午前中の往診の最後の1件に向っているとき

携帯電話が鳴った。

「▽さんで、子宮捻転らしいんだけど、行ってもらえますか?」

「了解、直ぐ行きます。」 

私は元来た道を引き返して、▽牧場へ到着。

手を入れてみると、子宮はしっかりと捻転していた。

捻転部分に腕をなんとかくぐらせて、さらに奥へ手を入れると

ようやく、まだ破水前の胎児の前足と額に触れた。

「捻転は間違いないね。ちょっとこのまま、立ったまま直るかどうかやってみるから。」

ここは先日、うまく行かなかった

IMG_2423「立位の用手押し込み保持法」に

再びチャレンジしてみようと思った。

前回の例と違う所は

発見が早く、まだ1次破水もしていない状態だった事だ。

胎児になんとか触れるので

胎児の足と頭を交互に、反捻転方向へ押し込んだまま保持し

しばらく、その体勢で静止していた。

すると親の陣痛が何度か起り

そのたびに胎児が少し動いた。

そのまま陣痛は何度か繰り返したが

なかなか、子宮の捻転は解消されなかった。

押さえて居るだけで、手をじっとさせているのは 

なかなか、辛抱が要るもので、今迄の癖で手を止めている訳にも行かず

頭に手をかけて、反捻転方向へぐるりと回転を試みようとしたが

なかなか、胎児と子宮の捻れは直ってくれなかった。

そのうちに、一次破水が起きた。

すると、胎児が少し反捻転方向へ回転した。

胎児の頭は、完全な仰向けから 少し横転して

子宮の捻転が、半分程度回復した。

さらに、胎児の手足を押し込んで 

すこしつづつ反捻転方向へ 胎児の頭が回転し

IMG_2751さらに少し経つと、陣痛とともに 

胎児の頭部は産道に近づいた。

ここ迄来ると、もう子宮の捻転はほとんど解消されたようだった。

胎児の後頭部が若干斜めではあるが全部触れるようになった。

IMG_2754そこに、ヘッドループワイヤを掛けて

頭部だけをゆっくりと引き、産道に乗せた。

そこからはもう普通のお産である。

引き出されたのは、大きなホル♂だった♪

IMG_2756子宮捻転の「立位押し込み保持」による整復法

なんとか成功し、良い経験を積む事が出来た。

今回、成功した要因としては

仔牛が「生きていた」こと

IMG_2759「陣痛が普通」にあったこと

「一次破水、二次破水、共に未だ」で

整復処置中にそれが起り

それによって子宮の容積が変化し

胎児の位置やもそれにつれて整復されたこと

などが、考えられた。

「立位押し込み保持」法は

今迄抱いていたイメージより

ゆっくり、すこしずつ整復されて行く

そんな印象を

実際にやってみて、感じた。

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