北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

文芸論

大とかち俳句賞の選者(今後の課題)

先日の十勝毎日新聞(勝毎)に、

大とかち俳句賞の各選者の特選句が、

1面すべてを使って掲載された。

こうやって集まった秀句が、

新聞紙上の活字になると、

この大会もなかなか盛況で、

地元十勝での俳句イベントが、

全道の方々に認知され、

少しづつ全国的にも知られ始めていることを感じる。

文字通りの「全国」俳句大会へと

少しづつ近づいているような気がする。

これはとても嬉しいことだ。

IMG_6144





















特に嬉しかったのは

道外の特別選者が3人になったこと。

そして

宮坂静生氏(現代俳句協会)

片山由美子氏(俳人協会)

星野高士氏(日本伝統俳句協会)

という

俳句界の3協会から1人ずつの

バランスのとれた3選者に復帰したのが

私としては嬉しかった。

IMG_6161








だが

道内選者の方々16人を見ると

現代俳句協会から9人

俳人協会から5人

伝統俳句協会から2人

という顔ぶれだ。

所属協会には掛け持ちの方もいるし

それだけにこだわる必要はないという見方もできるし

この大会の創始者である鈴木八駛郎氏が

現代俳句協会の方だからこれで良いという考え方もある。

しかし

伝統俳句協会所属の私にとっては

道内選者のバランスをもう少し変えて

伝統系の選者を増やしても良いのではいか

と思っている。

そうすることによって

大賞を始めとする上位入選句の

選ばれる俳句の傾向がわかりづらくなり

色々な傾向の俳句が1つの大会に集まって

混沌とした中から名句が選ばれる

というワクワク感が出て

投句する側にも

楽しみが増すのではないか

と思うのである。


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第17回大とかち俳句賞全国俳句大会

9月28日(土)の午後から、

とかちプラザで第17回大とかち俳句賞全国俳句大会が開催された。

IMG_6120といっても、

当日に句会があるわけではない。

本大会の投句は今年の7月10日にすでに締め切られていて、

集まった句が多くの選者によって評価され、

その集計結果が本大会で発表される。

IMG_6121今年は課題句と雑詠句とも500句前後の投句を頂いた。

投句し参加していただいた皆さまには

あつく感謝申し上げたい。

大会当日は

入賞句の披講と

IMG_6114出席していただいた選者の皆さんによる

各特選句の句評

そして入賞者の表彰が行われた。

そして本大会の目玉は

約1時間の講演会である。

今年はその講師が五十嵐秀彦さん。

秀彦さんは今

北海道で最も活躍されている俳人であると思う。

その方の生の公演を聞くことが出来たのは

出席者として、司会者として

とても幸せなことだった。

題は「北海道俳句の未来」。

今年の春に催された北海道立文学館のテーマの

北海道魔俳句はどこからきたのか?

から始まる話は

秀彦さんの北海道俳句に対する深い洞察があった。

後半は北海道俳句の現在と今後の話

そこで圧巻だったのは

秀彦さん自身が立ち上げた俳句集団【itak】の誕生と

今後の北海道の俳句の行方と課題にまで話が及んだ所である。

インターネットの俳句会をいち早く実践し

その経験が俳句集団【itak】を立ち上げる動機になったこと。

さらに俳句集団【itak】は1つの社会実験であり

その先には今衰退の一途をたどっている俳句結社の役割を見据え

新しい俳句界がどうなってゆくのかを

IMG_6116独自の視点で語られた内容は

芸術分野での辺境という考え方や

ヨーロッパの北方詩学まで参考にしながら

まさに圧巻だった。

秀彦さんの話が魅力的なのは

話されている事のほとんどが

ご自身の体験と果敢な実践に裏付けられているからだ。

それが強い説得力を持って

我々の心に響いてくるのだ。

秀彦さんには心から感謝申し上げるとともに

今後もその飽くなき実践によって

我々を啓発し続けて欲しい

と思った。


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瀬戸優理子さん来帯!

昨日の朝は当直明け、

早朝に往診が1件入り、

IMG_6073外に出たら、

見事な虹が出ていた。

雨が上がって

今日は何か良いことが起こる知らせのようだった。

午前中で仕事を上がらせてもらって

IMG_6066昼から帯広のホテルへ

俳人・瀬戸優理子氏を迎えに行く。

優理子さんは

翌日に足寄町図書館で行われる

道立文学館の出張講座の講師として

帯広にやって来たのだ。

IMG_6074先ずはその足で

FMウイングのスタジオへ。

14時30分からのゲストインコーナーで

MCの門馬ひかりさんと3人で

優理子さんの紹介と

IMG_6077今回の出張講座の宣伝と

俳句に関するトークをさせてもらった。

その後私は一旦自宅に戻り

夜は

十勝在住の若手(?!)俳人と

十勝にゆかりのある若手(?!)俳人が

ひかり食堂に集まった。

私が声をかけたのは

みな私より歳が下の俳人たち

というわがままを通させてもらった(笑)

「私が若手というのはちょっと・・?・・・」

と私が言えば

「私も20年以上若手と言われて、いつまで若手なの・・?・・・」

と優理子さんも笑っていた。

札幌や東京では近頃

本当の若手俳人が次々と現われているようだから

この十勝でも

本当の若手俳人は

どこかに必ずいるはずだ。

そんなことを冗談交じりに喋りながら

日がくれた頃

ホテルヌプカの馬車BAR受付へ向かった。

IMG_6079何かきっかけを作って

いつか乗りたいと思っていた馬車BARに

念願かなって乗ることができた。

夜の街を走る観光馬車というのは珍しいようで

運行が開始されてから約半年経っても

IMG_6083今だに沿道から携帯カメラを向ける人たちが沢山いて

なんだか我々は見世物になったような

異次元な気分を堪能した。

1時間ほど馬車BARに揺られた後は

俳人マスター山下敦さんのJAZZBAR・PAGE1へ。

IMG_6085今こうやって記事を書いていたら

一句浮かんで来た・・・


 馬車BARの次はジャズBAR居待月   


ちょっとつまらない句だな・・・(笑)

