_1450「そう・・・」

「・・・これは、イボ(良性腫瘍)ですね。」

「だんだんデカくなって来たみたいなんで・・・」

「・・・取っちゃいましょう。」

「切って取るの?・・・」

「・・・いえ、これは刃物で切ると血が止まらなくなるかもしれないんで・・・」

「縛るの?」

「・・・はい、ちょっと15分くらい待っててくれますか。」

「はい・・・」

「・・・道具持って来ますから。」

この程度の大きさであれば

きっと「アレ」が使えるはずだ

と私はとっさにそう思い

一度診療所に

「その器具」を

取りに戻ることにした。

畜産関係の皆さんならば

もう

「その器具」

が、何か

お分かりでしょう(笑)


(この記事続く)


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誇り高き国旗のデザイン

いつも仕事で使っている、

「パワーフレックス」という名の、

カラフルな伸縮性包帯がある。

ビニールの袋に一つづつ包まれ、

IMG_1568軽量で適度な粘着性があり、

とても使いやすい。

何年か前には

この手の伸縮性包帯の商品が

数社から出されていて

色々お試しで使ってみたものだが

現在はこの

ANDOVER社製の

「PowerFlex・Equine (パワーフレックス・エクワイン)」

ばかりを使うようになった。

結局この製品が

並み居るライバル製品を退けて

生存競争に打ち勝ち

最大シェアを獲得したものと思われる。

その理由は

何よりも

この製品の質が良かったから

に他ならない。

ただ

いつもこのパワーフレックスを

薬品庫から持ってゆく時思うのは

「・・・派手なパッケージだよなー(笑)」

IMG_1569ということ。

アメリカ合衆国の「星条旗」のデザインが

これでもかというように

描かれている。

もし

日本製の医薬品に

これだけ自国の国旗

すなわち「日の丸」が描かれていたならば

その会社の社長さんは

どういう思想の持ち主なのか

などと余計な勘繰りをしてしまうだろう(笑)

国旗を愛することは素晴らしいことだ。

それを自社製品のデザインに大きく使うことは

specialcontents_189_9何も問題ないことだが

そこに

ちょっと違和感を感じてしまう

私の頭が古いのだろうか。

国民性の違いなのだろうか。

戦勝国と敗戦国の違いなのだろうか。


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2020年、10月3日(土)〜12月19(土)

