北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

学者と臨床家

乳房からの出血(四たび!)

「乳房から血が出て止まらないんだけど・・・」

緊急用の携帯に、酪農家の∩さんの声が響いた。 

「とりあえず、押さえるかつまむかして、止めておいて・・・」

私はそう言って、∩さん宅へ診療車を走らせた。 

出血をしている牛は乾乳牛だった。

パドックの連動スタンチョンに1頭だけ繋がれた牛の

腹の横にしゃがみ込んで

IMG_2036∩さんの息子が

乳房の出血部位を布で押さえていた。

「ちょっと出血しているところを見せてくれる?」

∩さんの息子が押さえている布を少し離すと

乳房の血管から血液が勢いよく吹き出て来た。

IMG_2037「あー、了解、ここだね。縫って止血する準備するから、もう少し押さえててね。」

私は縫合の準備をし

出血部位をまず鉗子で挟み

止血縫合してから

止血剤を投与して

IMG_2038治療を終えた。

しかし

また

乳房の左右に浮き出ている乳静脈からの出血!

「これは、カラスのしわざに違いないね。」

IMG_2039「カラスっすか?」

「うん、間違いないね。」

私は傷を見たときから

そう確信していた。

それは

IMG_2040約半年前

♯牧場で

わずか3週間の間に

3頭がまったく同じ部位から

出血しているのを

IMG_2041立て続けに治療した経験に基づいた確信だった。

参考のために

過去の3回の出血の記録を

この記事に貼り付けておこう。


 2月24日の乳房からの出血(♯牧場にて)


 3月8日の乳房からの出血(♯牧場にて)


 3月17日の乳房からの出血(♯牧場にて) 


このとき

♯牧場には

カラスの大群が

牛舎の周りを取り囲み

大きな声で鳴いていた。

その後♯牧場では

ハンターを呼んでカラスの大群を追い払って 

乳房からの出血事故は

ぱったりと無くなった。

あれから半年

♯牧場で追い払われた吸血カラスの1羽が

今度は∩牧場にやって来て

また悪さを始めたのではないか

などと

心配してしまう症例だった。

∩牧場の乾乳パドックの

傍で

数羽のカラスが鳴いていた。 


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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重種1才馬の鼻梁の外傷(2)

「安田君、@さんの馬の傷、化膿してるよ。」

私が初診してから4日目、

@さんに往診に行って来た同僚のK獣医師がそう言った。

「・・・そうですか。」

「あれじゃあ、共進会は出られないな。」

「・・・そう・・・ですか。」

今回の馬の外傷の処置について、

私はきれいに治せる「強い自信」は持ってはいなかったものの

なんとか治ってくれるだろうという「普通の自信」はあり

その漠然とした期待の中で

この馬の傷についてさほど気にかけていなかった。

しかし、同僚の獣医師からそう言われると

これは、失敗してしまったか・・・

という反省の気持ちが急に膨らんできた。

それから3日後

私が今度は@さんの馬を診た。

枠馬に入れて傷をよく見ると

IMG_1901なるほど、傷口は

きれいに縫い合わさってはおらず

10cmほどに渡って

腫脹して肉芽が盛り上がり

痛々しい状態になっていた。

「・・・化膿させてしまって、申し訳ない。」

「・・・。」

「・・・縫った糸は、ほどけちゃった?」

「取れてはいないようだ。」

「・・・でも、共進会は出せないか。」

「いや、出すよ。」

「・・・そうなの?」

「だから治してくれって言ってるべや。」

私は@さんがまだ

この馬の共進会出場を諦めていないことを確認した。

しかし、こうなってしまった以上

あとは、抗生物質を注射し続けて

この馬の傷口が早く

目立たなくなるのを待つことしかできなかった。

その次の@さんの診療日は

同僚のS獣医師に行ってもらった。

「安田君、@さん、共進会に出すの断念したよ。」

帰ってきたS獣医師がそう言った。

「・・・そうですか。」

「結構、傷が深かったみたいだね。」

「・・・ええ、上手く縫えたかと思ったんですけど。」

「あの腫れはなかなか引かないね。」

それから3日後

私は再び@さんの馬を診に行った。

やはり傷はきれいに治っていはなかった。

IMG_1906「・・・共進会、出すのやめたの?」

「ああ。」

「・・・そうなの?」

「これじゃお前、カッコ悪いべや。」

「・・・。」

私は@さんに

きれいに治すことができなかったことを詫びた。

最善を尽くしたつもりだったが

創口を縫合する前に

もっと清潔に洗い

メスなどで新鮮な創面を作ってから

もっと慎重に縫合すべきだったと

反省点を挙げた。

それから

数日後

共進会が終わり

この馬を治療する予定だった日に

@さんから連絡があった。

この馬を、育成屋さんに売ったので

もう治療に来なくても良いという連絡だった。

私は、売れてよかったという気持ちもあったが

無事に売れたというわけではない、と思った。

本当であれば

@さんは、この馬を共進会に出品し

商品価値が最も高くなったところで

高い値段で売りたいと思っていたに違いない。

しかし、それはできなかった。

いろいろと

反省点の多い症例となってしまった。

買われて行った先がどこかわからないので

この馬の傷の状態は

もはや確認するすべも無くなってしまった。

あとはこの馬の鼻の腫れが引いて

きれいに治ってくれることを

祈るのみとなってしまった。

反省点の多い症例だった。


(この記事終わり)


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重種1才馬の鼻梁の外傷(1)

「・・・共進会に出す馬が、顔に怪我をした・・・」

そんな電話が、

馬産家の@さんからかかって来たのは、

夜間当番の早朝だった。

IMG_1866馬を枠場に入れて顔を診ると、

馬の長い鼻梁に約15cm程度の切り傷があった。

よくみると、ヨードチンキを塗布した後の色が付いており、

傷口からは出血と漿(しょう)液が垂れた後のような汚れがあった。

「これは・・・何時頃、怪我したの?」

「・・・きのうの晩。」

「ヨーチン付けてあるね。」

「・・・ああ。でも治りそうもないから、縫ってくれ。」

「たしかこの馬、共進会に出すやつだったよね。」

IMG_1862「・・・そう。」

「共進会は何日だっけ?」

「・・・あと2週間。」

「そっかー、うーん。」

「・・・縫って治してくれ。」

「まぁ、やれるだけやってみるか。」

「・・・きれいに治してくれよ。」

「うーん、まぁやってみるか。」

IMG_1869馬に鎮静剤を投与し

鼻捻をかけて保定し

傷の周囲を

ビルコン液を染み込ませたスポンジで

ジャブジャブと洗い

汚れを落として

再び傷を良く見ると

何か鋭利なもので

鼻梁をザクッと切ってしまったような傷だった。

IMG_1876長さは上下に15cm程度

頭部に近いところの傷がもっとも深く

その深さは2cmほどあった。

出血は無く

薄いピンク色の創の断面は

皮下組織がほとんどで

奥のほうは骨に達しているようだった。

私は過去に

こういう筋肉の無い鼻梁の切創を縫合した経験を

思い出せなかったので

行き当たりばったりの処置となった。

IMG_1877洗浄した創口の頭側の深い部分に

角針を刺して、吸収糸をかけて

そこを起点に連続で皮内縫合をしてゆく。

この方法は

牛の開腹手術の最後の

皮膚を皮内縫合する方法と同じだった。

熟慮してそういう縫合法を選択したのではなく

とっさに思い浮かんだのが、この縫合方法だった。

しかし、いつも牛の手術で慣れている方法なので

スムーズに縫いすすみ

縫合処置は数分で終わった。

IMG_1879縫合処置をした切創は

手で広げようとしても広がらないように

針の縫い目もわからないように

皮内縫合された。

この縫合処置によって

なんとかこの1才馬を

十勝共進会に出品させたいという

@さんの願いが叶えられるかどうか。

私は、きっとこれで何とかなるだろうと

抗生物質を投与し

あと三日間の抗生物質の投与を指示して

帰路についた。


(この記事続く)