さて

PAGE1に到着すると

マスターを交えたた我々若手(?!)俳人

瀬戸優理子 三品吏紀 山下敦 吉岡簫子 渡辺光子 安田豆作

の6人は

さっそく句会を始めた。

その時に出した私の句は


 秋の夜の宿の白壁馬車の影  


 秋の夜の馬上に迫る信号機 


 定まりし馬車の行く手に居待月


句会&飲会を

心ゆくまで楽しむのは

俳句の醍醐味の一つである。

これからはもっと

十勝で俳句仲間を増やし

こいういう会をもっと多人数で

頻繁にやって行けたらいいなと思う。

IMG_6089瀬戸優理子さんの

足寄での俳句講座は

本日の午前10時30分から。

この記事を読んだ人で

まだ間に合うのならば

是非問い合わせて

参加してみてほしい。

優理子さんには

今回の帯広入りを足がかりにして

今後また十勝の何処かの町で

俳句講座をやっていただきたいと思う。
  
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前衛と伝統

参加して3年目となる、

T.A.L.(Tokachi Art Links)が終了した。

私が参加させてもらう理由のひとつは、

俳句という文芸をする中で、

他の文化活動(書・写真・アート・陶芸・など)をしている方と、

IMG_5983交流することである。

参加するたびに、

毎年新しい参加者が増えるので

その目的は達成されていると思う。

また今回はもう一つの理由として

地味でマニアックな世界にとどまっている回文575というものを

他の出品者さんの力を借りながら

展示してみたいということだったが

それも今回の展示で実現できて良かったと思っている。

それに加えて今回は

ギャラリートークの時間に

能楽の「敦盛クセ」の謡の独吟をさせてもらった。

IMG_6017これは今回の私の個人テーマが

「源氏と平家」というもので

前衛の対極にある伝統文化を

あえて自分のテーマにしたことによる。

この独吟をするにあたっては

前もって喜多流の塩津圭介先生にお伺いを立てる必要があった。

先生曰く

「何か他のものとコラボするものではなく、その場所で、純粋に独吟をするのであればよろしいかと思います。」 

というお答えだった。

そしてさらに

「能楽振興のため、その担い手としての責任と、誇りを持って、お願い申し上げます。」 

というお言葉も頂いていた。

これは私にとって

とても重い言葉だった。

究極の前衛アートという名前の付いた催しに

究極の伝統文化といえる能楽の謡を独吟する

IMG_6013というのは

いかがなものか

場違いなNG行為ではないのか

と悩んだのだ。

悩んでいるうちに

前衛と伝統というのは

表裏一体のようなものではないか

と思うようになった。

伝統があるからこそ前衛があり

前衛があるからこそ伝統が守られる

IMG_6011それは

俳句も能楽も書も写真もアートも陶芸も

皆そうなのではないかと。

そんなことを考えつつ

結局私の我儘で

謡の独吟を披露させて頂いた。

会場にいた数10名の皆さんに

そんな思いが届いたかどうかはわからないけれども

何かを感じていただければ

ありがたいと思っている。


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「花鳥諷詠」誌での連載終了

日本伝統俳句協会の機関誌「花鳥諷詠(かちょうふうえい)」の、

IMG_5985「一頁の鑑賞」という隔月連載を、

担当執筆させてもらっていた。

先日発行された九月号をもって、

それも最終回となった。

その内容は

執筆者によって色々だが

私は

高浜虚子の編んだ「ホトトギス雑詠選集」の

春の部・夏の部・秋の部・冬の部 

の4冊の中から

北海道にゆかりのある俳人の句を

毎回2人ずつ取り上げて

その鑑賞文を書いて来た。

去年の11月号は

名塩呑空(なしお・どんくう) と石田雨圃子(いしだ・うぼし)

今年の1月号は

伊藤凍魚(いとう・とうぎょ)と比良暮雪(ひら・ぼせつ)

今年の3月号は

佐瀬子駿(させ・ししゅん)と天野宗軒(あまの・そうけん)

今年の5月号は

鈴木洋々子(すずき・ようようし)と阿部慧月(あべ・けいげつ)

今年の7月号は

長谷川かな女(はせがわ・かなじょ)と阿部みどり女(あべ・みどりじょ)

今年の9月号は

臼田亜浪(うすだ・あろう)と飯田蛇笏(いいだ・だこつ)

 「ホトトギス雑詠選集」は

「明治41年から昭和12年まで 、通巻500号を迎えたホトトギスの雑詠入選句十数万句から、約一万句を厳選した「花鳥諷詠俳句」の精髄。『芭蕉七部集』に匹敵するといわれる現代俳句の古典的アンソロジー」

IMG_5984なのだそうで

それを1年間つぶさに読んで

その中から

北海道に関係深い作家の俳句を鑑賞し

現在の「花鳥諷詠」誌に

活字として残すことができたのは

とても幸せなことだった。

最新号の鑑賞文のページを

IMG_5987写真にとって

ここに貼り付けてみた。

自分ではとても気に入っている文章

(自画自賛かよ)なので

興味のある方は是非

クリックして拡大して

読んでみてほしい。

これを機会に

「花鳥諷詠」に興味を持っていただけると

とても嬉しい。 


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三品吏紀(りっきー)をさがせ!?

昨日届いた俳句雑誌「ホトトギス」に、

今年の5月18日〜19日に開催された、

北海道ホトトギス大会の記事が載った。

今年の大会は、

十勝川温泉「第一ホテル」で行われたので、

我々十勝のホトトギス&伝統俳句協会所属の俳人が、

準備や当日のお世話などを担当させてもらった。

どれだけの方々が集まってくれるのか、

FBA34EC6-5716-4169-99B9-E0FC6A8D9ED2心配もあったけれど、

前日の同人句会、

北海道ホトトギス前日句会、

北海道ホトトギス大会本句会、

の3回の句会に、

結果的には100名近い人たちが、

一堂に会して俳句を楽しむことができたのは、

とても喜ばしいことだった。

その中には、

ホトトギス&伝統俳句関係ばかりではなく、

それ以外の多くの俳人の皆さんも句会に参加してくれた。

私のブログにもたびたび登場させてもらっている

俳句集団【itak】幹事の

青山酔鳴さんと三品吏紀さんも

大会に出席してくれたのは

とてもうれしい事だった。

とくに

三品吏紀(りっきー)は今回初参加で

しかも

本大会において

稲畑汀子選と稲畑廣太郎選に入選し

特選にも選ばれ

その実力をいかんなく発揮してくれたのは

とてもうれしい事だった。

彼は昨年の

北海道文学館俳句賞「未来賞」を受賞している

新進気鋭の俳人でもある。

その記事と入選句が

「ホトトギス」の最新号に乗っていたので

1BDA37CE-9340-48F6-9358-3281A900652B写真で添付してみた。

活字は小さいけれど(笑)

三品吏紀(りっきー)作の俳句が「ホトトギス」誌上に

初掲載されているので

探してみてほしい。

りっきーをさがせ!


