「まど・みちお詩集」 ハルキ文庫 1998角川
ピンと来ない方が多いと思うが、「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ドロップスのうた」「1ねんせいになったら」といった童謡の作詞者だといえば、おわかりだと思う。
「ぞうさん」は、まど・みちお氏が42歳の時の作だそうだ。
そんな氏の作で「馬の顔」という詩がある。
馬の顔 まど・みちお
馬の顔を そばで見ていると
じーんと してくる
汗ばんだ肌が
夕やけて 息をするのが
地面の底からの 息のようで
私たち ぜんぶの生き物の
息のようで
円(つぶ)らな目ん玉が
はだかで うるんでいるのが
いま 神さまに
洗っていただいたばかりのようで
その神さまのお顔のほかには
なんにも映してはいなさそうで
じーんと してくる
生き物という生き物の生命(いのち)を
ひとり勝手気ままにしている人間の
その子どもである ぼくの胸は









