北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

動物の生と死

乳牛の寿命(2)

酪農の経営規模の拡大が推し進められてきたこの数十年、

その中で脚光を浴びてきた乳牛の飼養方法に

フリーストールという飼養方法がある。

規模拡大という時代の波によって、導入され続け

いまや、多くの酪農家が採用し、

規模の大きな酪農家では主流の飼い方になっている。

フリーストールというのは、ざっくりと言えば

乳牛の首を繋がずに、大きな部屋の中で放し飼いにする方法だ。

乳牛を個別に繋ぐ施設と手間が無いので、多頭数の飼育に適していると言われている。

その放し飼いの部屋の中に、牛が並んで寝るための簡単な仕切りだけが作ってある。

その仕切った寝床の数は、80床程度のものから数100床もある大きなものまでいろいろだ。

放し飼いにされている牛たちは、その寝床に自由に出入りができる。

乳牛たちはそこで一生自由に、寝起きしながら暮らすことになる。

基本的に放し飼いなので、彼らは自由な感じに見える。

ところが・・・ここに大きな問題が潜んでいる。

791a12b3作られた寝床は

餌場や水場から近いところと遠いところがあったり

風通しの良い寝床や暑苦しい寝床があったりするのは当然である。

フリーストール牛舎という1つの閉ざされた囲いの中で

快適な寝床と不快な寝床、という場所の差ができるのは仕方がない。

その閉じた空間の中で、敏感で正直な牛たちは

快適な寝床を覚え、それを求めて行動する。

db7d9bf5そこに競争が生じる。

牛は自由に放たれていてると言っても

それはフリーストール牛舎という

閉ざされたの囲いの中での話であり

行動範囲は限られている。

フリーストール牛舎という閉じた世界に入れられた牛の数が

寝床の数よりも少ないときは

温厚な牛たちの競争はほとんどない。

しかし

フリーストール牛舎という閉じた世界に入れられた牛の数が

寝床の数よりも多くなると

いかに温厚な牛たちといえども

寝床確保のための熾烈な競争が起こることになる。

自然と、一部の強い牛が最も快適な寝床を独占し

多くの普通の牛たちはそれなりの寝床に甘んじ

一部の弱い牛たちは寝床さえ当たらない惨めな暮らしを強いられる。

自由競争による格差社会がそこに生まれることになる。

cd7108ab寝床さえ当たらない弱い牛たちは

当然のように、体調を崩しやすい。

最近、私が訪れるフリーストール牛舎の酪農家の中で

乳牛の数より、寝床の数の方が多い牧場というのは

驚くほど少ない。

むしろ、ほとんどのフリーストール牛舎で定員オーバとなっており

厳しい格差社会が生まれている。

そんな牧場のなんと多いことか・・・!

そこでは当然

寝床さえまともに当たらない弱い牛たちが

体調を崩し、さまざまな病気になる。

我々が往診で呼ばれて診る牛というのは

そういう生活を強いられてきた弱い牛たちの場合が多い。

彼らが体調を崩す原因が

そういう理由である以上

一次的に隔離して注射を打ったり

外科的処置を施したりして、症状を和らげても

それだけでは完全に治癒したとは言えない。

搾乳を再開するために、フリーストール牛舎という閉ざされた世界に戻れば

再び、厳しい弱者の暮らしを強いられることになる。

格差社会の中で弱い立場の彼らは

残念なことに、負け癖が付いているから

再び体調を崩し、さまざまな病気になる。

決して長生きは出来ない。

そんな乳牛が増えれば増えるほど

乳牛の平均寿命は

短くなってゆく。

(この記事続く)


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乳牛の寿命(1)

私が就職してから現在までの約4半世紀の間に、

いろいろな酪農家の牛を診療してきて最近思うのは、

日ごろ診療する乳牛たちが、

以前より若くなってきたという事である。

私が診療する牛というのは健康ではない病気の牛である。

その病気の牛の年齢が若くなってきたように思うのだ。

病気をして獣医師に治療を受ける乳牛たちの

平均年齢、平均産次、が確実に下がってきているように思うのだ。

たとえば、産後の低カルシウム血症である乳熱などは

私が就職した頃は、5産次を超える乳牛でかかりやすい病気だったが

いまや、2〜3産目から頻繁に起こる病気になった。

しかも、かつての乳牛はカルシウム剤がよく効いてすぐ立ち上がったが

最近の乳牛はカルシウム剤の反応が悪く、なかなか立ち上がってくれない。

若いうちから内臓や足腰が弱いのだ。

ちゃんとしたデーターは今は持ち合わせていないが

乳牛が短命になっているのを肌で感じるのだ。

我が国の酪農は、経営規模の拡大を続けてきた。

経営規模が大きくなるにしたがって

飼い主1人当たりの牛の頭数が増えるのは当然の事である。

私はそこに大きな落とし穴があるような気がする。

規模拡大について、私が何度も言ってきた事の一つは

そのデメリットとして

乳牛の命が軽んじられることである。

BlogPaint乳牛の命が軽んじられれば

乳牛は死にやすくなり

乳牛の平均寿命は短くなる。

どうして乳牛の命が軽んじられてしまうのか・・・?

どんなに上手に乳牛を飼う人でも

その面倒をきちんと見れる頭数には限界というものがある。

それは飼い主の能力と、施設の機能によって、様々ではあるが

限界というものはどの牧場にもあり、その限界ラインはなかなか見えにくい。

酪農経営の効率化を進めるのは経営者として当然である。

しかし、その効率化を進めて行くうちに、知らず知らずのうちに

乳牛を健康に飼うことのできる頭数の限界を超えてしまっている

そんな酪農家が、いかに多い事か・・・!

私は毎日々々それを感じながら仕事をしていると言ってもよい。

乳牛が健康を損ね、治療を施すが、思うように治ってくれない。

健康を損ねないように、予防の対策を打とうとしても、労力の限界にぶつかる。

その限界は、意外に単純な乳牛の経営規模に関係があるのではないかと思う。

経営規模が大きくなって、乳牛の命が軽んじられれば

飼主が1頭1頭に対して、細かなケア対策をしなくなる。

乳牛の面倒を見る事ができる頭数の限度を超え

牛たちは様々なストレスが襲ってくる。

しかし、飼主はそれに対して対策を打つ余裕がない。

IMG_1029その結果・・・

乳牛の病気は減らず

乳牛は死にやすくなり

乳牛の寿命は縮まる。

今、我が国では

牛乳が不足しているそうだ。

牛乳を出してくれる乳牛の寿命が縮み

国内の乳牛の数が増えないのであれば

牛乳が不足するのも当然だろうし

乳牛の雌の値段が高いのも当然だろう。

では、その

乳牛の寿命を縮めている原因とは何か?

