北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

動物の生と死

必死に生きる不健康な乳牛

たとえば、乳牛の慢性肺炎は、とても厄介な病気である。

先日往診した▲牧場の乳牛は、

BlogPaint体調不良、

という稟告だった。

聴診器を当てると

肺の音が良くない。

血液検査からは低カルシウムのほかに、

血清タンパク質のγ-グロブリンの極端な上昇、

すなわちA/G比の極端な低下、

が見られた。

これは慢性の炎症が体の中のどこかにある事を示す数値だ。

治療をしながら、耳の個体識別番号を見て、ピンときた。

これは半年くらい前に

慢性の肺炎がなかなか治らず

抗生物質を一ヶ月近く打ち続けた牛だった。

その後、この牛はなんとか肺の病を持ちこたえて

抗生物質での治療を打ち切り

乾乳期を過ごし、分娩し

搾乳を始めていたのだった。

IMG_5230そしてその後 

完治はしないが

症状はそこそこ小康を得ているので

様子を見ながら搾乳牛として働き始めていたのだ。

しかし

ご覧の通りの痩せ細った体

乳房だけはなんとか乳を出すために膨らんでいるが

それ以外の体の各所は

筋肉の少ない骨と皮ばかりである。

そんな慢性肺炎牛が、牛群の中で

受胎し、分娩し、

必死に生きているのである。

慢性肺炎という病気を抱えつつ

必死に生きながら

毎日搾乳される生活に入っていたのである。

世間一般に知られている酪農家の乳牛というのは

みんな健康なイメージである。

毎日乳業会社に出荷される生乳や

乳製品のチーズやバターの原料の牛乳は

健康で元気な乳牛から絞った牛乳

というイメージがある。

だが、実際には

健康な牛の乳はばかりではなく

不健康で具合の悪い乳牛もいて

それらの牛の乳も混ざっているのである。

もちろんすべての酪農家にこのような牛がいるわけではない。

しかし

一部の酪農家にはこのような牛もいて

必死に生きており

その乳が搾られて

出荷されることもあるのである。


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和牛の蹄のレントゲン画像(1)

町内の酪農家▲牧場で生まれた受精卵の和牛が、

約1.5ヶ月齢になった時に、

突然右後足を着地できなくなったという。

1週間ほど様子を見ていたのだが、

IMG_4870全く良くならないという。

そんな状態になってから初めて、

たまたま別件で往診に来ていた獣医師に

この仔牛の状態をなんとかできないかと相談したという。

相談された獣医師は、

相談するのが遅すぎるよ・・・と思いながらも、

消炎鎮痛剤と抗生物質を投与し、

IMG_4872それを数日続ける治療を指示したという。

それから約1週間が経って

年が明けた。

正月気分の只中の1月2日

夕方の緊急往診で私が▲牧場に行ったとき

▲牧場のスタッフから、

再びこの牛が心配なので見て欲しいと言われ

この仔牛の今後について相談された。

IMG_4874相談するのが遅すぎるよ・・・と思いながらも、

私はその仔牛の肢を診た。

「歩き方がほとんど変わらなくて、全然着けないんですよ・・・」

「・・・うーん、これはずいぶん我慢したねぇ。」

「治りますか?」

「・・・それは、もう少し治療してみなければわからないよ。」

「治らなかったら、廃用ですか?」

「・・・そんなこといきなり言わないで、まずはちゃんと診断しないと。」

「骨折してるんですか?」

「・・・それはレントゲンを撮ってよく見てみないとわからないよ。」

「レントゲン撮るんですか?」

「・・・そう。骨折してるかどうかハッキリさせないとね。でも今すぐは無理だから、正月休みが終わった日の昼からレントゲンの装置持って来て、ここで撮るからね。」

「お願いします。」

かくして

私も、初診した獣医師と同じように、消炎鎮痛剤と抗生物質を投与し

レントゲンを撮る日まで、それを続けてもらった。

さて、正月休暇が終わり

image発病から半月近くを過ぎて

いまだに重度のな跛行が全く改善していない仔牛の

肢のレントゲン写真を、ようやく撮り終えて

私は、その日の午後に

画像データーが診療所のパソコンに送られてくるのを待った。

IMG_4963その結果が

左の2枚の写真である。

右後肢の基節骨(繋骨)と中節骨(冠骨)が白く濁っていて

その間の関節面は、異常に離れていてずれているようにも見えた。

これは、この部分に強い炎症があるのは間違い無いようだ。

IMG_4965しかし

各骨の骨折の所見は見られないようだった。

ただ・・・

私のレントゲン画像の診断力は

まったくお寒い限りで

正しい診断をする自信がない。

今この記事をお読みの獣医師で

エックス線画像の読解の得意な方がいらっしゃったなら

どうかご助言をいただきたいと思う。

この画像のような状態は

どのようにして起こり

どのような経過をたどり

どうしてこんな画像になってしまったのだろうか?

ご自由な発想と想像を巡らせて

是非コメントをいただきたいと思う。

(この記事続く)


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子宮脱牛の血中カルシウム濃度

先日の当直の深夜、早朝の3時半過ぎに

枕元の携帯電話が鳴った。

「子宮脱なんで、お願いします。」 

1日3回搾乳をしている規模の大きなD牧場の従業員さんからだった。

同じ事務所に泊まり込んでいる実習生と一緒に駆けつけてみると

乾乳牛のフリーバーンで、その牛は首を投げ出して倒れていた。

IMG_4387子宮は写真のごとく脱出し

首を上げる事も出来ないようだった。

「このままじゃ、子宮を元に戻せないから、牛を吊る道具とショベルが来て欲しい。」 

「わかりました。」 

子宮脱の緊急往診は、一刻を争う仕事である。

私はショベルを待つ間に

カッパと手袋を着用し子宮脱整復の出で立ちになり

子宮脱整復用の道具を準備した。

次に、この牛の血液を採取し

その後直ちにカルシウム剤とブドウ糖の投与をを始めた。

カルシウム剤とブドウ糖の投与が終る頃

牛を吊るカウハンガーと

パワーショベルがやって来た。

さぁこれから、牛の腰にハンガーをかけて

と思って、牛を見ると・・・

牛は異常に大きな息を吸っては吐き

あえなく、死んでしまった。

「・・・。」

「・・・じゃ・・また昼来るから・・。」

なんとも虚しい空気の中で

この牛の治療は終了してしまった。

後日・・・

IMG_4409この牛の血中カルシウム値の報告を見ると

3.7 (mg/dl)

という低値を示していた。

子宮脱の牛の血中カルシウム濃度を

必ず測るようになってから数年になる。

その感触として

子宮脱の牛は

非常に高い確率で低カルシウムになっているようなのだ。

今後さらに多数の症例を集め

その確率を求めてみたいという気持ちが

子宮脱の牛を治療するたびに強くなっている。

「子宮脱牛の血中カルシウム測定プロジェクト」というのは如何だろう?