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ばんばの予防獣医学

昨日の十勝毎日新聞のトップに、

うれしく頼もしい記事が出ていた。

ばんえい競馬の病気を未然に防ぐための共同研究プロジェクト、

IMG_0652が立ち上げられた。

「帯広市」と「楽天競馬」と「帯広畜大」

が協力し合って推し進める、

という3年間の共同研究らしい。

これはすなわち「ばんばの予防獣医学」のひとつ

と言って良いのだはなかろうか。

記事を読む限りその内容は

「飼料」「微生物」「疾病」

の3要素を総合的に研究するという。

主に

ばんえい競馬の厩舎内のデーターをとるようだが

特に今まで

科学的な検討がなされてこなかった

「厩舎のエサ」
に対して

このような研究の手が伸びたことは

大変喜ばしいことだと思う。

「医は食に通ず」「医食同源」という言葉は

IMG_0654当然のことながら

人間のみではなく

馬にも当てはまる言葉である。

ばんえい競走馬たちの食事が

科学的に見直されて

彼らの食事が改善されて

彼らがより健康になり

IMG_0656その結果として

よりレベルの高い

ばんばレースを

披露してくれる

そんな

ばんえい厩舎になってくれることを願っている。

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重種馬の交配の動画

馬の交配(種付け)シーンは、

たびたび当ブログ上にアップしてきた。

今回は、

診療所の新人のT獣医師が撮影した動画。

良く撮れていると思う。

種馬の尻尾の動きに注意して欲しい。

それで射精の有無を判断する。

  ↓↓↓


https://www.youtube.com/watch?v=Rv37I1zfTv0&feature=share





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重種仔馬の胎便停滞

深夜に飼主の△さんに介助されず、

自力で自然分娩した重種馬。

△さんが朝来て見ると、

母親が疲れてずっと寝たまま、

生まれた仔馬がその周りをよちよちと、

お乳を求めて 歩き回っていたという。

半日がかりで

母馬に治療を施し

母はようやく立ち上がった。

その日の夜

仔馬は母馬の乳首に自力で吸い付いて

お乳を飲めるようになった。

これでめでたしめでたし

と、なるはずだったのだが

その日の夜

当番の携帯電話が鳴った。

「仔馬が腹痛いようだ・・・」

△さんの馬小屋に着いて

子馬の様子をしばらく見ていると

仔馬はお乳を吸ったかと思うと

すぐに口を離して横を向き

IMG_0175背中を丸めて

首を垂れて

ゴロンと寝たかと思うと

後肢をばたつかせて

また起きて

また背中を丸めて

また首を垂れて

そんなしぐさを繰り返していた。

いわゆる疝痛症状である。

「うんち出たの・・・?」

真っ先に疑うのは胎便停滞である。

「・・・ああ、出たよ。浣腸を2回かけたからな。」 

それならば大丈夫だとは思ったが

「ちょっと(仔馬の肛門に)手を入れさせてね・・・」

私は、仔馬の直腸を指で探った。

胎便らしいものには全く触れず

指の届く範囲内では直腸の中は空虚だった。

「・・・ガニグソ(胎便)は、もう出たよ。」

「まだ残ってるのかも・・・」

「・・・乳飲んでるんだが。」

「もう一度浣腸してみようか・・・」

浣腸はすでに2回もしているし

お乳も飲み始めているので

便が通じるのは時間の問題だと思ったが

他にすることもないので

もう一度浣腸をすることにした。

IMG_0176浣腸液を入れて

しばらくすると

仔馬はいよいよ背中を丸めて

尻尾を高く上げて

排便姿勢になった。

仔馬の肛門から浣腸液が溢れ出て

その最後に

茶色い粘稠性の胎便が

片手の手のひらほど出た。

その後しばらく

仔馬は背中を丸めていたが

そのまま敷き藁に倒れ込み

首を投げ出したかと思うと

そのままスヤスヤと眠ってしまった。

IMG_0179さっきまでは

ここでまた足をばたつかせて

起き上がったのだが

今度は

起き上がる気配もなく

そのままスヤスヤと眠ってしまった。

「・・・家に入って、一服するべ。」

私と△さんは

その様子をしばらく見て

家に上がってお茶を飲むことにした。


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ミニチュアホースのお産

我が診療地区の、

繁殖牝馬の飼養頭数が激減したことは、

このブログで繰り返し書いているけれど、

全くゼロになったわけではなく、

毎年どこかの牧場で、

仔馬が生まれている。

馬の品種は

主にばんえい競馬用の 

重種馬が多いが

最近よくあるのが

乗馬用のポニーや

愛玩用のミニチュアホースといった

小型の馬のお産である。

前回の夜当番の時

「破水したのになかなか出てこない・・・」

という電話で呼ばれたのも

ミニチュアホースのお産だった。

牧場に到着して

カッパを着て手袋を用意していると

飼主の父さんがやって来て

「今出たわ、生きてて無事だった・・・」 

とのこと。

馬のお産ではよくあるパターンだった。

このパターンを決して期待してはいけないのだが 

毎回こうなったことに安堵して

こうなる度に

あぁ、春だなぁ・・・

と感じるのは

私に限らず

馬の診療のある地域で働く獣医師ならば

誰でも感じることではなかろうか。

 「仔馬と母馬、見せてね。」

こう言って

馬の母仔共に異常がないことを確かめるのが

この場合唯一の仕事となる。

そこで何か異常を発見することもあるけれども

大概は飼主さんが既に色々気づいているので

IMG_0168それを聞きながら

ただ

母馬と仔馬の仕草を

じっと眺めていれば良い。

今回のミニチュアホースは

IMG_0167たいへん可愛らしい親仔だった。

ミニチュアホースは母仔ともに小さい

というのは当然だが

母馬と仔馬の

大きさの比率を考えると

仔馬の体格に比べて

母馬の体格が小さい傾向にあるようだ。

IMG_0173

それにしても

小型馬の親仔は

可愛らしい。

しばらく見ていたら

仔馬が何度も立とうとしては転がり

そのうちに

ついに立ち上がった。 


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ミニチュアホースの流行性肺炎?(3)

パドックにいる3頭の同居馬が、

みな咳をするなどの肺炎症状を示し、

その中の1頭が、

初診から5日目に死亡してしまった。

そんな事実を前にして

飼主のθさんが言った。

「死ななかった2頭の治療と血液検査、してくれないべか。」

それは、私としても

ぜひ診ておきたかったので

二つ返事で採血をして

残りの2頭の体温を測り聴診器をあてた。

残りの2頭の食欲は正常で

咳も収まり

体温はど面も37℃後半

特に異常は見られなかった。

しかし、念のために

栄養剤と抗生物質を投与しておいた。

血液を持ち帰り

しばらく放置しておいたら

血清と血餅とに分離していた。

IMG_69162つの血液のどちらの血清も

透明感があり

死亡した馬のような

乳糜(にゅうび)血清ではなかった。

IMG_6903







翌日

検査の結果を見ると

IMG_0061




AG比の低下とAST(GOT)の上昇が見られるものの

最も心配していた中性脂肪は

それぞれ

63 mg/dl   56 mg/dl

と正常値を示し

その他の肝機能を示す値もほぼ正常値だった。

この結果を

θさんに報告し

さらに

今回の最初に死亡した馬だけは

感染が起こる前に

もともと脂肪肝という基礎疾患があり

病原体の感染に対して

抵抗力がなかったので

最悪の結果になった

ということを説明した。

説明しながら

細菌かあるいはウイルスによる

感染の流行に対して

基礎疾患のある個体だけが

重篤になり死に至る

という構図は

近頃、毎日

テレビのニュースで報じられている事と

そっくりだと思った。

(この記事終わり)