どんなストレスが乳牛の寿命を縮めているのか?

なぜ乳牛の命が軽んじられてしまうのか?

乳牛の経営規模という側面から

もう少し考えてみたい。

(この記事続く)


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野生動物問題

北海道新聞の朝刊のマンガ「栗の助」、

昨日のサメについて議論している男は愉快だった。

IMG_4147「山に行けば熊が出るし、海にまで・・・サメが・・・」

「あたりまえだろ。」

と切り返す男。

この男が、つくづく愉快でたまらない。

私にはこの男が、私の敬愛してやまぬ同級生、

日獣大学教授のH山S一氏とオーバーラップしてくる。

H山教授は以前

東京都心の麻布界隈に野生のサルがあらわれ

警察が50人以上動員され、マスコミが大騒ぎして

テレビ局から、彼がコメントを求められた時

「どうして麻布にサルがいてはダメなんですか?」

と、逆に質問し

テレビ局の人を絶句させたという人物である。

実に彼らしい、鋭い答えだと思ったが

彼も、このマンガの男と同じように

「あたりまえだろ。」

そして、このマンガの男と同じように

「人間のおごりは捨てねぇと。」

と言っているのかもしれない。

H山教授の著書に「野生動物問題」という本がある。

imageこの本を読むと

熊やサメと同様に、サルやクジラやイルカ、鹿やゾウやトキ、など

様々な野生動物とヒトとの問題が

明快な理論と、世の中への温かな眼差しでもって語られている。

そして、ヒトと動物との関わりについて

我々ヒトがいかに無知で愚かなものであるかということが浮き彫りになってくる。

H山教授は、前書きの中で

「野生動物問題というものが野生動物自身の問題ではなく、人間社会のありようの問題である」

と書いている。

そして、それを具体的に言えば

「社会全体が解決を目指して取り組むべき政策問題である」

とも書いている。

「政策問題。」

とは、すなわち

ヒトと野生動物との関わりについての

法律や条例や国際条約、などの問題になってくるようである。

H山教授は、獣医師でありかつ、それに関する法律家のように

私には見える。

H山教授の力で、この方面の法律が

早急に整備されることを願ってやまない。

だが

ヒト対ヒトの問題だけの

時代を逆行するような法案を急いでいるような

今の政府ではなぁ・・・



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牛舎の猫にご用心

往診先の牛舎の前に車を止めると

牛舎に住みついている猫たちが

車の周りを走り回ったり

車内に入り込んで暖をとったり

車の下にもぐりこんだり

いろいろなことをやらかす猫たちを

追い払わなければならないことがある。

そんなことは日常茶飯事である。

先日の◎さんの牛舎にいる猫も

私の車に興味津々、まとわりついていた。

IMG_3245「この猫、ずいぶん慣れてるね。」 

「車で轢かんでくれよ。」

「こんなに慣れてると、危ないね。」

「そーだよ、・・・この猫ね、50万なんだ。」 

「・・・50万!、マジに!?」 

「うん。」

「なんで、そんなに高いの!?、そんな良い血統なのかい?」 

「血統はそんなに良くない。」 

「じゃ、なんで。」 

「こいつの名前が、50万つんだよ。」 

「・・・なーんだ(笑)」 

「隣のかーさんに言ったらびっくりして、そんな高い猫外出して轢かれたらたいへん!、ちゃんと家ん中で飼わなきゃだめしょ!って叱られたよ。」 

「(笑)」 

「全部で4匹居んだ。」 

「じゃ、あっちの猫は何万、60万?」 

「いや、そんないちいち違う名前なんてつけてねぇって。」

「そうなの(笑)」

IMG_3246「こいつら、生まれた時に母猫がすぐ死んじまって、そのあとオレが育てたんだ。」

「偉いね。」

「ミルクはたくさん有っから、それを注射器に吸って、1日3回。」

「牛と同じ?」

「1日3回しかやんなかったら、うるさくてしょうがねぇ。」

「みんな、50万かい?」

「ははは。」

「4匹もよく育てたね。」 

「うん。4匹だから、全部で200万。」

「うわ(笑)、◎さんち行ったら猫轢いちゃったら弁償高いから気をつけろ、って皆んなに言っとかないと。」 

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豚の幸せ

この間の休日

かねてから気になっていた放牧養豚の@牧場を訪ねた。

一年で最も寒い今の時期に

放牧の豚たちはどうしているのだろうか。

強烈に気温の下がる冬の十勝平野で

放牧されている豚たちはどうしているのだろうか。

この日は、良い天気だった。

午前11時頃の気温はマイナス5℃程度だが

十勝川沿いに上流から冷たい風が吹き下ろす日だった。

先ず向かったのは親豚の豚舎

豚たちは簡易豚舎の前の日向でのんびりと昼寝をしていたが

IMG_3152私に気がつくと次々に起きて

牧場の圧雪を踏みながら、私から離れるように散らばってしまった。

しかし、私が何もしない者だとわかると

次々にゆっくりと元の豚舎の前に集まってきた。

冬の放牧豚は、牧場内の泥が凍て固まっているので

体が綺麗な肌色あるいは黒豚は本来の毛色になっている。

IMG_3156彼らが白い圧雪の上を歩くと

泥にまみれていない蹄が雪に輝き

他の季節よりも清潔感があった。

餌のカボチャと長いもも、雪にまみれて低温のまま

腐臭もなく山のように転がっていた。

水場は厚い氷が張っていたが

豚たちは、割れた氷に鼻を当てて