往診で出逢った子宮脱の牛の採血をして

子宮脱牛が低カルシウムになっている「確率」と

子宮脱牛の血中カルシウム濃度の「平均値」

を、求めるという企画。

面白くないだろうか?

そういう調査的な仕事は1人でやるよりも

大勢でやったほうが良い。

興味のある臨床家の皆様(いるかな?)

コメントをお待ちしております。


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5日連続の帝王切開

大型の台風がかすめていったことが影響しているのか、

先週の日曜日から木曜日まで、

乳牛のお産がらみの厳しい症例が続いた。

我が診療地区の乳牛の頭数は6000〜7000頭ほどで

難産などで帝王切開になる症例は

今までのペースであればひと月に2〜3例程度。

それが先週から今週の1週間の間に、連日に5例が集中した。

こんなことはもちろん初めてだった。

日曜日の1例目は

搾乳牛約100頭のフリーストールA牧場。

お産の予定日まで来ていない乾乳の乳牛の子宮捻転。

子宮体部での強い捻転だったらしく

帝王切開をして胎児を摘出したものの既に死亡。

親牛もその2日後に死亡した。

IMG_4354月曜日の2例目は

搾乳牛約100頭の繋ぎ飼いのB牧場。

予定日が来て産気づくも、前肢、後肢、が複雑に屈折し介助不能

起立困難で、現地で帝王切開したが胎児は既に死亡。

親牛もその2日後の未明に死亡した。 

IMG_4360火曜日の3例目は

搾乳牛約150頭のフリーストールのC牧場。

お産の予定日を2週間過ぎていてようやく産気づくも

胎児が出ないまま、朝になって往診してみると

過大児で産道狭く、帝王切開したがETの和牛胎児は既に死亡 。

IMG_4363初産の牛で、この親牛はなんとか回復してくれたようだ。

水曜日の4例目は

搾乳牛約500頭のフリーバーンのD牧場。

もともと足の神経痛、痙攣を患っている牛で

手を入れてみると、子宮体部で180度以上の激しい捻転

IMG_4364即刻引きつけて帝王切開をするも、胎児は既に死亡。

親は命は取り留めたが、起立困難でまだ治療中。

木曜日の 5例目は

搾乳牛約120頭のフリーストールのE牧場。

分娩予定日40日以上も過ぎている長期在胎の牛に

IMG_4369分娩誘発処置をしたものの、産道開かず

帝王切開をして胎児を生きて摘出させたが

頭部に奇形のある胎児で、翌日死亡。

親牛はなんとか回復中。

以上のごとく

5日連続の帝王切開を実施。

これはうちの診療所の新記録となった。

大阪府立大学からたまたま実習生が来ていたので

実習生にとっては良い勉強になったと思う、が

それよりも

気になることは

今回、帝王切開をした5つの牧場は

かねてから私が最も心配をしている飼養管理形態

すなわち

A牧場は定員オーバーのフリーストール

B牧場は搾乳牛ばかりではなく乾乳牛も繋ぎっぱなし

C牧場は定員オーバーのフリーストール

D牧場は牛床不衛生な超過密フリーバーン

E牧場は定員オーバーで牛床不衛生なフリーストール

そして

揃いも揃って

ここ7〜8年の間に

急激に搾乳頭数を増やしてきた牧場ばかりなのだ。

それは何故なのか・・・

考えておかねばならないのではないかと思う。


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乳牛の寿命(6)

私は平成18年9月20日の、自分のブログでこんな記事を書いていた。

 『去年めでたく!?町村合併をした我が町の農業統計を
覗いてみた。これによると

  農家数 636戸 で、全耕地面積が 17,700ha  ということだから

  一戸あたりの面積は、17700 ÷ 636 = 27.8ha  となる。

  「日本国勢図会2004/05」によれば
  日本全国の一戸あたりの耕地面積は1.2ha
  さらに北海道全体では12.64ha ということだ。

  我が町はさすがに農業王国十勝のど真ん中の町だなぁ と、感心した。

  ・・・ところが・・・

  「世界国勢図会2004/05」をめくってみると

  アメリカ合衆国の農業者一人あたりの耕地面積は 141.7ha ・・・

  オーストラリアの農業者一人あたりの耕地面積は 1011.3ha ・・・

  これを一戸あたりに換算したら、最低でも2倍以上にはなるだろうから

  仮に倍にすると、アメリカは 一戸あたり 243.4ha 

  オーストラリアは 一戸あたりなんと 2022.6ha 

  そうすると、アメリカの農業規模は我が町の約9倍。(243.4÷27.8)

  オーストラリアの規模は我が町の約74倍になる。(2022.6÷27.8)

  もし我が町がアメリカ並になったら、農業人口は9分の1に減って、72戸。

  オーストラリア並になったら、農業人口は74分の1、たったの9戸に減ってしまう。

  我が町に農業者9戸のみ・・・淋しいなぁ・・・

  そんな国の農業、畜産業、その農産物や牛肉と、まともに勝負して
  規模を拡大して国際競争力をつけましょうなんて
  真剣になって言ってる農業指導者が、わが国にはまだいるらしい。』

この記事を書いてから

9年の歳月が流れた。

その間に、日本のそして北海道十勝の

農業人口はさらに減り続けているに違いない。

酪農についても、戸数が減っている。

我が町もその例外ではない。

我が町は北海道十勝地方の中央に位置し

畑作の盛んな地域であり

一戸あたりの耕地面積は今、およそ30〜50haだと思われる。

良い土地は畑になり、牧草地にするよりも収益が上がる。

酪農をやめて畑作と和牛繁殖にした農場も多い。

そのような土地で、酪農家の方々も乳牛を飼いながら頑張っている。

そこには、搾乳牛30頭程度〜500頭程度の酪農家まで色々な規模で

いろいろな管理方法で独自の道を進む酪農家があり

私はそれらの牧場を、日々訪問して仕事をさせてもらっている。

そんな日々の仕事のなかで

最近つくづく感じる事、それが

乳牛が病気や怪我をして、呼ばれて行って治療を施した時

どこの牧場の牛に対しても、全く同じように

私は全力で治療を施しているのに

いくら治療してもさっぱり治ってくれない牧場と

治療によく反応して治ってくれる牧場と

牛たちにはっきりと差が出はじめているという事だ。

その事は、共済の死亡・廃用事故や病傷の事故の数

すなわち、保険金請求書やカルテの数にもあらわれている。

IMG_0475乳牛の命が軽んじられている牧場と

乳牛の命が大切に扱われている牧場と

はっきりと差が出始めている。

そして

前者のような牧場が増え

後者のような牧場が減り

乳牛の寿命が短くなる。

それぞれの牧場の

飼養形態は・・・

あ・・・また同じ事の繰り返しを

言う事になってしまうようだ。

この話題・・・

そろそろ終わりにしましょうか。



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乳牛の寿命(5)