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ミニチュアホースの流行性肺炎?(2)

1つのパドックに入っていた3頭の馬が、

一斉に咳をして、

一斉に食欲不振、

手持ちの抗生物質を筋肉注射して、

2頭は快方に向かったものの、

1頭の調子が上がらない、

という事で診療をしたミニチュアホース。

リンゲルなどの輸液と抗生物質を投与し

翌日、血液検査の結果を見たら

驚きの値だった。

BlogPaint特に

 中性脂肪  3104 mg/dl   !

正常値は 50〜150 mg/dl 程度だから

まるで桁が違う。

正常値の数倍になっている個体はよく見かけるが

この馬の血清には約30倍の中性脂肪が含まれていた。

さらに

IMG_6903 AST(GOT)  13711 U/L

 γ-GT                80  U/L

 総ビリルビン 3.0  mg/dl

など

肝機能を診る項目が軒並み異常値を示していた。

これはもう

単なる脂肪肝というよりは

肝臓の崩壊である。

2診目からは

強肝剤などの脂肪肝治療に重点が置かれ

約半日の輸液治療を行なった。

しかし

翌日の3診目にも

症状は全く改善されていなかった。

そして

翌日の4診目の朝

この馬は起立不能になった。

IMG_6910飼主のθさんの希望で

帯広畜産大学へ搬入して

さらなる治療が続けられた。

しかし

その翌朝早く

このミニチュアホースは死亡した。

畜大手の病理解剖の結果は

以下の通り

BlogPaint







〈臨床診断名〉
 高脂血症、流産

〈病理解剖学的診断名〉
 脂肪肝、化膿性壊疽性肺炎、子宮蓄膿症


〈病理解剖学的所見〉
1.肝臓はびまん性に褪色しており、辺縁は鈍であった。表面および割面では、小葉構造が明瞭化しており、黄褐色領域と黄白色領域がモザイク状になっていた。
2.左肺前葉の表面および割面は黒褐色調を呈し、灰白色および黄緑色の変色巣も混在していた。同部は膿臭を放ち、硬結感を増し含気量は著しく乏しかった。割面では、直径0.5-1.0兮腓龍洞が散在していた。左の胸腔内には、フィブリンを混じた膿臭を伴う泥水様漿液性の胸水が少量貯留していた。
3.子宮体部は暗赤色調であり、左右の子宮角および子宮体には黄白色混濁の膿臭を伴う悪露が少量貯留していた。


ということだった。

(この記事続く)


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ミニチュアホースの流行性肺炎?(1)

1つのパドックに同居している3頭のミニチュアホースが、

みな一斉に咳をしはじめて、

食欲不振となったという。

そこで

飼主のθさんは数日間、

手持ちの抗生物質(マイシリン)を筋肉注射たところ、

3頭のうち2頭は快方に向かったという。

ところが

残りの1頭の食欲が全く上がらないので、

「診に来てほしい。」

という連絡が入った。

IMG_6901H28年6月生まれ

3才♀のミニチュアホース

初診時の

体温36.0℃ 心拍数40 呼吸数16

食欲廃絶、横臥を好み

聴診すると

腸蠕動ほとんどなし。

呼吸音は若干の粗さは有るものの

それほど異常な肺音は聞くことができなかった。

IMG_69001つのパドックの中の

3頭がそろって

突然元気がなくなったらしく

何か変なものを食べて

「食中毒にでもなったのだろうか?」

というθさんの稟告だった。

しかし

エサの内容は全く変わっておらず

中毒になりそうなエサは思い当たらないという。

IMG_6899とりあえず

何かの感染症を疑い

対症療法として

抗生物質の投与と

リンゲルなどの点滴治療を施すことにした。

同時に採血をして

明日の再診を告げて

事務所に戻り

血液をしばらく放置して

カルテを書いて

その血液を再び見て驚いた。

IMG_6903血清の部分に

全く透明感がなく

乳黄色に濁っていた。

血清中の脂肪が高いのは

ポニーやミニチュアホースでは

よくあることなのだが

今回のこの白濁の程度は

尋常ではない・・・

と、思った。


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