北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

学者と臨床家

和牛仔牛のちょっと変な出べそ(1)

「仔牛の出べそ、診て欲しいんですが・・・」

よくある往診依頼である。

こういう場合、

最も多いのが、

臍帯の細菌感染による、

臍帯炎である。

軽度の場合は

抗生物質の筋肉注射を数日すればよく

熱発や食不振などの全身症状が出た場合は

輸液を数日施せばほとんどが回復する。

次に多いのが

同じく最近の感染による

臍帯の膿瘍である。

膿瘍が大きければ

切開排膿して

その後は同様である。

続いて多いのが

臍ヘルニアである。

軽度であれば

放置していても治る。

ヘルニア輪が大きい時は

中の腸管などを腹腔に戻した状態で

ヘルニアを塞ぐための

バンデージを巻いたり器具を装着したりすれば治る。

ヘルニアがさらに大きい場合は

外科手術によってヘルニア輪を塞ぐ。

子牛の出べそは

ほぼ上記の対応で治癒させることができる。

さて

今回はどんな出べそなのだろう

と、∇牧場着いてみると

私が今まで経験したことのない

050724DC-0C33-4BB4-991A-22FF800EC457不思議な出べそだった。

生後10日目の黒毛和牛の♂。

二箇所の赤剥けた臍帯が

まるで角のように遺残していた。

「これ、どうすれば良いですか・・・」

「・・・このままじゃ普通の値段では売れないか。」

「ええ、なんとかなりませんか・・・」

「・・・うーん・・・切っても出血して汚くなりそうだし。」

咄嗟に思いついたのは

イージーカットだった。

「・・・そうだ、ゴムリングつけましよう。」

私は一旦事務所に

イージーカットを取りに戻った。

子牛の臍にイージーカットを付けるのは

FCFDE44F-9D2B-4966-9316-DD66823CB211ヘルニアの場合も多いが

こんな大きな臍帯炎の時にも

使えるのではないかと思った。

装着を試みると

臍帯の根元の部分が

直径5センチ程度あり

イージーカットのゴムリングを

2ABD0E33-FE5C-4A80-8383-D561FB45B4BF器具で目一杯拡げて

ようやく装着できるほどだった。

一本のリングだけでは

漿液や尿などの湿気でズレてしまう可能性も考え

駄目押しとしてもう一本

二本のリングを装着した。

D935D878-9084-4F58-8D59-F0CECEF9E390「これで1週間くらい様子見ましょう。」

抗生物質を注射し

∇牧場の従業員君に

残り3日分の抗生物質を渡し

次の往診に向かった。


(この記事続く)


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トンデモ難産・Part2

「お産なんですけど、胎児が奥の方にいて来ないので、診て欲しいんですけど・・・」

〓フアームの従業員の▽君からだった。

「・・・まだ早いんじゃないの?」

「いえ、昨日の夜から産気づいているんですけど・・・」

「・・・わかった、診に行きます。」

「お願いします・・・」

先日、奇形胎児のトンデモ難産を介助した〓ファームから

また難産で呼ばれてしまった。

巡り合わせの悪い時とはそういうものである。

牛舎に着いて

産道に手を入れてみると

前足らしいものが1本と

胎児の頭部が1つ触れ

その奥にもう1本の足に触れた。

足にロープをかけようとして

手前の足を引っ張ってみたが

どうしたものか

足が伸びて来ず

頭の後ろにある足も

伸びて来ずに

頭と合体しているような

硬く固まった印象だった。

・・・これは奇形かな・・・

私の脳裏に一瞬そんな考えがよぎった。

しかし

最近のお産の経験では

奇形かな・・・と思った胎児の半分以上は

奇形ではなく単なる失位であることが多かった。

胎児の奇形による難産は

私が若かった20年ほど前に比べて

かなり減ったな、と思っている。

その理由の一つに

平成14年に改正された廃棄物焼却炉の構造基準

がある。

簡単に言えば、ドラム缶や市販の焼却炉などの

基準を満たさない焼却炉で廃棄物を焼却することが

違法になったのだ。

これが違法になったことで

酪農場の敷地内で安易に廃棄物を焼却することが減り

農場内のダイオキシンなどの催奇形性のある有害物質が減り

結果として、胎児の奇形の難産に遭遇することが減った・・・

・・・のではないかと

私は、自分の経験をもとに推測している。

最近は、胎児の奇形による難産は

20年前頃から比べると

本当に少なくなっている。

これは実感として私が感じていることである。

だから、最近は

・・・これは奇形かな・・・

と思った難産胎児の半分以上は

奇形ではなく単なる失位であったのである。

さて

今回の〓ファームの難産も

胎児が奇形かどうかは半信半疑のままだったが

失位を全く整復できそうもなかったので

即刻、帝王切開をすることにした。

牛が診療所に運ばれて

いつものように手術台に乗せられて

手術が始まった。

腹壁を切開し

子宮の外からの胎児の足を掴み

子宮を持ち上げて

子宮を切開した時

胎児が異常な形をしていることが

IMG_2455明らかになった。

「・・・奇形ですね・・・」

「・・・そうですね・・・」

私は助手のK獣医師と顔を見合わせた。

いつもの切開幅では胎児を摘出することができず

IMG_2453子宮をさらに大きく切開して

とんでもない形をしている胎児を

ようやくチェーンで引き上げることができた。

胎児の形は

反転性裂体と言って良い

IMG_2452重度の奇形胎児だった。

(写真は閲覧注意)