私が往診をして治療をする酪農家の乳牛たちの、

年齢がだんだん若くなっているのを感じることは最初に述べた。

乳牛たちが若くして病気を患うようになってしまったと言い換えることもできる。

しかし、その内訳を良く見てみると、

若い乳牛達が次から次へと病気になって、ほとんど毎日獣医師が通っている牧場があるかと思えば

獣医師を呼ぶことが少なく、往診に行っても病気の治療はなくほとんど繁殖検診ばかりという牧場もある。

前者の牛群の平均年齢は低い傾向にあり

後者の牛群の平均年齢は高い傾向にある。

すなわち

前者の牧場の乳牛の寿命は短く

後者の牧場の乳牛の寿命は長い。

IMG_4038この四半世紀の間に

私が特に感じるのは

前者のような牧場が増えてきたことである。

その割りに

IMG_2001後者のような牧場はあまり増えてはいないようなので

酪農家全体のトータルとしての

乳牛の寿命が短くなっているように感じるのだ。

私が往診で訪ねたことのある酪農家を

ざっくりと、2種類に分類するとそんな傾向が見られるのである。

搾乳牛の寿命が短い酪農家の牛群は、なかなか頭数が増えて行かないが

搾乳牛の寿命が長い酪農家の牛群は、だんだん頭数が増えてくる。

そして

前者の牧場は牛が思うように増えないので、搾乳牛を購入することが多いが

後者の牧場は牛が順調に増えてゆくので、初妊の牛を販売することが多い。

今、その2種類の酪農家の飼養形態を見てみると

BlogPaint前者は、大規模なフリーストールやフリーバーンで牛が定員をオーバーしている牧場が多く

後者は、家族経営で繋ぎの牛を放牧地等の運動場へ出し入れしている牧場であることが多い。

IMG_2999すなわち

前者の牧場は、牛乳を生産しながら乳牛を消費しているのに対して

後者の牧場は、牛乳を生産しながら乳牛も生産している。

簡単に言えば

前者の牧場は、乳牛の消費者であり

後者の牧場は、乳牛の生産者である。

本州では、家族経営の小規模な酪農家の廃業が多いと聞いている。

乳牛の消費牧場が増え

乳牛の生産牧場が減れば

乳牛は供給不足になり、牛の値段は上がるばかりである。

乳牛の供給不足は、とりもなおさず牛乳の供給不足も招く。

牛も、牛乳も、足りないという。

この現実は

ひところ酪農雑誌などでよく見かけた

「長命連産」などという言葉とは、まったく裏腹の現実だ。

また、5〜6年前まで業界を騒がせていた

「生産調整」とは、いったい何だったのだろう。

乳牛の平均寿命がどんどん短くなっている。

日本の酪農は

このままこんな方向で進んでよいのだろうか・・・?

この四半世紀の間に

私がいろいろな酪農家で仕事をさせてもらって

実に色々なことを感じて来たが

その中でも特に強く感じたことを

素直に記したまでである。

ついでに、もう一言

前者のような牧場は、他所から乳牛を頻繁に買うことで、伝染病などの病原菌が侵入しやすく危険であるが

後者のような牧場は、乳牛をめったに買うことがないので、伝染病が侵入しづらく安全である。

と、言えることも付け加えておきたいと思う。


(この記事、もう少し続く。)



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乳牛の寿命(4)

乳牛を繋ぎの牛舎で10数頭〜数10頭ほど飼い、

1頭ごとのきめ細かな管理をする。

そして、搾乳の時間以外はできるだけ、

放牧地やパドック(運動場)などの空の下に放ち、

乳牛たちの心体をリフレッシュさせる。

私が就職した、今から30年ほど前は、

そのような酪農が定着していたように思う。

いま思うと、その飼養形態は一つの完成度の高い方法であったのかもしれない。

そんな繋ぎ飼い方式が、経営規模拡大の波の中で

だんだんといろいろな変化をして行くようになる。

乳牛の繋ぎ飼い方式の変化の中で

私が最も心配なのは

乳牛を運動場に出し入れする繋ぎ飼い方式から

乳牛を終日繋ぎっぱなしにする方式への変化である。

天気の悪い日や、冬の寒い時期に

乳牛を数日の間牛舎に繋ぎっぱなしにする、というのであれば仕方がないが

そうではなく

もはや、乳牛たちを、天気の良い日であっても、どんなに気持ちの良い日であっても

繋ぎから解放することをせず

ほぼ永久に、繋ぎ牛舎の1頭分のスペースの中に牛を監禁し続けるのである。

飼主には、いろいろな理由があって

この方式へ転換することを決めたのだろう、が

きっと忸怩たる思いがあったに違いない。

そして乳牛たちは

どんな気持ちでこの生活環境の変化を受け入れたか

それを思うと・・・。

IMG_2660 (1)繋ぎっぱなしにすると

牛を出し入れする労力が省略できるばかりではなく

牛群全体の乳量が増えるそうである。

乳牛が運動しなくなった分のエネルギーが

乳量となって出てくるのだという。

IMG_2550しかし

牛が運動しなくなったことによるそれ以外の影響は

目には見えづらいが、計り知れないものがある。

乳牛が外で運動しなくなれば

IMG_0830足腰の筋肉は弱り

血液循環が悪くなれば

内臓機能も弱まる。

四肢は歩くことにはもはや使われず

狭いスペースで寝るか起きるかにだけ四肢を使う。

同じ姿勢ばかり取らされるので

関節や蹄の異常が多くなる。

終日繋がれたままになっているので

行動は極端に制限されて

発情がわかりづらい。

この10年ほどで

そんな、繋ぎっぱなしにされた牛たちを

治療する事が、なんと多くなったことか・・・!

彼らの足腰や内臓の弱さ

そして精神的なストレスは

計り知れない。

その、結果として

当然のように

乳牛の寿命は、短くなる。


(この記事、もう少し続く)



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乳牛の寿命(3)