その下にある水をジュージューと音を立てて吸っていた。

数頭の雄豚に、数十頭の雌豚が混在しているこの親豚群こそ

IMG_3157@牧場の繁殖基地なのであった。

冬の眩しい光の中で

白い雌豚と、黒い雄豚が

IMG_3158いい雰囲気を醸し出していた。

しばらく写真を撮ったりして眺めていると

多くの豚が歩くのをやめて

簡易豚舎の前に寝転んで

ゴロゴロと昼寝をはじめた。

実にのどかな、真冬の放牧豚だった。

次に、子豚の豚舎へ向かった。 

IMG_3160子豚も豚舎の中にはおらず

パドックに放たれて

その中を元気に走り回っていた。

管理人のKさんが機械に乗ってやってきたので 

色々と話をすることができた。

「ここの一番小さい子豚たちは、3日前に外に出したばっかりのやつね。」

「かわいいですね。月齢はどれくらいですか。」

「うん。ここのは3ヶ月くらいかな。白と黒のまだらな奴もけっこういるんだよ。」

「寒くないんですかね。」

「なんともないみたいね。朝晩のしばれのキツイときは、あそこの端っこで団子になってるんだよ。」

「おしくらまんじゅうですね。」

「うん。親豚もそれやるんだけど、中の奥の方のやつが潰されることがたまにある。でも子豚は軽いからそんなことはないよ。」

IMG_3163「なるほどねー。餌は親と同じカボチャと長いもの切れ端ですか。」

「うん同じだよ。でもあとトウモロコシの粉と、寒い冬場だけチーズも・・・」

「チーズですか。」

「うん。チーズ工場から出るハネ品のチーズをペレットにしたやつがあるんだよ。」

IMG_3164Kさんはそう言って、豚舎の中に置いてあるチーズペレットも見せてくれた。

特に豚用ではないらしいが、カロリーが高く

子豚の厳冬のカロリー源に良いという。

「うちはこんな飼い方だから、冬はあんまり大きくならないよ。」

「でしようねぇ。」

「この辺の普通の豚屋さんは子豚をだいたい6ヶ月で出荷してるみたいだけど、うちは2年だから。」

「2年・・・普通の4倍だ、ずいぶん大きくするんですね。」

「うん。でもお金は4倍も取れないけどね(笑)」

十勝名物・豚丼に

この豚が使われる事があるのかどうかはわからないけれど

名物・豚丼の十勝平野で

このような放牧の豚が

1年を通じて、元気に飼われていることは

産地のイメージ的には

大変良いことではないかと思う。

そして何と言っても

ここの豚たちは

厳しい冬でも元気に放牧され

とても可愛く

とても幸せそうだった。


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晩冬に

今年の立春は2月4日なので

暦の上では、冬はあと1週間を残すまでとなった。

夕日が沈む時間は、少しずつ遅くなり

歳時記の、「日脚(ひあし)伸ぶ」、「待春(たいしゅん)」、「春隣(はるとなり)」

といった晩冬の季題が実感を持って感じられるようになってきた。

春を待ち遠しく感じる、という季題は多い。

imageしかし

冬を惜しむ、という季題はない。

辛くしんどい冬将軍は早く去ってほしいという気持ちこそ

日本人が昔から培ってきた感性なのであろうし

今後も、それはきっと変わることなく続くだろうと思われる。

image冬は

家畜たちにとっても

辛くしんどい季節であることは容易に想像できる。

特に、子牛にとっては、最も受難の季節である。

子牛の死亡事故数が冬に最も多くなることも、それを裏付けている。

image冬の厳しい寒さの中で

死産や感染症であの世へ旅立つ子牛が増加する。

この傾向も、今後変わることなく続くだろうと思われる。

冬とは

そういう季節なのだ。

だからこそ春を待つ心も

ひとしお、強くなるのだろう。

冬の力が非常に強く厳しい北海道の

image畜産の技術の中で

厳しい冬の力に対抗して

それをなんとか克服して牛を飼い

冬でも生産性を最大限に上げてゆこう

という考え方に基づく技術と

image厳しい冬の力を素直に認め

それをじっと耐え忍びつつ牛を飼い

生産性の下がることを最小限にしよう

という考え方に基づく技術は

似ているようで

違う技術だと思う。

前者は積極的にみえ

後者は消極的にみえる。

しかし

前者は「愚」

後者は「賢」

だと、私は思う。

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この仔牛の運命は・・・

先日の夜の往診は

「足が4本触るんだが・・・」

酪農家の◎さんで難産だった。

手を入れてみると、確かに足が4本

その隣に頭がひとつ触れた 。

前足2本とその頭は、どうやら同じ仔牛のものだったので

IMG_2905それに道具をかけて

まず1頭目を介助娩出。

大きなホル♂仔牛だったが

残念ながら死亡していた(写真手前)。

子宮の奥に触れた残りの2本の前足は

産科チェーンを掛けようとすると

動いて奥へ引っ込んだ。

その足をなんとか手で掴み

ゆっくりと引っ張って、その奥の頭を確認。

IMG_2906前足2本と頭に道具をかけて

再び牽引、介助娩出。

今度は♀で生きていた♪

それもなかなかの立派な体格のホル♀だった。

「デカいね。これ、でもフリーマーチンかな・・・」

「検査してみようかな。」

「やってみる価値はありそうだね。」 

「半年くらい前にも、こんなやつ検査したら、異常無しって言われたことあるんだ。」 

IMG_2936検査というのは

この♂♀双子の♀の方に、染色体の異常がないかどうかを調べる検査である。

♂♀の双子の場合、♀の方が胎内で♂の影響を受けて

染色体に異常が生じて、生殖器の発達に支障をきたし