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大忙しの星の下(2)

帝王切開によって、

側頭位の胎児を無事に摘出したまでは良かったが、

IMG_1949親牛の状態がどうも良くなかった。

それは、手術中に輸液をしようと、

頸静脈に針を刺した時、

留置針がなかなか血管に入らず

結局乳静脈に切り替えたことからも感じていた。

IMG_1950親牛は血圧が下がっているようだった。

血圧が下がっているから

頸静脈を圧迫してもなかなか血管が浮き出ず

針を血管に入れることが難しかったのだ。

IMG_1951その理由はよくわからないが

そのために

前肢の血流も弱くなり

手術台で下になっていた右肩付近の圧迫により

右前肢の神経麻痺が生じてしまったものと思われた。

IMG_1952麻痺によって右腕節(前膝)に力が入らず

カックン、と曲がってしまう。

「キャスト・・・しますか・・・。」

とにかく、この牛には

ちゃんと4本足で立って

IMG_1953家畜車の荷台に乗ってもらわないと困るので

応急的な処置として

右前肢の腕節がカックンとならぬようにキャストを巻くことにした。

キャストを巻き終わった牛は

ぎこちなくも、なんとか歩行して

IMG_1955家畜車の荷台に乗ることができた。

家畜車を見送り

手術室を片付けていると

診療所の職員達が

次々と出勤してくる時刻になっていた。

翌日

この牛が無事でいるかどうか

ちゃんと自力で起立できているかどうか

心配だった。

この牛の飼主さんは

搾乳牛たちを昼夜

繋ぎっぱなしで飼っている酪農家で

敷きわらをたっぷりと敷いた独房というものがない。

そういう独房がないところで飼われている牛は

足腰が弱ると、立ちたくてもうまく立てずに

そのままダメになってしまうリスクが高い。

さらに

牛の前肢にかかる体重というのは

後肢にかかる体重よりもはるかに大きく

特性樹脂のキャストを厚く巻いても

割れてしまうことがあり

この牛に巻いたキャストも簡単に割れて

キャストの効果が無くなってしまうのではないかという

心配があった。

しかし

IMG_1957往診した同僚獣医師の話によれば

牛の前脚の状態は良く

神経麻痺は消失し

寝起きは普通で食欲もあるということだった。

その翌日

IMG_1956牛の状態はさらに改善して

寝起きも食欲も良好だということで

キャストを外すことにした。

この日のキャストは

案の定、腕節から近位の部分が

IMG_1960割れてしまっていた。

しかしそれは

この牛の前肢の神経麻痺が完全に消失し

寝起きが自由にできるようになり

右前肢の機能が

完全に回復した証拠でもあった。

(この記事終わり)


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大忙しの星の下(1)

複数の獣医師がチームを組んで、

仕事についているNOSAIの家畜診療所では、

夜間の当番はその人数によって、

均等に割り振られて、

仕事量の偏りがないようにしているのが普通である。

夜間の往診の数は、

1年間の平均件数を計算してみると、

診療所チーム内のどの獣医師も、

だいたい1件〜2件の間に均等に収まるものらしい。

ところが

1ヶ月程度の短い期間でこれをみると

それぞれの獣医師によって

夜間往診の数が極端に偏ることがある。

ある獣医師は、往診が全くない0件の夜が何回も続くのに

ある獣医師は、毎回深夜まで何件もの往診に呼ばれて睡眠不足になる

という現象が起こる。

夜の往診の忙しさには波があるのだ。

その波は、診療所内の獣医師の仕事内容を

支配下に置く「大忙しの星」の気まぐれなパワーの現れのようである。

先日の

早朝5時頃

私の個人携帯に

その日の夜間当番用の携帯から

電話がかかって来た。

最近、夜間当番で大当たりが続いているS獣医師からだった。

乳牛のお産で、胎児の頭が後ろを向いた側頭位らしい。

緊急の帝王切開をすることになり

私は手術の助手をするべく診療所へ向かった。

診療所へ着くと

手術室にはすでに帝王切開の準備がされていた。

「最近よく当たるね。」

「そうですねー(笑)」

S獣医師は、前回の夜間当番の時も

深夜に乳牛の帝王切開と、早朝の和牛の難産介助をしていた。

その後数日、別の獣医師が当番をした夜は

特に難産や深夜の往診はなかったのだが

昨夜からのS獣医師の当番でまた難産が発生した。

(大忙しの星の下に完全に入っているのだ・・・)

親牛を手術台に寝かせて

術野の毛刈りと洗浄消毒を終えて

さぁこれからメスを入れて

帝王切開を始めようとした時

当番用の携帯電話が鳴った。

和牛の難産で逆子のようなので来てほしい、という往診の依頼だった。

手術に取り掛かろうとしていた私たちは

その往診依頼に対して、事情を説明し

手術をある程度終えるまで、今しばらく待ってもらうように伝えた。

IMG_1947そしてまた帝王切開に取り掛かった。

ホルスタインの母親の子宮の中で側頭位になっていた大きな♂ホル仔牛を

無事に生きて出すことができた。

「あとは、縫うだけなんで、安田さん和牛の往診に行ってください。」

「わかりました、じゃ、後はよろしく。」

私は手術から離れ

診療車に乗って和牛の難産介助に向かった。

(大忙しの星の下に私も入ってしまった・・・)

和牛繁殖農家の◯さん宅は診療所から車で5分程度の近い家だった。

手を入れてみると

確かに逆子だったが

その胎児の後肢の隣に前肢があり

その前肢の隣に頭が来ているという状態

すなわちそれは双子の難産だった。

後肢を押し戻すと

もう片方の前肢がその奥に現れたので

前肢2本と頭が同じ胎児のものであることを確認して

IMG_1946まず正常位の1仔目の胎児を牽引娩出

次に尾位の2仔目の胎児を牽引娩出

無事に介助が終わり

私は再び診療所へと車を走らせた。

診療所の手術室では

S獣医師が術創の最後の皮膚を縫い始めたところだった。

IMG_1948術野の縫合が終わり

牛が手術台から降ろされた。

ところが

この母牛が、今度は

IMG_1949なかなか立つことができない。

カルシウム剤を注射して

気合を入れて起立を促しても

立てなくなってしまったので

仕方なくハンガーで吊起することにした。

IMG_1950ハンガーにてなんとか吊り上げて

立たせたものの

右の前肢の負重ができず

3本足でようやく体を支えるのみ。

どうやら

右前肢の橈骨神経が麻痺してしまったようだ。

これでは歩行することもままならず

家畜車の荷台までどうやって歩かせるのか

(大忙しの星のバワーは容赦がない・・・)

さて、どうするか・・・

(この記事続く)

 

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新生子牛の「左右」中手骨骨折(3)