酪農の経営規模拡大の波に乗って、

繋ぎの古い牛舎からフリーストール牛舎へと、

一大転換をした酪農家がいる一方で、

繋ぎ方式のまま、酪農を続けて、

現在に経っている牧場ももちろん多くある。

IMG_4266繋ぎ牛舎は、フリーストールよりも

乳牛の自由意思は制限されるものの

強い個体を制御し、弱い個体の面倒を見るのには適していて

それぞれ個体の能力に合わせた、きめ細かな管理をすることが出来る。

繋ぎ牛舎の牧場では、朝と夕の2回の搾乳時までの間は

IMG_4267乳牛たちを、牛舎の外の放牧地やパドックに出して

空の下の、広い空間に開放することにより

乳牛たちに適度な運動をさせて

ストレスを発散させることができる。

そして、飼い主はその時の行動を日々観察することによって

発情や体調の変化をいち早く察知することができる。

そんな理由で、繋ぎ飼い方式のにこだわっている酪農家は多い。

しかし、そんな酪農家にも、経営規模拡大の波は

否応なしに打ち寄せてくる。

牛の個体管理を、繋ぎ方式で維持しつつ

繋ぎ牛舎の牛床を増やし、牛舎を伸ばすように増築する酪農家が

ひところ大変多かった。

IMG_1916そうやって、繋ぎ牛舎のままで

搾乳牛の頭数を増やしてきた酪農家たちが

そろって突き当たる問題があった。

搾乳牛を増やすということは

それに授精をした妊娠牛を増やすということであり

搾乳を終えて分娩を控えた乾乳牛が増えることになる。

乾乳牛が増えれば、乾乳牛の居場所も増やさねばならない。

IMG_0623その乾乳牛が皆、分娩をするから

分娩をする場所も増やさねばならない。

分娩する牛が増えれば、仔牛が増える。

仔牛が増えたら、哺乳施設を増やさなければならない。

哺乳が終わった仔牛たちは、育成牛となる。

IMG_3852育成牛の施設も増設しなければならない。

そしてそれぞれのステージの牛に対して

世話をする働き手、すなわち人員が必要になる。

牧場の働き手を、もっと増やさなければならない。

さらに、理想を言えば

牛たちが運動できる広い敷地も

その頭数が増えた分だけ増やさなければならない。

搾乳牛を増やすということは

牧場の全ての施設、全ての人員、全ての敷地面積

を増やさなければ、本当の経営規模拡大ではない。

繋ぎ牛舎の搾乳牛を増やすとは、そういうことであり

当然予測できることではあるが

繋ぎ牛舎を増設しはじめた時に

直ちに、その他の施設や人員や運動場までも増やす準備をするような

そんな用意周到な酪農家は、ほとんどいなかったのが実感である。

多くの酪農家は、まず搾乳牛を増やし

搾乳施設以外の施設や人員は増やさぬままに

だんだんと、色々なステージの牛たちが

それぞれの施設で満員の定員オーバーになって

それぞれのステージの牛が全て満杯で窮屈になり

いよいよどうにもならなくなって

そこで働く人たちの疲労も極限になり

そんな状態になって、ようやく

周囲の施設や人員や運動場をやむなく増やして対応してきた。

さらに牧場の敷地面積までも増頭数に合わせて広げるような牧場は、ほとんどなかった。

牧場で働く適正な人員の確保も

家族だけで頑張るか、従業員を雇うか、で悩むことになる。

今まで頑張ってきた祖父母は老い

自分も妻も老い始め

子供達は後を継ぎそうもない。

そんな状況の中で

これ以上の牛の増頭、増築、増員、は

経済的、肉体的にもう限界。

しかし、ただちに廃業を考える気も起こらない。

今までの繋ぎ牛舎のままで

従業員は雇わず、家族経営のままで

自分のこだわってきた酪農をやれるところまで

続けてゆくためには、どうするか。

これからは、自分たちの体は老いるばかり。

かつてのようなバリバリの体力はもうなく

日々老いてゆく。

そんなことを

ついに悟った酪農家が

繋ぎ牛舎の酪農で、苦渋の選択する

切り札的な、画期的な飼養管理方法が

ここに、ついに出現することになる。

経営規模拡大の波にのまれて、大変な思いをしつつ

しかも、後継者はいない、先行きは見えない

そんな、施設不足、人員不足の

繋ぎ牛舎の酪農家が、苦渋の選択をする

切り札的な、画期的な飼養管理方法が

そこに、ついに出現することになる。

それは、しかし

じつは・・・

乳牛たちにとっては

悪夢のような

天国から地獄へ変わってしまうような

辛く悲しい飼養管理方法でもある。

酪農関係者の皆さんならば

もうお分かりでしょう・・・

(この記事続く)


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乳牛の寿命(2)

酪農の経営規模の拡大が推し進められてきたこの数十年、

その中で脚光を浴びてきた乳牛の飼養方法に

フリーストールという飼養方法がある。

規模拡大という時代の波によって、導入され続け

いまや、多くの酪農家が採用し、

規模の大きな酪農家では主流の飼い方になっている。

フリーストールというのは、ざっくりと言えば

乳牛の首を繋がずに、大きな部屋の中で放し飼いにする方法だ。

乳牛を個別に繋ぐ施設と手間が無いので、多頭数の飼育に適していると言われている。

その放し飼いの部屋の中に、牛が並んで寝るための簡単な仕切りだけが作ってある。

その仕切った寝床の数は、80床程度のものから数100床もある大きなものまでいろいろだ。

放し飼いにされている牛たちは、その寝床に自由に出入りができる。

乳牛たちはそこで一生自由に、寝起きしながら暮らすことになる。

基本的に放し飼いなので、彼らは自由な感じに見える。

ところが・・・ここに大きな問題が潜んでいる。

791a12b3作られた寝床は

餌場や水場から近いところと遠いところがあったり

風通しの良い寝床や暑苦しい寝床があったりするのは当然である。

フリーストール牛舎という1つの閉ざされた囲いの中で

快適な寝床と不快な寝床、という場所の差ができるのは仕方がない。

その閉じた空間の中で、敏感で正直な牛たちは

快適な寝床を覚え、それを求めて行動する。

db7d9bf5そこに競争が生じる。

牛は自由に放たれていてると言っても

それはフリーストール牛舎という

閉ざされたの囲いの中での話であり

行動範囲は限られている。

フリーストール牛舎という閉じた世界に入れられた牛の数が

寝床の数よりも少ないときは

温厚な牛たちの競争はほとんどない。

しかし

フリーストール牛舎という閉じた世界に入れられた牛の数が

寝床の数よりも多くなると

いかに温厚な牛たちといえども

寝床確保のための熾烈な競争が起こることになる。

自然と、一部の強い牛が最も快適な寝床を独占し

多くの普通の牛たちはそれなりの寝床に甘んじ

一部の弱い牛たちは寝床さえ当たらない惨めな暮らしを強いられる。

自由競争による格差社会がそこに生まれることになる。

cd7108ab寝床さえ当たらない弱い牛たちは

当然のように、体調を崩しやすい。

最近、私が訪れるフリーストール牛舎の酪農家の中で

乳牛の数より、寝床の数の方が多い牧場というのは

驚くほど少ない。

むしろ、ほとんどのフリーストール牛舎で定員オーバとなっており

厳しい格差社会が生まれている。

そんな牧場のなんと多いことか・・・!

