「あの・・・乾乳の牛に・・・パイプが突き刺さって・・・貫通してるんです!」
先日の連休の午後、◆牧場の従業員の動揺した声で往診の依頼があった。
「わかりました、すぐ行きます。」
親牛の体に鋭利な物が突き刺さる事故はたまに起こる。
◆牧場まで診療車を運転しながら
今回はどんな感じなのか
色々と想像した。
◆牧場の乾乳牛舎に着いて
遭遇した実際の現場は
私の想像をはるかに上回るものだった。
従業員の○さんが示した牛の
右横腹には
直径10センチほどの外傷があった。
さらにその牛の
外陰部の下方
乳房の後靭帯付近に
直径10センチほどの外傷(貫通の痕)があった。
「えっ・・・こんなに長く突き刺さったの?」
「はい、そうなんです。」
「どこで突き刺さったの?」
「こっちです。」
案内されたのは
乾乳牛舎とパドックの間の通路だった。
直径約8センチ、長さ約3メートルほどのパイプで
その通路が作られており
2本のパイプの一端が外れて先端が露出したままになっていた。
「これが刺さったの?」
「はい、見つけたときは、牛がパイプを振り回して歩き回っていたんです。」
「どういうこと?」
2本のパイプのうちの1本が牛の体に刺さり
牛の体に刺さったまま
そのパイプは留め金が外れてフリーになっていたという。
「写真があるので見てください。」
「えっ・・・なんだこれ・・・串刺しだよ!」
従業員の○さんが見せてくれた写真には
長さ3メートルほどのパイプが
牛の体を貫通しているところが写っていた。
「牛が歩くとパイプが振り回されるんで、危なくて・・・」
「だろうね・・・で、どうやって抜いたの?」
「お尻の方から引き抜きました。」
「抜いたパイプはどこにあるの?」
「こっちです。」
引き抜かれたパイプは
乾乳舎の片隅に置かれていた。
「こんな普通のパイプが、牛のお尻から刺さって、右横腹に突き出たの?」
「そうだと思います、見つけた時はもうビックリしました。」
「だろうねぇ・・・」
「パイプを抜いた後、牛はエサも食べるし元気なんですけど・・・」
「うーん、腹膜を突き抜けて内臓が傷ついていたら大変だけど・・・」
「・・・」
「とりあえず、抗生物質と血止めの注射を打って様子を見ましょう。」
「わかりました。」
私は、意外にケロッとしているこの牛に
ペニシリンとトラネキサム酸を投与し
明日また来ることを告げて帰路に着いた。
翌日・・・
◆牧場へ往診に行ったのは同僚のY獣医師だった。
Y獣医師のカルテには
「T39.3 P80 活力やや減退も採食可能。穿刺部探査、筋層間に裂創様の創口がありフィブリン付着、皮膚欠損周囲主張、鉄パイプは筋層間を通過し、腹腔への穿孔は無いと思われる。」
とあり
創口の洗浄消毒とペニシリンの筋肉注射が行われ
ペニシリンが4日間薬治された。
その後・・・
◆牧場からは
この牛についてはなんの連絡も来ていない。
きっと
無事に治癒したのだろう。
それにしても
40年の臨床経験がある私でも
このような牛の「串刺し」を診たのは
初めてのことだった。
パイプが腹腔に達しておらず
内臓にダメージの無かったことが
不幸中の幸いだったと言えるだろう。
結果オーライの
驚きの症例だった。
※ ※ ※
豆作の「のったり俳句ひねもーすチャンネル」で


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このチャンネルもどうぞ宜しく(^^)
先日の連休の午後、◆牧場の従業員の動揺した声で往診の依頼があった。
「わかりました、すぐ行きます。」
親牛の体に鋭利な物が突き刺さる事故はたまに起こる。
◆牧場まで診療車を運転しながら
今回はどんな感じなのか
色々と想像した。
◆牧場の乾乳牛舎に着いて
遭遇した実際の現場は
私の想像をはるかに上回るものだった。
従業員の○さんが示した牛の右横腹には
直径10センチほどの外傷があった。
さらにその牛の外陰部の下方
乳房の後靭帯付近に
直径10センチほどの外傷(貫通の痕)があった。
「えっ・・・こんなに長く突き刺さったの?」
「はい、そうなんです。」
「どこで突き刺さったの?」
「こっちです。」
案内されたのは
乾乳牛舎とパドックの間の通路だった。
直径約8センチ、長さ約3メートルほどのパイプで
その通路が作られており
2本のパイプの一端が外れて先端が露出したままになっていた。
「これが刺さったの?」「はい、見つけたときは、牛がパイプを振り回して歩き回っていたんです。」
「どういうこと?」
2本のパイプのうちの1本が牛の体に刺さり
牛の体に刺さったまま
そのパイプは留め金が外れてフリーになっていたという。
「写真があるので見てください。」
「えっ・・・なんだこれ・・・串刺しだよ!」
従業員の○さんが見せてくれた写真には長さ3メートルほどのパイプが
牛の体を貫通しているところが写っていた。
「牛が歩くとパイプが振り回されるんで、危なくて・・・」
「だろうね・・・で、どうやって抜いたの?」
「お尻の方から引き抜きました。」
「抜いたパイプはどこにあるの?」
「こっちです。」引き抜かれたパイプは
乾乳舎の片隅に置かれていた。
「こんな普通のパイプが、牛のお尻から刺さって、右横腹に突き出たの?」
「そうだと思います、見つけた時はもうビックリしました。」
「だろうねぇ・・・」
「パイプを抜いた後、牛はエサも食べるし元気なんですけど・・・」
「うーん、腹膜を突き抜けて内臓が傷ついていたら大変だけど・・・」
「・・・」「とりあえず、抗生物質と血止めの注射を打って様子を見ましょう。」
「わかりました。」
私は、意外にケロッとしているこの牛に
ペニシリンとトラネキサム酸を投与し
明日また来ることを告げて帰路に着いた。
翌日・・・
◆牧場へ往診に行ったのは同僚のY獣医師だった。
Y獣医師のカルテには
「T39.3 P80 活力やや減退も採食可能。穿刺部探査、筋層間に裂創様の創口がありフィブリン付着、皮膚欠損周囲主張、鉄パイプは筋層間を通過し、腹腔への穿孔は無いと思われる。」
とあり
創口の洗浄消毒とペニシリンの筋肉注射が行われ
ペニシリンが4日間薬治された。
その後・・・
◆牧場からは
この牛についてはなんの連絡も来ていない。
きっと
無事に治癒したのだろう。
それにしても
40年の臨床経験がある私でも
このような牛の「串刺し」を診たのは
初めてのことだった。
パイプが腹腔に達しておらず
内臓にダメージの無かったことが
不幸中の幸いだったと言えるだろう。
結果オーライの
驚きの症例だった。
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この事故、刺さったのは尾側からですか?あまり勢いづいて後退することは少ないので、腹側からかなと思ったりもしますが・・・・
一気にここまで刺さったのではなく、抜けないので牛が前進したのではないでしょうか・・・・・
超音波を当てれば、貫通創が皮下なのか、筋間なのか、腹腔に到ってないか判断できないでしょうか?
腹水のありなしとか。。。