いわゆるフリーマーチンという染色体異常による生殖機能不全の♀になっていることがある。

しかしそれは、必ずそうなるものではないらしく

採血をして、染色体の異常がなければ

BlogPaint普通の♀牛として登録可能で

生殖器も問題なく成長する可能性があり

乳牛として繁殖可能な成牛になれる可能性もあると言われている。

今回の♀仔牛も、数日後

採血をして、染色体検査を受けることになった。

IMG_2910先日、検査機関に送付したばかりなので

結果はまだ帰って来ていないが

◎さんで生まれた♂♀双子の♀牛は

かつて、2回も

この検査を受けて異常なしと言われて

そのままホル雌として登録し

成長している牛がいるらしい。

BlogPaint最後の写真は

その時の結果通知である。

今回はどうだろうか。

大きな立派なホル♀仔牛で

胎盤も2つあったようなので

希望が持てるかもしれない。

果たして

この♀仔牛の運命やいかに・・・ 

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不幸なポニーの疝痛

「買ってきたポニーが、腹痛おこしてるみたいで、ちょっと診て欲しいんだけど・・・」

という電話で駆けつけたЧさん宅の馬小屋。

IMG_2650立派な雄のポニーがゴロゴロと

七転八倒の激しい疝痛症状を見せていた。

体温 38.5℃ 心拍数 70

蠕動なく、排便なし。

IMG_2651急性腹症であることは間違いない。

ただ・・・

いろいろと話を聞いてみると・・・

昨日隣町から買ってきたばかりのポニーで

IMG_2652エサや水や馬小屋などの飼育環境が

一気にがらりと変わってしまい

それがどうも、この疝痛の引き金になったようだ。

さらに・・・

IMG_2653話を聞いてみると・・・

この馬はNOSAI保険に加入していない馬であり

したがってNOSAIの獣医師が治療をすると

治療費などが高くついてしまうという事が判明。

IMG_2655さらに・・・

この地域には・・・

NOSAI獣医師以外で十分な馬の治療のできるような

開業獣医師はいない、という不幸も重なっていた。

IMG_2657そんなポニーを見ている間も

激しい疝痛症状は

一向に収まることがなかった。

「とりあえず、何か応急処置でも、してくれないべか先生・・・」

飼い主さんからそう言われれば

獣医師として何もせずにいるわけには行かない。

採血をして

手持のフルニキシンを投与し

次の往診先へと向うために

その場を去った。

日中の往診が終わった後

再びこのポニーの様子を見に、Чさん宅へ寄ってみた。

ポニーは相変わらず

激しい疝痛症状を繰り返していた。

体温 38.9℃   心拍数 90

蠕動なく、排便なし。

IMG_2670「あれからも、ずっとこんなんで変わらないんだけど・・・」

「・・・。」

「助からんかな、先生・・・」

「・・・。」

IMG_2672辺りは日が落ち、暗い空が広がってきた。

「このままで、様子見てみるわ先生、ダメなら、しゃあない・・・」

「・・・。・・・わかった、明日また様子見に寄るから。」

私は再び採血をして、帰路についた。

その夜

私は寝床の中で

あのポニーがどうなってしまうのか

いくら想像しても

きっと良くはならないだろう

という想像に達してしまう思考回路の中で

忸怩たる思いを抑えることができなかった。

翌日は

どんよりとした曇の日だった。

まずЧさん宅へ向かい

馬小屋を恐る恐る覗いてみた。

すると

IMG_2675昨日あれほど疝痛で苦しんでいポニーが

静かに起立して

水槽に口を近づけていた。

検温し聴診器を当ててみると

IMG_2679体温 39.4℃   心拍数 130

蠕動なく、排便なし。

「朝来てびっくりしたさ、痛がらないで立ってたさ・・・助かるべか・・・」

「・・・。」

「やっぱりダメだべか・・・先生・・・」

「・・・。お腹、動いてないし、厳しいと思うけど。」

私はそれだけ言って

もう一度この馬の採血をして

その日の往診先へと向かった。

一通り往診が終わり

車を運転していると

携帯電話が鳴った。

Чさんからだった。

「・・・あのポニー、死んじやったわ、先生・・・」

「・・・わかった。見に行くから。」

Чさん宅に着いて

ポニーの死亡を確認し

処理場のための書類と
IMG_2718
解剖の依頼書を

Чさんに渡して

私はその場を後にした。

  *   *   *

後日

送られてきた血液所見のうち

変化の目立ったものは

〈初診時〉
ヘマトクリット 42.1(%)
GOT                    297(U/L)
クロール    100 (mEq/L)
 
〈2診時(同日夕刻)〉
ヘマトクリット 58.2(%)
GOT                    379(U/L)
クロール    100 (mEq/L)

〈3診時(翌日朝)〉
ヘマトクリット 67.8(%)
GOT                     612(U/L)
クロール   82(mEq/L)
   
であった。

病畜処理場の解剖所見は

Y田J三先生からのものだった。

「内臓摘出の時に落としますので、その時に捻転などが消えてしまうことが考えられますが腸壁での出血や腸間膜での出血から通過障害があったことが疑われました。
PB010008
胃破裂はありませんでした(写真8)。
PB010006-1回腸の部位で腸捻転か重積or嵌頓があった事が疑われました。
写真6が回腸壁の出血部位で腸間膜にも出血があります。