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鈴木牛後さんの第3句集「にれかめる」発売!

昨年の角川俳句賞を受賞して、

今や押しも押されもせぬ日本の俳人、

下川町の酪農家、

鈴木牛後さんの、

待望の第3句集が発売になった。

ネットで予約購入していたので、

仕事から帰って郵便受けにこれを見つけて、

跳び付くように読み始めた。

期待通り、いや、期待をはるかに超えた力強い句の数々。

読んでゆくうちに心躍る、

IMG_5915素晴らしい句集だった。

まだ一読しただけだけれども、

読み返すたびに新たな発見と感動が得られそうな、

そんな句集である。

この第3句集には374句も収録されているので

全てを紹介することなど到底無理であるが

とりあえず心惹かれた句を

少し挙げてみたい。


 雪を掻くたびに光のあたらしく


 春の土たがひに踏んで別れけり


 血の軍手春日に干してまた履きぬ


  農道の波打つてゐる西日かな


 裸木はたがひに傷め合うてをり 


 雪にスコップ今日と明日との境目に


    初蝶は音なく猫に食はれけり


 雪を前に話すこの世のことばかり


 牧場を山と呼びたる夏の雪


 草青むはやさに歩む牧支度


 杭打つて山の眠りを覚ましけり


 万緑の触手舗道の割れ目より


 白日傘傾ぎ見られてゐる労働


 初雁や大曲りして天塩川


 雪捨てて拾ふものなき日暮かな 


そして何よりも

牛と酪農を詠んだ句の数々。


 白息の混じりて牛を捕へけり


 飲みをへて仔牛しづかや余花の風


 満月を眼差し太き牛とゐる


 牛見送る軒より露の滴りぬ


 牛の死に雪のつめたくあたたかく


 鼻息熱き牛を夜涼へ放ちけり


 甘さうに草の波立つ牧開き


 我が足を蹄と思ふ草いきれ


 角焼きを了へて冷えゆく牛と我


 牛産むを待てば我が家の冬灯


 仔牛の寒衣脱がせ裸と思ふ春


 美味き草不味き草あり草を刈る


これらの牛の句・酪農の句には

飼主と牛との距離の近さを感じる。

それは愛情の深さである。

というよりも

もう牛後さん自身が牛と同化しているような句で

牛の代弁者になっているような句である。

これを読んだ私を含め酪農関係の方々は

どんな感想を抱くだろうか。

また、全国の

牛乳や乳製品の消費者の方々は

どんな感想を抱くだろうか。

さらに

今回新たな驚きと感動があったのは

牛後さんの俳句の中に登場する

独特の「オノマトペ(擬音語・擬態語)」である。

「どるん」

「たわたわ」

「ろろん」

「けおん」

「ざばん」

「ここここ」

「るろるるろる」

「ばふう」

「ざんざん」

「さりり」

「ぱふん」

「わんわん」

「かしや」

「べったら」

「ほこん」

「ちやりぢやり」

「ちつちちつち」

「くわわ」

「ぎゅるん」

「ごどごど」

「ききゅん」

「ざざざら」


これらのオノマトペが

どんな句に使われているのかは

ぜひ句集を買って

それを手元に置いて

読んで楽しみながら

探していただきたいと思う。

鈴木牛後さんの第3句集「にれかめる」は

私がここに記したこと以外にも

まだまだ沢山の面白さが詰まっている

超おすすめの句集である。

日本全国の皆さんの

一人でも多くの方々に

ぜひとも読んでいただきたい

素晴らしい句集である。


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こんな頃もあったのね(川柳の時代)

先日、物置を片付けていたら、

沢山の川柳の雑誌と、

各地の川柳人からの書簡と、

数枚の写真が出てきた。

写真の中の日付を見たら、

平成四年十月八日とか、

1994.9.11.とか、

今から25年以上も前の写真の数々だった。

一枚目の写真は

IMG_5535当時道新川柳の選者だった

塩見一釜さんを囲む会が

帯広駅前のふじもり食堂で開催された時の記念写真。

最後列の右端で一人浮いている感じに写っているのが私。

まだ髪の毛は真っ黒だ(笑)

私は当時

道新の川柳欄に盛んに投句していたので

こんな会合にお声が掛かったのだった。

当時は十勝川柳社とか帯広川柳社とかいう結社の句会もあり

私はよくそこにも顔を出しては川柳を作って遊んでいた。

二枚目の写真は

IMG_5536その時に書かれた記念の色紙。

日付が、平成四年十月八日とある。

今から25年以上も前のことだ。

懐かしい名前が並んでいる。

ここに名前を連ねている人の

ほとんどがもうお亡くなりになっているだろう・・・

塩見一釜さんはまだお元気なのだろうか。

三枚目の写真は

IMG_5537当時の北海道の川柳界を牽引し

全国的にも有名だった

斎藤大雄さんが主宰する

札幌川柳社の北海道川柳大会が根室標津で開催された時の写真。

十勝からも私を含め10人以上の参加があり

標津のホテルで盛大な句会をしたのをよく覚えている。

斎藤大雄さんは

以前に記事を書いたとおり

すでにお亡くなりになっている。

四枚目の写真は

IMG_5539その時の懇親会の二次会で

カラオケをやった時の写真。

手前に大きく斎藤大雄さん

後ろに私も写っているこんな写真があった(笑)