さらにこの奇形胎児の他に

奇形ではない別の胎児が子宮の中に居て

双子の胎児の片方だけが重度奇形という

IMG_2454私には初めての経験の

トンデモ難産だった。

〓ファームという同一牧場で

奇形胎児の難産に

私は2回連続で遭遇したことになる。

こんなことは今までずっと

ご無沙汰していた事だった。

ちなみに

〓ファームの

牛舎の裏の敷地の奥には

大きなコンクリートの筒状の

簡易の焼却施設があり

最近はそこから

ものを焼く煙が

立ち上っていることが多い。

その焼却施設が

平成14年に改正された

焼却炉の基準を満たしているかどうかは

私にはわからない。


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トンデモ難産

「お産なんですけど、出てこないので往診お願いします・・・」

〓ファームの従業員の◯君からだった。

「・・・どんな状態?」

「前足2本と頭は来てるんですけど、そこから出てこないんです・・・」

「・・・前足2本と頭が来てるんだったら、そのまま引っ張れば出るでしょ。」

「それが・・・出ないんです・・・」

「・・・???。」

なんだかよくわからない稟告だったが

◯君の真剣な声に応える気持ちと

頭の中の「???」の気持ちが

混ざり合ったまま

〓フアームに向かった。

着いて牛を診ると

胎児の上半身が陰部から外へ出ている。

前足と頭は完全に外へ出ているのだ。

「・・・これならそのまま引っ張れば出るんじゃないの?」

「それが・・・出ないんです・・・」

「・・・何で???」

おかしいなと思って

産道に手を入れると

「・・・何だこれは!」

胎児の下半身が

産道の中で

正座しているのだ。

左右の膝関節が畳まれて

さらに飛節も畳まれて

両足の蹄にも触れる。

おすわり状態で

産道に侵入していた。

後肢の整復は

きつくてとても無理だった。

何という体位だろう・・・

「・・・このまま強く引っ張るしかないね。」

私は牽引滑車を用意して

従業員君たちと一緒に

強引に胎児を引いた。

母牛の体がずれるほどの牽引だった。

「・・・キツイなこれは・・・でももう引き切るしかない・・引いて!」

胎児の上半身がわずかに引き出されて来た。

「・・・そのまま引いて!」

IMG_2398ズボッと出て来た胎児は

F1の胎児だった。

下半身をよく見ると

カエルの後足の形に

硬直している。

IMG_2399「・・・何だ?、この形は!?」

「曲がったまま硬くなってますね・・・」

「・・・これじゃあ、引っかかって出ないわなぁ。」

上(前)半身はまともなのに

下(後)半身がおすわりしたまま

IMG_2401硬くなっている

今まで見たこともない

奇形胎児だった。

「・・・こんなフザけた奇形があるのかい!(◎_◎;)」

私と従業員君たちは

苦笑するしかなかった。

「親がまだ力んでますけど・・・」

◯君がそういうので

もう一度産道へ手をいれてみると

「・・・あ、もう1頭いるよ、今度は逆子だ。」

IMG_24062頭目の後肢を牽引し

2頭目はすんなりと出すことが出来た。

それにしても

F1胎児の双子というオチまでついて

1頭目の下(後)半身だけが硬直して

お産を阻んでいるという

こんな難産は

35年も臨床獣医師をやっていて

初めての経験だった。

トンデモない難産だった・・・


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産後に発症したポニーの高脂血症(3)

この1年と8ヶ月の間に、

ポニーの高脂血症に3頭遭遇した。

症例1

症例2

症例3

そのどれもが、

治療に反応がなく、

発症後1週間以内に死亡した。

共通した初期症状の稟告に、

「口がよく動かない」

「水を飲みたがるがうまく飲めない」

という特徴的な症状の訴えがあった。

この3症例の採血をした時

その肉眼的な所見は

全ての血清で

著しい乳黄色の混濁

が見られた。

3症例の血液検査の値で

特徴的だった所見は


 中性脂肪(TG)

IMG_6903  3104 mg/dl  (症例1) 

  2293 mg/dl  (症例2)
 
  2254 mg/dl  (症例3)



  AST(GOT)

IMG_2383  13711 U/L   (症例1)

  10078 U/L   (症例2)

    8859 U/L   (症例3)



  遊離脂肪酸(FFA)

75004a2b  1.32 mEq/L (症例1) 

  2.37 mEq/L (症例2)

  2.45 mEq/L (症例3)



という

揃いもそろって

脂質代謝関係の

著しい異常値が見られた。

これだけの

特徴的な所見があるので

診断は容易である。

ところが

強肝剤

リンゲルや糖質の輸液

抗生剤の投与

副腎皮質ホルモンの投与

という

治療にほとんど反応がなく

全ての症例が1週間以内に死亡してしまい

治療が困難である。

診断のし甲斐はある症例だが

治療のし甲斐のない症例となっている。

3戦全敗であり

治療にほとんど良い所なく

完封負けである。

完膚なきままに打ちのめされている。

ポニーの高脂血症での

38f61780-s治癒例はないのだろうか?

良い治療法はないものだろうか?

的確に予防する方法はないものだろうか?


このブログをお読みたいいた獣医師の方で

心当たりのある方は

ぜひ教えていただきたい。

(この記事おわり)


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産後に発症したポニーの高脂血症(2)