PB010007写真7は広範囲に見られた腸間膜での出血です。」


というとても丁寧な回答をいただいた。

このポニーがもし

保険に入っていて

私の出来うる限りの治療をしたとしても

結局助けられたかどうか、は判らない。

だが、せめて

検査と解剖所見を公開して

一つの症例として見ていただき

いろいろなご意見を頂戴し

今後の獣医療の参考とする事が

この不幸なポニーの

せめてもの供養になるかと思い

ここに記事にした次第である。

合掌

  *  *  *

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放牧豚に雪が降る

十勝地方の雪は、北海道の他の地域に比べて少なく

IMG_2809たいした事なくてホッとしている。

雪の多い地方の方々はさぞ大変だろうとも思う。

ようやく雪の来た今日は

十勝でも珍しい放牧の豚の牧場が気になったので

image仕事帰りにちょっと寄ってみたところ

豚たちはうっすらと雪化粧をした牧場で

相変わらず、ナガイモや南瓜の屑(撥ね品)をムシャムシャと食べていた。

雪や寒さなど全くおかまいなしの様子だった。

この牧場に勤める∩さんによると

放牧の豚は雪が降ろうが、風が吹こうが

そのままけっこう元気なのだと言う。

imageただし、あまりに凍てつく日の夜や早朝は

おしくら饅頭のように、ひと塊になって寒さを凌ぐのだという。

ひと塊になりすぎて

塊の中ほどの豚が周りの豚に乗駕されて

image押しつぶされて窒息死する事もあるという。

放牧の豚の群というのは

そんな他愛の無い集団なのだ。

雪景色の中の群れ豚達をしばらく見ていると

牧場の遠くに居た豚達が、何だ何だとやって来た。

ブヒブヒと文句を言い合うやつから

餌を取り合って喧嘩しそうになるやつ

image泥の中で昼寝をしようとするやつ

独りだけ囲いの外に飛び出して私の足を嗅ごうとするやつもいて

なかなか愉快である。

∩さんの話によると

imageここの放牧の豚達もそろそろ舎飼いにするらしい。

冬中放牧は可能だけれども

豚たちはその間は成長してくれないという。

寒さでエネルギーが奪われて太ってくれないのだそうだ。


衆議院の選挙戦が始まった。

ナチスに抵抗したドイツの文学者トーマス・マンの言葉を思い出して

ちゃんと参加しようと思っている。


「政治を軽蔑する者は、軽蔑に値する政治しか持つ事が出来ない。」


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猫の獲物

「牛とは全く関係ないんですけど、うちの猫なんですけど・・・」

往診の帰り際に、★さんの奥さんが話し始めた。

「最近、どうしてなのか、雀とかネズミを私の前に持ってくるんですよ。」

「あー、獲物ね。」

「そーなんですよ。それもまだ生きてるのを目の前に・・・」

「半殺しになってるやつ。」

「そーなんですよ、あれって、飼い主に褒めてほしいからなんですか?」

「いや、褒めてほしいんじゃないと思う・・・それ親猫でしょ?」

「そーなんですけど。」

「親猫がそうするのは、たしか自分の子猫たちに、半殺しになった獲物を差し出して、狩りの練習をさせるためらしいよ。」

「褒められたいんじゃないんですか。」

「うん、たぶん。猫は犬みたいに飼主に褒められたいなんて思わないとおもう。猫は自分が偉いと思ってるみたいだから、飼主さんに狩りの練習をさせようとしているんだねきっと。」

「そうなんですか。ネズミとかまだ死んだふりしてるだけで急に動くから気持ち悪くて・・・」

「(笑)。でも猫がせっかくそうしてくれるんだから、一緒に狩りの練習したら、きっと喜ぶんじゃない?」

IMG_2685 「私を主人だとは思っていないんですか。」

「うん。たぶん(笑)対等の同僚か自分の子供と同じように考えてるんじゃないかなー。」 

「私も子猫・・・」 

「そう(笑)。猫はあくまで自分が中心で偉いからねー、犬みたいにご主人様にしっぽ振って仕えるみたいな事はしないでしょ。」

「そーなんですか。」

「猫好きの人は、猫のそんな所がたまらなくいいらしい。犬の好きな人と違う所かもね。」

「いやー・・・」

「まあ、その猫にしばらく、狩りのやり方とか、教えてもらったら?(笑)」

「いやー・・・」

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ちょっと寂しい深夜の仕事

先日の当直で、深夜に電話が来たのは

搾乳100頭以上の#ファーム。

「ナンザンナンデスガ」

牛舎には、外国人スタッフのV君が一人で待っていた。

「ショサン、セマイ、デス」

手を入れてみると、確かに産道が狭かったが

胎児の頭はなんとか産道へ乗っているので

「これは、このまま引っ張るしかないね。道具は・・・」

「コレ、デス」

image見ると、棒式の助産器具だ。

この先の広くなっている部分を親牛の尻に当てがって支点とし

中央の捧の部分に産科ロープをかけて

ガチャガチャとレバーを何度も引くと

強い力ですこしづづ胎児が出てくるという仕組みになっている。

「・・・。」

image外国人のV君は、無言で

黙々と難産介助をはじめた。

途中、産科ロープが肢から1回外れたが

あとはほとんどV君が1人でこの器具を用いて

最後まで牽引し、胎児も無事に生まれた。

image私は何をしたかといえば

親の外陰部にちょっと手をかけて、広げていたのみで

ずっと、V君へエールを送っていただけ(笑)

そんなわけで、V君の使いこなすこの道具の威力が

遺憾なく発揮されたわけだ。

では、私は

何のために呼ばれたのだろうかと

ちょっと吹き出しそうな気分になった(笑)

まぁ、V君の立場になってみれば

様子が少しでも変ならば獣医を呼べ、と言われているだろうし

万が一良くない結果になったときの

保険というか、社長への言い訳的な存在として

私は必要だったのかもしれない。

ただそれ以外の

飼主さんとの雑談というか

仕事の後の四方山話のようなものが弾まないのは

私のような古い獣医師には

なんとも、調子が出ない(笑)

「無事に出て、良かったね。」

「ハイ。」

「・・・えっと、この牛の台帳は・・・」

「ウシノ、バンゴウ、コレデス。」

「了解。ありがとう。・・・じゃあ、帰りますね、どうも。」

「ナマエ、ナントイイマスカ?」

「安田です。」

「アリガト、ゴザイマシタ。」

大きな規模の牧場で

深夜の牛の難産を

外国人スタッフと2人だけで仕事すると

こんな感じになる。

長いこと現場で臨床をやっている者としては

なんとなく物寂しい感じのぬぐえない

難産介助の仕事なのであった。

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豚の小さな瞳

最近のマイブームに、「豚」が入っている♪

仕事ではほとんどが牛か馬の診療であるが

ごくたまに、豚の仕事が入るときがあり

imageそのときの豚のことが

なんだかどうしても、忘れられず

たまに暇なとき

無性に豚の顔が見たくなることがある(笑)