日付が、1994.9.11.とあるので

平成六年である。

斎藤大雄さんは

カラオケが好きだった。

そのとき何を歌われたのかは思い出せないが

自分で歌いながら

その歌詞に感動して泣いてしまう人だったことは覚えている。

さらに誰かが曲を歌っていると

その歌詞を聞いてまた感動し

ボロボロと涙を流していたこともよく覚えている。

とても感受性の強い方なんだなーと私は思ったものだ。

そんな斎藤大雄さんが

私におっしゃった

「とにかく、句をたくさん詠もう!」

という一言は

今も忘れていない。


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音更・鈴蘭公園・俳句吟行

昨日の昼は、

私の所属している俳句結社「柏林」 の花見吟行で、

音更の鈴蘭公園を散策。

気温が25℃以上になり、

歩いていたら汗ばんでくるほどのポカポカ陽気だった。

1時間ほどブラブラと、

俳句を拾いながら歩いていると、

「柏林」の仲間の方達が何人か、

しゃがんで地面を見つめていた。

近づいてみると

小さな野草の花を見ているようだった。

それは本当に小さな野草の花で

IMG_5511しゃがんで手を添えて見ないと

よくわからないほどの

小さな薄青い花だった。

「豆作さん、これわかります?(笑)」

IMG_5510「・・・」

「フデリンドウですよ。」

「・・・普通のリンドウは知ってましたけど・・・」

秋に咲くリンドウとは違い

春の野に咲くフデリンドウは

名前は聞いたことがあったものの

実物を見たのは初めてだった。

それもこんなに小さいとは・・・

詳しい人に教えてもらわないと

こんなに小さな花は

見落としてしまうに違いなかった。

IMG_5515「これは◯◯◯◯◯◯ですね。」

その場にもう一つ

フデリンドウと同じように

とても小さな白い花が咲いていた。

細めの白い花びらを

IMG_5513四方八方へ広げて

中心部が黄色く

葉は丸みを帯びている。

その時に言われたこの花の名前を

私は失念してしまったので

今ここでは◯◯◯◯◯◯としか書くことができないのだが

この写真の白い小さな花の名前を

ご存知の方がいらっしやったら

教えていただきたいと思う。

そんな感じで

のんびりと散策を続ける

俳句吟行会だったが

この句会に提出する俳句は

IMG_5518「花」一切。

と言っても全ての花を指すのではなく

「花」=「桜」

というルールの中で行われる

毎年恒例の吟行句会だった。

したがって

投句する俳句は全て桜に関するものにしなければならなかった。

IMG_5517句会にも色々あるが

一定の縛りの中で作るというのも

軽い緊張感があって楽しいものである。

音更の鈴蘭公園の桜は

満開の時期をやや過ぎて

落花しきりの

花散る美しさを見せていた。

私が投句したのは以下の5句


  葉を伸ばす喜びの中散る桜     豆作


  散る花も群れ鳴く鳥もそよ風に    同


  日高嶺の色退いてゆく花日和     同


  公園の花に招かれ神田坂       同


  花影に入り明るさに手をかざす    同



あまり奇をてらわずに

感じたものをそのままに詠んだ句になったが

これらの句は

そこそこの評価を受けることができ

楽しい句会だった。

今回は総勢22人が参加し

各自5句づつ投句する句会だった。

その中には

こんな句もあった。


  ロケットの打ち上げに酔ひ花に酔ひ    心鳥


これはタイムリーな一句で

人気があった。



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雁と「北の虚子忌」句会

翌日は岩見沢駅前から、

再びバスで宮島沼へ向かった。

昨日の夕方は、

雁の塒(ねぐら)入りを見たが、

今度は昼間の雁を見た。

昼間の宮島沼の雁たちは

周囲の田畑へ餌を食べに出かけているので

沼面にはそれほどいないのではないか

という予想だった。

IMG_5440






しかし

そんな予想を覆し 

この日の沼面には

埋めつくさんばかりの雁が

声を上げながら集まっていた。

IMG_5446






途中で我慢しきれないように

飛び立つ群があると思えば 

東の空から編隊を乱しながら

次々と落ちるように着水する群もある。

IMG_5447





詳しい人の話によると

どうやら群の旅立ちが近いらしい。 

今見えている雁(マガン)の総数は

数万羽はいるだろうとのこと。

さすがにこれだけの雁を

私は見たことがなかったので

しばらくは呆然と

そのおびただしい数の雁を

眺めていた。 

IMG_5450バスの出発時刻になり

岩見沢市内の阿弥陀寺へ。

阿弥陀寺では今年で38回目になる

「北の虚子忌」の法要と句会が行われた。

俳人・高浜虚子が亡くなってから

今年で61年目になる。

その後会場を移して

句会となった。

今年の句会の参加人数は49名だった。

5句投句、互選3句。

私が投句した中で

そこそこの選をもらったのは 

以下の3句

 
 発つ兆し帰雁の声の昂りに    豆作


 数万の鳥数億の木の芽かな    同


 迷ひなき帰雁六万羽の心     同



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冴えてるね!どうしん川柳

地元十勝のFM放送、

IMG_5304FMウイングの金曜ポコペンという番組にハマっている。

それというのも、

「ポコペン川柳合戦」

というコーナーがあるからで、

そのおかげで、

IMG_5307先日はその番組の公開生放送の、

ポコペンランチ会にも参加して、

とても楽しい時間を過ごすことができた♪

ポークチャップが美味しく

IMG_5311ジャズのライブと

同席の皆さんとのお喋りが

夢のように楽しかった♪

明るく楽しい雰囲気の

ポコペン川柳ばかりではなく

私は

以前にも増して

新聞や雑誌の

様々な川柳が気になるようになって来た。

毎日読んでいる北海道新聞の川柳欄も

一句一句じっくりと味わうようになった。

これが、面白い(笑)

選者が斉藤一無さんになってから

とりわけ

時事川柳の選の切れ味が鋭く

毎朝読むたびに

胸のすく思いになるのは

きっと私だけではなかろうと思う。

近頃話題の「統計不正問題」

mf_kaya02を、看過せずに

しっかりと風刺する川柳が

何度も誌面を飾り

笑わせてくれる。

選者の斉藤一無さんの

この問題へのこだわりが感じられるし

そればかりではなく

きっと

それだけの数の時事川柳が集まるほど

この問題への

北海道民の怒りがあるのだろう。

IMG_5152例えば


 赫々(かくかく)の戦果を語るニセ統計   杉江英雄


という一句。

赫々然々(かくかくしかじか)の戦果

というのは

第二次世界大戦中の我が国の報道を思わせながら

現在の統計不正問題を描いて

厚みのある一句。

IMG_5352また


 データーは嘘をつかない幸福度   川手栄一


という一句。

いくら統計を操作して

アベノミクスが成功しているかを演出しても

庶民の幸福度の

実感は乏しいと言っている。

数字の裏にある事実をえぐりとる

鋭い一句だ。

そして


 プラス思考うまくできずに霧の中   成瀬容子


なーんていう

自嘲気味の一句を

すかさず

その次に並べて

この統計問題に対する

怒りと風刺を

増幅させている。

選句ばかりではなく

句の配列にまでこだわった

鋭い川柳欄だ。

冴えてるね!どうしん川柳!