死産した後に、

食欲が全く無くなり、

治療の前に採血をしたら、

その血液の血清が乳黄色に濁り、

高脂血症と肝機能障害が疑われた、

17歳のポニーの繁殖牝馬。

その血液検査の結果は

異常値のオンパレードだった。

特に目をひいたのは


 中性脂肪(TG)         2254 mg/dl

 AST(GOT)             8859 mg/dl

 遊離脂肪酸(FFA)   2.45 mg/dl



IMG_2384「・・・やっぱり・・・」

脂質の代謝障害が著しく

強い肝機能障害が見られ

極度の脂肪肝が疑われる数値だった。

採血した日の

血清の肉眼的な所見で

それは大方想像はついたものの

改めてこの数字を見ると

「・・・これはひどい・・・」

と思ってしまうのだった。

この結果を持って

飼い主の▽牧場へ再び往診に行き

IMG_2391内容を説明して

前日とほぼ同じ治療を施した。

翌日の3診療日も同様の治療を施した。

ポニーの症状は若干の元気が出たものの

食欲は全くなく水槽に口をつけるだけだった。

4診療日も同様の治療を施した。

食欲は全くなく水槽に口をつけるだけだった。

5診療日も同様の治療を施した。

食欲は全くなく水槽に口をつけるだけだった。

6診療日にも同様の治療を施した。

この日は朝から横臥してばかりだったので

馬を立たせてようやく枠場にいれて治療をした。

外陰部からは産褥性の悪露が出て

強い匂いが漂っていた。

食欲は全くなく水槽に口をつけるだけだった。

7診療日にも同様の治療を施した。

この日は馬がなかなか立たず

ようやく立たせても歩様がふらつき

治療中に枠場の中で寝てしまった。

8診療日に▽牧場へゆくと

この馬が朝死亡したことを

飼い主の▽さんから告げられた。

結局

治療には反応なく

発症後1週間で

死亡してしまった。


(この記事あと少し続く)


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産後に発症したポニーの高脂血症(1)

17歳の繁殖牝馬(ポニー)、

分娩予定日よりやや早く死産。

その3日後、

「餌をほとんど食べない、水を欲しがる。」

という稟告で上診。

胎盤は分娩直後に排出されたという。

IMG_2389T38.3 P60 R20

食欲はないが

腸の蠕動はしっかり聞こえていた。

産褥性の不調であろうということで

いちおうルーチンとして採血をし

抗生物質とリンゲル液とブドウ糖液を点滴した。

IMG_2390「腹の動きは普通に聞こえているから・・・」

それほど心配することではなさそうだと思って

初診を終えて

事務所に帰り

採った血液の

肉眼的な性状を見たら

「・・・これは・・・」

IMG_2383血清が乳黄色で不透明。

ポニーなどの小型馬に多く見られる

高脂血症が強く疑われた。

臨床検査センターで調べてもらう項目に

肝機能の指標を中心にして

血液検査を依頼した。

「・・・一昨年、高脂血症で死んだ馬と同じ性状の血清・・・」

検査結果は

センターから翌日送られてくるが

このポニーの治療は

そう簡単には行きそうもないな

という気分になった。

(この記事続く)


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育成♂和牛の出べそ

「育成♂牛の出べそを治して欲しい。」

という稟告。

飼い主の◯さん自らの希望で、

診療所へ搬入して、

手術台での初診となった。

どんな状況かわからなかったが、

現場(◯さん宅)で診療するよりも

診療所に連れて来てくれた方が

様々な対応ができるし

獣医師も複数いるのでありがたい。

出荷を控えた大きな育成牛ならば

それが賢明な方法である。

加えて

最近、私が遭遇するいわゆる腫れ物の治療は

膿瘍だと思ったら血腫だったり

血腫だと思ったら腫瘍だったり

腫瘍だと思ったらヘルニアだったり

と、予想を覆され

現場での診断が不確実なことが多かった。

そのようなわけで

ここはしっかりと

診療所へ搬入してもらって

複数の獣医師による正しい診断のもとで

最適な治療をするのが良いと思った。

IMG_2292牛が運ばれて来て

鎮静剤を投与され

手術台に仰臥になった。

臍帯部の直径約20僂亮陲貶だった。

IMG_2293まずは超音波の画像診断。

画面にはキラキラと浮遊物が見えた。

ここでおおよその見当がつき

次に念のための穿刺検査。

IMG_2295注射器には黄色いクリーム状の膿汁が吸われてきた。

ここで診断は膿瘍と確定。

ヘルニアとの合併があることも念頭に入れつつ

患部の毛刈りをして消毒し

IMG_2301メスを入れる。

クリーム状の膿汁がとろーりと出てきた。

手を入れてヘルニアの無いことを確かめて

さらに大きく切開し

IMG_2305ホースの水道水で洗浄。

十分洗浄し

出血の程度を確認して

抗生物質を注射して

IMG_2308施術はそれで終了。

手術台を下げて

鎮静を解き

牛を起立させて

IMG_2310◯さんには

明日以降投与する抗生物質を渡し

治療を終了した。

今回の腫れ物は

膿瘍だと予想して

その通りに膿瘍だったという

最も簡単な治療で

めでたく終わることができた。


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令和3年・十勝の小麦(1)

十勝地方の我が町の、

IMG_2336小麦の収穫作業が、

ここ数日で本格化している。

町内の畜産農家さんを往診していると、

いたるところで、

IMG_2335小麦の収穫用の巨大なコンバインと、

その前後に、

ハザードランプを点滅させながら、

IMG_2346JAの関係者の車が伴走しているところに遭遇し、

そんなコンバイン一行をやり過ごすことがしばしばである。

これも7月下旬の

十勝地方の風物詩であると言える。

IMG_2339一昨日の7月25日から

昨日の7月26日までは

その数が特に多かった。

その夜は

IMG_2337たまたま私は夜間当番で

夜と早朝に3件の往診があったのだが

町内のJAのコンバインは

すでに出動態勢を整えて

IMG_2342あちらこちらの小麦畑へと

その巨大な車体を埋めて

大きな音を立てながら

ゆっくりと

IMG_2334熟した小麦を刈って行くのだった。

天気予報によると

7月27日は

IMG_2343午前中から雨マークが出ているということで

十勝地方の小麦を

雨に濡らさぬうちに刈り取り

さらに

IMG_2344刈り終わった小麦の茎(麦稈)を

雨に濡らさぬうちに縛り

麦稈ロールに仕上げてゆく。

その作業が

540a8473-s急ピッチで進められている。

この記事を書いている今現在は

まだ雨が降っていないけれども

なんとなく雲行きが怪しくなっている。

d5519a89手元の携帯の天気予報を見ると

27日から今月いっぱいは

十勝地方の雲行きが怪しく

雨マークが出たり消えたりしている。

47b8ea3b-s今年の小麦は

粒が大きく

豊作が期待できるという。

十勝地方の小麦が豊作だと

IMG_2321他の作物も概ね豊作である

という話もある。

これは迷信などではなく

私の職場であるNOSAI(農業共済)の

農畑作物担当の職員が言っていることなので

かなり信憑性がある。

小麦の豊作を期待したい。


(この記事続く)