そこでは当然

寝床さえまともに当たらない弱い牛たちが

体調を崩し、さまざまな病気になる。

我々が往診で呼ばれて診る牛というのは

そういう生活を強いられてきた弱い牛たちの場合が多い。

彼らが体調を崩す原因が

そういう理由である以上

一次的に隔離して注射を打ったり

外科的処置を施したりして、症状を和らげても

それだけでは完全に治癒したとは言えない。

搾乳を再開するために、フリーストール牛舎という閉ざされた世界に戻れば

再び、厳しい弱者の暮らしを強いられることになる。

格差社会の中で弱い立場の彼らは

残念なことに、負け癖が付いているから

再び体調を崩し、さまざまな病気になる。

決して長生きは出来ない。

そんな乳牛が増えれば増えるほど

乳牛の平均寿命は

短くなってゆく。

(この記事続く)


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乳牛の寿命(1)

私が就職してから現在までの約4半世紀の間に、

いろいろな酪農家の牛を診療してきて最近思うのは、

日ごろ診療する乳牛たちが、

以前より若くなってきたという事である。

私が診療する牛というのは健康ではない病気の牛である。

その病気の牛の年齢が若くなってきたように思うのだ。

病気をして獣医師に治療を受ける乳牛たちの

平均年齢、平均産次、が確実に下がってきているように思うのだ。

たとえば、産後の低カルシウム血症である乳熱などは

私が就職した頃は、5産次を超える乳牛でかかりやすい病気だったが

いまや、2〜3産目から頻繁に起こる病気になった。

しかも、かつての乳牛はカルシウム剤がよく効いてすぐ立ち上がったが

最近の乳牛はカルシウム剤の反応が悪く、なかなか立ち上がってくれない。

若いうちから内臓や足腰が弱いのだ。

ちゃんとしたデーターは今は持ち合わせていないが

乳牛が短命になっているのを肌で感じるのだ。

我が国の酪農は、経営規模の拡大を続けてきた。

経営規模が大きくなるにしたがって

飼い主1人当たりの牛の頭数が増えるのは当然の事である。

私はそこに大きな落とし穴があるような気がする。

規模拡大について、私が何度も言ってきた事の一つは

そのデメリットとして

乳牛の命が軽んじられることである。

BlogPaint乳牛の命が軽んじられれば

乳牛は死にやすくなり

乳牛の平均寿命は短くなる。

どうして乳牛の命が軽んじられてしまうのか・・・?

どんなに上手に乳牛を飼う人でも

その面倒をきちんと見れる頭数には限界というものがある。

それは飼い主の能力と、施設の機能によって、様々ではあるが

限界というものはどの牧場にもあり、その限界ラインはなかなか見えにくい。

酪農経営の効率化を進めるのは経営者として当然である。

しかし、その効率化を進めて行くうちに、知らず知らずのうちに

乳牛を健康に飼うことのできる頭数の限界を超えてしまっている

そんな酪農家が、いかに多い事か・・・!

私は毎日々々それを感じながら仕事をしていると言ってもよい。

乳牛が健康を損ね、治療を施すが、思うように治ってくれない。

健康を損ねないように、予防の対策を打とうとしても、労力の限界にぶつかる。

その限界は、意外に単純な乳牛の経営規模に関係があるのではないかと思う。

経営規模が大きくなって、乳牛の命が軽んじられれば

飼主が1頭1頭に対して、細かなケア対策をしなくなる。

乳牛の面倒を見る事ができる頭数の限度を超え

牛たちは様々なストレスが襲ってくる。

しかし、飼主はそれに対して対策を打つ余裕がない。

IMG_1029その結果・・・

乳牛の病気は減らず

乳牛は死にやすくなり

乳牛の寿命は縮まる。

今、我が国では

牛乳が不足しているそうだ。

牛乳を出してくれる乳牛の寿命が縮み

国内の乳牛の数が増えないのであれば

牛乳が不足するのも当然だろうし

乳牛の雌の値段が高いのも当然だろう。

では、その

乳牛の寿命を縮めている原因とは何か?

どんなストレスが乳牛の寿命を縮めているのか?

なぜ乳牛の命が軽んじられてしまうのか?

乳牛の経営規模という側面から

もう少し考えてみたい。

(この記事続く)