豚は、いうまでもなく

食べ物としてたいへん身近な動物である。

豚肉を一度もたべたことがない、などとという日本人は

きっといないだろうと思う。

imageそれにもかかわらず

実際に、現代人の多くは

生きている豚を間近に見る機会がほとんどない。

牛や馬と比べても

豚に接する機会は格段に少ないだろう。

豚の生産現場は

牛や馬の生産現場よりも

ずっと隔離が進んでいて

image一般人の普段の生活から大きく疎外されている。

これは、豚の生産ラインが一貫性で

生まれてから屠殺するまで持ち主が変わらない

すなわち生体での市場がない、という事情や

口蹄疫をはじめさまざまな伝染病の蔓延防止という観点からも

一般人の普段の生活から、大きく疎外され、隔離せざるを得ないのだろう。

私には

これはあまり良いことだとは思えないし

とても寂しい話であると思う。


 開墾のはじめは豚とひとつ鍋      依田勉三


image十勝開拓の祖

依田勉三翁の一句は

あまりにも有名である。

昔は豚が身近に飼われていた。

そんな歴史のある十勝には

「豚丼」という名物料理もあり

150x150_square_29135518いまや日本中に

その美味しさは知れ渡りつつある。

しかし

豚そのものの生きている姿は

もはやなかなかお目にかかることができない。

ある日

突然思い立ち

放牧養豚をしている牧場に行って

放牧されている豚たちの姿や顔を見ていると

image豚の目が

とても憐れに思えてきた。

牛や馬の目とは違う

刷毛で書いたような小さな目

その奥の小さな瞳

どこか悲しさをさそう

哀愁に満ちた目に思えるのだった。

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セントラルパークの馬車廃止

ニューヨーク名物、セントラルパークの馬車が今年一杯で廃止になるかもしれないのだそうだ。

amr14052318100007-n1この名物の馬車をめぐって

廃止派の動物愛護団体と

存続派の馬車協会が 

長年対立し論争を繰り返しているのだという。

廃止派の言い分は

「車道での馬車と自動車の接触事故、過酷な馬の労働状況、馬の不自然な生活環境がよくない、一世紀半前の社会と現代は違う・・・」

などの理由で、廃止すべきだという。

一方、存続派の言い分は

「馬はペットではなく労働用の動物であり世界中で重宝している、先代から受け継いだ伝統的な誇りのある仕事を奪われたくない、馬の健康には十分な配慮があり虐待ではない・・・」

などの理由で、存続すべきだという。

IMG_1779長年の論争が続く中で

双方の活発なロビー活動が繰り広げられたらしい。

そして今年の1月の市長選で、ついに

馬車ツアーの廃止を公約に掲げたデ・ブラジオ氏が勝ち

とうとう、今年一杯で馬車が廃止になりそうなのだという。

馬車ツアーが廃止になってからは

電動のアンティークカーが馬車の替わりに登場し

馬車の馭者68名ほか馬車業に従事する人全員に補償が与えられ

220頭の馬車馬たちは全てサンクチュアリ(保護区)に引き取られて余生を過ごす

という筋書きがあるそうだ。

この背景には

潤沢な寄付金を基に活動するアメリカの動物愛護団体の力が有るらしい。

「New Yorkers for Clean Livable and Safe Stress (NYCLASS)」

「ストレスのない清潔で住み良いニューヨークをつくる市民の会(・・・とでも訳せるかな?)」

この動物愛護団体は

本件に約20億円の寄付金を調達していると言われ

デ・ブラジオ市長はこの団体から選挙運動費として約1億3000万円を寄付されたと言われている。

このての動物愛護団体に多額の寄付をしている人たちというのは

成功した実業家や有名タレントなどが多いという。

一時的にせよ大変裕福になった実業家や有名タレントは

有り余った金の力にものを言わせて

地球上のあちこちで、色々と

動物愛護がらみの問題を引き起しているようである。

この馬車問題についても

またそんな印象を受けた。

また一つ

動物と人間が共生できる場所が失われる・・・

なんだかとても、寂しい話だ、と思った。

私は

畜産業に関わる者の一人として

馬車業界の人たちへの同情を禁じ得ない。

馬と共に生計を立ててきた馬車業界の人たちは

どう思っているのか、聞いてみたいものだ。

またこの話題について

アメリカの獣医師たちはどう思っているか聞いてみたいものだ。

そしてなによりも

今セントラルパークで馬車を引いている220頭の馬たちは

この人間界の動きをどう思っているのか?

それぞれ馬たち1頭1頭の思い(気持ち、考え?!)を

つぶさにインタビューして

聞いてみたい所なんだけどねー・・・

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自分がもし牛だったら・・・(4)

きわめて西洋人的(イギリス人的)な考え方から生まれた

動物福祉(アニマルウェルフェア)を

日本人は素直に受け入れる事は出来るのだろうか?

日本の牛に適応させることはできるのだろうか?

BlogPaintすなわち

日本の牛に家畜福祉の考え方を取り入れて

日本の牛の心と体を健康に導くことはできるのか?

という問題。

その鍵はやはり

我々日本人の精神世界であろうと思う。

日本古来の「神道」や「アニミズム」

あるいは、その後

今から1500年くらい前に伝来した「仏教」

これらの考え方を無視しては

家畜福祉(アニマルウェルフェア)を日本の畜産界に取り入れる事は出来ないだろう。

具体的には

慈悲の心、哀れみの心、すなわち

『牛がかわいそうだ』

という言葉でその心を表す日本語である。

「こんな飼い方をしたら、牛がかわいそうだ・・・」

という日本語のフレーズによって

日本人は牛のことを、慈しみ、悲しみ、哀れむのである。

牛に対して、イギリス人のような上から目線ではなく

日本人は牛と対等な目線によって

『牛がかわいそうだ』

と感じている。

飼われている牛達を慈しみ、憐れんでいるのである。

日本古来の自然観には

「輪廻転生」という考え方がある。

今の世では自分達が牛を飼っているけれど

次の世では自分が牛として生まれ変わって

自分が牛になって誰かに飼われる可能性がある。

この可能性は

現代のいかなる英知によっても

誰も完全に否定することはできない。

だからこそ

牛たちを慈しみ、憐れむのである。

来世の自分が、もし牛だったら・・・

「前世にあんな飼い方をしたから、自分は罰(バチ)が当たったのだ」

と思って

与えられたエサを黙々と食べているかもしれない。

あるいはまた

『牛がかわいそうだ』

とも思わずに

牛に対して平気で辛い事をして死なせてしまったり

牛をいじめて死なせてしまったりしたら

その牛が、もし自分だったら・・・

きっと

「化けて出る」に違いない。

夜な夜な、化けて出て

ひどい飼い方をした飼主や

自分をいじめた人たちの

枕元にあらわれて

恨めし〜い言葉、を吐くのである。

これから先

日本の牛の畜産業界には

そういった、過去に牛をいじめたり

ひどい飼い方をしてきた人たちが

牛に生まれ変ったと思われるような

ちょっと元気の無さげな

へんな牛(成仏できない人)が

だんだん増えてくるに違いない・・・

また

過去に、つらい死に方をした

牛たちの霊魂が

夜な夜な

牧場の周囲にあらわれて

恨めしい言葉を吐きながら

我々を苦しめるに違いない・・・

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自分がもし牛だったら・・・(3)