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病畜処理場にある事情(3)

十勝管内の各JAと、

その畜産農家さん方の関心事は、

もっぱらこの病畜処理施設の、

経営者が変わることによって、

病畜を受け入れる時の料金が上がり、

金銭的な負担が増すのではないかというところにある。

それを懸念するのは当然だろうし

そうならないように働きかけるのも当然だろう。

また止むを得ず値上げされるのであれば

現在の経営責任者に

納得できるような説明を求めるのも

また当然なことだろう。

こういうことは

畜産に限らず

全ての経営体に求められることである。

ただ今回

今回私が関心を持っているところは

そこではない。

畜産農家さんたちの経済的な問題は

経営者ご自身やJAに任せておけばよい。

私が最も懸念するのは

この施設で行われていることの

質の変化である。

牛や馬の病畜を処理して

油や皮や肥料などに変えて

価値をつけて販売するのが

この施設の事業内容である。

いわば

病畜という産業廃棄物の再利用

すなわち

家畜という商品のリサイクル事業である。

だが

そればかりではなく

十勝農協連の病畜処理施設では

基本的なリサイクル事業に加えて

我々現場の獣医師の要求によって

病畜の病理解剖が行われている。

病理解剖を担当している人達は

もちろん獣医師であり

その道のプロの先生方によって

質の高い病理解剖が行われている。

そのおかげで

治癒させることができなかった病畜から

d6503577-s将来へ繋がる情報を

正確に得ることができる。

病畜処理場における

病理解剖は

獣医学術情報を

臨床現場へ還元するという

非常に重要な役割を担っている。

ここでの病理解剖が

十勝の牛馬の臨床獣医学の

レベルを支えていると言ってもよい。

現在その病理解剖をする先生方は

元畜大の解剖学教授のY田J三先生をはじめとして

IMG_1721錚々たるメンバーの先生方である。

したがって

もし

この施設の経営者が

十勝農協連から岸化学グループへ移管した時

病理解剖を担当する先生方の

労働環境が悪化するようなことが

あってはならないのである。

そこで行われる病理解剖の質が

低下するようなことが

あってはならないのである。

それはすなわち

十勝の牛馬の臨床獣医学の

質の低下

に直結する問題なのである。

IMG_2311私が

今回の新聞記事を読んで

真っ先に心配したのは

そこである。

牛馬の病畜処理というのは

単なる

「リサイクル事業」

ではなく

非常に重要な

「獣医学術事業」

なのである。

(この記事終わり)


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病畜処理場にある事情(2)

詳細はさておき、

要するにこの施設には、

94c390f2-s 敷地、

建物、

運営権、

という三つの財産があり

2012年までは

十勝農協連(山本組合長)が全てを所有していた。

それを

2013年に,良瀉呂

岸化学グループ(本部・徳島)という企業に売却した。

そしてその敷地の賃貸契約が

2023年までとなっていることで

その後の”瀉呂隆浜の行方と

建物と1娠銚△旅塋が

流動的になり

△皚も売却されることになれば

´↓A瓦討農協連から

民間企業へ移管する可能性が出て来た。

そうなると

この施設を利用している

十勝管内の畜産農家の負担する費用が

増えるのではないかという懸念が出て来たのだ。

具体的には

十勝管内の牛1頭当たりの取引価格が

約12000円

であるのに対して

道内の他の地域の病畜処理施設のそれは

約18000円

であり

十勝は他の地域よりも3割以上も安く

病畜処理施設を利用している。

この施設の運営が

民間企業に移管されれば

使用料が他の地域並に値上げされる可能性があり

十勝管内の畜産農家の負担が大きくなる可能性がある。

管内の畜産農家の関心事はそこである。

この記事の

後半にはこうある。

岸化学グループは昨年9月に

十勝農協連を相手取り

この施設の明け渡しなどを求めて

民事調停を帯広簡易裁判所に申し立て

調停が2回行われたのち

岸化学側が今年5月に取り下げているそうだ。

その経緯は公にされていないが

関係者によると

岸化学側は

「レンダリング事業は譲渡してもらう約束。」

と言っており

十勝農協連は

「理事会などで譲渡の決定はしていない。」

と言っているそうだ。

(この記事続く)


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病畜処理場にある事情(1)

我々現場の臨床獣医師と、

非常に深いつながりのある、

IMG_2311「病畜処理場」。

いわゆるレンダリングプラントにも、

経営体としての事情があるようだ。

先日の十勝毎日新聞のトツプに

でかでかと書かれていた記事は

十勝の「病畜処理場」が畜産農家にとって

いかに大事な施設であるかを物語っている。

牛や馬の一生で

最後にたどり着く場所は

「と畜場」ばかりではない。

「と畜場」で食肉になる個体は多く

世間一般にほとんどの牛や馬が

食肉になると思われている。

しかし

食肉になる牛や馬は健康な個体のみであり

病気や怪我で弱った個体や

野外で死亡した個体

すなわち不健康な牛や馬は

食肉にはできず

「と畜場」とは全く別の

「病畜処理場」で処理されて

食肉ではなく

それ以外のもの

例えば、皮や肥料や油など

に加工処理されている。

このことは世間一般には

あまり知られていないのだが

我々家畜の臨床獣医師は

「病畜処理場」こそが

普段から最も付き合いの多い施設である。

我々の仕事上それは当然であって

自分たちの仕事の中で

自分が手がけた牛や馬を

この施設に運ぶための書類を

数日で何枚も書いている。

その書類を作成する時

我々は常に

敗北感と虚無感に苛まれるものである。

これは牛や馬の臨床獣医師ならば

誰でも理解できる感情だと思う。

そんな「病畜処理場」が

経営上の理由で

色々な問題を抱えているということを

私はこの記事で初めて知った。

普段から付き合いの深い施設ゆえに

これは読み流しできないな

と思った。

(この記事続く)