難産で牽引した直後に、

左右の中手骨遠位の骨折を確認し、

左右前肢にキャストを巻き、

その後、3日目にエックス線を撮影し、

それから、さらに11日が経過した。

骨折してから2週間目、

この子牛のキャストを交換する日がやってきた。

今回、私は

今まで経験してきた牛の新生児の

中手骨骨折の治療の中でも

もっとも

いろいろと気を配り

過去の失敗での反省点や

同僚獣医師の意見などを参考にして

自分の技術としては最もレベルの高い

最新の骨折整復法を施すことができたという自負があった。

そういうわけなので

この日が来るのをとても楽しみにしていた。

ギブスカッターと、エックス線装置と

撮影の防護服などを、そそくさと診療車に詰め込み

飼主の#さん宅に到着。

IMG_1837子牛はあいかわらず

非常に元気がよかったので

鎮静剤をかけて寝かせて

まずは

患部のエックス線の写真を

3方向から撮影した。

撮り終わってから

撮影装置をいったん片付けて

今度はギブスカッターによって

キャストを外してゆく

飼主の#さんと

手伝ってくれたS獣医師が

保定しながら見守る中で

私はまず左前肢のキャストを外していった。

ギブスカッターで

キャストを縦半分切り落としたとき

骨折部位の毛色が

なんとなく

暗赤色の滲みが付いているのを確認した。

その部分から遠位を手で触ってみると

なんとなく

温度が低く

子牛の体温ではないような

冷たさを感じた。

「・・・。」

私は、さらにキャストを外していった

「・・・。」

「・・・。」

#さんとS獣医師もまだ無言だった。

「・・・、あ・・・これは・・・」

「・・・。」

「・・・着いて・・・ない・・・のか。」

「・・・。」

「・・・全然・・・融合してない・・・。」

「・・・ダメですか・・・。」

「・・・ショックだぁ・・・。」

BlogPaintキャストを全て外し終わったとき

私たちは

ガックリと

失望感に包まれていた。

左右の中手骨は

両方とも、まったく骨融合しておらず

骨折部位は2週間前と全く同じように

IMG_1840クニャッと曲がってしまった。

骨折部位と外したキャストからは

ほんのりと厭な匂い(壊死臭)が漂ってきた。

治療は完全に失敗に終わった。

子牛は、残念ながら

病畜処理場へ搬入することになってしまった。

その後、私は

悔しい気持ちをずっしりと抱えたまま

隣町の診療センターへ行き

最後に撮影したエックス線画像を見た。

参考のために

IMG_1843IMG_1844






第3病日の画像を左に

第14病日の画像を右に

比較できるように並べてみた。

IMG_1845IMG_1846







骨折部位に望まれるはずの

白く濁ってゆく骨融合の変化は全く見られず

むしろ

3日目(左)よりも14日目(右)のほうが

骨折部位は黒っぽく変化し

壊死が進んでいるように見えた。

(この記事終わり)

と・・・

したいのだが・・・

私は今でも

悔しい気持ちが消えずに続いている。

今回なぜ

骨折整復がうまく行かなかったのか

ちゃんと検証して

何とか今後につながるヒントを得たいと思う。

この記事をお読みの皆さんの

ご指摘やご意見を

ぜひ伺いたいと思う。

どうか忌憚のないコメントを

よろしくお願い致します。


(この記事終わり)


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新生子牛の「左右」中手骨骨折(2)

助産の時に強く牽引し過ぎて、

中手骨を骨折してしまったホルスタインの新生児。

それも、今回は、

「左右」両方の中手骨の骨折だった。

緊急で呼ばれて、

キャストを巻き、

抗生物質を3日間打ってもらい、

今日は、その3日目だった。

「子牛の調子はどう?」

「・・・特に痛がるわけでもなく普通にしてますよ。」 

「お乳は飲んでる?」 

「・・・普通に飲んでます。」 

BlogPaint「下痢とかしてない?」

「・・・大丈夫です。」 

「立てる?」

「・・・ちょっと手伝ってやれば立ちますよ。」 

一般状態は悪くないようだった。

今日はこの牛の

骨折部位のX線写真を撮る日だった。

BlogPaintキャストを巻いたまま

X線装置を当てて

右斜め、左斜め、前方、の
3つの方向から撮影した。

撮影したカセットフィルムを

IMG_1784隣のT町にある診療センターの

デジタル現像装置に差し込んで

画像データーを映し出した。

私は今まで

キャストを巻いた時

骨折部位を真っ直ぐに整復していたつもりでも

X線画像を撮って見てみると

思っていたよりも大きくずれて(騎乗変位して)いたり

思っていたよりも曲がっていたり捻れていたり

IMG_1785していることが多かったので

今回もかなり心配だった。

しかし

画像を見る限り

過去の私の経験した症例に比べると

IMG_1786大きなズレやまがりや捻れはなく

まぁ、そこそこ

問題なく整復できているのではないか

と、自分なりには

ホッと胸を撫で下ろしたのだった。

IMG_1787飼主さんとも相談して

キャストを巻き直すことはせずに

そのままで様子を見て

2週間後に再び往診して

キャストを外して

巻き直すことにした。 

(この記事続く)



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新生子牛の「左右」中手骨骨折(1)

「お産がキツくて、強く引っ張ったら・・・」

前足が折れてしまった、

という稟告。

何度も経験している症例である。

せっかく生きて出せたのに、

前脚が折れてしまった子牛を見るのは辛い。

到着して、

子牛の前脚を触診するまでもなく

中手骨の遠位部が

ポッキリと折れているのを確認した。

IMG_1739「産科チェーン使ったの?」

「・・・そうなんです。」

「あれっ・・・これは両方の足が折れてる・・・」

「・・・やっぱり・・・実は最初に折れた後、マズイと思ってチェーンを外したんです。」

「それからどうしたの?」

「・・・その後、紐に付け替えて引っ張ったんだけど・・・」

「また折れちやった?」

「・・・そう、その時、親が急にバタンと倒れて、その拍子に・・」

「2本目の足も、折れちゃった?」

 「・・・そうなんです。」

IMG_1742我々は、早速

骨折の整復に取り掛かった。

子牛の中手骨骨折については

以前、このブログで

IMG_1749自分の整復方法について 

いろいろとコメントをいただき

自分の方法がかなり旧式な方法で

未熟であることを知らされていたので

IMG_1751今回はそれらのご意見を思い出しながら

できるだけ改善点を取り入れて

キャストを巻いてみた。

まず

患肢をしっかりと牽引する。

IMG_1752今回はとっさの判断で

包帯を患肢の繋ぎに巻いて牽引してもらいながら

持ち合わせの伸縮包帯を巻き

下に巻くものはそれだけで

綿による下巻きはせず

IMG_1753その上にキャストを巻いた。

左右両方の中手骨が折れているので

飼主さんに両方を

写真のように牽引してもらって

キャスト巻きの作業を

IMG_1754左右で繰り返し行った。

キャストは転がすように

腕節から蹄先まで巻いた。

巻き終えてから

患部の感染を予防するために

抗生物質を打ち

それを3日間打つよう指示した。

この日は、金曜日の午後遅くだったので

次回は、月曜日に

エックス線写真を撮ることを告げて

帰路についた。


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育成牛の中足骨骨折(2)

約15ヶ月齢の牛の中足骨の骨折の、

初診から1ヶ月経過したキャストを、

「治癒の見込みが有る」という理由で、

再度巻きなおしたのは、

私は初めてのことだった。

「これはきっと治ってくれるだろう」、

という思い込みがあったせいで、

私の巻いたキャストは、

初診でO獣医師の巻いたキャストよりも

大分薄く、やや短かった。

それで充分だろうと思っていたのだ。

ところが

その日に撮ったX線写真の骨折部位を見ると

思ったよりも骨融合が進んでいないように見え

骨折端の騎乗変位と軸ズレが明らかだったので

それから私は

2回目のキャストの巻き方が甘かったのではないだろうかと

しばらく落ち着かない日々を過ごしたのだった。

もし、2回目のキャストを巻いた後に

骨折の癒合部位に異変が生じたら

せっかくの骨融合が破綻して

この牛の治療は一巻の終わりになってしまう。

冷や汗をかきつつ、悶々とした日々を過ごしたが

飼主の〓さんからの、この牛に関する連絡は来なかった。

だが、便りの無いのは良い便り、だった。

その後は

異変の心配が、次第に治癒への確信へ、と変わってゆき

とうとう、2回目に巻いたキャストを外す日がやってきた。

初診から2ヶ月が経っていた。

体重350kgはゆうに超える育成牛を

IMG_1511鎮静剤で寝かせ

ギブスカッターでキャストをはずした。

キャストを外したところで

エックス線撮影をした。

IMG_1512その後、鎮静の拮抗剤を打って

牛はたちどころに目覚め

4本の肢を着いて

に歩き始めた。

IMG_1513初診は今年の3月12日

キャストを巻き直したのが4月10日

終診が5月8日だった。

もう一度

IMG_1364IMG_1525






4月10日のX線写真と

5月8日のX線写真とを

IMG_1363IMG_1522






左右に並べてみると

骨折部位の変位と軸ズレがあるものの

癒合が進んでいる様子がわかる。 


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育成牛の中足骨骨折(1)