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野生動物問題

北海道新聞の朝刊のマンガ「栗の助」、

昨日のサメについて議論している男は愉快だった。

IMG_4147「山に行けば熊が出るし、海にまで・・・サメが・・・」

「あたりまえだろ。」

と切り返す男。

この男が、つくづく愉快でたまらない。

私にはこの男が、私の敬愛してやまぬ同級生、

日獣大学教授のH山S一氏とオーバーラップしてくる。

H山教授は以前

東京都心の麻布界隈に野生のサルがあらわれ

警察が50人以上動員され、マスコミが大騒ぎして

テレビ局から、彼がコメントを求められた時

「どうして麻布にサルがいてはダメなんですか?」

と、逆に質問し

テレビ局の人を絶句させたという人物である。

実に彼らしい、鋭い答えだと思ったが

彼も、このマンガの男と同じように

「あたりまえだろ。」

そして、このマンガの男と同じように

「人間のおごりは捨てねぇと。」

と言っているのかもしれない。

H山教授の著書に「野生動物問題」という本がある。

imageこの本を読むと

熊やサメと同様に、サルやクジラやイルカ、鹿やゾウやトキ、など

様々な野生動物とヒトとの問題が

明快な理論と、世の中への温かな眼差しでもって語られている。

そして、ヒトと動物との関わりについて

我々ヒトがいかに無知で愚かなものであるかということが浮き彫りになってくる。

H山教授は、前書きの中で

「野生動物問題というものが野生動物自身の問題ではなく、人間社会のありようの問題である」

と書いている。

そして、それを具体的に言えば

「社会全体が解決を目指して取り組むべき政策問題である」

とも書いている。

「政策問題。」

とは、すなわち

ヒトと野生動物との関わりについての

法律や条例や国際条約、などの問題になってくるようである。

H山教授は、獣医師でありかつ、それに関する法律家のように

私には見える。

H山教授の力で、この方面の法律が

早急に整備されることを願ってやまない。

だが

ヒト対ヒトの問題だけの

時代を逆行するような法案を急いでいるような

今の政府ではなぁ・・・



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牛舎の猫にご用心

往診先の牛舎の前に車を止めると

牛舎に住みついている猫たちが

車の周りを走り回ったり

車内に入り込んで暖をとったり

車の下にもぐりこんだり

いろいろなことをやらかす猫たちを

追い払わなければならないことがある。

そんなことは日常茶飯事である。

先日の◎さんの牛舎にいる猫も

私の車に興味津々、まとわりついていた。

IMG_3245「この猫、ずいぶん慣れてるね。」 

「車で轢かんでくれよ。」

「こんなに慣れてると、危ないね。」

「そーだよ、・・・この猫ね、50万なんだ。」 

「・・・50万!、マジに!?」 

「うん。」

「なんで、そんなに高いの!?、そんな良い血統なのかい?」 

「血統はそんなに良くない。」 

「じゃ、なんで。」 

「こいつの名前が、50万つんだよ。」 

「・・・なーんだ(笑)」 

「隣のかーさんに言ったらびっくりして、そんな高い猫外出して轢かれたらたいへん!、ちゃんと家ん中で飼わなきゃだめしょ!って叱られたよ。」 

「(笑)」 

「全部で4匹居んだ。」 

「じゃ、あっちの猫は何万、60万?」 

「いや、そんないちいち違う名前なんてつけてねぇって。」

「そうなの(笑)」

IMG_3246「こいつら、生まれた時に母猫がすぐ死んじまって、そのあとオレが育てたんだ。」

「偉いね。」

「ミルクはたくさん有っから、それを注射器に吸って、1日3回。」

「牛と同じ?」

「1日3回しかやんなかったら、うるさくてしょうがねぇ。」

「みんな、50万かい?」

「ははは。」

「4匹もよく育てたね。」 

「うん。4匹だから、全部で200万。」

「うわ(笑)、◎さんち行ったら猫轢いちゃったら弁償高いから気をつけろ、って皆んなに言っとかないと。」 

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豚の幸せ

この間の休日

かねてから気になっていた放牧養豚の@牧場を訪ねた。

一年で最も寒い今の時期に

放牧の豚たちはどうしているのだろうか。

強烈に気温の下がる冬の十勝平野で

放牧されている豚たちはどうしているのだろうか。

この日は、良い天気だった。

午前11時頃の気温はマイナス5℃程度だが

十勝川沿いに上流から冷たい風が吹き下ろす日だった。

先ず向かったのは親豚の豚舎

豚たちは簡易豚舎の前の日向でのんびりと昼寝をしていたが

IMG_3152私に気がつくと次々に起きて

牧場の圧雪を踏みながら、私から離れるように散らばってしまった。

しかし、私が何もしない者だとわかると

次々にゆっくりと元の豚舎の前に集まってきた。

冬の放牧豚は、牧場内の泥が凍て固まっているので

体が綺麗な肌色あるいは黒豚は本来の毛色になっている。

IMG_3156彼らが白い圧雪の上を歩くと

泥にまみれていない蹄が雪に輝き

他の季節よりも清潔感があった。

餌のカボチャと長いもも、雪にまみれて低温のまま

腐臭もなく山のように転がっていた。

水場は厚い氷が張っていたが

豚たちは、割れた氷に鼻を当てて

その下にある水をジュージューと音を立てて吸っていた。

数頭の雄豚に、数十頭の雌豚が混在しているこの親豚群こそ

IMG_3157@牧場の繁殖基地なのであった。

冬の眩しい光の中で

白い雌豚と、黒い雄豚が

IMG_3158いい雰囲気を醸し出していた。

しばらく写真を撮ったりして眺めていると

多くの豚が歩くのをやめて

簡易豚舎の前に寝転んで

ゴロゴロと昼寝をはじめた。

実にのどかな、真冬の放牧豚だった。

次に、子豚の豚舎へ向かった。 

IMG_3160子豚も豚舎の中にはおらず

パドックに放たれて

その中を元気に走り回っていた。

管理人のKさんが機械に乗ってやってきたので 

色々と話をすることができた。

「ここの一番小さい子豚たちは、3日前に外に出したばっかりのやつね。」

「かわいいですね。月齢はどれくらいですか。」

「うん。ここのは3ヶ月くらいかな。白と黒のまだらな奴もけっこういるんだよ。」

「寒くないんですかね。」

「なんともないみたいね。朝晩のしばれのキツイときは、あそこの端っこで団子になってるんだよ。」

「おしくらまんじゅうですね。」

「うん。親豚もそれやるんだけど、中の奥の方のやつが潰されることがたまにある。でも子豚は軽いからそんなことはないよ。」

IMG_3163「なるほどねー。餌は親と同じカボチャと長いもの切れ端ですか。」

「うん同じだよ。でもあとトウモロコシの粉と、寒い冬場だけチーズも・・・」

「チーズですか。」

「うん。チーズ工場から出るハネ品のチーズをペレットにしたやつがあるんだよ。」

IMG_3164Kさんはそう言って、豚舎の中に置いてあるチーズペレットも見せてくれた。

特に豚用ではないらしいが、カロリーが高く

子豚の厳冬のカロリー源に良いという。

「うちはこんな飼い方だから、冬はあんまり大きくならないよ。」

「でしようねぇ。」

「この辺の普通の豚屋さんは子豚をだいたい6ヶ月で出荷してるみたいだけど、うちは2年だから。」

「2年・・・普通の4倍だ、ずいぶん大きくするんですね。」

「うん。でもお金は4倍も取れないけどね(笑)」

十勝名物・豚丼に

この豚が使われる事があるのかどうかはわからないけれど

名物・豚丼の十勝平野で

このような放牧の豚が

1年を通じて、元気に飼われていることは

産地のイメージ的には

大変良いことではないかと思う。

そして何と言っても

ここの豚たちは

厳しい冬でも元気に放牧され

とても可愛く

とても幸せそうだった。


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晩冬に

今年の立春は2月4日なので

暦の上では、冬はあと1週間を残すまでとなった。

夕日が沈む時間は、少しずつ遅くなり

歳時記の、「日脚(ひあし)伸ぶ」、「待春(たいしゅん)」、「春隣(はるとなり)」

といった晩冬の季題が実感を持って感じられるようになってきた。