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カミナリ注意報

7月の中旬、

西日本の沖縄や九州や四国から、

梅雨明けの便りが届くようになってきた。

梅雨明け前には、

激しい豪雨になることが多く、

今年も静岡県の熱海などで、

土石流が発生して甚大な被害が出てしまった。

毎年

我が国のどこかで

この季節に

必ずどこかで

豪雨による災害が発生する。

近年は特に

その頻度が

高くなっているような気がしてならない。

北海道では

本州のような激しい梅雨明けの雨には

さほど見舞われないものの

この時期の気候の変化の激しさは

様々なことで感じることができる。

先日

梅雨前線が上昇した時

北海道上空に寒気が入り

大気が乱れて

カミナリが発生しやすくなっていた。

夜になり

予報通りに

積乱雲が発生し

あちこちで落雷があった。

我が町でも

稲妻と雷鳴が

頻繁に響き渡る時間があった。

そんな日の夜

馬産農家のさんから

「当歳がケガをした。」

という往診依頼があった。

IMG_2142着いてみると

首の部分を地面と水平に

約30僂砲錣燭覲綾ができていた。

このような切創は

牧場周囲に張り巡らされている

バラ線によるものであろう。

「いつもだったらバラ線なんかには近づかないんだけどな。」

IMG_2143さんはそう言うが

先ほどまで

上空には厚い雲と

あちこちに稲妻と雷鳴が

いくたびも響き渡っていたので

「たぶん、カミナリに驚いたんだべな。」

IMG_2145という結論になった。

傷をよくみると

正中に近いところが

もっとも深い傷になっていて

左側へゆくほど

傷が浅くなっていた。

暗いところで稲妻が光り

雷鳴に驚いてに走り出したところ

バラ線を首左側に引っ掛けてしまったのだろう。

IMG_2147治療は

暗いので

患部を車のヘッドライトで照らしながら

鎮静剤を打ち

簡単な毛刈りをし

切創の一番深い正中に近い部分の

IMG_2148筋肉内を縫い

そのあとに皮下織と皮膚を寄せ

抗生物質を投与するという

簡単なものだったが

あまり清潔に縫合ができなかった。

案の定

数日後に

漿液に混じって化膿汁も出て

縫った糸が緩み出てしまったようだ。

IMG_2149しかし

さらにその数日後には

傷がふさがり

化膿汁も次第に減少し

傷痕が次第に目立たなくなり

なんとか治癒してくれたようだ。


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シダーの「米国仕様」と「日本仕様」・追記

米国で売られている「米国仕様」のシダーが、

我が国で売られいている「日本仕様」のシダーよりも、

IMG_2209スタイリッシュで使い勝手が良いことに気づき、

悔し紛れに、

米国人の手先の不器用さがそうさせたのだ、

などと結論をした前回の記事(笑)。

IMG_2210それを読んでくれた

同窓生でZoetisの社員のI先生より

メッセージが送られて来た。

とても丁寧に

IMG_2212誠実な文章で書かれているので

勝手に変えてしまうのも申し訳なく

また自分の理解力以上の

大切な内容が書かれているようでもあり

IMG_2211いただいたメッセージを

できるだけそのまま

書いておくことにしたい。

ご本人からの了解も得ているので

以下どうぞお読みください。

安田さん、

大変ご無沙汰しております。後輩のIです。お元気ですか?

CIDRの件、拝読いたしました。米国で購入されたものはCIDR ではあるのですが、プロジェステロンが1.38g含有のものです。日本で流通しているものは1.9gです。米国等では7日間挿入を前提としておりますため、プロジェステロン量の少ない1.38gのものが承認されております。
日本では15日間挿入までの用法が承認されておりますため、1.9gのもののみを流通させております。

ご質問の挿入期間の違いですが、1つは、おっしゃられるようなエストロジェンなども含めての特に搾乳牛に使うホルモン剤類に対する安全認識の差と、もう1つは、現実的には承認時期の違いが背景にございます。

米国では安息香酸エストラジオールが乳牛に使用出来なくなって久しいですが、その後、エストラジオール製剤で唯一、米国で搾乳牛への使用が承認されていたエストラジオールシピオネートも承認を取り下げるように米国政府から依頼されたということが西暦2000年初頭にありました。EU からの影響です。

一方、日本で今のCIDR(1.9g)が承認されたのが1995年でした。イージーブリードの名称です。この時に搾乳牛も肉牛も一緒に承認を得ております。その頃はCIDR単独挿入(他のPGやE2などを用いない)にて7日間、12日間、15日間など、主に卵巣静止など、治療目的での様々な挿入期間での効果確認がなされていました。一方、米国において搾乳牛に承認を取得したのは2003年になります。

この背景には、有名なオブシンクが論文として発表されたのが1995年で、以後、盛んに繁殖プログラムが議論されていました。そして、CIDR 自体の使い方も繁殖プログラムとして、他の薬剤と併用する使い方がメジャーでございました。

