「1点を通る直線の数は無数にあるが、2点を通る直線の数は1本である。」
そんな文言が、幾何学の教科書にあったかどうか
は定かではないけれど
「1本の直線は2点によって定まる。」
というこの真理には、なかなか奥深いものがある。
* * *
牛や馬の繁殖検診において
ある日、直腸検査によって1つの卵巣の所見を得たとする。
その所見が、これからどの様に変化してゆくかを推測し
授精の適期を探り、畜主にさまざまな助言をするのが、繁殖検診の目的である。
しかし
1回だけの卵巣所見から、その中で盛衰する卵胞や黄体の動きを推測するのは
なかなか至難の業である。
その所見が、今後どのように変化して行くかが
なかなか判らないからである。
そこで
数日あるいは十数日経過してから
もう1度、同じ個体の卵巣の所見を得ることが出来たならば
その個体の卵胞や黄体の動きが、たちまち具体的に、想像できる様になる。
すなわち、静止しているのか、正常周期で動いているのか、動きが異常であるのか
そういう変化が、2回目の所見を得ることによって、よく見えてくるのである。
つまり
卵巣の動きを、1回だけの「点」から
2回診ることによって、「線」でとらえることが出来るのである。
「点」には方向も長さもないが、「線」には方向があり長さがある。
その個体の卵巣が、どういう方向へ変化してゆこうとしているか
そして、どんな速度で、どのあたりまで進んだのか
同じ個体の所見を、日を置いて2回診ることによって
そんな卵巣の「動き」を、良く理解できるようになるのである。
かつて
私が駆け出しの頃
馬の発情鑑定法を身に付けるために
同じ個体を必ず、数日あけて2回以上、直腸検査させてもらったものである。
そうやって、卵巣を「線」で、すなわち「動き」で把握することに慣れてくると
別の個体を初めて診たときでも
1度診ただけで、その「動き」をある程度推測して、ものを言うことも可能になってくるのである。
* * *
最近の牛馬の獣医師は、大変忙しい。
繁殖検診も、以前よりずっと忙しく
頭数ばかりをやたらと多くこなすようになったと感じている。
頭数の経験を積むことも大事だとは思うが
若い、経験の浅い獣医師諸君をみていると
一軒の農家の同じ個体を、何度もじっくりと診る
ということが、少なくなってきているのではないだろうか。
繁殖検診は
「点」の所見ばかりたくさん経験しても、それのみでは片手落ちであろう。
「線」でとらえた経験を、積み重ねることも、同時に大切なのである。
そのほうがきっと、上達も早いのではないか
と、私は思うのだ。
若い獣医師諸君は
1軒の農家の、同じ個体を記憶(記録)しておいて
それを何度も追いかけて検診してみていただきたい。
* * *
私のお気に入り徘徊散策コースには
柳の木が、あちらこちらに
無数といってよいほど生えている。
春の芽吹き時は、それらの「動き」が活発だ。
1つの柳の木の、同じ枝を
何日か後に又見ると
「動き」が良くわかり
この柳の木をよりよく理解できたような
そんな気がしてくる(笑)










読み始め、何のことだろ?と思いましたが、なるほどです。
そして、各点は全身の一部であるということへもつながるわけですね。
今朝も美味しい牛乳いただいています。感謝。
余談ですが、ヤナギといえばアスピリン。