「安田さん、子宮脱を鮭の袋を使って治せるって知ってますか?」
同僚のC獣医師からそんなことを言われたのは去年の秋だった。
もちろん私はそんな子宮脱の整復方法など聞いたことがなかった。
「ネットにも動画が出てるんですよ。」
興味があったので、さっそくその動画を見た。
外国人の獣医師が
脱出した子宮を細長いビニール袋の根元まで入れて
それを横にして支え
術者がビニール袋ごと押し込むと
脱出した部分が
いとも簡単に腹腔内に戻った。
「・・・おお、すごい・・」
しかし
この動画の子宮をよく見ると
全く血の気の失せた薄いピンク色をしていた。
「死亡した検体の子宮を使ってますね。」
なるほど
死んでいる牛なら出血も全くないし
怒責もないから
簡単に整復できるかもしれない。
「・・・でも、これ使えそうだね・・・やってみたいな。」
するとC獣医師が
目の前に新巻鮭用の細長いビニール袋(30×100センチ)を持ってきた。
「私の弟(彼も獣医師)が鮭釣りをするんで、もらったんです(笑)、これでできるみたいですよ。」
「・・・おお、それはぜひ、こんど子宮脱に当たった時使わせてもらうね。」
それから
約半年たった先日の
私の夜間当番の日の夕方
✖︎畜産から子宮脱の連絡が入った。
(・・・よし、鮭袋を使ってやってみよう・・・)
私は鮭袋を用意して
いそいそと✖︎畜産に到着し
鮭袋による子宮脱の整復にとりかかった。
牛ははじめ起立できなかったので
まずはカルシウム剤を投与。
その後、準備をしているうちに牛は立ち上がったので
頭部を保定して、立位での整復が可能になった。
先ずは
子宮に付着している胎盤をできるだけ剥がし
鮭袋をひらいて
子宮の先端から袋へと押し込んでゆく
途中、丘埠がボコボコとして
押し込むのに時間がかかったが
少しづつ
焦らず
子宮を鮭袋へ入れてゆく
子宮がほとんど入ったら
従業員のIくんに
子宮の入った鮭袋を
ほぼ水平に抱えてもらい
私は子宮の根元の部分から
少しずつ
膣の中へと
子宮を押し込んでゆく。
やっているときに思ったのだが
もっと
子宮を完全に
ビニール袋へ入れておくべきだった。
そうしておかないと
子宮を膣へ押し込もうとしても
膣径よりも子宮の脱出部が大きいので
なかなかうまく押し込めないのだ。
だが、こうなった以上
もう一度子宮を袋へ押し込むのも
手技の逆戻りになるので
私はそのまま
子宮を膣内へ強引に押し込んでいった。
この手技は
ビニール袋使わない
板による子宮整復法と
ほとんど変わらず
結構腕力のいる手技となってしまった。
丘埠を一つ一つ押し込みながら
少しずつ子宮が膣の中へ
戻って行きはじめ
ビニール袋ごと
子宮を押し込むと
脱出した子宮は
すんなりと
膣の中へ消えた。
その後
子宮脱整復棒を入れて
腹腔内の子宮の反転をなくし
再脱予防として
膣を縫合した。
これは
鮭袋を使わない時と
なんら変わらない手技である。
子宮脱を整復しながら
途中で手を止めて
血まみれになった手でスマホを取って
写真を撮りながらという
めんどくさい治療となったが
その間ずっと
一人で
ビニール袋入りの子宮を支えてくれていた
✖︎畜産の従業員のI君には
とても感謝している。
今回の
鮭袋による子宮脱整復をやってみて
最もメリットを感じたところは
まさにこの
助手が1人だけで済む
ということだった。
今までの子宮脱の整復には
板を使って子宮を支えていたので
板を水平に支えるためには
どうしても助手が2人必要だったから
これは大きなメリットと言ってよいと思う。
さらに
今回の反省点としては
ビニール袋の中へ
子宮をもっと確実に
根元までしっかりと入れてから
押し込む作業を開始すべきだった。
それを怠ったため
子宮を押し込む最初の段階で
かなりの腕力を消耗してしまった。
さらに反省点としては
長いビニール袋の盲端に
あらかじめ穴を開けておくべきだった。
そうすれば
子宮をビニール袋に入れるのが
もっと簡単になったのではないか
と思われる。
以上
初めての試みのレポートだったが
やはり
やってみないとわからない事
というのは
必ずでてくるものだ
と思った。
鮭袋(魚用ビニール袋)による子宮脱整復法は
なかなかユニークな方法なので
今後もまた
ぜひ試して
何度もやってみながら
スキルアップをして行きたいと思う。
※ ※ ※
豆作の「のったり俳句ひねもーすチャンネル」で