このようなことから、米国では少し時間を待って、オブシンクの最初のGnRH投与とPG投与の間の7日間挿入をターゲットに、CIDR 本体における残留(一回使用した後の余剰のプロジェステロンの量)をもっと少なく出来ないか、ということで、より少量のプロジェステロンを含有させた新しいCIDR として1.38gのプロジエステロンのものを作り、承認を取ったということでございますが、日本とは効能効果が若干異なり、繁殖プログラムとしての使用方法での承認になります。

日本では単独挿入でのご使用も当然ございますので、そのまま1.9gを継続しております。

長くなり申し訳ございません。

という

大変丁寧なお答えを頂いた。

I先生

どうもありがとうございました!(^^)。

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帝王切開すべきだったのか・・・(2)

「◉さんの牛、どうでした・・・?」、

昨日の早朝、

臀位の難産で失位を整復中起立不能、

吊起しながら、

やっとの思いで介助娩出させた、

◉さんの初産の牛が気になっていたので、

この日往診に行ったK獣医師に聞いてみた。

「・・・あぁ、あの牛・・・立ってましたよ。」

「立てましたか・・・。」

「・・・はい、でもね・・・子宮頸管あたりに穴があいてますね。」

「え・・・。」

「・・・子宮の漿膜面に直接触れたんで。」

「そうですか・・・。」

「・・・どうしようもないですけどね。」

難産の介助で

膣壁や子宮頸管付近が穿孔してしまうことは

しばしば起こることだったが

穿孔の程度と

穿孔の場所によって

その後の母牛の運命は大きく変わる。

腹腔内出血や

腹膜炎によって

食欲が回復せず

予後不良になってしまう牛がいるかと思えば

傷が自然に塞がって

炎症もおさまり

食欲が戻って治癒する場合もある。

私はそのどちらも何回か経験をしていた。

「・・・あとは運を天に任せるしかないですね。」

「そうですか・・・。」

手は尽くした

とはいえ

失位整復によって

産道に激しいダメージを与え

穿孔させてしまった責任は私にある。

今後の治療としては

感染症の予防として抗生物質を投与し

その後の回復を祈るのみ

という

なんとも歯がゆい治療法しかない。

その数日後

往診に行ったN獣医師から

「・・・◉さんの牛、水飲んで、エサ食べるようになりましたよ。」

「それは良かった・・・」

「・・・◉さん、諦めてないです。」

「それは良かった・・・」

N獣医師は

◉さんに牛の状態を説明し

今後この牛がどのようになる可能性があるか

色々と話しをしてきてくれていた。

このまま治ってくれるのか

再び種付けして妊娠させることができるのか

1乳期だけ搾乳して肉にするのか

色々と選択肢はあるが

初産の牛なので

その価値を損なわずにいて欲しいと

願うのみであった。

その数日後の朝

◉さんから

またその牛を往診して欲しい

という依頼があった。

往診に行ったのはN獣医師だった。

私は別の地区に往診へゆき

昼に事務所へ戻ると

N獣医師も往診から戻っていた。

「・・・安田さん、◉さんの牛、死んじゃいました。」

「え・・・。」

「・・・昨日までエサ食べてたのに、今朝急に様子がおかしくなったらしくて。」

「・・・。」

残念な結果になってしまった。

IMG_2231今回は

初産の難産・・・

予定日より遅れ・・・

臀位の胎児失位・・・

整復途中で起立不能・・・

こういう場合

強引に経膣分娩をさせると

子宮頸管部がダメージを受け

穿孔して

腹膜炎を起こして

予後不良になる

ということが示された

残念な症例になってしまった。

後悔先に立たず・・・

帝王切開すべきだったのか・・・


(この記事おわり)


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帝王切開すべきだったのか・・・(1)

先日の夜間当番の朝、

「お産で、お尻しか触れない・・・」

という酪農家の◉さんからの電話。

臀位の難産である。

これはよくあることなので

まずは双子を想像。

または単体の臀位もありうる。

着いて診ると

本当にお尻だけで

後肢は全く触れない状態だった。

「初産で、予定日も過ぎているんだけど・・・」

という事なので

双子ではなく単体の可能性が高い。

(これはちょっと手ごわいかな)