6月17日の道新の記事の中にこういう記述がある。

『家畜福祉とは、家畜を「単なる農産物ではなく、感受性のある生命存在」と位置づけ ・・・』

image自分がもし牛だったら・・・

この記事内容に対して、どんな反応をするだろうか。

牛というのはおおかた従順で温厚だから

こういう考え方に対して

『我々のことを感受性のある生命存在として認めてくれて、大変ありがたい!』

と思って、大人しく餌を食べていそうだが

中には

この内容に腹を立てて

『何よそれ、俺たちは元々、感受性のある生命存在に決まってるでしょ。いったいいつから「単なる農産物」にされてしまったの?』

と言って吼えまくり

暴れだす牛もいるかもしれない。

道新の記事は、さらにこう続く。

『家畜福祉とは・・・、ゝ欧┐罰蕕からの自由 不快からの自由 D砲漾⊇、病気からの自由 つ名鏐堝阿悗亮由 ザ寡櫃簇瓩靴澆らの自由 ーの五つの自由に基づき、家畜の健康増進を目指すものだ。』

BlogPaint私がもし牛だったら・・・

どんな反応をするだろうか。

こういう考え方の提唱に対して

『大変ありがたい、よくぞ提唱してくれた!』

と多くの牛たちが思って納得して、餌を食べていそうだが

中には

この内容に対して腹を立てて

『五つの自由?、何それ。誰がわざわざこんなものを決めたの、そんなこと当たり前でしょ。ていうか、俺たちの自由ってそれだけなの?。』

と言って吼えまくり

暴れだす牛もいるのではないか

という気がする。

ともあれ

家畜福祉(アニマルウェルフェア)という考え方は

20世紀終りにイギリス政府が作った農用動物福祉審議会という所で提唱されたものらしく

この「五つの自由」を実現することを理想としている。

この考え方はさかのぼって

19世紀のイギリスの労働者保護運動そっくりだと言われている。

イギリスではそれが社会主義的な政権の力と結びついて

福祉国家が誕生した。

今日のイギリスのアニマルウェルフェアの認証制度も

それに習って実現されているようだ。

それは

きわめて西洋人的な思想と文化から生まれてきたものである。

それに対して

東洋の思想と文化の土壌で培われてきた日本の畜産に

この西洋の文化から生まれた家畜福祉の思想が

はたして

どれほど理解され

どれほど定着するのか

私は大いに疑問を抱いてしまうのである。

内容は大変良いことを言っているのに

どこか違和感を感じるのは

どうも

西洋と東洋の思想文化の違いが

背景にあるからではないかと私は思っていて

その違いを埋めるのは

なかなか簡単なものではないだろう

という気がするのである。

(この記事続く)

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自分がもし牛だったら・・・(2)

前回の記事で、うしらぶさんという方からいただいたコメントの中の

image北海道新聞の記事、平成26年6月17日(火曜日)25面

は、牛の家畜福祉(アニマルウェルフェア)の記事だった。

犬や猫の家畜福祉(アニマルウェルフェア)の考え方は

だいぶ前から我が国でも話題にされ、定着しつつあるが

牛などの家畜についてのそれは、また緒に付いたばかりで

最近ようやく研究会が立ち上げられたらしい。

imageその記事の内容は、大変興味をそそられるものだった。

そして偶然にも

私が拙ブログに取り上げた前回の話題と

共通点が多いのであった。

写真はそのほぼ全文。

字が細かいので、読みづらいかもしれないけれど

興味のある方は、クリックをして拡大して

ぜひ読んでみていただきたいと思う。

image記事には

「家畜の身になって考えてみようというのが、家畜福祉の根本的な発想です。」

と、ある。

これは、私が前回の記事で言った

「自分がもし牛だったら・・・」

という発想とまったく同じである。

その他内容を読み進んでゆくと

全体にわたってとても共感の持てる素晴らしい内容だった。

私は、家畜福祉(アニマルウェルフェア)について、まともに勉強したことがないのだが

私が毎日仕事をしながら常々思っていることと、基本的な発想が同じだったことに

少々驚いている。

「家畜(牛)の身になって考えてみよう。」

くどいようだが

この視点はとても重要だと思う。

さて

実際に

自分が牛の身になったとする。

では次に

何を、どう考えてゆくのか・・・

そこに

牛の身になった動物福祉(アニマルウェルフェア)の考え方と

牛の身になった私(豆作)の考え方は

共通点は非常に多くあるのだが

ほんの少しだけ違っている部分があるような気もするのだ・・・

(この記事続く)