初診は同僚のO獣医師、

当直明けの就業時間直前に、

「育成牛の足が折れている・・・」、

という連絡が入ったという。

右の中足骨骨体部で完全骨折、

鎮静下でキャスト固定し、抗生物質を投与、

と、カルテには書いてあった。

それから1ヶ月が経ち、

この牛のキャストを交換する日がやってきた。

何かと多忙なO獣医師に代わって、

私がこの牛の足の様子を見に行くことになった。

それは、今年の4月10日の事だった。

往診に行く前に、カルテを見直すと

この牛の生年月日は12月19日と書いてあった。

ということは

この牛が骨折をしたのは約3ヶ月齢か・・・

と、一瞬私はそう思い

その程度の月齢での中足骨ならば

よくあることで、何とかなるな・・・

と、思って

O獣医師に経過を聞こうと

もう1度カルテを見ると

この牛の生年月日は、なんと・・・

平成27年12月19日

と書いてあることに気づき

ちょっと驚いた。

「えっ!・・・おととしの12月生まれなの?」

「そう・・・。」

「デカいやつかい・・・。」

「そう・・・、15ヶ月齢の育成で・・・、どうなってるかわからないんですけど・・・。」

私はそう聞いて

恐る恐る

飼主の〓さん宅へ向かった。

「牛はどこ?」

「あー、あの牛かい・・・あそこの小屋の中にいるよ。」

〓さんの親父さんは、何気なくそう言って私を案内した。

IMG_1353「今日は、何か、するのかい?」

「うん。キャストを交換する日なんだけど・・・様子はどう?」

「どーなんだべ・・・」

「歩いてる?」

「うーん、1週間前くらいまでは痛くて全然つけなかったんだけどな・・・」

「・・・。」

「それが、この間から、なんだか、足をつくようになってきたのよ・・・」

「ほんとに?」

「あぁ、ほんとだよ。だいぶん歩けるようになったんでないかな・・・」

「そうなんだ。とりあえず牛を寝かせて、キャストを外したいんだけど。」

「おぅ、わかった・・・息子呼んでくるわ。」

私は、〓さんの息子が来るのを待って

それから鎮静剤を打って牛を寝かせ

ギブスカッターでキャストを外した。

IMG_1355骨折部位は化骨が始まっているようで

周囲の軟部組織には損傷もなく

細菌感染もしていなかった。

キャストを巻き直し

IMG_1359そのあと

この足の骨折部分の

エックス線写真を撮った。

鎮静剤の拮抗剤を打ち

IMG_1361牛はその後

すっと立ち上がって

スタスタと歩き始めた。

私はその後

隣町の診療センターへ

撮影したカセットフィルムを持ち込み

現像した画像データーを

画面に映し出し

IMG_1363さらにそのデーターを

我が診療所でも見られるように

共通フォルダに入れて

帰路についた。

IMG_136415ヶ月齢の育成牛が

中足骨の骨折をして

キャストによる外固定をし

それから約1ヶ月後の状態が

この2枚のX線写真だった。


(この記事続く)