そして

がんばれ!どうしん川柳!(笑)



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井口寿美子さん

天塩町の酪農家、

井口寿美子さんが、

このたび新設された北海道文学館俳句賞の、

IMG_5079最優秀賞に輝いた。

1人20句の未発表の俳句を募集し、

第1回目にあたる今回は、

応募者数は北海道内外から325人にもなった。

その中から

井口寿美子さんの20句が最優秀賞に選ばれたのだ。

その作品タイトルは「牛を飼ふ」というもので

20句のほとんどが

牛のことを詠んだ句になっている。

いくつか挙げてみると

 
 産声といふも牛の仔クリスマス   寿美子

 
 名を呼べばかほ出す仔牛息白く   同


 咳一つもらし仔牛の売られゆく   同


など

仔牛に対する目が優しい。

また


 初日さす盆暮のなき牛飼に   寿美子


 病む牛を寝返りさせて寒の水   同


 風花や尼僧のやうな搾乳帽    同


 搾乳の窓に氷柱の影ならぶ    同


 海二つかち会ふ岬寒波来る    同


など

天塩町の厳しくも美しい環境の中で

酪農家の母さんの毎日の暮らしが

読み手にストレートに伝わってくる。

IMG_5088これらの作品群が

私を含めた7名の選考委員の間で

最高の評価を受けて大賞に選ばれた。

私はこの作品を初めて読んだ時

その内容から

酪農家の母さんであることは容易に想像できたので

IMG_5093作者に是非会ってみたいと思って

この作品を第1位に推した。

もちろん私1人だけが推薦しただけでは

最優秀賞には届かないのだが

今回は、私以外にも第1位に推した人を含め

選考委員の皆さんの評価が高く

IMG_5099見事に最優秀賞に選ばれたのだった。

2月2日の授賞式の当日

はたして

ご本人にお会いすることができた。

井口寿美子さんは私とほとんど同世代だった。

いろいろ話をしていたら

IMG_5094数日前に

牛のお産があり

なんと三つ子の仔牛が生まれだのだという。

残念ながらその仔牛は死産だったらしいが

それがもし全て生きていたら

今頃は仔牛の世話に追われて

授賞式には出席できなかったかもしれない

とおっしゃっていた。

まさしく

現役の酪農家の母さんの話だった(笑)

2月13日の

道新の夕刊のコラムに

IMG_5142この賞の選考委員の代表である

五十嵐秀彦さんが

井口寿美子さんの受賞作品を取り上げて

「・・・1次産業の現場からの俳句が持つ強さ・・・」

と書いている。

私も

まさしくその通りだと思った。

井口寿美子さんには

これからも

酪農現場からの俳句を

たくさん詠んでいただきたいと思う。


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回文の神!

私は毎年の年賀状に、

その年の干支を入れた回文575、

という作品を書添えることにしている。

全ての送り先の方々に読んでもらって、

楽しんでもらえば良いと思って

遊びの回文を作っている。

IMG_4950今年(亥年)の作品は、


 路イノシシ獲る牙切ると獅子の色  豆作

 (ろいのししとるきばきるとししのいろ) 


というもので、

路上の猪を捕獲して牙を切ったら切り口が祭獅子のような真っ赤な色に染まった

といったような意味の句になっている。

回文を完成させるために

あれこれと言葉を入れ替えたり繋いだりしたので

句の意味が解りにくくなってしまっているのは否めない。

ただ、まぁ私としてはそこそこの回文575に仕上がったかなと思って

この句を印刷した年賀状を多くの方々へ送ったのだった。

正月も1週間が経ち

年賀状のお返しの中にも

私の回文に対してお褒めの言葉などの反応を

添えていただいた方もいた。

その中で

1枚の年賀状の中に添えられた

すごい回文が返って来た。

その回文俳句が

IMG_4951こちら


 夜道の猪よ志士のいのち見よ  牛後

 (よみちのいのししよししのいのちみよ)


作者はご存知

私が回文の神と崇める

下川町の酪農家・鈴木牛後さんである。

完璧な回文に加えて

完璧な17音の俳句となっていて

句の意味も解りやすくて無駄がない。

夜道の猪がまるで暗躍する幕末の志士のように猪突猛進する様が描かれている。

さらに句のリズムが破調であることが

この句の場合はかえって力強さを増している。

何という回文俳句だろう!

私はこの一句を見て

完全に打ちのめされてしまった(◎_◎;)

まさに

神が降臨している!

と言って良いのではなかろうか。

牛後さんは

第64回角川俳句賞を受賞して

今や時の人だ。

乗ってる人の作品というのは

やはり

勢いが違うなー!



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川柳でウイスキーをGET♪

「FMウイング(おびひろ市民ラジオ)」で、

いま人気上昇中の、

「金曜ポコペン」(金曜日・12:00〜15:00) という番組がある。

とてもおバカな番組で、

メインパーソナリティーの源さん(B♭M7のマスター)の、

軽快なしゃべりが面白いので、

ついつい聴いてしまうのだが、

その14時台後半に、

川柳のコーナーがある。

先日の勤労感謝の日はスペシャル番組が組まれていた。 

名づけて「金曜ポコペン川柳合戦」というもので

よく聴いてみると

集まった投稿作品の中から

最優秀に選ばれた一句の作者に

ウイスキー(バレンタイン12年)が当たる!

という特別企画だった。

お題は、勤労感謝の日に因んで

「ありがとう」

だという。

私はこの日

たまたま仕事だった。

いつものように

何気なく携帯のアプリで

インターネットのFMラジオを聞いていたら

投句〆切りが午後2時までだという。

この日の仕事は結構ヒマで

時間があったので

ちょっと川柳でも

と、考えながら

仕事を続けることにした。

この日はとても良い天気で 

十勝地方は広い青空に

まぶしい雲が浮かぶ

いわゆる十勝晴れだった。 

そんな景色を見ながら


 ありがとうを電波に乗せて十勝晴れ    豆作


という一句が出来た。 

事務所に帰って

携帯電話から

fm761@fmwing.com

あてに投稿。

それからカルテを書いて

14時半頃に 

ふたたび携帯のアプリを入れて

IMG_4643しばらく聴いていたら

いよいよ最優秀作品の発表となり

ドラムロールが鳴り始めた。

そして、なんと

私の作品が読み上げられたではないか!