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頭数確認

牛馬の共済(NOSAI)の保険というのは1年ごとの単年度の保険なので

毎年、3月の年度末のこの時期には 

保険を更新して引き受ける事務手続きが一斉に行われる。

うちの診療所でも、その手続きが始まっている。

図らずも先日、利き腕の指を負傷した私は

まだ「故障者リスト」に入っているため・・・

直腸検査や水仕事の無い仕事として

この、保険の更新引き受け業務に当たっている。

組合員さんへの更新手続きの説明と、サインと捺印が終わったら

BlogPaint各家まで出向いて

加入してもらった牛や馬の個体数が

実際に名簿通りに飼養されているかどうかを

1頭1頭名簿とつきあわせてチェックする作業がある。

これを「頭数確認」という。

牛の頭数確認は、耳についている個体識別番号を

名簿とつきあわせながら、1頭1頭チェックをしてゆく。

小規模の頭数の牧場であれば、その作業は簡単だ。

しかし、最近は

大規模に多頭数を飼う牧場が増えてきて

そういう牧場の牛の頭数確認は、簡単ではない。

規模の大きな牧場になればなるほど

牛の出入りも多く、なかなか名簿通りにピタリと合うことがない。

何度も名簿を見直しては

この番号の牛が見当たらないが、どこへ行ったのか

売ったのか、それはいつか

この番号の牛は名簿にないが、どこから来たのか

買ったのか、それはいつか

そういうチエックを、1頭1頭して行かなければならない。

この作業は

保険の切り替え時期に行う事はもちろんであるが

死亡事故や廃用事故が発生したときも

その都度、必ずチェックして、その牧場の個体の動向を把握し

それに基づいて保険金が計算される。

地味な作業であるが

農業共済保険の適正な運用のために

とても重要な仕事なのである。


  牛の出入りと

   病気の出入り

     それが酪農

       デイリーよ




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気候の変わり目

何日ぶりの雪だろうか・・・

少なくとも、1ヶ月くらいは

十勝地方には、まともな降雪は無かった。

今年の北海道東部は、異常なほどに雪が降らず

正月はもちろん、雪が少なく

その後の寒の入りから、小寒、大寒、と

雪掻きをする事が無く

ただひたすらに、寒さに耐えるだけの

いってみれば、非常に楽な冬を過ごしてきた。

IMG_0313それがとうとう先日

やっと、まともな雪が降り

ようやく冬らしい雪景色になった。

それでもこの雪とて、10センチそこそこの積雪で終わった。

道内の、道東以外の雪の多い地域の人たちには大変申しないような気持ちだが 

今年の十勝地方は今のところ

雪が少なくてとても楽なのである。

ただし、こういう事を発言してしまうと、どういうわけか

その後の気候が変わってきて

今まで少なかった雪の量の、帳尻を合わせるように

ドカン、ドカン、と雪が降ってくるという可能性がある。

我が診療地域の牛達も 

年が明けてから、比較的事故が少なく

平穏無事に過ごしてきた。

しかし、先日の雪の日の夜当番は 

ちょっと雲行きが怪しくなるような牛達の病気が出た。

IMG_03111日の間に

乳牛の親の、起立不能が

私が診ただけで5頭も出た・・・

その うちの1頭は直ぐ起立して治ったが

IMG_0312残りの4頭のうち1頭は死亡、もう1頭は廃用・・・

残りの2頭も、まだ起立に至らす、治療中である。

とりあえず

天気の方は雪が上がり、晴天になったものの

IMG_0315これから先また直ぐ 、雪が降り出すという。

安定した気候が、不安定な気候に変わる

そんな気候の変わり目に

牛の病気も、途端に増えてくる。

いままでの経験で、それは分っているのだが

気持ちはあんまり、よくないものである。

心して、仕事にかからねばならない。 

IMG_0314 






 
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馬の胃破裂

結論から先に言うと

imageこの馬は、初診から数えて4日目に死んでしまった。

「きっと、ダメじゃないかと思うんだけど・・・診て来てくれないかい?」

そんな引き継ぎの言葉を受けて

§牧場のこの馬を診たのは、3診目だった。

image初診時から食欲廃絶、体温38.0、心拍数50

首をのばす動作を繰り返し、流涎が著しく

食道部が腫脹していたので食道梗塞を疑い

カテーテルにて内容を排出させると

image少し楽になったのか、食欲を見せた。

その晩の2診目には、再び苦しそうに同じ動作をし

鼻腔から胃液を流出させるようになった。

腸の蠕動はほとんど停止し、宿糞を少量排泄するのみ。

image激しい疝痛症状は認められず

ふたたび、カテーテルにて胃内容を5リットルほど排出させた。

翌朝、私がこの馬を診たときも

症状は全く好転せず

image鼻腔から何度も何度も、胃液と内容物を吐出させていた。

私はこの時、小腸近位部の閉塞を疑った。

血液のヘマトクリットは52.7(%)

血中クロール濃度は78(mEq/L)

image体温39.0、心拍数90

通過障害とそれに伴う強い脱水が見られた。

「やるだけやってみますか・・・」

諦めきれない§さんの前では、このように言うほかは無かった。

image午後から、診療所へ引きつけて

枠場で再び、カテーテルを入れて胃の洗浄。

その間、ずっと脱水改善のための補液を続けた。

洗浄液をサイフォンの原理で何度も還流させているうちに

出てくる内容物は、固形物がなくなり

最後の方には、黄色い胆汁の混ざったような

黄色透明な液体ばかりが出てくるようになった。

補液と胃洗浄によってなのか

馬は少しだけ気分の良さそうな顔をした。

「でも、腸が全く動いていないんで・・・どこかで詰まっているんじゃないかな・・・」

imageそれが解消されれば・・・というごく僅かな期待よりも

たぷんダメだろう・・・・という予想のほうがはるかに大きく

結局それ以上の事はできずに、馬は帰っていった。

翌日、症状は再び元に戻り

体温39.5、心拍数98、発汗、茫然。

そして翌日、息を引き取った。

mso257C7解剖の結果は「胃破裂」。

当初の予想の、小腸の閉塞は

残念ながら確認ができなかった。

胃破裂に至る原因をあれこれ考えたが

はっきりとした結論は出すことができなかった。

mso1A300この馬は

ばんえい成績の良い仔馬を生む馬で

1年空胎の今年の春、シダープログラムを実施して

やっとの思いで、受胎までこぎつけ

来年の出産を楽しみにしていた馬だった。

 
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路上の鳥獣

往診の途中の道路上には

蟻や毛虫のような小さな昆虫から

鹿や熊のような大きな哺乳類まで

実に様々な生き物が通りかかるものである。

その多くは

車に驚いて逃げてゆくのだが

なかには

負傷して怯えてうずくまっていたり

屍になっていたりするものもまた多い。

自動車の通行のために作った道だ、ということを

知るすべのない彼らは

多くの場合、不幸な結末を迎えてしまうようである。

先日、路上で発見したものは

鳩だった。

DVC00103車が近くを通るたびに

羽根を動かして逃げようとするのだが

もはや、飛ぶことが出来ずに、パタパタするのみ。

手に取り上げると

観念したような眼差しを、私に向けた。

DVC00102どこが、どう悪くて、飛べないのか

鳩の知識がない私には、解らず

とりあえず、ここでは危険だろうから

道路上から近くの茂みの中へ移動させて置いた。

負傷したものか、それとも病気なのか

それさえも解らず

私はただこの鳩を、道路上から茂みの中へ

移動させただけだった。

この鳩は、きっとこのまま息絶えて

おそらく、狐の餌にでもなってしまうのだろう。

私はこの鳩に

それ以上何もしてやることが出来なかった・・・

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