春を待ち遠しく感じる、という季題は多い。

imageしかし

冬を惜しむ、という季題はない。

辛くしんどい冬将軍は早く去ってほしいという気持ちこそ

日本人が昔から培ってきた感性なのであろうし

今後も、それはきっと変わることなく続くだろうと思われる。

image冬は

家畜たちにとっても

辛くしんどい季節であることは容易に想像できる。

特に、子牛にとっては、最も受難の季節である。

子牛の死亡事故数が冬に最も多くなることも、それを裏付けている。

image冬の厳しい寒さの中で

死産や感染症であの世へ旅立つ子牛が増加する。

この傾向も、今後変わることなく続くだろうと思われる。

冬とは

そういう季節なのだ。

だからこそ春を待つ心も

ひとしお、強くなるのだろう。

冬の力が非常に強く厳しい北海道の

image畜産の技術の中で

厳しい冬の力に対抗して

それをなんとか克服して牛を飼い

冬でも生産性を最大限に上げてゆこう

という考え方に基づく技術と

image厳しい冬の力を素直に認め

それをじっと耐え忍びつつ牛を飼い

生産性の下がることを最小限にしよう

という考え方に基づく技術は

似ているようで

違う技術だと思う。

前者は積極的にみえ

後者は消極的にみえる。

しかし

前者は「愚」

後者は「賢」

だと、私は思う。

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この仔牛の運命は・・・

先日の夜の往診は

「足が4本触るんだが・・・」

酪農家の◎さんで難産だった。

手を入れてみると、確かに足が4本

その隣に頭がひとつ触れた 。

前足2本とその頭は、どうやら同じ仔牛のものだったので

IMG_2905それに道具をかけて

まず1頭目を介助娩出。

大きなホル♂仔牛だったが

残念ながら死亡していた(写真手前)。

子宮の奥に触れた残りの2本の前足は

産科チェーンを掛けようとすると

動いて奥へ引っ込んだ。

その足をなんとか手で掴み

ゆっくりと引っ張って、その奥の頭を確認。

IMG_2906前足2本と頭に道具をかけて

再び牽引、介助娩出。

今度は♀で生きていた♪

それもなかなかの立派な体格のホル♀だった。

「デカいね。これ、でもフリーマーチンかな・・・」

「検査してみようかな。」

「やってみる価値はありそうだね。」 

「半年くらい前にも、こんなやつ検査したら、異常無しって言われたことあるんだ。」 

IMG_2936検査というのは

この♂♀双子の♀の方に、染色体の異常がないかどうかを調べる検査である。

♂♀の双子の場合、♀の方が胎内で♂の影響を受けて

染色体に異常が生じて、生殖器の発達に支障をきたし

いわゆるフリーマーチンという染色体異常による生殖機能不全の♀になっていることがある。

しかしそれは、必ずそうなるものではないらしく

採血をして、染色体の異常がなければ

BlogPaint普通の♀牛として登録可能で

生殖器も問題なく成長する可能性があり

乳牛として繁殖可能な成牛になれる可能性もあると言われている。

今回の♀仔牛も、数日後

採血をして、染色体検査を受けることになった。

IMG_2910先日、検査機関に送付したばかりなので

結果はまだ帰って来ていないが

◎さんで生まれた♂♀双子の♀牛は

かつて、2回も

この検査を受けて異常なしと言われて

そのままホル雌として登録し

成長している牛がいるらしい。

BlogPaint最後の写真は

その時の結果通知である。

今回はどうだろうか。

大きな立派なホル♀仔牛で

胎盤も2つあったようなので

希望が持てるかもしれない。

果たして

この♀仔牛の運命やいかに・・・ 

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不幸なポニーの疝痛

「買ってきたポニーが、腹痛おこしてるみたいで、ちょっと診て欲しいんだけど・・・」

という電話で駆けつけたЧさん宅の馬小屋。

IMG_2650立派な雄のポニーがゴロゴロと

七転八倒の激しい疝痛症状を見せていた。

体温 38.5℃ 心拍数 70

蠕動なく、排便なし。

IMG_2651急性腹症であることは間違いない。

ただ・・・

いろいろと話を聞いてみると・・・

昨日隣町から買ってきたばかりのポニーで

IMG_2652エサや水や馬小屋などの飼育環境が

一気にがらりと変わってしまい

それがどうも、この疝痛の引き金になったようだ。

さらに・・・

IMG_2653話を聞いてみると・・・

この馬はNOSAI保険に加入していない馬であり

したがってNOSAIの獣医師が治療をすると

治療費などが高くついてしまうという事が判明。

IMG_2655さらに・・・

この地域には・・・

NOSAI獣医師以外で十分な馬の治療のできるような

開業獣医師はいない、という不幸も重なっていた。

IMG_2657そんなポニーを見ている間も

激しい疝痛症状は

一向に収まることがなかった。

「とりあえず、何か応急処置でも、してくれないべか先生・・・」

飼い主さんからそう言われれば

獣医師として何もせずにいるわけには行かない。

採血をして

手持のフルニキシンを投与し

次の往診先へと向うために

その場を去った。

日中の往診が終わった後

再びこのポニーの様子を見に、Чさん宅へ寄ってみた。

ポニーは相変わらず

激しい疝痛症状を繰り返していた。

体温 38.9℃   心拍数 90

蠕動なく、排便なし。

IMG_2670「あれからも、ずっとこんなんで変わらないんだけど・・・」

「・・・。」

「助からんかな、先生・・・」

「・・・。」

IMG_2672辺りは日が落ち、暗い空が広がってきた。

「このままで、様子見てみるわ先生、ダメなら、しゃあない・・・」

「・・・。・・・わかった、明日また様子見に寄るから。」

私は再び採血をして、帰路についた。

その夜

私は寝床の中で

あのポニーがどうなってしまうのか

いくら想像しても

きっと良くはならないだろう

という想像に達してしまう思考回路の中で

忸怩たる思いを抑えることができなかった。

翌日は

どんよりとした曇の日だった。

まずЧさん宅へ向かい

馬小屋を恐る恐る覗いてみた。

すると

IMG_2675昨日あれほど疝痛で苦しんでいポニーが

静かに起立して

水槽に口を近づけていた。

検温し聴診器を当ててみると

IMG_2679体温 39.4℃   心拍数 130

蠕動なく、排便なし。

「朝来てびっくりしたさ、痛がらないで立ってたさ・・・助かるべか・・・」

「・・・。」

「やっぱりダメだべか・・・先生・・・」

「・・・。お腹、動いてないし、厳しいと思うけど。」

私はそれだけ言って

もう一度この馬の採血をして

その日の往診先へと向かった。

一通り往診が終わり

車を運転していると

携帯電話が鳴った。

Чさんからだった。

「・・・あのポニー、死んじやったわ、先生・・・」

「・・・わかった。見に行くから。」

Чさん宅に着いて

ポニーの死亡を確認し

処理場のための書類と
IMG_2718
解剖の依頼書を

Чさんに渡して

私はその場を後にした。

  *   *   *

後日

送られてきた血液所見のうち

変化の目立ったものは

〈初診時〉
ヘマトクリット 42.1(%)
GOT                    297(U/L)
クロール    100 (mEq/L)
 
〈2診時(同日夕刻)〉
ヘマトクリット 58.2(%)
GOT                    379(U/L)
クロール    100 (mEq/L)

〈3診時(翌日朝)〉
ヘマトクリット 67.8(%)
GOT                     612(U/L)
クロール   82(mEq/L)
   
であった。

病畜処理場の解剖所見は

Y田J三先生からのものだった。

「内臓摘出の時に落としますので、その時に捻転などが消えてしまうことが考えられますが腸壁での出血や腸間膜での出血から通過障害があったことが疑われました。
PB010008
胃破裂はありませんでした(写真8)。
PB010006-1回腸の部位で腸捻転か重積or嵌頓があった事が疑われました。
写真6が回腸壁の出血部位で腸間膜にも出血があります。