IMG_4644私は思わずガッツポーズをしてしまった(笑)

その数日後

賞品のバレンタイン12年を手にしたのだが

そのボトルには

源さんをはじめ

IMG_4642FMウイングのパーソナリティーの皆さんの

直筆サインが

所狭しと書かれているばかりではなく

ポトルの入った箱などにも

メッセージが書かれていて

IMG_4646さらに

FMウイングのステッカーや

ハガキなども入っている

心温まるブレゼントだった。

勤労感謝(!?)の気持ちを

思わぬところで

思わぬ方々から

いただくことができて

とても嬉しかった♪

IMG_4645さて

このボトル

いつ開けて飲もうかな・・・

何か特別の嬉しい日が

将来に来ることを願って

その時のために

しばらくは開けずに

とっておこうと思う。


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北獣会誌・今月の都々逸・・・

「安田さん。今月号の都々逸、誰かモデルになっている人いるんですかー?」

IMG_4608同僚のT獣医師が、

北獣会誌の今月号を読みながらそう言った。

「いや、まぁ、特定の1人っていうわけじゃないんだけどね(笑)」

今月号に載せた都々逸(どどいつ)とは以下の通り


 大動物の獣医さん

 
 〽︎硬い組織で

  冷や飯食らい

  辞めて貪る

  甘い汁

  仕事し過ぎて

  体を壊し

  いつか家族も

  遠ざかる〽︎


である。

IMG_4607雑誌に載った我が文芸に

反響があるというのは

嬉しいものだ。

ある特定の獣医師がモデルになっている・・・

というわけではないけれど

私の身の周りにいる

私を含めた複数の獣医師の現実を

唄っている都々逸であることは

白状しておこうと思う(笑)


「硬い組織で冷や飯食らい」

というのは大動物の獣医師の中の多くが、きっとそうである。


「辞めて貪る甘い汁」

という状況になっている獣医師も増えているようだ。


「仕事し過ぎて体を壊し」

これは組織を辞した獣医師ばかりではないかもしれない。


「いつか家族も遠ざかる」

という羽目になった獣医師は実際には少ないだろうけれども

十分にあり得ること(!?)

ではないかと思う。


「まぁ、最後の一節は、オチをつけたんだけどね。都々逸なんで・・・(笑)」

職場の同僚の獣医師にはそう答えておいた。

大動物の獣医師は

相変わらず不足していると言われている。

現役で働いている大動物の獣医師の皆さん

どうかこのような

「成れの果て(!?)」

にならぬよう

お気をつけください。


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鈴木牛後さんの角川俳句賞受賞作(3)

引き続き、

牛後さんの受賞作の残りの18句を鑑賞させて頂く。

IMG_4532読み進んで行くと

身近などんな物にでも詩情を汲み取って

それを俳句にしてしまう力に驚いてしまう。

感銘を受けるばかりではなく

とても勉強になる作品群だ。


 牛糞を蹴ればほこんと春の土

野に排泄されてそのまま天日に晒され続けた牛糞は、発酵し乾燥してほこほこになっている。放牧地にはそんなた牛糞が沢山あって、自然に春の土に還ってゆく。きわめて合理的な農法である。


 横臥せる牛みな午の目をして春

午前午後の「午」の字は「ひる」とも読む。のどかな昼の牛の目を詠んでいるが、この字は十二支の「うま」とも読む。牛の目なのにウマの目?という機知に富んだ一句。


   草青むはやさに歩む牧支度

北海道の草は雪解を待っていたかのように、一気に青くなって来る。その速さに遅れないように放牧の準備をする作者の、心はやる足取りが見えるようだ。


 菜の花に畑いちまいの膨らみぬ

畑作農家ではキカラシという黄色い菜の花の一種を咲かせて、それを鋤き込んで緑肥とすることがある。道北の畑にもそんな畑があったのだろう。


 それぞれの青を雲雀と風と牛

雲雀が鳴き始めると春もいよいよ本番。空をあえて青と表現して、印象鮮明。


 牧場を山と呼びたる夏の雪

北海道では五月になって雪が降るのは珍しいことではなく、暦の上では夏であるから夏の雪である。五月に雪化粧をするような牧場は山と呼ぶにふさわしく、実際そう呼んでいる地域は沢山ある。


 星の鳴る夜空だ遅霜は来るか

五月下旬に遅霜が降ると、畑作物の芽がことごとくダメージを受ける。放射冷却現象が起こる快晴の夜空の星があたかも鳴るように怖ろしく輝いているというのだ。


 牛糞の苦さを漱ぐリラの風

牛を扱っていると牛糞を浴びて口の中に入ってしまい口を漱ぐ羽目になることがある、私もよく経験する。リラの咲く頃の牛糞は、牛が食べる青草の成分の色素が濃く、味もえぐいのだ。糞ばかりではなく尿もまたしかり。


 発情の牛たからかに牛の朱夏

牛の発情は1年中見られるが、放牧酪農の場合は、青草の豊富な五月頃に仔牛が生まれるように調整する所が多いで、発情と種付け(授精)はその約9カ月前の「夏の暑い盛り」に「交り」が集中する。


   電気鞭音なく振るふ青葉騒

電気鞭を使うとビチッと微かな電気音がするのだが、音なく振るうというのは使うマネだけをして牛にいうことをきかせているだろうか、青葉の騒ぐ風の中で牛を追う作者。


 遠くばかり見て夏草を踏む仕事

さらに牧場で牛を追う作者は、遠くにいる牛やその周囲の状況まで、観察の眼を緩めない。放牧酪農家の重要な仕事。


 美味き草不味き草あり草を刈る

採草地の場所や刈る時期や収穫日の天気によって、牧草の味は毎年色々変わるようだ。それが美味しいか不味いかは牛の食べっぷりで判り、食べた牛の泌乳量に反映し、作者の収入に直結する。


 トラクターに乗りたる火蛾の死しても跳ね

農機に乗る仕事の合間でさえも、貪欲に詩情を拾い続ける作者の、句集「暖色」には「震へる機械震へてのぼる秋の蜘蛛」というのもある。


 我が足を蹄と思ふ草いきれ

時には、牛と自分が全く同じ生物であるように感じる時があるのだろう。牛飼いならではの感覚だと思う。


 蝦夷梅雨の馬具は革へと戻りたき

牛革で造られた馬具が、湿気で緩んで元の革のようになったのを、こんな擬人法で表現する力に驚かされしてまう。


 炎天にくわわと山羊の糞小山

これも作者の耳の鋭さと擬音表現力が見事、山羊の声はメェーばかりではないのだ。


 干草の深さを猫の眠りけり

牛舎は猫のオアシスだ、獲物の鼠や雀もたくさんいるし、良い香りの暖かな寝床もたくさんある。


 糞踏みしタイヤの炎ゆる黒びかり

牛糞堆肥をトラクターで混ぜ返しているのだろうか。糞尿の句は受賞作50句中に5句もあり、1割が糞尿の句で角川俳句賞とは凄い。家畜の糞尿が全国区になった思うと嬉しくなってくる、畜産万才。


以上

私なりに一通りの鑑賞をさせて頂いた。

酪農家の牛後さんが詠む俳句は

とても身近な題材なので

すいすいととても楽しく味わうことが出来た。

しかし、何度も良く読んでいると

身近な題材の楽しさばかりではなかった。

牛後さんの

何でも詩にしてしまう感受性と

その詩情を多彩な表現で

色々な俳句に仕上げてしまう力に

驚愕してしまった。

これはもう

「天才!」

としか言いようがない

と思った。

牛後さんこのたびは

誠におめでとうございます!