句会の動画をアップしています♪
どうぞご覧ください!↓
YouTube動画「第1回くしろ元町フットパス句会」
よろしければ
チャンネル登録や評価なども
どうぞ、お願いします!(^^見ることが出来ます。
このチャンネルもどうぞ宜しく(^^)
同僚のC獣医師からそんなことを言われたのは去年の秋だった。
もちろん私はそんな子宮脱の整復方法など聞いたことがなかった。
「ネットにも動画が出てるんですよ。」
興味があったので、さっそくその動画を見た。
外国人の獣医師が
脱出した子宮を細長いビニール袋の根元まで入れて
それを横にして支え
術者がビニール袋ごと押し込むと
脱出した部分が
いとも簡単に腹腔内に戻った。
「・・・おお、すごい・・」
しかし
この動画の子宮をよく見ると
全く血の気の失せた薄いピンク色をしていた。
「死亡した検体の子宮を使ってますね。」
なるほど
死んでいる牛なら出血も全くないし
怒責もないから
簡単に整復できるかもしれない。
「・・・でも、これ使えそうだね・・・やってみたいな。」
するとC獣医師が
目の前に新巻鮭用の細長いビニール袋(30×100センチ)を持ってきた。
「私の弟(彼も獣医師)が鮭釣りをするんで、もらったんです(笑)、これでできるみたいですよ。」
「・・・おお、それはぜひ、こんど子宮脱に当たった時使わせてもらうね。」
それから
約半年たった先日の
私の夜間当番の日の夕方
✖︎畜産から子宮脱の連絡が入った。
(・・・よし、鮭袋を使ってやってみよう・・・)
私は鮭袋を用意して
いそいそと✖︎畜産に到着し
鮭袋による子宮脱の整復にとりかかった。

まずはカルシウム剤を投与。
その後、準備をしているうちに牛は立ち上がったので
頭部を保定して、立位での整復が可能になった。
先ずは
子宮に付着している胎盤をできるだけ剥がし

子宮の先端から袋へと押し込んでゆく
途中、丘埠がボコボコとして
押し込むのに時間がかかったが
少しづつ
焦らず

子宮がほとんど入ったら
従業員のIくんに
子宮の入った鮭袋を
ほぼ水平に抱えてもらい
私は子宮の根元の部分から

膣の中へと
子宮を押し込んでゆく。
やっているときに思ったのだが
もっと
子宮を完全に

そうしておかないと
子宮を膣へ押し込もうとしても
膣径よりも子宮の脱出部が大きいので
なかなかうまく押し込めないのだ。
だが、こうなった以上

手技の逆戻りになるので
私はそのまま
子宮を膣内へ強引に押し込んでいった。
この手技は
ビニール袋使わない

ほとんど変わらず
結構腕力のいる手技となってしまった。
丘埠を一つ一つ押し込みながら
少しずつ子宮が膣の中へ
戻って行きはじめ

子宮を押し込むと
脱出した子宮は
すんなりと
膣の中へ消えた。
その後

腹腔内の子宮の反転をなくし
再脱予防として
膣を縫合した。
これは
鮭袋を使わない時と

子宮脱を整復しながら
途中で手を止めて
血まみれになった手でスマホを取って
写真を撮りながらという
めんどくさい治療となったが
その間ずっと
一人で
ビニール袋入りの子宮を支えてくれていた
✖︎畜産の従業員のI君には
とても感謝している。
今回の
鮭袋による子宮脱整復をやってみて
最もメリットを感じたところは
まさにこの
助手が1人だけで済む
ということだった。
今までの子宮脱の整復には
板を使って子宮を支えていたので
板を水平に支えるためには
どうしても助手が2人必要だったから
これは大きなメリットと言ってよいと思う。
さらに
今回の反省点としては
ビニール袋の中へ
子宮をもっと確実に
根元までしっかりと入れてから
押し込む作業を開始すべきだった。
それを怠ったため
子宮を押し込む最初の段階で
かなりの腕力を消耗してしまった。
さらに反省点としては
長いビニール袋の盲端に
あらかじめ穴を開けておくべきだった。
そうすれば
子宮をビニール袋に入れるのが
もっと簡単になったのではないか
と思われる。
以上
初めての試みのレポートだったが
やはり
やってみないとわからない事
というのは
必ずでてくるものだ
と思った。
鮭袋(魚用ビニール袋)による子宮脱整復法は
なかなかユニークな方法なので
今後もまた
ぜひ試して
何度もやってみながら
スキルアップをして行きたいと思う。
※ ※ ※
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このチャンネルもどうぞ宜しく(^^)
正直、ふーーん、くらいの感じでしたがよもやこんなにクリアな写真を拝見できるとは
感謝いたします
最初の「新巻鮭」!!の字がシュールですね
めちゃくちゃ牛で子宮なのに「新巻鮭」笑
同じ鮭袋でも透明な袋よりしっかり鮭と書いてあるものを選びたいですね
手がかりのない持ちづらいものを
これまでは
軍手をつける、砂糖で収縮させるなどの工夫はありましたが
包むという発想は新しいですね
是非と言うと子宮脱星人に目をつけられそうなので
もし、仮に機会があれば
と言っておきます笑