PB010007写真7は広範囲に見られた腸間膜での出血です。」


というとても丁寧な回答をいただいた。

このポニーがもし

保険に入っていて

私の出来うる限りの治療をしたとしても

結局助けられたかどうか、は判らない。

だが、せめて

検査と解剖所見を公開して

一つの症例として見ていただき

いろいろなご意見を頂戴し

今後の獣医療の参考とする事が

この不幸なポニーの

せめてもの供養になるかと思い

ここに記事にした次第である。

合掌

  *  *  *

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放牧豚に雪が降る

十勝地方の雪は、北海道の他の地域に比べて少なく

IMG_2809たいした事なくてホッとしている。

雪の多い地方の方々はさぞ大変だろうとも思う。

ようやく雪の来た今日は

十勝でも珍しい放牧の豚の牧場が気になったので

image仕事帰りにちょっと寄ってみたところ

豚たちはうっすらと雪化粧をした牧場で

相変わらず、ナガイモや南瓜の屑(撥ね品)をムシャムシャと食べていた。

雪や寒さなど全くおかまいなしの様子だった。

この牧場に勤める∩さんによると

放牧の豚は雪が降ろうが、風が吹こうが

そのままけっこう元気なのだと言う。

imageただし、あまりに凍てつく日の夜や早朝は

おしくら饅頭のように、ひと塊になって寒さを凌ぐのだという。

ひと塊になりすぎて

塊の中ほどの豚が周りの豚に乗駕されて

image押しつぶされて窒息死する事もあるという。

放牧の豚の群というのは

そんな他愛の無い集団なのだ。

雪景色の中の群れ豚達をしばらく見ていると

牧場の遠くに居た豚達が、何だ何だとやって来た。

ブヒブヒと文句を言い合うやつから

餌を取り合って喧嘩しそうになるやつ

image泥の中で昼寝をしようとするやつ

独りだけ囲いの外に飛び出して私の足を嗅ごうとするやつもいて

なかなか愉快である。

∩さんの話によると

imageここの放牧の豚達もそろそろ舎飼いにするらしい。

冬中放牧は可能だけれども

豚たちはその間は成長してくれないという。

寒さでエネルギーが奪われて太ってくれないのだそうだ。


衆議院の選挙戦が始まった。

ナチスに抵抗したドイツの文学者トーマス・マンの言葉を思い出して

ちゃんと参加しようと思っている。


「政治を軽蔑する者は、軽蔑に値する政治しか持つ事が出来ない。」


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猫の獲物

「牛とは全く関係ないんですけど、うちの猫なんですけど・・・」

往診の帰り際に、★さんの奥さんが話し始めた。

「最近、どうしてなのか、雀とかネズミを私の前に持ってくるんですよ。」

「あー、獲物ね。」

「そーなんですよ。それもまだ生きてるのを目の前に・・・」

「半殺しになってるやつ。」

「そーなんですよ、あれって、飼い主に褒めてほしいからなんですか?」

「いや、褒めてほしいんじゃないと思う・・・それ親猫でしょ?」

「そーなんですけど。」

「親猫がそうするのは、たしか自分の子猫たちに、半殺しになった獲物を差し出して、狩りの練習をさせるためらしいよ。」

「褒められたいんじゃないんですか。」

「うん、たぶん。猫は犬みたいに飼主に褒められたいなんて思わないとおもう。猫は自分が偉いと思ってるみたいだから、飼主さんに狩りの練習をさせようとしているんだねきっと。」

「そうなんですか。ネズミとかまだ死んだふりしてるだけで急に動くから気持ち悪くて・・・」

「(笑)。でも猫がせっかくそうしてくれるんだから、一緒に狩りの練習したら、きっと喜ぶんじゃない?」

IMG_2685 「私を主人だとは思っていないんですか。」

「うん。たぶん(笑)対等の同僚か自分の子供と同じように考えてるんじゃないかなー。」 

「私も子猫・・・」 

「そう(笑)。猫はあくまで自分が中心で偉いからねー、犬みたいにご主人様にしっぽ振って仕えるみたいな事はしないでしょ。」

「そーなんですか。」

「猫好きの人は、猫のそんな所がたまらなくいいらしい。犬の好きな人と違う所かもね。」

「いやー・・・」

「まあ、その猫にしばらく、狩りのやり方とか、教えてもらったら?(笑)」

「いやー・・・」

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ちょっと寂しい深夜の仕事

先日の当直で、深夜に電話が来たのは

搾乳100頭以上の#ファーム。

「ナンザンナンデスガ」

牛舎には、外国人スタッフのV君が一人で待っていた。

「ショサン、セマイ、デス」

手を入れてみると、確かに産道が狭かったが

胎児の頭はなんとか産道へ乗っているので

「これは、このまま引っ張るしかないね。道具は・・・」

「コレ、デス」

image見ると、棒式の助産器具だ。

この先の広くなっている部分を親牛の尻に当てがって支点とし

中央の捧の部分に産科ロープをかけて

ガチャガチャとレバーを何度も引くと

強い力ですこしづづ胎児が出てくるという仕組みになっている。

「・・・。」

image外国人のV君は、無言で

黙々と難産介助をはじめた。

途中、産科ロープが肢から1回外れたが

あとはほとんどV君が1人でこの器具を用いて

最後まで牽引し、胎児も無事に生まれた。

image私は何をしたかといえば

親の外陰部にちょっと手をかけて、広げていたのみで

ずっと、V君へエールを送っていただけ(笑)

そんなわけで、V君の使いこなすこの道具の威力が

遺憾なく発揮されたわけだ。

では、私は

何のために呼ばれたのだろうかと

ちょっと吹き出しそうな気分になった(笑)

まぁ、V君の立場になってみれば

様子が少しでも変ならば獣医を呼べ、と言われているだろうし

万が一良くない結果になったときの

保険というか、社長への言い訳的な存在として

私は必要だったのかもしれない。

ただそれ以外の

飼主さんとの雑談というか

仕事の後の四方山話のようなものが弾まないのは

私のような古い獣医師には

なんとも、調子が出ない(笑)

「無事に出て、良かったね。」

「ハイ。」

「・・・えっと、この牛の台帳は・・・」

「ウシノ、バンゴウ、コレデス。」

「了解。ありがとう。・・・じゃあ、帰りますね、どうも。」

「ナマエ、ナントイイマスカ?」

「安田です。」

「アリガト、ゴザイマシタ。」

大きな規模の牧場で

深夜の牛の難産を

外国人スタッフと2人だけで仕事すると

こんな感じになる。

長いこと現場で臨床をやっている者としては

なんとなく物寂しい感じのぬぐえない

難産介助の仕事なのであった。

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豚の小さな瞳

最近のマイブームに、「豚」が入っている♪

仕事ではほとんどが牛か馬の診療であるが

ごくたまに、豚の仕事が入るときがあり

imageそのときの豚のことが

なんだかどうしても、忘れられず

たまに暇なとき

無性に豚の顔が見たくなることがある(笑)

豚は、いうまでもなく

食べ物としてたいへん身近な動物である。

豚肉を一度もたべたことがない、などとという日本人は

きっといないだろうと思う。

imageそれにもかかわらず

実際に、現代人の多くは

生きている豚を間近に見る機会がほとんどない。

牛や馬と比べても

豚に接する機会は格段に少ないだろう。

豚の生産現場は

牛や馬の生産現場よりも

ずっと隔離が進んでいて

image一般人の普段の生活から大きく疎外されている。

これは、豚の生産ラインが一貫性で

生まれてから屠殺するまで持ち主が変わらない

すなわち生体での市場がない、という事情や

口蹄疫をはじめさまざまな伝染病の蔓延防止という観点からも

一般人の普段の生活から、大きく疎外され、隔離せざるを得ないのだろう。

私には

これはあまり良いことだとは思えないし

とても寂しい話であると思う。


 開墾のはじめは豚とひとつ鍋      依田勉三


image十勝開拓の祖

依田勉三翁の一句は

あまりにも有名である。

昔は豚が身近に飼われていた。

そんな歴史のある十勝には

「豚丼」という名物料理もあり

150x150_square_29135518いまや日本中に

その美味しさは知れ渡りつつある。

しかし

豚そのものの生きている姿は

もはやなかなかお目にかかることができない。

ある日

突然思い立ち

放牧養豚をしている牧場に行って

放牧されている豚たちの姿や顔を見ていると

image豚の目が

とても憐れに思えてきた。

牛や馬の目とは違う

刷毛で書いたような小さな目

その奥の小さな瞳

どこか悲しさをさそう

哀愁に満ちた目に思えるのだった。

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