利き手の親指の状態は、少しづつ痛みが取れて

皮膚感覚が戻りつつある。

親指の長さが変わってしまった事と

遠位先端の関節が思うように曲がらない事で

利き手の動きは少し制約されたままで

医師からは、復帰できるには2ヶ月かかると診断されているが

そろそろ復帰へ向けての気持ちを入れ直して行動しようと思った。

先日は、牛の去勢など数件の往診に出た。 

まずはできそうな仕事を選びながら往診させてもらうことにした。

その1件目

和牛農家の◯さんの牛舎に着くと・・・

「せんせー!、早く!・・・車、こっち、こっち・・・」

と、奥さんが手を振る。

「おー、ちょうど良かった。お産始まったんだけど、頭が来ないんだよ・・・見てくんないか・・・」

牛舎では、親父さんが仔牛の足にロープを掛けながら、首をひねっていた。

私は直ぐ、かっぱを着て、手袋をはいて、助産の準備に取りかかった。

親指の包帯は、直検手袋をはけるほど小さくなっているから大丈夫だった。

手を入れてみると

狭い産道の奥に、胎児の頭がやや遅れて止まっていた。

頭が遅れて、このまま引くと側頭位になってしまう。

ただし、この親牛は経産牛で、胎児の後頭部まで手が届くから

経膣分娩は十分出来ると判断した。

「ワイヤー(ヘッドループ)を使って、遅れてる頭を産道に乗せましょう・・・」 

私は、ワイヤーを胎児の後頭部(両耳のうしろ)へ掛ける作業にはいった。

親指の先の感覚が戻っていない右手も使ってみた。

親の陣痛の中での作業だったが、普通にワイヤーを掛けることが出来た。

「よし、じゃあまずこの頭の方のロープだけ引いて・・・」

胎児の頭が、ぐぐぐと引かれて、産道に乗って来た。

こうなればもうあとは、普通のお産である。

陣痛に合わせて、胎児を少しずつ、滑車で引き出した。

image頭の大きな♂の和牛だった。

自発呼吸の反射が弱かったが

マッサージによって正常になった。

「いやー、よかった、よかった。」

「ちょうどタイミングよくも先生来てくれて、助かったわー」

◯さん夫婦には、私が指を怪我していることを知られずに

普通に、難産介助をすることが出来た。

私も内心

(あーよかった・・・)

と、つぶやいていた。

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