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11ヶ月齢の黒毛和種♂の臍ヘルニア

「10ヶ月齢の黒毛和種の、

あまり発育の良くない痩せた肥育素牛を、

市場で買ってきて1ヶ月ほど養ったところ、

おヘソがぷっくりと膨らんできた。」

という稟告。

診てみると

臍ヘルニアだった。

買った時はひどく痩せていて

臍の腫れはなかったそうだ。

しかし食欲が増して成長するにつれて

臍が腫れてきたという。

私の知る限り、牛の臍ヘルニアは

幼少時には目立っていても

成長するにつれて目立たなくなってゆくものだが

今回の場合はその逆パターン(?!) だった。

「放っておいて良いだろうか?」

という飼主さんの問いに

私は首を縦に振る事ができず

早期にヘルニア輪を縫合して閉じる手術を勧めた。

そして昨日

その手術をすることなになった。

ヘルニア輪は4指が入る程度のものだったが

11ヶ月齢の食欲旺盛な若牛だったので

前日から絶食をしてもらって腹圧を減らしておいた。

術前の写真をうっかり撮り忘れたので

術後の写真のヘルニアの部分を加工して

BlogPaint術前の垂れ下がったヘルニア嚢を

黄色い色で塗りつぶして再現してみたのが

最初の写真である。

鎮静剤によって寝かせて

手術台に仰臥保定。

ヘルニア整復の術式は簡単だ。

ただし

♂の場合は臍帯のすぐ後方に尿道口があり

手術中に排尿したり

術後の創部が汚染したりしやすいので

BlogPaint切開部分は写真のように

尿道口を避けるような

前方に弧を描く半円形(U字形)で切開する。

この方法は

十勝NOSAIの同僚のM島獣医師が考案したものである。

こうして切開して

皮下の結合組織を注意深く剥がしてゆき

ヘルニア輪を露出させる。

そこにヘルニア嚢を落とし込み

IMG_1677ヘルニア輪を縫合する。

ヘルニア輪の縫合は

ベストオーバーパンツ縫合という

衣服を重ねるような仕上がりにする縫合法だ。

IMG_1678糸を二重に使い

腹壁への針の入れ方は

上から下 → 上から下 → 下から上 → 下から上

と縫って行けばよい。

今回はそれを3針入れて

IMG_1680ヘルニア輪を十分に閉じる事ができた。

それから

死腔を造らぬように

結合組織の寄せ縫いをして

U字形に離れている臍帯の皮膚を

IMG_1683術創に蓋をするように縫い付けて

整復手術は無事終了した。

鎮静剤の拮抗剤を打ち

牛は数分で元気を取り戻した。

IMG_1684飼主さんに抗生物質を渡し

3日間投与するように指示し

牛を家畜車に乗せて

帰って行く家畜車を見送った。


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夜間当番の「大停電」

昨夜の当番の、

午後8時を過ぎた頃、

突然、宿直室が真っ暗になった。

停電だった。

そろそろ寝ようと思っていたので、

そのまま布団に入って寝ていたら、

携帯に警備会社から電話がかかってきた、

「事務所が停電のようですが、まだ復旧しませんか?」

「はい。」

「復旧したら、教えてください。」

「はい。」

しばらくして今度は

本所のM家畜部長から電話がかかってきた。

「安田さん。まだ復旧してないですか?」

「してないですね。」

「停電、ウチだけみたいなんですよ。」

「え、本当に?」

窓から外の風景を見渡すと

周囲の電灯はもう明々と灯っていた。

「事務所のブレーカー確認してくれます?」

「了解。」

1階へ降りてポイラー室の配電盤のブレーカーを見たが、

全てONで、落ちているブレーカーは見当たらなかった。

再び、M部長から電話

「雨でどこか漏電してるみたい、北電、行ってませんか?」

再び外を見ると

北側の松並木の一角に

電線工事の車が止まって

暗い雨の中で照明を当てて

何やら工事を始めていた。

「あ、居た居た。誰か来て工事してる。」

「これから私もそちらへ行きます。A課長と2人で行きますから。」

「はい。」

停電から30分ほど経っていた。

周囲はすでに復旧しているのに

我が診療所だけ真っ暗のまま、復旧していなかった。

さらに30分ほど経って

M部長とA課長が雨の中やって来た。

IMG_5962「そういえばあの松の木、去年の8月の台風の時倒れて・・・

「そうでしょう。」

「うちの松の木じゃなくて、町の所有物で・・・」

「そうそう。」

IMG_1637「倒れたままでも、特に何でもなかったから・・・」

「撤去しないでいたら・・・この雨で。」

「漏電起こしちゃったのかな。」

1時間ほど経って

IMG_1633工事をしていた北電の人が

事務所にやって来た。

その説明によると

漏電した配線は

IMG_1635北電の管轄の部分ではなく

うちの事務所の部分なので

この後は独自で電気工事を依頼して

配線を復旧させてください

とのことだった。

これを聞いて我々は

今夜中に復旧することはほぼ不可能と知った。

M部長とA課長はE総務部長やO所長などと連絡を取りつつ

今日電子カルテに打ち込んだ診療データーの送受信と

明日の朝の受付電話やファクスの配線を

何とか、明日の朝までに

終わらせるための段取りを確認して

真っ暗闇の事務所を後にして

2人は自宅へ帰っていった。

翌朝、早々

私が当直室で目を覚まして

1階の事務所に降りると

O所長とA課長がすでに来ていた。

しばらくするとM部長も牛群検診車に乗ってやって来た。

牛群検診車に搭載されている発電機を使って

昨日の診療データーの送信と

今朝の電話とファクスの受付の

電源を確保する、という作戦だった。

我々は早速

発電機と緊急配線の準備に取り掛かった。

ひと通りの配線を終えた頃

高圧電線工事を依頼したS電気の工員が大勢やって来た。

空は雨だったが

復旧工事は昼頃には終わるだろう、とのことだった。

8時30分の始業時刻には

何とか

通常通りの業務を

開始することができた。

私はいつものように往診に出発し

午前中の診療を一通りこなして

昼に事務所に戻った時は

まだ停電は復旧していなかったが

しばらく雑務をしていると

事務所の電気機器が

一斉に息を吹き返した。

雨雲で暗い空しか見えない事務所の

照明が点灯した。

時計の針はちょうど

12時00分を指していた。

昨夜の午後8時から続いていた

17時間にわたる大停電が

ようやく完全復旧したのだった。

(ヤレヤレ・・・)


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獣医の仕事と俳句

何気ない気持ちで始めた、

乳検協会の冊子の記事シリーズが、

はからずも10回も続いてしまったので、

今月(5月)の記事はほとんどそれで終わってしまった。

獣医関係の記事を書くと、

有難いことにアクセス数が上がる。

特に今回のような、

コメントが多く寄せられた記事の時は、

コメンテーターの皆さんのお力によって、

アクセス数がぐんと上がり

今回の乳検シリーズでは、なんと

訪問者が1日500人以上の日がずっと続いてくれた。

これが本当に多いのか少ないのかわからないけれども

当ブログとしては最高記録になったことを

この場を借りで、読者の皆さんにお礼を言いたいと思う。

これからもどうぞ忌憚のないコメントをよろしくお願いいたします!

IMG_1547さて

私としては

仕事の話を続けるのも楽しいことなのだが

さすがにそればかりだと気持ちが疲れてくる。

心が仕事で飽和状態になりそうになった時

IMG_1602私を救ってくれるのが

そう

俳句である。

獣医師としての仕事の記事を書く時も楽しいけれど

じつは俳句関係の記事を書く時は

もっと楽しいのだ(笑)

IMG_1609ところが

俳句関係の記事をアップすると

どういうわけか

アクセス数がガタ落ちしてしまう(笑)

私の中では

獣医の仕事と俳句

というのは

ワンセットで表裏一体なのであるが

読者の方々にとっては

まだ俳句の方は

馴染みが薄いらしい。

IMG_1507ここはひとつ

読者の方々も

獣医の話ばかりではなく

俳句の話にも参加して

コメントをガンガン書き込んでいただきたいものだ。

IMG_1508写真は

日本伝統俳句協会の機関紙

「花鳥諷詠(かちょうふうえい)」

の、今年の五月号に載った

IMG_1478私の作品30句である。

興味のある方は

ぜひクリックして

私の最近作を見ていただけると嬉しい。

仕事をやりながら

あるいは仕事を休みながら
 
私はこういう俳句を詠み続けている。

仕事のモチベーションを上げるために

私は俳句を詠んでいると言っても良いし

また逆に

俳句のモチベーションを上げるために

私は仕事をしていると言っても良い。

そこは

どっちでも良いのである。 


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乳検データーから見えるもの(10)

非常に興味深い「乳検データー」と、

非常に腹立たしい無責任氏の解説文を、

複雑な気持ちで読んで来た今回の記事も、

やっと「課題編」が終了し、

ここから「技術編」ということになる。

しかし

その「技術編」の内容をざっと見ると

これといって新しいものはなく

無責任氏が自分自身が体験しているものでもなく

おそらく

ベストパフォーマンス会議に出席した人の中の

いわゆる有識者や技術者の先生方が言ったであろう事を

無責任氏が、右から左に羅列して、

ただ単に継ぎ接ぎしたような

まるでまとまりのない代物なので

読む気が全く薄れてしまうのだった。

そんな萎えそうな気持ちを奮い立たせながら、

あえて、続きを我慢して読み進めば・・・

無責任氏曰く

「北海道における課題が見えてきましたね。」

「そこで、どのように乳用後継牛を作出し、出生時の事故を減らしながら、長命連産が可能となるよう効果的に飼養・管理していくかが重要なポイントになります。」

(そんな事はもう言われなくてもわかっています)

「そのための課題発見と検証に必要となる有効なツールや活用方法などもお伝えします。」

(そこ、ですか??)

IMG_1450そして、無責任氏は

「死なせない」

「長持ちさせる」

「増やす」

「死廃牛を減らす」

「除籍牛をを減らす」

「初産月齢分娩間隔の短縮」

という言葉に全て(!)マークをつけて

この6つの技術の目的を強調しているが

それぞれの「技術編」の項目での具体的内容は

先ほど言ったように

会議で出された先生方の発言を

パッチワーク的に継ぎ接ぎしただけの

非常に薄っぺらい内容になっているので

あえて私がここで、検討するほどの価値は乏しいのだが

ひとつだけ

突っ込んでおきたいデーターがあった。

IMG_1463それは

子牛の死産率についてのデーターである。

「飼養形態の違いにおける死産率と双子率」

という表が示されていて

無責任氏は

「飼養形態別に年間を通して変更がない酪農家について、繋ぎ、フリーストール、放牧、ロボットの4つに分類しました。」

などと、まるで自分がデーターを作ったような言い回しで語り、つづけて

「その結果、死産率は放牧酪農家(250戸)が5.4%となり、繋ぎ(2676戸)5.9%、フリーストール(908戸)6.7%、ロボット(56戸)6.4%と比べ低くなりました(表)。」

と書いている、さらに

「牛は放牧するとおよそ4万回噛みながら一日4km歩行する生き物です。本来このような動きで代謝を良くしているのです。」

などと、どこかの論文から取ってきたような知識を付け足している。

それがこの表である

IMG_1464





よく見ると

放牧の死産率を赤字で強調している。

このデーターは

本当に無責任氏が自分で

乳検データーから拾って調べたものなのだろうか?

その真偽は定かではない。

この4つの飼養形態の項目の分け方も

細かいことを言えば

例えば、繋ぎ飼いでも

牛を出しているのか繋ぎっぱなしなのか

などの詳細が、よくわからない部分が多々あるけれど

そう言うことには目を瞑って

子牛の死産率を

飼養形態別で調べたデーター

というのは

なかなか興味深いものが有るように

私には思える。

このデーターによれば

牛の死産率は

放牧の酪農家が最も低く

フリーストールの酪農家が最も高い

ということになる。

無責任氏は、「放牧の死産率5.4%」を

わざわざ赤い字で強調している。

これを読んでいる皆さんはどうお思いだろうか?

私が、無責任氏に突っ込みたくなるところは

あなたたち酪農行政は我々関係者に

放牧が最も良いと言いたいのですか?