とは思ったものの

臀位の胎児はほぼ100パーセント

整復できる自信があったので

胎児の失位を整復して

経膣分娩をさせることにした。

かろうじて触れる胎児の太ももに

IMG_2228産科チェーンをかけ

胎児の臀部を何度も押すと

チエーンをかけた後肢の膝蓋部に触れるようになった。

チエーンをできるだけその後肢の遠位に移動させて

再び胎児の臀部を何度も押すと

チェーンをかけた後肢の飛節に触れるようになった

飛節を掴めればしめたものである。

かけているチェーンを飛節からさらに遠位に移動させ

再び胎児の臀部を押すと

胎児の球節に触れるようになった。

球節を手で掴んで

繋ぎの部分へチェーンを移動させて

再び胎児の臀部を強めに押すと

「ズボッ」

と胎児の後肢が一本整復された。

「・・・よし、じゃあもう一本の後肢を直して・・・」

と、思ったところで

母牛がフラフラと腰を振り

ドサッと寝てしまった。

「・・・あー。寝ちゃった・・・これじゃあ整復できないから・・・起こせるかな?・・・」

「さっきも寝そうになったのをなんとか起こしてたんで、起きるかな。」

◉さんと私は

母牛に何度も気合を入れて

立たせようとするのだが

母牛は全く立とうとしなかった。

仕方がないので

失位の整復はひと休みして

母牛にリンゲルとブドウ糖を投与し

しばらく休ませてから

再び気合を入れて

母牛を立たせようとした。

しかし

母牛は一向に立とうとはしなかった。

仕方がないので

母牛の腰にハンガーを取り付けて

それをトラクターのフロントに掛けて

吊り上げることにした。

母牛の腰を私の胸の高さ程に吊り上げて

手を入れて

残りのもう一方の後肢の整復にかかった。

ところが

この後肢の整復が

なかなか思うようにならず

どうしても飛節に触れることができない。

IMG_2229仕方がないので

ここ10何年も使用したことのない

失位制服の道具

マジックハンドこと「ショットラー」を

久々に使うことにした。

かろうじて触れる下腿部に

ショットラーを噛ませて

臀部を押すと

やっとの事で飛節を掴むことができた。

と、その時

母牛が自力で立ち上がったので

腰につけたハンガーを外し

再び2本目の後肢の整復に取りかかった。

2本目の後肢を1本目と同じように整復し

やっとの事で

胎児の臀位を尾位へと整復し

2本の後肢を滑車で牽引し

IMG_2230ようやく

この牛の分娩介助が終了した。

途中のひと休みの時間を入れると

介助にかかった時間は

1時間を超えていた。

胎児は既に死亡しており

IMG_2231母牛は疲れ切って

分娩房の藁の上に

ぐったりと横たわった。

この日の治療は

これで終了した。

その翌日・・・

思わぬことが

起こっていた。


(この記事続く)


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膿瘍かと思いきや

「横腹が急に腫れてきたんだけど・・・」

という稟告で往診した▽さんの

繁殖用の雌の和牛。

IMG_2021左の下腹部に長径約50僂

波動感のある腫れ物だった。

その表面の一箇所に

小さな外傷があった。

「・・・化膿して膿汁が溜まってきてるかもしれないね。」

私はそう言って

注射器に18ゲージの長針をつけて

穿刺検査をした。

クリーム色の膿汁が出てくるか

と思いきや・・・

IMG_2022薄黄色の透明感のある

漿(しょう)液だった。

化膿はしておらず

急性期の炎症の名残だった。

「切らないで、このまま様子見ようね。」

抗生物質を注射し

数日分を薬治して

そのまま帰ってきた。

その数日後

別の家から

同じような電話がかかってきた。

「下腹が急に腫れてきたんですけど・・・」

という稟告で往診した▶︎さんのホルスタイン

IMG_2082約6ヶ月齢の育成牛。

下腹部に長径約20僂

波動感のある腫れ物だった。

臍帯部だった。

「・・・化膿して膿汁が溜まってきてるかもしれないね。」

私はそう言って

注射器に18ゲージの長針をつけて

穿刺検査をした。

クリーム色の膿汁が出てくるか

と思いきや・・・

IMG_2083薄黄色の透明感のある

漿(しょう)液だった。

化膿はしておらず

急性期の炎症の名残だった。

「切らないで、このまま様子見ようね。」

抗生物質を注射し

数日分を薬治して

そのまま帰ってきた。

最近

このような腫れ物が立て続けにあった。

膿瘍切開の好きな私としては

なんとなく物足りない

症例ではある。


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この一本、効果はいかに!?

「はい、これどうぞ。」、

事務所で昼の弁当を広げていたら、

隣のN獣医師が冷えた缶ビールをくれた。

「・・・え?・・・なーんだ、ノンアルね(笑)。」

「ここ、見てください。」

冷えた缶ビールをよく見ると

『世界初!・うまみ搾り』

というタイトルと共に

『尿酸値を下げる』

という文字。

IMG_2156「・・・おお!」

「いいでしょう。」

「・・・いいねぇ。」

「乾杯しましょう。」

N獣医師は自分の手に持った1本をプシュッと開けた。

私も貰った1本をプシュッと開けた。

「カンパーイ!(^^)」

事務所に居た周りの獣医師たちが

皆こちらを向いた。

IMG_2154昼間から

ほんの少しのリラックス気分で

ビールの香りを味わった。

しかも

これを飲むことによって

尿酸値が下がる

というのだから

驚きである。

IMG_2155ビールを飲めば

普通は尿酸値が上がるので

上がらないように

ビールを控えるのが常識。

ところが

このビールは

尿酸値が上がらないばかりか

飲むことによって

尿酸値が下がるというのだ。

IMG_2158毎日1本飲むことによって

尿酸値を下げることができるという

機能性表示飲料なのである。

驚きとともに

何となく

騙されたような気もしないではない(笑)

同僚のN獣医師は

血中の尿酸値が高い

いわゆる「痛風持ち」である。

私も最近

血中の尿酸値が高いことを

医者に指摘されて

それを下げる薬を飲み始めて1年になる。

今日の昼食の

N獣医師との「乾杯」は

「痛風持ち同志」の

ささやかな

心の通じ合った「乾杯」だった(笑)

IMG_2165翌々日に

じつは私は

人間ドックに行くことになっている。

さて

この一本の

効果はいかに(笑)


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立てない牛を吊る・介護道具!

