牛の深刻な難産「側頭位」の前触れには、

「胎児の頭部が産道に来ない」、

「胎児の頭部が下の方にある」、

「胎児の頭部の向きがおかしい」、

という状態があり、

最近はこの状態で往診の依頼が来ることが多くなった。

飼主さんも獣医師も

「側頭位」は真っ平御免であるから

その前触れを事前にキャッチして

対処することが重要である。

前回書いた▽牧場では

従業員君たちがそれを覚えて

早めの連絡をしてくれるようになり

「側頭位」で苦労することがなくなってきた。

これは進歩と言って良いだろう。

そのかわり

夜間のお産での往診依頼が増えた。

これは安全なお産のためには

仕方のないことなのかもしれない。

IMG_0212先日の夜間当番の夜は

▽牧場から

ひと晩に2回

「胎児の頭部の向きがおかしい」

という往診依頼があり

IMG_0229それぞれ別の牛のお産介助をした。

その内容はほとんど同じだった。

胎児の頭部が奥にあり

後頭部に手が回らなかったので

鈍鈎を胎児の眼窩にかけて

IMG_0232胎児の頭部を引き寄せ

後頭部に手が回るようになったら

胎児の両耳の後ろへ

ループワイヤーをかけて固定し

頭部が後ろ向きならならぬよう

IMG_0234すなわち側頭位にならぬように固定して

胎児の頭部だけをゆっくりと

産道へ誘導し

胎児の頭部が産道に乗ったら

前肢と頭部を同時に牽引する。

IMG_0240頭部のおでこが外陰部の外へ出たら

前肢だけを牽引して

胎児を娩出させる。

ひと晩で同じ難産を

複数回する事は

IMG_0242最近は珍しくなくなったが

あまりにも同じパターンの難産介助だったので

やっていて

時間が巻き戻されたような感覚に陥ってしまった。

ここ数日で

IMG_0244このパターンの▽牧場の難産介助わ

立て続けに3回やったことになるが

興味深かったのは

その3回とも

全て

IMG_0246胎児は

大きなだった

という事である。

「側頭位」になりやすいのは

頭部が小さい♀の胎児である!?


IMG_0249という

科学的根拠の乏しい

私の仮説を

はからずも

裏付ける結果となった・・・


(この記事終わり)


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