ということである。

このページの表をどう見ても

死産を減らすためには放牧が最もよく

放牧を薦めていると読むことができる。

ところが

IMG_1484この冊子の別のページには

畜産クラスター計画との連携を強く薦めている箇所があり

その内容は、飼養規模の拡大、飼養管理の改善、という言葉があり

無責任氏は、「飼養規模の拡大」という言葉を

わざわざ太い字で強調している。

(この冊子はもともとは、規模拡大を薦めている冊子のはず)

これは一体どういうことだろう。

大規模酪農といえば

その飼養形態の大半はフリーストールである。

フリーストールが大規模酪農の代名詞のようなものである。

その死産率は最悪であるというデーターが示されているのである。

毎日酪農家回って仕事をしている私は

放牧酪農家と

大規模酪農家は

その目指すものは全く違うという印象を持っている。

牛の健康を重視し乳量にはこだわらない放牧酪農

乳量を重視して牛の健康は二の次にする大規模酪農とでは

考え方が全く逆であると言って良いだろう。

しかし

無責任氏は

一つの冊子の中で

あるページでは放牧を薦めて

別のページでは規模拡大を薦める

ということを平気でやっている。

(本当はどっちなのですか)

一つの冊子の中で

真逆の考え方を薦めて

それを平然と併記し

全く自覚していないように見える。

この冊子の無責任氏の

無責任たる理由が

はっきりと見えてくるではないか。

結局つまるところ

この冊子には

酪農行政のピジョンもポリシーも何も無く

ただ予算があるだけで

それを消化するために作られたものと想像する。

データー自体は面白いので

我慢して読んできた冊子であるが

さすがにもう

馬鹿馬鹿しくなってきた。

そろそろこの冊子から離れ

普段の仕事に戻ろうと思う。


(このシリーズ記事、終わりにします)


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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乳検データーから見えるもの(9)

この冊子の解説文を書いている無責任氏は、

課題 7 「分娩後に母牛・子牛の死廃事故率が多い」として

「北海道NOSAIの引き受頭数に対する死廃事故頭数・被害率をみても、地域別に差がありますが、毎年高い割合で推移しています。」

と言い、また

「振興局別に除籍率、母牛60日以内死廃率、子牛死産率をみると、地域によって大きな差がみられます。死廃率は全道平均では5.7%ですが、地域でみると4.2〜6.5%となっており、詳細な地域単位や酪農家単位では更に開きがあると推測できます。自らの農場における死産の発生状況を今一度確認して見ましょう。」

IMG_1444などと言っている。

ここで、無責任氏の言っていることに、それほど腹立たしいものはない。

しかし

無責任氏はここで

このデーターについての言及を終わりにしている。

なんだか、あっさりと触れているだけで

そのまま口を塞いで

無口になってしまったかのような印象がある。

気になるので

データーの細かいところを見てみたいと思う。

下に示した表は

北海道の乳検での

IMG_1444除籍率

母牛死廃率

子牛死産率

を地域(振興局すなわち支庁)ごとに並べた表である。

その中で

まず、気になるのは

母牛の分娩後60日以内の死廃率

その14地域(振興局=支所)ごとの内訳の中で

最も少ないベスト3は

  1位  胆振 4.9%

  2位  宗谷 5.2%

  3位  檜山 5.4%

最も多いワースト3は

 12位  十勝 6.4%

 最下位 釧路 6.7% (同率)

 最下位 網走 6.7% (同率)

となっている。

つぎに、気になるのは

子牛の死産率

その14地域(振興局=支所)ごとの内訳の中で

最も少ないベスト3は

  1位  宗谷 4.2%

  2位  檜山 5.0%   (同率)

  3位  留萌 5.0%   (同率)

最も多いワースト3は

 12位   十勝 6.1%

 最下位  釧路 6.5%    (同率)

 最下位  網走 6.5% (同率)


となっている。

私が注目したのは

母牛の分娩後60日の死廃率

子牛の死産率

どちらも

十勝・釧路・網走が

ワースト3
になっている

ということである。

それはなぜなのだろうか?

ここで1つ

興味深いデーターを重ね合わせてみよう。

それは

北海道の畜産振興局が出している

「振興局別家畜飼養個数・頭数」というもので

最新のデーターをホームページから見ることができる。

その中の乳用牛の部分を引用したのが下の表である。

IMG_1588





クリックして大きくして確認していただきたい。

この表の一番下の段に

一戸あたりの頭数

が、14地域(振興局=支所)ごとに示されている。

それによれば

一戸あたりの頭数の多い順に並べて見ると

 1位 十勝  161.7  頭

 2位 釧路  136.8  頭

 3位 根室  134.6  頭

 4位 オホーツク(網走) 118.0 頭


となっている。

これを素直に読み取るならば

一戸あたりの頭数の多い酪農

すなわち

規模の大きな酪農家が全道で最も多いのは

十勝であり


分娩後の母牛・子牛の死廃事故率が

十勝はワースト3 に入っている

ということになる。

さらに

規模の大きな酪農家が全道で2番目に多いのは

釧路であり


分娩後の母牛・子牛の死廃事故率が

釧路はワースト3 に入っている

ということになる。

さらに

規模の大きな酪農家が全道で4番目に多いのは

網走であり


分娩後の母牛・子牛の死廃事故率が

網走はワースト3 に入っている

ということになる。

規模の大きな酪農家の多い地域の

分娩後の母牛と子牛の死廃事故が

軒並み高くなっている


ということが

このデーターから

読み取れるのではなかろうか。

さて、また

前回の記事に立ち戻って

十勝の酪農の乳量の伸びを示した

新聞記事をもう一度

ここに貼り付けてみる

クリックして見ていただきたい。

IMG_1537




「1頭あたり乳量10年で1トン増」

「農家大規模化」

「米国流の飼料管理」

こんな見出しがついていて

喜ばしいことのように書かれているが

私に言わせれば

こんなものは全く

喜ばしいことではなく

憂うべきことである。

なぜ憂うべきことなのか?

この新聞記事の書き出しは

「道内の生乳生産を引っ張る十勝管内で・・・」

という言葉で始まっている。

もう一度言おう

規模の大きな酪農家が

全道で最も多いのは

道内の生乳生産を引っ張るという

十勝であり

分娩後の母牛・子牛の死廃事故率が

ワースト3 に入っているのが

道内の生乳生産を引っ張るという

十勝である。

十勝は

道内の生乳生産を

どこへ引っ張るのだろう?

これだけ事故の多い十勝の酪農

道内の生乳生産

間違った方向へ引っ張っているのではないか?

十勝の酪農家を相手に仕事をしている獣医師として

私は非常に残念で

なんだか

とても情けない。


(この記事続く)



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乳検データーから見えるもの(8)

乳検データーが示す北海道の酪農の、

「死亡や疾病で除籍頭数は増えている」

IMG_1442という課題。

その増加傾向をグラフで見ると

乳牛の除籍の理由である「その他」という項目が

特に2104年ごろから極端に増えていることがわかる。

そして「その他」の項目を詳しく見てゆくと、

その裏には

我々獣医師が

「治療しても治らない」牛たちの存在があることも前回の記事で書いた。

さらに

「治療しても治らない」牛たちの増加は

我々NOSAI獣医師が深く関わっている

「共済廃用」になる牛の増加

という形で現われ

さらに、共済保険の対象にもならない

「自家廃用」になる牛の増加

という形でも現われ

さらに、飼主が公表を避けたい

「伝染病」の牛の増加

という形でも現われている。

また、前回のコメントで指摘のあった

「書き方がよくわからない」

「書くのが面倒」

という理由もあるようであるが

いずれにしても

IMG_1555理由が明記されていない牛の除籍が

2014年頃を境にして

ジャンプアップしている
のは

注目すべき出来事である。

ここで

最近

ちょっと気になる新聞記事が出た。

IMG_1537それは左の写真の

5月12日の道新の

十勝の乳牛の年間の1頭あたりの乳量が

急激に伸びているという記事である。

注目すべきは記事の内容というよりも

掲載されているグラフである。

そのグラフをよく見ると

年間1頭あたりの乳量(折れ線グラフ)と

年間の生乳生産量(棒グラフ)が

IMG_15352014年頃を境にして

ジヤンプアップしている。

これはどういうことを意味するのだろうか?