(この記事終わり)
 

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鈴木牛後さんの角川俳句賞受賞作(2)

引き続き、

IMG_4532鈴木牛後さんの受賞作を鑑賞したい。

読んでいると、

その面白さにどんどん引き込まれるのだが、

その内になんだか、

鈴木牧場へ往診に行っているような気分になってきた(笑)。


 飴包む手を包むぼつこ手袋

ぼっこ手袋とは親指だけ離れたいわゆるミトン。飴を包む手というとと子供の手を想起して可愛らしい。


 ちやりぢやりとタイヤチェーンの鳴る初荷

酪農家の初荷は生乳である。正月に集乳車がチェーンを鳴らし手やってくる雪深い地帯なのだ。「ちゃりぢゃり」という擬音効果に脱帽。 


 ああ言へばかう言はれたる三日かな

ご夫婦の会話だろう。酪農家夫婦の仕事中のちょっとした言争い にはよく遭遇するが、なにかと忙しい正月は、特に奥さんのストレスが大きいだろう。


 牛の尾を引き摺るやうに寒波来る

立っている牛の尻尾は体高より短いので、引き摺られることは無い。強い寒気の風が牛の尾に当たって、それを引き摺るように吹いているのだろうか。 それとも寝ている牛の尾なのだろうか。


 心臓の胸に囚はれたる寒夜

寒中の朝夕の仕事は、手足の先が冷え切って、口も凍れて回らなくなって来る。不思議な表現だが、そんな状態を的確に描いているように思えてくる。 


 牛産むを待てば我が家の冬灯

私の拙句「牛産むと二十三夜を灯しをり」と読み比べてほしい、と思った一句。 


 雪の汽車吹雪の汽車とすれちがふ

宗谷本線の上下線がすれ違う。作者はどちらの汽車に乗っていたのだろうか、それとも外に立って汽車の待ち合わせとすれ違いを眺めているのだろうか。 


 大寒やキハ四〇にあづける背

暖かいディーゼル気動車の椅子に腰かけて、しばし仕事を忘れて背もたれに身をあずけた。具体的な「キハ四〇」が効いている。 


 農道をひたひた歩き春遠し

冬でも昼間の気温の上昇で、農道のアイスバーンには水たまりができる。その上をひたひたと歩いていると一瞬春を感じるが、実はまだ遠く、夜にはすぐバリバリに凍れてしまう。


 節分の牛舎へ雪の小さき階

家と牛舎までの間に僅かな段差があるのだろう。雪のない時は滑らないので、あえて階段にする必要はないほどの段差も、節分のころはツルツルの斜面になるので、雪を踏みつけて小さな階段を作っているのだ。


 仔牛の寒衣脱がせ裸と思ふ春

仔牛に着せる防寒着は、カーフジャケットという製品があるが、手作りのどてらを着せている家もある。それを脱がせた時に春を感じるのは、仔牛を育てている人ならではの感覚。


 杭打って山の眠りを覚ましけり

放牧酪農を実践している作者の、牧柵を整備する逞しい姿が見えてくる。まさに大地に杭を下ろし、山を呼び覚まし、牛を放つ。


 涅槃雪牛の舐めゐる牛の尿

喉が乾くのに水にありつけない牛は、泥や尿をすすって飲む事がある。牛乳の九割以上は水、牛に水分は欠かせない。この句の牛はまだ舐める程度で済んでいる。


 母胎めく雪解朧に包まるる

雪解靄(ゆきげもや)というよりも雪解朧(ゆきげおぼろ)と言ったほうが、スケールも奥行きも俄然大きくなる。それがあたかも母胎の様だという詩情。


 まひるまや陽炎を吐く牛の口

陽炎は地面から立ち上るのだが、牛の口から吐く息もそうなるとは知らなかった。よほど観察していないと分からないだろう。それとも比喩なのだろうか。


 雪解風蝶の欠片を翅と呼び

冬に死んだ凍蝶の欠片が残っていて、雪解風によって雪の上に見えてきたのだろうか。今年の蝶が出てくるにはまだ早い雪解の頃の風である。


 牛死せり片眼は蒲公英に触れて

死んだ牛の片眼に絞った表現が素晴らしい。最近はコンクリートやゴムマット等の上で死ぬ牛が多いので、蒲公英の上で死ねる牛は幸せな牛である。


 土筆野や起筆のやうに楡一樹

雪がすっかり消えた大地に土筆がびっしりと生えている。大きな楡も遠くに眺めると、それもまた大きな筆のように見えるのだ。


(この記事続く)


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鈴木牛後さんの角川俳句賞受賞作(1)

下川町の酪農家で俳人の、

IMG_4532鈴木牛後さんが、

第64回の角川俳句賞を受賞した。

あらためて「おめでとうございます」!

牛後さんは今や押しも押されぬ全国区の俳人であるが、

この受賞を契機にますますご活躍されることを期待している。

嬉しいことに

牛後さんが俳句を始めたきっかけとなったのは

当ブログであるらしい。

これは大変光栄なこと。

そこで私は牛後さんへのお祝いの意味も含めて

その受賞作を当ブログ上で鑑賞させてもらうことにした。

全国の俳人の方々ばかりではなく

当ブログを読んでくれる畜産関係者の皆さんや

畜産学部や獣医学部などで酪農を学んでいる学生の方々にも

ぜひ牛後さんの俳句を読んでいただきたい。

俳句という文芸の鑑賞としてばかりではなく

酪農や獣医関係の学術論文などを読むのとは

また少し違った勉強(!)

