昨日、見回り時には異常がなかった。
分娩をする気配も感じられない、予定日前の初妊牛。
朝、牛舎へ来てみたら、写真のごとくの子宮脱。
本牛は既に死亡・・・。
仔牛は尿溝のなかで生きていた、という。
子宮脱の治療は、速ければ速いほど良い。
すなわち、遅ければ遅いほど悪い。
自然に治ることがない、のは言うまでもない。
特に、真冬の深夜にこれが起こってしまうと大変だ。
今回のようなパターンは、まったくお手上げと言うほかはない。
では
せめて、予防対策を考えたい。
分娩兆候をもう少し、産まない時との僅かな違いを把握できればよいのだが・・・
普段との微妙な違いは、飼い主でないと、なかなかわからない。
食欲や挙動の微妙な変化をつかむ。
仙坐靭帯の緩み具合をよく観察する。
体温を毎日定時に計り、分娩直前の体温低下を見つける。
分娩監視カメラを設置する。
こういった事を、実行してもらうしかないだろう。
以上はなにも子宮脱の予防に限ったことではなく、普通の分娩監視術である。
さらに
子宮脱になる兆候、ならない時との違いをデータで集められれば
それによって、子宮脱の可能性を事前に知ることが出来るのだろうが・・・
文献を探してみた。
ある文献、Prolapse of the uterus in the cow、によると
1.低カルシウム
2.長い難産
3.胎児の牽引
4.胎児の過大
5.胎膜の停滞
6.慢性疾患
7.不全麻痺
等が、素因として挙げられていた。
そして、子宮脱になる兆候としては
・弱さ
・憂鬱
・正常以下の体温
・不安
・興奮
・平伏
・昏睡
等が挙げられている。
しかしこれは、子宮脱の兆候というよりは、低カルシウム血症の兆候であろう。
今回のケースは初妊だったから、低カルシウムは考えづらい。
それなのに
初妊の牛が子宮脱で死亡してしまった。、
これはほんとにダメージが大きい。
それを予防するのは・・・
うーん、これはなかなか難しいのだろうなぁ。
コメント一覧 (8)
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- 2010年02月14日 19:39
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この牛本当に可哀想です。見回り時には異常なかった。本当ですか
朝牛舎に来てあの状態であれば経産牛ならともかく初任牛なら分娩の兆候が必ずあったはずです。明らかな観察不足ですね。毎日毎日多くの牛がレンタリングで処分されています。そんな牛を出さないためにもちょっとのサインも見逃せないですよね。偉そうな事書いてすいません…。
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- 2010年02月15日 06:45
- >姫じおんさん
ありがとうございます。こういうコメントを待っていました!
そうなんです、見回りのときに何かのサインがきっとあったはずだと、私もそう思っています。
ただ実際、こういう牛を目の前にして、いまさら飼主さんをこれ以上苦しめてもなんなので
保険の手続きを淡々と終えて・・・きっと飼主さんが一番わかっているだろう・・・ということで
観察不足のことについては、何も言わずに帰ってきました。
でも今度同じようなことがくりかえされたら、言わねばいけませんね。
もし、初妊の腹の中に高価な受精卵が入っていたら、こんなことにはならなかったと思いますし(笑)
分娩監視の意識向上には、理論や記録も大事ですが勘や経験や気合!も大事ですね。
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- 2010年02月15日 09:11
- はじめまして、豆作さん。
関東地方で、家畜の診療をしている獣医師です。豆作さんのブログをいつもたいへん興味深く拝読させていただいています。
子宮脱は、年間1〜2例しか遭遇しませんが・・・
原因やその兆候については、ご紹介されている文献の通りかも知れませんが、一番の原因は「軽い分娩」や「早期の助産」ではないかと思います。
「分娩をする気配も感じられない、予定日前の初妊牛。」ということが、子宮脱になった原因を物語っているような気がします。あくまでも個人的な意見ですが、「難産に子宮脱なし!」と思っています。
家畜共済を取り巻く環境が、たいへん厳しくなりつつある昨今ですが、めげることなく、豆作さんのブログで勉強しながら頑張っていきたいと思います。
これからも、よろしくお願いします。 m(__)m
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- 2010年02月15日 20:48
- >oaksさん
コメントありがとうございます。
じつは私も子宮脱に関しては同じような感触を持っています。
上記の文献にあるような「長い難産」や「胎児の過大」のときには
それほど子宮脱は起こらないような気がしています。
むしろ、おっしゃるような「軽い分娩」や「早すぎる牽引」によって
あっさりと終了してしまった分娩を、中枢神経のほうで
「終了した」という合図を認識できずに、いつまでも怒責を続けてしまう
それが子宮脱の原因になるのではないか、という仮説を立てたくなるのです。
この仮説を検証する方法はないものでしょうかね(笑)
今後ともどうぞよろしくお願いします。
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- 2010年02月17日 23:51
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牛の憂鬱。。。。
言葉だけでもすごくつらいですね。。。
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- 2010年02月19日 00:35
- >ひがしたにさん
牛があの小さな脳ミソで憂鬱になる・・・というのは
なんだか可笑しくもあるのですが
牛の飼育環境が厳しい、という現実はあると思いますね。
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- 2010年02月23日 23:25
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はじめましてm(__)m
北海道にある企業牧場に勤めてるいっしーといいます。
毎回、為になることを書かれてるので勉強させてもらっています。
自分の会社は、一貫生産を企業理念としていて、自分の勤めてる牧場は、繁殖、育成をメインとしており、月当たり700頭ほど分娩しており、昼夜問わず分娩がある状況で、一般農家さんではめったにない症例がたびたび発生しています。
今回読んでいて気になったのは、セレン不足ではないかということです。
一時期、毎日のように子宮脱がでて、昼夜とはず整復に借り出されていました。
血液成分を、獣医さんが調べたところ、セレン不足が指摘され、分娩前に注射を行ったところ、一気に減少しました。
ただいえるのは、分娩兆候に気づかず、対処されることなく死亡した牛さんが、かわいそうだと感じました。
自分の実感も交えて、感じたことを長々と書いてすみませんでした。
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- 2010年02月24日 11:03
- >いっしーさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
毎月700頭の分娩ですか!
肉用牛の繁殖・育成ですか、すごいですね。
セレンやビタミンEが不足すると、胎盤停滞が起こり易いようですが
それで子宮脱の発生率も上昇するとは初めて聞きました。
大牧場ならではのデーターだと思います。
貴重な情報をありがとうございます、これからも差し支えなければ
いろいろ教えてください。
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