理由が明記されない乳牛の除籍数の増加と

年間1頭あたりの乳量の増加と

十勝全体の生乳生産量の増加と

が、2014年頃を境にして

ことごとく急増している
のである。

新聞記事の内容は

それを肯定していて

喜ばしいことのように書いてあるが

私に言わせれば

それは全く逆で

非常に憂慮すべきことであると思う。

それを簡単に言えば

「乳量の増加」と

「治療しても治らない牛の増加」が

時を同じくして起っている

ということである。

これはどういうことなのか?

この現象はすなわち

十勝の乳牛たちは

「乳量が増加」する一方で

病気になり

その病気は

「治療しても治らない」ような

深刻な病気にかかっている

と解釈できるのではなかろうか。

これは

十勝の乳牛を診療している我々にとって

まことに

憂慮すべきことなのではなかろうか。



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乳検データーから見えるもの(7)

私がなぜこれ程まで、

しつこい位に今回のシリーズ記事を書いているかというと、

この乳検協会の冊子の「乳検データー」から、

思い当たる事が、実に多いからである。

最近、私が日々の仕事の中でつくづく感じることを、

この冊子の「乳検データー」が、

みごとに裏付けてくれるデーターだからである。

私が最近つくづく感じていることを一言で言えば、

「治療をしても牛が治らない・・・」

ということである。

30年以上も牛の臨床獣医師をしていれば、

自分の獣医療の技術は少しは向上しているはずであるから、

以前よりも牛が治療に反応して

治癒率が向上してもよさそうなものであるが、

どういうわけか

治癒率が向上したという実感は、全くない。

それどころか

以前よりも牛が治療に反応せず

治癒率はむしろ下がっているのではないか

とさえ思えるのである。

「治療をしても牛が治らない・・・」

こう強く感じる事は

獣医師として、とても情けないことであり

恥ずべきことである。

しかし、現実はそれを日々感じつつ仕事をせざるを得ない。

これは非常にストレスのたまることであり

無力感にさいなまれることもしばしばである。

そんな日々を送っている時に見つけたのが

この乳検協会が出した冊子のデーターだったのだ。

何度もいうが

この「乳検データー」自体はたいへん素晴らしいものである。

ところが

それを解説する文章がまったくダメすぎて、お話しにならない

ということなのである。

では、また

その素晴らしいデーターと

それを解説する超劣悪な文章を

腹立たしさを我慢しながら読んでいきたいと思う。

超劣悪な解説文を書いている無責任氏は

IMG_1442課題5 「死亡や疾病で除籍頭数は増えている」

として

「図は年次別の除籍理由別頭数を示したものです。直近の除籍頭数は12万7千頭となり、増加傾向にあります。」

ここで「除籍」というのは

各酪農場から姿を消した牛のことである。

それぞれの折れ線グラフは、その除籍の理由ごとのグラフである。

無責任氏は続けて

「また、検定での除籍報告で、「その他」の項目が増えていますが、理由をあいまいなまま「その他」で報告しますと正確に除籍理由が把握できませんので、原因をしっかりと把握して除籍報告を行うように心がけましょう。」

などと言っている。

(もう無責任氏は何もわかっていないことに、ほとほと呆れてしまう)

飼主さんが、自分の牛を自分の農場から出すとき

あいまいな理由で出すなどという事は、ありえない事である。

考えに考え、悩みに悩んだ末に

飼主さんは、自分の牛を売ったり処分したりするのだ。

牛を処分する理由があいまいなどということは

実際を考えれば

そんな寝ぼけた除籍など誰もするわけがない。

「原因をはっきり把握して除籍報告を行うように心がけましょう。」

などと

間抜けなことを言っている無責任氏の頭の中こそ

はっきりさせた方が良いだろう。

(本当は、除籍の原因は、はっきりしているのです)

ただその原因を

飼主さんは

「明記したくない」から「その他」なのである。

ここで「明記されている」原因を

少ない方から挙げてゆくと

「消化器病」

「低能力」

「産後起立不能」

「乳器障害」

「乳用売却」

「運動器病」

「乳房炎」

「繁殖障害」

「死亡」

「その他」

となっている。

そして、除籍理由としての「その他」は

2014年から2015年の1年間に

5000頭近くも増えて、ダントツの1位になっている。

飼主さんたちがあえて「その他」として

明記を避ける除籍理由とはいったい何か?

第1に思い浮かぶのは

我々NOSAI獣医師が深く関わっている

「共済廃用」である。

そしてさらに

共済(NOSAI)保険の限度枠を使い切ってしまったために生ずる

「自家廃用」である。

この2種類の廃用は

我々獣医師が

「治療をしても治らなかった・・・」

牛たちである。

転売はもちろん、肉にもできない

飼主さんにとっては最も不本意なものであろう。

不本意な除籍の理由など

飼主さんはいちいち書きたくはないだろう。

そしてさらに

最も明記したくない除籍の理由として

「伝染病」がある。

その最たるものが

「法定伝染病」や「届出伝染病」

であるが

これもまた

「治療をしても治らない・・・」

牛たちである。

伝染病で除籍することは

飼主さんにとって不本意なばかりか

最も恐ろしく忌まわしいものであろう。

世間の目や風評なども気になり

そんな除籍の理由は

飼主さん達が明記することは

絶対と言って良いほど

ないだろう。


(この記事続く)



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乳検データーから見えるもの(6)

乳用雌牛(主にホルスタインの雌)の飼養頭数は、

この5〜6年の間に、

本州では7万頭も、北海道でも3万5千頭も、

減ってしまった。

それなのに、

今後ますますの「生乳生産拡大 」を目標に掲げている酪農行政の考え方に、

酪農の現場の片隅で働いている私は、

強い違和感を覚える。 

乳用雌牛(ホルスタインの雌)が、

なぜ、こんなに減ってしまったのか?

その理由をまともに検証もせずに、

「生乳生産拡大」という言葉を安易に吐くこと自体が、

信じられないのである。

乳用雌牛(ホルスタインの雌)が減ってしまったのは、

自らが推進してきた酪農行政にこそ、

その原因があるということに、

全く気づいていないような発言は、

まことに腹立たしいものがある。

ではまた、

そんな腹立たしい気持ちを我慢して、

例の冊子の「乳検データー」を解説する無責任氏の言葉を引いてみたい。

IMG_1441無責任氏は

課題4「個体価格も高くなっている」

として

「乳用牛の頭数が少なくなってきたため、最近は初生、育成、初妊、経産牛全てにおいて非常に
高騰してきており、いわゆる酪農バブルと呼ばれる状況にあります。特に、ただちに生乳生産に結びつく初妊牛などは史上初めて70万円を超えるという異常な状況となっています。」


などと言っている。

(今はもうそれ以上に初妊牛は高騰し、腹が和牛ETならば、軽く100万円を超えていますね)

そして、次が

聞き捨てならない問題発言・・・

「この結果、新規に個体を導入している農家は、メガファームやギガファームなどの大規模農家が中心となっており、家族経営の中では、新たに個体を導入することは、価格面から大きな支障が出ています。このため、自家生産でしっかり乳用後継牛を確保する対策が必要です。」

何とも変な文脈でわかりづらい文章だ。

この一文はおそらく

上の方から何度も訂正がかかって

訳のわからない文章になってしまったものと想像する。

「この結果」とは何の結果なのだろうか?