起立不能になった牛を、

吊起(ちょうき)すなわち、

吊り上げるという仕事。

牛を飼う農家では、

特に酪農家では、

この仕事は避けては通れぬ

面倒な仕事である。

体重が700kgほどもある乳牛が

病気や事故で立てなくなったら

それを起こすためには

道具と機械が必要である。

牛というものが大きいだけに

小動物や人間の介護などとは

全くスケールの違う

大掛かりな仕掛けが必要になる。

私も牛の臨床を始めてから35年以上

立てない牛との付き合いが続いている。

ここ数十年

病牛を吊り上げる介護道具といえば

「カウハンガー」

と相場が決まっている。

カウハンガーを牛の腰角に装着して

それをロープで吊り上げるのだ。

屋外では

ショベルやトラクターのフロントに繋いで

引き上げるという方法が主流である。

牛舎内では

梁などにロープとチェーンブロックを取り付けて

同じくカウハンガーを吊り上げる

という方法が定着している。

立てない牛を吊る方法は

ここ数十年

ずっと変わらず

ほぼ同じような道具と

同じような装置を使うことが

酪農家の間で浸透していた。

IMG_2042ところが先日

新聞紙上に

立てない牛を吊るための

新しい介護装置が開発された

という記事が出ていた。

内容は読んでいただければ分かるので

写真を貼り付けておく。

私はまだこの介護装置「モウアンシン」を

実際に見たことがないので

評価をすることはできないけれども

久しぶりに

病牛の介護のための

新しい技術が誕生したことに

嬉しさを感じている

と同時に

この装置を開発し作製した方に

敬意を表したいと思う。

今後は

この介護装置を

実際に使った方々からの

コメントを

ぜひ聞かせていただきたいと思う。


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あわや徹夜の夜当番

先日の夜当番は、

夕方は何も往診依頼がなかったので、

平穏無事だと思っていた。

ところが夜9時頃に難産が入った。

初産のホルスタインで

母牛自体が発育不良で産道が狭く

普通の大きさの胎児にもかかわらず

経膣分娩ができずに

結局帝王切開へ。

夜10時半過ぎに

同僚の2年目のT獣医師と新人のS獣医師を呼んで

なんとか無事に♂のF1胎児を摘出。

片付けが全て終わったのが

午前1時だった。

帰宅して布団に入ったのは午前2時。

ところが30分もしないうちに

枕元の電話が鳴った。

酪農家の〓さんからだった

「・・・親牛が具合が悪くて変なんだけど・・・」

こんな夜中に

お産でもなく・・・

仔牛のぐったりでもなく・・・

親牛の異変とは・・・

(よく見つけたな・・・)

と内心驚きつつ

IMG_1981〓牧場へ着いて診てみると

牛の顔は写真のように

眼球の陥没が著しく

立ち上がるのがやっと。

右の肋骨付近のPingTestをすると

広範囲の金属音が聴こえた。

「あーこれは四ペン。それも右(RDA)だから、捻れてるかな・・・」

「・・・手術かい。」

「それしかないけど、今すぐは無理だから、朝の7時過ぎに持って来てくれる?・・・」

「・・・わかった、朝一で農協に電話して車の手配するわ。」

IMG_1982高張食塩などの輸液をしながら

朝の手術の予定を立てて

帰宅して布団に入ったのが午前4時前。

ところが30分もしないうちに

また枕元の電話が鳴った。

酪農家の◎さんからだった

「・・・お産なんですけどなかなか出なくて。」

再び診療着に着替えて

◎さんの難産介助へ向かい

助産を終えたら

「・・・すみません、もう1頭、体が冷たくてふらついているのがいるんですけど。」

という追加の乳熱の診療を終えて

事務所に戻ったのは午前7時を過ぎていた。

そこに〓さんから連絡が来た。

今日は乳牛市場があって車の手配ができず

牛を運ぶのは9時頃になるという。

とりあえず

早朝のRDAの手術は

勤務時間内にずれ込み

獣医師スタッフの数を揃えて

IMG_1986手術をすることなった。

結局私は

夜間ほとんど

寝ることができなかったが

この日勤務する他の獣医師の配慮で

IMG_1985昼間を休日にしてもらい

RDAの手術は

別の獣医師に任せて

帰宅することができた。

還暦を過ぎてからの

徹夜の仕事はちょっとキツイので

この配慮はとてもありがたかった。


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和牛の中足骨遠位成長板骨折(5)

14ヶ月〜15カ月齢の育成♀和牛ともなれば、

もうそろそろ授精をしてもよい頃で、

血気盛んで且つ体重もかなりのものだ。

こういう牛の

足のX線撮影や

キャストの装着は

なかなかのひと仕事だった。

初診日からひと月半経った日に

キャストを外すことになり

再び

鎮静剤(セラクタール)を投与して

牛を横臥させなければならない。

しかし、だんだん

鎮静剤に慣れてしまったのか

牛がなかなか横臥してくれなくなっていた。

鎮静剤が効いて

1度は横臥になるものの

頭部の抑えを一瞬でも解いたりすると

また立ち上がってフラフラと歩き回る。

ただ

1ヶ月経った頃からの歩き方は

リズムよく

キャストを巻いた方の左後肢にも

しっかりと負重していて

跛行がほとんどなく

痛みは消えているように見えた。

IMG_1937今回の鎮静剤は

寝たり起きたりしないように

3割り増しの量を投与して

きちんと横臥させることを心掛けた。

頭部を保定し

しっかりと横臥しているところで

IMG_1938専用のカッターを使って

キャストを縦半分に

ぱかっと割れるように切り

1ヶ月半ぶりに

患部を露出。

腫脹はなかった。

IMG_1940蹄は少し伸び気味だった。

足のロープを解き

鎮静剤の拮抗薬(アンチセダン)を投与し

牛は朦朧としていたのが嘘のように

立ち上がった。

そして

歩き始めた。

IMG_1941最初の数歩は

患部の内反によって

千鳥足のようになり

心配したが

体重がかかった時は

球節がしっかりと曲がり

痛みもなく

重い体を支えることができていた。

IMG_1942キャストを外して軽くなった足を

はしばらくは

余計な力で引き上げて

鶏の歩みのようだったが

次第に普通の歩様で

すたすたと歩くようになった。

跛行はもう消えていた。

IMG_1943跛行が消えた

ということは

治癒した

ということなので

これでこの牛の診療を

終了することにした。


P.S.

ドクター先生のリクエストにお答えして

外内方向のX線画像を

makubetsu02-0600000おまけとしてUP。

中足骨骨端と遠位成長板との間に

前後にもズレがあるかどうか

ドクターH先生の診断を

待ちたいと思う。


(この記事おわり)


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