もできるのではないかと思う。



 角焼きを了へて冷えゆく牛と我

若い♀の育成牛の角切り(除角)作業は、最後に止血のための焼きごて当てて終わる。熱い作業であり、牛も嫌がって興奮して、しばらくは人間不信になる牛もいる、飼い主にとってはつらい仕事。


 仔牛待つ二百十日の外陰部

牛の妊娠期間はおよそ280日であるが、二百十日という秋の季題(立春から210日ころは災害厄日とされる)に掛けて詠んでいる。「外陰部」という用語が読み手の目を惹く。


 牛の乳みな揺れてゐる芒かな

放牧している牛が一斉に歩いて、乳が揺れている。秋風に芒(すすき)の穂も揺れている。


 秋晴の定位置にあるトラクター

どの農家さんもトラクターはいつもの位置に置いているようだ。仕事への気合が感じられる。


 秋黴雨犬小屋は木に繋がれて

秋の長雨は秋黴雨(あきついり)と呼ばれる。犬小屋は動かないように木に繋がれているが、そこに住む犬は放し飼いなのかもしれないが、ここ数日は長雨で小屋に入ってじっとしている。


 牛の名は女優の名前ゑのこ草

「ゑのこ草」は「猫じゃらし」とも言われる草。ホルスタインはカタカナの名前がついているので外国の女優の名かもしれない。オードリーとかキャサリンなどの名前が思い浮かんだが、いろいろ想像できる。


 秋草の靡くや牛に食はれつつ

放牧酪農ならではの風景。秋風に靡(なび)く草を食べている牛たちは、概ね健康であろう。


 紙擦れの音は子規忌のラジオより

ラジオから聴こえてくる紙の音が、この句を読んでいると、まるで正岡子規が病床で紙をめくっている音のように聴こえてくる。


 指を待つアンプル月光の棚に

おそらく繁殖関係の薬のアンプル剤ではないかと思う、月光に光っている姿は排卵促進剤を想像させる。
「指を待つ」という表現がうまいと思った。

 
 初雁や大曲りして天塩川

その年に初めて北方から渡ってくる雁、道北の雄大な風景が見える大きな一句。


 牧牛の自由は霧の柵の中

放牧している牛の自由は柵の中に限られた自由である。霧の濃くなる時期には、霧がさらに牛の自由を奪うのだろう。飼い主ならではの牛への思いが感じられる。


 初雪は失せたり歩み来し跡も

初雪に残された足跡がその日には消えてしまったということだけを詠んでいるのに、足跡とは言わず「歩み来し跡」と言ったことで、初心が遠のいた人生を振り返る気持ちが込められているようにも読める。


 短日や並びし牛の背なの波

日が短くなる夕刻には、牛が搾乳のために牛舎へ戻ろうと並んでいる。夕日を浴びて並ぶ牛の背が波のように見えるというのだ。


 ストーブを消せばききゅんと縮む闇

どんなストーブなのかわからないが、それを消すことで温まっていた部屋が冷え始める。「ききゅん」というオノマトペ(擬態語)によって寒い北国の夜の感じが伝わってくる。



(この記事続く)

 

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俳句朗読×トリニテ曲(Dies Irae ・「神々の骨」より)

トーチカをテーマにしたコラボ展示会も、

今日が最終日となった。

職場にわがままを言って連休を頂き、

こんな事ばかりしているのは、

ちょっと申し訳ないのだけれども、

私の中では重要な活動の一つになりつつある

今回のコラボレーションであった。

職場関係の方々にも案内状を送ったら

多くの同僚の獣医師が足を運んでくれたのは

とても嬉しいことだった。

その御礼というほどのことでもないが

私の展示した俳句30句の

朗読の動画を貼り付けておこうと思う。



俳句の朗読自体は全く素人だけれど

BGMに使わせてもらったトリニテさんの曲が素晴らしいので

そのおかげで

私の朗読も少し雰囲気を出せたかなと思っている。

トリニテの曲を使うことを快諾してくれた作曲家のShezooさんには

心から感謝を申し上げたい。

準備から色々と手間がかかった今回の展示会も

いよいよ今日が最終日。

原寸大のトーチカの模型は

作るのも大変だったが

これから壊すのも

また大変な作業になりそう・・・(笑)

職場の同僚の皆さんには誠に申し訳ないけれど

今日もう1日

休みを頂きます・・・m(_ _)m


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第16回大とかち俳句賞全国俳句大会

大とかち俳句賞の大会も、

今年で16回を迎える事になった。

私は確か6回大会頃から参加しているので、

かれこれ10年以上この大会に関わっている。

この大会が始まったきっかけは、

東北海道現代俳句協会の鈴木八駛郎氏が

同人の俳誌「海程」主宰・金子兜太氏へ

選者を依頼して始まったもので 

当時の道外特別選者は

金子兜太、水原春郎、島田一歩、の3名だった。

それに幾人もの道内選者を加え

現代俳句から伝統俳句まで

幅の広い選者による俳句大会だった。

その流れは今でも続いているが

16回を数えるようになると

選者の面々も様変わりをする。

水原春郎氏が2年前に亡くなり

金子兜太氏が今年の2月に亡くなり

島田一歩氏が今年は高齢を理由に選者を辞退された。

また道内の有力選者だった依田明倫氏も昨年の11月に亡くなった。

そのような状況の中で

今年から道外選者が交代し

片山由美子氏と宮坂静生氏になった。

今年の第16回大とかち俳句大会は

そんな大きな転換期を迎えた大会になった。

選者が一新しつつある大会を

さらに盛り上げてくれたのは

当日会場に来て頂いた十勝管外の選者の方々である。

IMG_4290講演をして頂いた辻脇系一氏をはじめ

五十嵐秀彦氏、石川青狼氏、に

それぞれの持ち時間で特選句の講評をしていただき

さらに十勝管内の選者3名も特選句の講評をするという

道内有力俳人6名による

豪華な特選句の句評会が実現した。

それぞれ皆さん方の話は

大変個性豊かで面白く

多くの選者の方々による講評会というものは

これはきっと、今後の

大とかち俳句大会の目玉になってゆくのではないか

という感触があった。

その後は恒例になっている

写真を付けた入賞句の披講と

中屋岳想先生の俳句吟詠が続き

IMG_4291最後に受賞者の表紙様式と

受賞者の新聞掲載用の写真撮影をして

無事に大会を終える事が出来た。

私は司会を担当したのだが

去年よりも1時間長い

充実した大会の進行役を

楽しませていただいた。

とかちプラザの402号室が

ほぼ一杯になるほどの盛況は

久しぶりの事で

参加していただいた全ての皆さんに

心から感謝を申し上げたい。

大会のあとは

有志で打ち上げの夕食。

IMG_4292ここでなんと去年と同じ

サプライズが待っていた。

まさかの誕生日ケーキが出て来て

それを美味しくいただく事が出来た。

私も今日で58歳になりました。

どうもありがとうございました♪


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