きっと、乳用後継牛が高騰した結果、という事にしたいのだろう。

(本当は、結果ではなく、原因なのに)

で、無責任氏はこう続けている。

「この結果、・・・」

(本当は、結果ではなく、原因でしょうに)

今は、そういう乳用後継牛が

高騰してしまっている状況の中で

目標とする「生乳生産拡大」のために

「我々酪農政策の担当者が推奨する

大規模経営のメガフアームやギガフアームが

それらの乳用後継牛を買わなくてはなりませんから

家族経営の皆さんは

後継牛を買うのは価格が高くて大変だと思いますから

後継牛を買うのはメガファームやギガフアームに譲って

家族経営の皆さんは

自家生産でしっかり乳用後継牛を確保してください。」

という風に読むことができる。

何という身勝手な考え方だろう。

家族経営の酪農家が

メガファームやギガファームの後継牛の生産を

一方的に担わされているような

そんな物の言い方である。

何という身勝手な考え方だろう。

無責任氏たちが奨励してきた大規模経営の

メガフアームやギガファームが

自分で後継牛を育てることを最初から放棄して

ハナから後継牛の育成をすることなど考えない経営で

自家育成を一切せず

ただ乳を搾る牛を確保するために

他所で育成した牛を買いあさっているからこそ

乳用牛の価格高騰が起こっているのではないか。

(価格の高騰は、アナタたちが進めてきた酪農の大規模化が原因で起こっているのでしょう)

それを棚に上げて

家族経営の酪農家に向かって

「自家生産でしっかり乳用後継牛を確保する対策が必要です。」

などと、ツラっとして

よくもまぁ言えたものだと思う。

ここもまた

無責任氏の無責任たる所以であろう。

酪農の大規模化によって

乳用後継牛が不足し

価格が高騰しているのである。


無責任氏が無知なのか

あるいは

知っているのに言わないのか

触れることを避けている

そういう今の酪農の現状を

私は毎日毎日

身に沁みて味わいながら仕事をしている。

次回はその具体的内容を

「乳検データー」から

もう少し読み取ってみたいと思う。


(この記事続く)



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乳検データーから見えるもの(5)

せっかく良いデーターがあるというのに、

それを発信して解説する文章が、

あまりにもひどくて、

ピント外れで、

上から目線の官僚臭プンプン、

という鼻持ちならぬ冊子。

題して

「乳用牛べストパフォーマンス実現に向けて」
   〜乳用後継牛の安定的確保のために〜
    (北海道版テキスト・支援者用・平成28年度)


IMG_1435という

52ページにわたる文書の

その、課題編を

続けてもう少し読んでいこうと思う。

書き手の無責任氏

課題3  「交雑種が増えている」

として

「図は北海道における乳用種並びに交雑種の頭数推移を示したものです。乳用種は2010年1月には108万8千頭でしたが、2016年1月では102万1千頭と6万7千頭も減少しています。これに対して、交雑種は、2010年1月には11万3千頭でしたが、2016年1月では13万6千頭と2万3千頭も増えています。」

と言っている。

さらに

「黒毛の種を付けるとホルスタインに比べて初生での個体価格が高く、また明らかに体が小さいため、分娩時の難産を防ぐことができるということで重宝される傾向があります。」

そして

「近年の肉牛価格の高騰から、交雑種(F1)の場合、飼養期間が短くても、高い収入が得られるということがあります。この結果、乳用種を生産する頭数が減少し、後継牛不足を招いているという負の部分があることも見逃してはいけません。」

(見逃しているのはアナタたち農政の方でしょうが。現場ではそんなことは承知の上でやっているのです。)

IMG_1440しかし、こんな状況になることを

本当に知らずに見逃してしまったというよりは

実は、農政の方々も承知していて

わざと見逃して

そのまま放置しているように

私には思えるのだ。

F1の仔牛の価格は

もう何年も前から

「いつか下がるぞ、いつか下がるぞ」

と言われつづけているにもかかわらず

じりじりと価格を上げて現在に至っている。

それは何故なのか?

ここでもう1つ見逃してはならないのは

交雑種(F1)の価格ではなく

純粋種の黒毛和種の価格である。

F1がお腹に入った初妊牛よりも

さらに価格が高騰しているのが

黒毛和種のET(受精卵)がお腹に入った初妊牛である。

先日は1頭120万円もの値段がついたという話を聞いた。

もうベラボーな価格になっている。

その初妊牛から生まれ落ちた和牛ETの仔牛は

1頭なんと50万円以上で買われてゆく。

これまたベラボーな価格である。

どうしてこんなに高いのか?

こんな価格では

黒毛和種の素牛を仕入れて

育成し肥育して販売する牧場は

コストがかかってパンクしてしまうはずである。

ところが

どういう仕組みなのかはわからないが

黒毛和牛の肥育農家さんには

「絶対に損をしないような手厚い保護政策」

がいろいろ施されているらしい。

そうでなければ

こんなベラボーな価格をいつまでも維持できるはずがないと思う。

この辺の事情に詳しい方々のご意見など

コメント欄への書き込みを

是非お願いしたいところである。

モヤモヤした疑問を

スッキリと解決させてくれるような

情報をお待ちしている。

ともあれ

この冊子の無責任氏は

交雑種(F1)のことを課題にあげているだけで

黒毛和種ETのことには何も触れていない。

無責任氏の無責任たる所以だろう。

IMG_1485交雑種(F1)の高騰の背景には

黒毛和種の生産状況と

それに対する

「手厚い保護政策」

があると思われる。

IMG_1540左の写真の記事には

「肉用仔牛の供給が落ち着けば、連動してホルスタイン種を含め、価格は落ち着くはず。」

などと書いてある。

要するに、肉用仔牛の供給が落ち着かない限り

ホルスタインの価格はずっと落ち着かないままでよいという

身勝手なことを平然と言っているのだ。

ホルスタインの雌の腹を借りて

黒毛和種の仔牛を産ませているのに

これを身勝手と言わずして何というのか!

このような状況になったのは

私が推測するまでもなく

日本の畜産農政の中心は

黒毛和種の生産であり

ホルスタインの生産は二の次

であるからだろう。

黒毛和牛の生産が第一であり

酪農の問題は後回しにされている。

乳検データーから

日本の畜産農政の

基本的な態度が

見えてくる


(この記事続く)



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乳検データーから見えるもの(4)

書き手が誰なのか全くわからないので、

その書き手を「無責任氏」と命名させてもらった冊子。

題して

「乳用牛べストパフォーマンス実現に向けて」
   〜乳用後継牛の安定的確保のために〜
    (北海道版テキスト・支援者用・平成28年度)


IMG_1435という

52ページにわたる文書。

その、課題編を

もう少し読んでいこうと思う。

無責任氏は

「では、北海道において、現状はどのような課題があるのでしょうか?大きく道内での生乳生産基盤が揺らいできた要因はどこにあるのでしょうか?具体的な数値をあげ検証してみましょう。」 

と言い

課題1  「経産乳用雌牛は減少している」 

IMG_1438として

乳用種雌牛の月齢24ヶ月以上の頭数推移のグラフを示し

「この6年間で、北海道では3万5千頭も減少・・・、府県では、更に減少が激しく7万1千頭も減少・・・」 

と言っている。 

さらに

課題2 「後継乳用雌牛も減少している」 

IMG_1439として

乳用種雌牛の月齢23ヶ月未満の頭数推移のグラフを示し

「この6年間で、北海道でも6千頭程度減少・・・、都府県では、3万頭近くも減少・・・」

と言っている。 

そして

「これからも、将来において更に乳用後継牛が減少していくようなことがあれば、今後の生乳生産拡大に向けての阻害要因となってしまいます。」 

と言っている。

(酪農の現場では、国の生乳生産量を考えて仕事をしている人などはいない。こういう事態に対処するのはアナタたちの仕事でしょう。) 

そしてこうも言う

「国内での生乳生産減少を食い止めなければ、海外からの乳製品輸入拡大への口実を与えかねず、TPPがらみでの悪影響も懸念されます。」 

(乳製品ばかりではなく、乳牛そのものさえも今、輸入する事態になっていますね。) 

無責任氏は

我々酪農の現場の関係者に向かってこんなことを言っているのだが

無責任氏は

現場の我々に

何を言いたいのだろうか

何を知らせたいのだろうか

何かをさせたいのだろうか

それとも

無責任氏自身の仕事の

愚痴を聞いてほしいだけなのか?


(この記事続く)


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